
【Event6】 12/3(月)
(次はきっと、自分の番。いつかのもしもは今日かもしれない。――ふわふわと、心はどこか浮き立っている。気を抜くと上の空になるその感覚は緊迫した戦闘の場面に於いてはどうにか誤魔化せたようで、無事にシャドウの消滅を確認した後に息を漏らした。焦燥感に、集中し切れない煩わしさが付き纏う。“いつも通り”と比較して笑顔もおしゃべりも少ない今日の様子は、側からも調子の悪さが窺えたことだろう。)……ディア。(小さく呟き使役したペルソナで、彼が受けたダメージを僅かに癒す。改めて向き合った後に、目が合えば眉を下げて笑った。)ごめんね、ロック。わたし今日、ちょっと無理かも。(探索を切り上げる言葉はどうしたって申し訳なさが滲んで、けれど意志を曲げるつもりはない。あの夜を経た後も、アリスとして彼に向ける意識は何ひとつ変わらなかった。一方で自己に対して向かう意識がエントランスへ踏み出す機会を減らして、今日は久方振りの探索だったのだけれど。続きはまた今度、そう続けようとした言葉が不意に飛んだのは、背後にペルソナの気配を感じたから。違和感に振り返った先にはやはり、幼い二頭の虎に馬車を引かせた少女の姿が漂っている。)キュベレ……?(少女を見上げて名前を口にした瞬間だった。頭の中に響く声、痛み、不快感、ないまぜになった衝撃に頭を抱えて膝から崩れ落ちる。痛みに喘ぎながらも見上げた先で、美しい少女は異形へとかたちを変えた。不快感は止まず、胸が早鐘を打つ中でも、せせら笑うようなその姿から目を逸らせなかった。――世界から音が消える。息が止まる。ペルソナはシャドウに、シャドウは男へと姿を変えて、降り立った。見知ったその姿。世界でいちばん、きらいなもの。) ぁ、(思考は黒に塗りつぶされる。知らない。見たくない。力を振り絞って、男から逃げるよう全力で駆けた。どうせ追い付かれると分かっても逃げ込んだ小部屋の中でへたり込み、鏡張りの空間に怯えるよう伏せた顔を両手で覆った。)ぅ、やだ、やだ、こんな場所、いや……(追い込まれて逃げ出す気力もないまま、扉の開かれた音に肩が跳ねる。近付く足音はやけにゆっくりと響いて、次第に震えは抑えられなくなった。)
* 8/31(Sat) 23:21 * No.219
…
(逃げ出した背中を追った先、小部屋の中央で震える少女を見つけた。一歩一歩着実に距離を詰めた後に、伸ばした腕は白い手首を掴む。たいした力を込めずとも顔面から手を引き離すことはあまりに容易く、それでも瞼を閉ざしてこちらを見ようとしない姿に声も出さずに嘲笑った。)“ああ、かわいい。俺のだ。”(真似事でもするかのような演技めいた声。伸ばした手は今度は胸元のリボンをぐしゃりと鷲掴む。引っ張れば彼女の体ごと浮いたものだから、煩わしげに両手で掴み、力任せにぶちりと引きちぎった。 呆けた顔を向ける彼女を前に、歪んだ笑みでリボンを自身に翳す。我が物顔で、胸元に。頭に。)あはは! 似合うだろ? かわいいだろ? 大好きだもんな。そのワンピースも、俺が代わりに着てやるよ。(唇を震わせて、見開いた目に涙を滲ませる少女は硬直しているかのように動かない。下卑た笑いで手を伸ばす。願望の執行人然とした態度で。)
* 8/31(Sat) 23:24 * No.220
…
(理想の姿になれるこの世界に集う者たちはきっと事情を抱えている。言い換えれば、抱えているからこそこの世界に居るのだろう。軽々しく踏み込めるものではない。エントランスから仲間の足が遠のいた理由を知る必要はないし、追及は宜しくない。暗黙の了解というやつだ。そう理解しながら、どこか釈然としない心地ともの悲しさが抜けなかった。そんな心境の今日この頃、若干久しぶりに顔を見た仲間と共にする時間は喜びを齎す。けれども少女の不調はすぐに察した。シャドウ討伐後、唱えてもらう回復のスキルさえ、いつもより元気がないようにも聞こえる。)ん?じゃ、引き上げるか。気にするなよ、無理なら仕方ないって。……なあ、あのさー、(申告に軽く腕を広げ、受け入れを示してみせる。原因に触れるか口籠ったところで、振り向く所作につられて見やった先に、顕現したままの馬車の上のドレス。訝しみも束の間、仲間の少女の急変にぎょっとする。)アリスっ?!(手を伸ばすよりも、彼女のペルソナの変容のほうが早かった。その果てを捉えた瞳が丸くなる。頭が真っ白、愕然として硬直した間隙に遠ざかった二人分の足音。はっと我に返れば急ぎ追いかけ、開いた扉の向こうの光景が目に映る。少女の震える唇、濡れた瞳、何よりも引き千切られた胸元の痕跡が痛々しい。さらに伸ばされる男の手の意図を悟るや、盛大に眉を顰め、)――とぅっ!(駆け寄り身を沈めると、弾みをつけて男の脇腹へ踵を叩き込んだ。やや力を抑えてしまったのは、友のかたちへの暴力に抵抗感が否めない所為。)キュベレ……いや、シャドウ、なのか……??(見知った姿に混乱しつつ、ひとりごちて。少女を背に庇うように、悪意から遮るように身を置くと、肩ごしに片目が振り返り窺う。)おい、アリス? 大丈夫……なワケない、か。(気遣わし気な色が過った。)
* 9/1(Sun) 18:28 * No.225
…
(長らく見ていなかった悪夢は、夢の中の現実として突き付けられる。かわいいを好きに纏った幸せな日々、おそろいのリボン、大切な記憶を踏み躙る光景が心を壊すのは時間の問題だった。色黒の男の手が視界から消えたことに気が付いたのは、ジャケットを纏う背中が忌々しい姿を隠したから。瞬きと共に涙はこぼれて、振り返る片目と目が合った。庇うように守ってくれた、自身を気にかけてくれる大切な仲間。――ああでも、“彼”だ。)……、(身を案じる言葉に、すぐ返事をすることは出来なかった。ふたりの姿を見た彼は何を思うのか。思い出が交差してぐちゃぐちゃになる。逃げ出したいような、もう全部終わらせてしまいたいような、苦しみから逃れたい気持ちでいっぱいになる。)う、(一度だけ漏れた嗚咽はすぐに噛み殺して、涙を拭って息を吐き出す。ゆっくりと手をついて立ち上がり、その足が震えていないことに安堵した。) 大丈夫。わたし、大丈夫だから。ひとりでなんとかできるから。(先延ばしにしていた返事を告げる。いつもと変わらないソプラノの声。アリスとしての意志だった。)他の誰よりいちばん、知られたくなかった。わたしね、ロックのこと好きだったの。 だから、見ないで。……ふたりにさせて。(仲間に向けたのは、これ以上の介入を拒むもの。拒絶に等しい懇願。手遅れであったって、もう一人の自分へ向ける醜い気持ちとその姿を、彼にだけは見られたくなかった。)
* 9/1(Sun) 22:57 * No.226
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(窺い見て、視界の中に際立ったのが、柔らかそうな頬を伝い落ちる雫。そのまま窺い続ければ、拾い上げた嗚咽の、その短さ、噛み殺す様相が胸にいたみを運ぶ。立ち上がった姿へと爪先を返し、考えこむふうに一度、影の男を首だけで振り返って、少女の側にまた向き直る。ペルソナはもう一つの自己、それがシャドウとなり彼の姿を取った、ならば。修学旅行の夜の、九堂律が経験したあの出来事と同様だ。結論付けた直後に、耳を打ったソプラノの拒絶。)あ゛?、お前、大丈夫 って……、(しかめっ面をした矢先、続く言葉に一瞬全身が固まる。)……、アリスが?オレを?(好き?だから、見ないで? 声は掠れた。口を半開きに、しかめっ面が動揺の揺らぎへと様変わりする。バラバラのパズルのピースが増えた感覚、そこから何かを見出そうとしても空回りしてしまう。まだ、正しく解釈できないようだ。いったん見切りをつけて、動揺を押し込め一呼吸おいた。)悪いけど、大丈夫に見えない。――知られたくない、見られたくないってのは少しわかるよ、オレも同じようなもんだったから。わかる、でも……、(靴音を立てて一歩、距離を削る。)ここに居るだけで、お前を傷つけてしまう。それでも……、(声のトーンを下げるとやや身を屈め、片手をそっと差し向けた先は白い頬。)アリスは、“君”なんだろ? だから尚更、さ……、目を逸らしている間に失ってしまうほうが恐ろしい、耐えられないよ。(紛れもない本心を響かせ、少女の瞳の奥を覗き込んだ。指の背がぐいっと上がり、涙の跡をさらに拭ってしまおうとする。)……だめ?
* 9/2(Mon) 20:13 * No.232
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(こんな時でなければ伝えるつもりのなかった気持ちは、うまく噛み砕かれずに反芻される。「そうだよ」と息を吐き出すように小さく笑えたのは、やっぱり何も知らないみたいな動揺がおかしかったから。強がりであっても自分の力で立つことはできる。大丈夫はきっと魔法になる。だから退いてほしいのに。――この場に彼が居ることで傷付くことを、知っているくせに。頬に触れるやさしさは確かに感じても、言葉はアリスだけに向けられたものではない。影が、うしろで笑っていた。)……ちがうよ。わたしはわたし、アリスだもん。(くしゃりと表情が歪む。彼の指で拭われたはずの涙は、却ってまた溢れ出した。きらいなものを重ねられて肯定されることを容易に受け入れられるのなら、きっとペルソナは牙を剥かなかっただろう。乗り越えた彼が向ける大切は、目の前にいる自分だとは思えなかった。彼に手を差し伸べたのは、アリスではないのだから。)……わたしは、現実と切り離したいからここにいて、だから、……知られたく、なかったのに……。(どろどろとした自己嫌悪が醜い素顔を隠したがって、彼の手から逃れるよう一歩後退り顔を覆った。見たくない。見られたくない。呼吸をするたびに、自分本位な苦しみに胸が痛んだ。)
* 9/3(Tue) 15:27 * No.233
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(手心を加えられた攻撃に傷を負うこともなく、立ち塞がる背中を前に男は二人の会話を聞いていた。“君”と語られる姿を模した男はクッと笑みを漏らして、やがて声を挟む。)目の前で失うほうが安心する?(揚げ足を取るような揶揄。楽しげに歪んだ口元から紡ぐ声は、友人へ向けるかのように気安いだろう。)いいよ。ここに居ろよ。どうせすぐに済む。(数歩踏み出して彼の隣に立てば、見下すように少女を一瞥する。それから会話の続きとばかり、男の背中を叩いて笑った。)何もないんだよ、そいつ。かわいいものが好きで、かわいくない自分が嫌いなだけ。暴力も暴言も要らない。視覚的に踏み躙れば終わりだよ。(さっきみたいに。視線を落とした先で手を広げる。ぐしゃぐしゃに握り潰したリボンを見つめて笑った後に、関心を失くしたように地に棄てた。)
* 9/3(Tue) 15:29 * No.234
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(拭ったはずの指先に降りかかる、その熱さ。砂糖菓子みたいな体は両手の間をすり抜ける。後退って離れたところに、白い手の蓋がつくられる。眼前の存在は、アリス。そっか、と小さく声をあげた。)完全に現実と切り離すことなんて、出来ないだろ。それに夜ごとのオレたちの時間が終われば、待っているのはいつも現実だ。……だから、苦しかったりするのかな。(夢の中の少女を知りたがるよう、憶測を交えながらゆっくりと言葉を連ねてみる。)――手を出すな。(シャドウへ向けては、冷ややかな鋭い一瞥を刺して牽制を。)失わない。ここに居るのはその為だ。(きっぱりと。確固とした意志を灯した断言だった。片膝をついて、手折られて落ちた花のような風情のリボンを拾い上げ、それからまた少女に相対する。)「だけ」なんて評価は不当だね、だってアリスにとっちゃ大事なんだろ? ね、アリス。オレ、かわいいとは無縁だったからさ。考えてみると、かわいいとかわいくないの境界だってよく分からないんだ。(塞ぐ仕草が続くならばそこに働きかけはせず、ただ声だけを届ける。特に神妙でもない、いつもどおりの話し方だ。)……なー、かわいいって何なんだよ。どうしてかわいいに入れ込むようになったんだ?(教えて?と強請る雰囲気で。)
* 9/3(Tue) 23:21 * No.235
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……できるよ。忘れられたもん。鏡越しの姿も、視界に入る手足も、声も、ぜんぶがかわいくて幸せだったの。やさしい夢を見れたから、現実でも生きていこうって思えたの。(目に映る世界に寄った理想は、ほんとうの外面を嫌悪する思考と繋がっている。別世界のように切り離した夢の存在は、心の支えに等しかった。姿さえ見えなければ影に臆するつもりはなかったのに、気安い声が彼に向くとつい呼吸が止まった。だから、――聞いたこともない冷たい声に、少しだけ笑みが溢れる。守ろうとしてくれたことが嬉しかった。大切なものを、大事にしているものだとわかってくれて、嬉しかった。彼の自然な声のせいで、心がすこし緩む。)……たぶん、言ってもわかんないよ。(顔は隠したまま、笑うように口にした。)かわいいは主観で、わたし基準なの。わたしがときめいて、いいなあって思うものが“かわいい”なの。他人軸は必要なくて、でも……かわいいって言ってもらえると、やっぱりうれしい。 うれしかったんだよ。ロック。(かわいいの基準はこんな言葉じゃ伝わりはしないだろうけれど、アリスにとっては欠かせない、心からだいすきなものだ。)……お母さんがね。これかわいい、って嬉しそうに手を伸ばすもの、よく自分にあてがって、「似合う?」って聞いてくれたの。だいすきなやりとりだったから、わたしもかわいいものを見つけたときに、鏡の前で真似してみたの。小さい頃だよ。……ほんとうに似合わなくて、びっくりして、自分のことが嫌になったのに。何かを見てかわいいなって思う感情はずっときらきらしてて、とくべつだった。……かわいいを好きに纏えるひとが、羨ましかった。(手に入らなかった執着にも近い感情は、吐き出すのがすこし苦かった。)
* 9/4(Wed) 21:00 * No.239
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ふうん。……うん。(やさしい夢を見れたから、現実でも生きていこうって思えた。自身にもそれは身に覚えがある。マイ・ルームで、エントランスで、憧れの楽器を奏でて、時には誰かに聴いてもらった。現実には為しえぬこと。逃避と認識する一方で、その夢の記憶が一つの拠り所になった。短く返す音は、共感の響きを帯びる。言ってもわかんないらしい、かわいい論。まあそうかもねと認めて、その上で聞きたがった。結果はというと、理解できたとは言えないけれど、彼女のかわいいを知った意義は確かにあった。)……うれしかったんだ。ふふーん、それもそうか。(こちらへの呼びかけと言葉に、ぱちぱち瞬きながら相槌を打つ。脳裏に描きだされたのは、この少女と過ごした夏の日。いつだって他者が居るからこそ得られる喜びはあるらしい、納得重ねる声は少し嬉しげに。語られるかわいいの根源の情景は、他人事なのに懐かしさの情動を呼ぶ。かわいいを探す楽しそうな母子。だいすきを真似た末に、鏡の前で失望する小さな姿がぼんやりと浮かんで。嗚呼、似合わないと思ってしまったのか。きらきらした特別な感情はそのままなのに。)かわいいが似合わないから、今も自分の容姿が嫌い……か。そういう自分を、アリスをカワイイって褒めたオレに知られたくなかった?(考え考え口にする傍ら、手中のリボンの無残を少しずつ広げては整えてゆく。)かわいいかわいくないがお前の主観と基準で確立している以上、ま、オレが何言おうと響くはずないか。なあ、生まれ持った肉体は、そうそう変えられないだろ。お前、それじゃ、この先もずっと……、(鏡から目を背けるにも限度はあろう。どれほど忌み嫌おうと付き纏うはず、そこに佇む影のように。彼女の運命に思いを馳せる。)
* 9/5(Thu) 07:00 * No.242
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(彼に“自分”を知られたくなかった理由を問われて、シンプルなようで難しい答え方にすこし悩んだ。「あのね、」切り出した声は考えながら話すような覚束なさが拭えないけれど、聞いて欲しがるように。)わたしの中の感覚では、夢と現実は切り離して考えてるの。だから、ここではわたしはただのアリスで、わたしがかわいいから相手に“かわいい”を求めてなくて、……ええと……(呼吸を挟んで紡ぐのは、現実の話。) いつも、かわいい子を好きになるの。付き合ったらかわいいものをいっぱい贈って、身に付けてもらって満足してた。ちゃんと恋もしてたけど、こうなりたいな、こんなのも似合うかな、って……目の前の“かわいい”で自分を満たすのがいちばん幸せだったの。好きな子に、わたしがなりたかった。そんな感覚。(歪んでいた自覚はあるにしろ、語る様子に後ろめたさはない。かわいいへ向ける愛情に嘘はひとつもないことが、きっと唯一の自負だから。そうして続くのは、夢の話。)ロックはね、話してて楽しかったの。言葉を重ねるたびにわくわくして、次はどんな話ができるかな、いつ会えるのかな、会いたいなって、そんな風に思ってた。ふつうの片想いみたいな感覚が楽しくて、大事に育てたかったなって……そんな気持ち。 夢、見てたかったなあって。(かわいいの執着を抱かずに焦がれた気持ちを、何の干渉もないまま持っていたかった。だけど、現実の己が影として夢を侵食したから。やさしいだけの夢は、これでおしまい。)……自分のこと、いつでも嫌いなわけじゃないの。恵まれてることもわかってる。でも……(彼の言葉に、ゆっくりと目隠ししていた手を外す。足元を彷徨った視線は影を捉えて、少しずつ、その姿を視界におさめた。大切なものを踏み躙った影は、物言わずこちらを見下ろしている。大きな体。浅黒い肌。意識して自分から近付けた、“男”の姿。 一歩、踏み出したのは仲間の方向。少し頭を下げて、彼の胸元を見つめる。)……ちょっとだけ。寄りかかっても、いい?(こわごわと、呟く声が落ちた。)
* 9/5(Thu) 23:41 * No.244
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(ひとつひとつ紐解こうとするのは解決が目的ではなく、伸ばした手を近づけるため。そもそも正確に紐解けているか怪しい。だからこそ彼女の側から切り出されたことに、聞いてほしがるような気配に、少し近づけた温度を感じて、ちょっとほっとする。そうして現実の世界での、具体的な内容が語られる。彼の印象(モテそうだなーとは思っていたけれど)に反して、女性との付き合い方は想像だにしなかった、想像しようもなかったもの。こちとらロックシンガーだ、性愛に倫理の枠なぞ嵌めない。返すは相槌ばかり。少女の顔を覆う帳を挟み、不謹慎にも面白がるみたいに片方の口端が少しばかり吊り上がる。鏡の向こうの風紀委員が聞き手であれば狼狽をみせたかもしれない。コレ聞いたのがオレのほうでよかったな?なんて、もう一人の自分へと内心で語りかけた。)……ふつうの片想い、ね。甘酸っぱい!だがそれが良い。(年頃の女の子が偶然出会った異性へ淡い想いを寄せる――ありふれた物語には、彼女の語りを踏まえると特別な意味が加わる気がした。)そんなふうに想ってくれてたんだ。すげー嬉しいよ。(ゆるゆると満面の笑みが咲く。過去形だろうと嬉しいものは嬉しいのだ。綻んだ頬と口から溢れた声音にも、いっぱいの喜色。目隠しの帳が上がり、桜色の髪との距離が一歩縮まった。)もっちろん!(呟きを聞き留めるや、気軽く即答しよう。リボンを中指に引っかけると自ら両腕の迎えを差し伸べ、少女の頭を胸に引き寄せた。つむじのあたりに顎を乗せる。小さく笑って。)アリスの話を聞いてね、想ったよ――(尊敬や、共感。理解の及ばないところも、歪みさえも掬いたい気持ち。あまさず束ねた言葉は。)お前の生き方が愛おしいって。(それからもう一つ、彼女の話から確信を得たことがある。)お前は空っぽじゃない。(囁きでありながら、力強さの籠る断言。そっと顎を外すと、寄りかかられるならばそのままにして、華奢な背中にぽんと手のひらを弾ませた。)
* 9/6(Fri) 20:00 * No.246
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(かわいいを手にした上で、自分のためのかわいいを探求するこの性質は欲求に素直で自分本位な傾向にある。それを無邪気に肯定されたと感じた盆踊りの夜、彼とは似ているところがあると思ったのだ。恋心の甘酸っぱさを“良い”と示した感性に、彼らしさを感じて笑みが溢れる。たぶんこういう彼だから、アリスは好きになったのだ。)……ふふ。でしょ!(受け止めてもらえたから、大切に抱いた気持ちは誇らしくなる。何よりも、これまで伝えた言葉を尊重してくれる気遣いを深く感じたから、頑なだった気持ちもほどけていくのがわかった。勇気を貰うために、ちょっとのつもりで頼った胸元にやさしく引き寄せられる。頭に乗ったぬくもりはひとりじゃないことを教えてくれるようで、瞼を閉じて声に耳を傾けた。器用なようで不器用な、歪みと秘め事の多い本心を明かしたたった一人が、己の存在ごと包み込んでくれる言葉をくれた。コンプレックスに塗れた自分を完全に客観視することは難しくて、けれど傍にいてくれた彼が空っぽじゃないと教えてくれるなら、信じて良いと思えたのだ。 一度背中に触れた手は勇気を後押しするような、本来求めた“ちょっと”分が終了した合図なのだろう。甘やかしてもらえたのにまだ足りなくて、胸元に頭をぐいと押しつけてみる。)ね、ロック。おまけでぎゅってしてほしいな。(甘えた願望を口にして、背中に手を回して一方的にでも身体を寄せた。夢だからこその欲張りは、この際文句を言われたって悪びれもしないつもりだ。――呼吸をおいて、何度も目を背けた影と向き合った。見上げたその姿を直視して、少し言葉に詰まる。抱く感情は、恐れではなかった。)……かわいそうなこと、してきたな。だいすきなかわいいもの、一度もあなたに贈ったことがない。……似合わなくても、ほんとは欲しかったのにね。(自分ごとだからこそ分かる気持ちは、それでも“アリス”だから向けられた。やさしい夢があったから、大切な人が受け止めてくれたから、きっと受け入れられる。)大丈夫。……わたし、大丈夫だよ。ちゃんとあなたと向き合える。生きていける。だから、戻っておいで。(もう一人の自分へと、語りかけた。)
* 9/8(Sun) 19:06 * No.250
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……うん。やっぱ、アリスが空っぽなワケないよ。好きも嫌いも強烈に確立させて、ずっと手放さなかったんだからさ。それってスゲーよ。(眼にも声にも揺らめく炎を滾らせて、重ねた言葉は説明よりも確信の反芻に近かった。好きと嫌いから、生まれる何かがある。例えば――好きを讃え、嫌いを叫ぶ先人たちの音楽があり、その音楽が今なお人の心をうつ。だからロックシンガーは、かわいいを軸に確たる好き嫌いを築いた彼女を空っぽだなんて思えないのだ。胸元にぐいと押し付けられる感触を受けたなら、元より甘えられるのも嫌いではない上に、今、彼女相手となれば拒むはずもなく。)いいよ。ぎゅっと、は。どれくらいの、ぎゅっと?(唇は上向きの弧を描いた。少女の身へ滑らせた腕が互いが最も落ち着く接点を少しずつ探ろうとする。「これくらい?」そっと尋ねては、望まれるだけの圧と温もりを与えたがって。)……うわ。アリスって、もちもちでふっわふわ!気持ちいい。(腕の中に伝わる感触に対しての感動のままに、上げるは弾んだ声。そうしてから、少女と影の男の対峙を見届ける。物言いたげな影の視線にぶつかると、ふっと双眸が細まる。静寂ばかりが残された男性一人分の無の空間を少しの間、口を閉ざして見詰め、似合わなくても、ほんとは欲しかったといった語りかけが耳に残った。浅めの呼気一つを契機にくるりと目を移した先は、少女の面差し。)はい、これ。ちゃんと復活させられるかな。なんかこう、縫いつけるとかで?(リボンを乗せた手のひらを、差し出す。)……ね、あのさ。これからも寄りかかりたくなったら、ココを(と言って、自身の胸を人差し指で示し)頼りなよ。ぎゅっとするのも、それ以上も嬉しいよ。アリスの体も、彰虎の体も好きだから。オレも律もさ。(後半は最悪な台詞だが悪びれもせず、ちょっと邪悪なほど屈託なくニコニコしている。)
* 9/9(Mon) 06:44 * No.252
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“それしかない”じゃなくて、すごいんだ。……ふふ、そっかあ。(決して手放さなかったかわいいへの執着を讃える言葉が、空っぽを否定する思いが心地好い。求めたハグを望むかたちで与えようとしてくれる気遣いに「やさしいんだ」といたずらに笑えば、ちょっと強いくらいの圧にこれくらいと甘えて、そのままぬくもりをひとりじめした。自分よりも大きな体に抱き締められる安心感を覚えながら、聞こえた感想にまた頬が緩む。)ぜんぶかわいいでしょ? だいすきなの。(細すぎない柔らかな肢体を自慢げに誇る。全部全部が理想で愛おしい身体なのだ。 影との対峙を終えた後、彼の手から差し出されたリボンを見つめる。乱雑に扱われたそれを整えてくれたことも、大切に拾い上げてくれたことも嬉しいから、自然と笑みは溢れた。)……ありがとう。裁縫道具もあるし、なんとかなると思う。次会うときは元通りだよ。(受け取ったリボンを胸の前できゅっと抱き締めた後に、大切にポケットへと仕舞い込む。マイ・ルームに戻ったらすぐにでも手入れをしようと意気込んだ後、紡がれた彼の言葉。 途中で瞬きを挟んだ。) からだ……。(二度繰り返された言葉を、思わず呟く。これでも自分かわいさに警戒心は強いほうである。訂正される様子のない笑顔を見上げて、ちょっと頭を悩ませた。)うーん……(仮にも恋心を告げた相手なのだからデリカシーのなさは相当に感じるのと、一途を通して来た身としては倫理観の違いも浮き彫りになるような葛藤。それでいて全部ひっくるめて“彼”なのだと理解出来る部分もあるから、伸ばした手は彼の指を絡めとって、恋人みたいな繋ぎ方をして、ぎゅっと力を込めた。)見て。かわいいの。(大きさの違いを見せつけるように繋いだ手を持ち上げながら、彼を見上げて笑った。都合良く解釈すれば“好きに甘えていい”のだろうから、小さな手が際立つ大人の男の手は甘えるのにちょうど良かったのだ。)こうやって、やだって言われるまでは好きに甘えるね。……ロックが甘えたいときは、どうしたい?(本来の与える側の気質から、彼の望みを聞きたがるように繋いだ指をまた握った。)
* 9/10(Tue) 00:01 * No.255
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(指で伸ばすだけの処置では完全には元通りとはゆかず、いくらか皺の残るリボン。その蝶々のかたちは手のひらを発ち、少女の手へ。イデア・ルームにおいては、あるいは願うだけで元通りになるのかもしれないけれど。影によって傷んだ蝶々が彼女の手でなおされる、そのほうが安心できる気がした。大切に仕舞い込む仕草を見届け、「きっと元通りになるね。またリボンに会えるの楽しみにしてる」と眦を緩めた。その後は、呟いたり唸ったりの少女を少し首を傾けてじぃっと眺める。白い指がこちらの手に触れたら、瞬かせた。やめておきなさいこんな男、内なる風紀委員が少女を引き留めたがる。シチュエーションはまるで、バンドマンと親しくする女の子を心配する女友達。しかしその心配なぞ蹴飛ばしてしまう。この世界に存在する自分、この理想の実情を彼女には知って貰ったほうが良い。デリカシー皆無で楽しいことばかり優先させる性分は、かわいい女の子に相応しい素敵な立ち位置なんてどうしたって似合わないだろうから。その上で関わりを続けたがるは強欲だろうか。指を絡ませた中の、小さな手に微笑んだ。)……うん、かわいい。わかる。(彼女の内側のかわいいを、真に分かるはずもないけれど。この手にはかわいいの形容がぴったり嵌まる、そう思ったものだから、噛み締めるようにわかるの言葉にかえ、ゆっくりと頭を上下させた。手の大きさの差を見て、庇護欲よりも触れ合える喜びが勝りながら、)いいよ。やだなんて、いつまで経っても絶対言わないけど。――ふーん、オレからも甘えていいんだ? じゃあ……、(彼女の甘え方を知りこちらの甘えも許されれば、にへらっと表情が崩れて。直後の少々難しげな顔つきの空白は、内面における自分と自分の一悶着のせい。結局、セクハラを断じて許さぬ風紀委員の圧が勝ったので。)じゃあ、オレのワガママきいて。アリスの色々なファッション見てみたい! へアレンジとかメイクも色んなの見たい! 一緒にダンスもしたい! ラビリンスの冬の部屋があるなら二人で雪遊びもしたい!(口にする許可の下りた甘え方はたしかな本音で、しかも際限なく続きかねない。そのうちにふと、繋いだままの手がまた瞳に映る。)――なんか、ドキドキする。(絡めた指に力を込め、少し揺らして。嬉しそうな笑みは、これまでのものより深みが増していた。)
* 9/10(Tue) 21:04 * No.258
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(夢の世界の待ち合わせは難しく、次に彼と顔を合わせる日がいつになるかはわからないけれど。綺麗に戻したリボンを楽しみにしてくれる彼の言葉が嬉しくて、その時を迎えるのが心待ちになった。もし少しだけ歪んだままだとしても、大切なものに変わりはないから。もう怖くはなかった。)……わかる? ふふ。うれしい。(絡めた指を見て彼が微笑んだのがわかると、胸がぽかぽかと満たされて眦が下がる。やっぱり彼が口にするかわいいはどこか特別に響いたから、繋いだ手から視線を外しても、ぬくもりはまだずっと欲しがった。)わたし、アリスだと甘えんぼだよ。またすぐぎゅってしてほしがるかも。(甘えを拒む様子のない反応に欲張りでけしかけた分、彼からの甘えも難しい内容であれば要検討とするつもりだったけれど。考え込むような空白の後に紡がれたワガママに少しだけ驚いたように間を空けてから、くしゃりとはにかんだ。)いいの? わたしの部屋に連れ込んで、ずっと居てってなっちゃうよ。かわいいの、いーっぱい見てもらいたくなっちゃう。……わたしがわがまま言ってるみたい。(却って甘やかすような要望に、ほんと?と言いたげに繋いだ指を引っ張る。ダンスも雪遊びもしたい気持ちはもちろんあって、その上で“二人で”と添えられた言葉が特別を与えてくれた気になってしまうから、なんだか卑怯なワガママたちだ。指に触れたぬくもりが揺れて、顔を上げると嬉しげな姿が映る。悪い子だから、繋いだ指を引き寄せるようにしてその腕に擦り寄って、少しの間甘えるようにくっついた。「あのね」と切り出した声は、甘えたな宣戦布告みたいなもの。)わたしのことがだいすきだなって思ったら、そのときは好きに甘えていいよ。……だいすきになったらね?(甘えるのも甘やかすのも、それから楽しいことも大好きな彼だからこそ。こっちは好きに甘えるくせ、彼に向けてはしっかりと線引きを求めた。紡がれなかったわがままの中身は見通せないけれど、どきどきの延長で気持ちが伴うのなら、きっと何だって受け入れてしまえるから。腕から体を離して彼を見上げると、自然とだいすきな気持ちから笑顔が浮かんだ。)
* 9/11(Wed) 13:09 * No.260
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いいよー、甘えんぼで。もちもちふわふわをぎゅっとするの、オレにとっても得だもん。(軽い調子で心から請け合う。もちもちふわふわな手触りの気持ちよさは当分の間、忘れられそうにない。その後の甘えに関するやりとりには、)うん、いいんだよ。それがオレのワガママだもん。アリスと一緒に居ると楽しいし、喜んでもらえたら嬉しいし。(くすくす笑って、ほんとと問う力加減を受けて引っ張り返す仕草は戯れだ。それから、腕にくっつく少しの重みと感触。耳に届くのは、こそばゆくて甘美な線引き。想いをあらわにしたような笑顔に面したら、目を細めた。)そんなん言われたら、ドキドキが高まっちゃうね。しかし、(こちらは、彼女ほど切り離せていない。鏡の向こう側が顔を出してしまうこともある。彼女の線引き自体はしっかりしている、とは向こう側も認めるところだが、)しかし?!未成年が大人の男に向かって好きに甘えていいなど言語道だ――いや、今のナシで。(嗜めたがるもう一人が一瞬会話に混ざった。あ゛ーうっせーなー。逆の手で髪を掻き上げ、はーっと息を吐けば、次にはロックの顔に戻っている。)だいすき……だいすきねェ。改めて考えると、だいすきってのは何だろ……難っしい、ははっ。(アリスに対しての欲望含めた好意の自認はあれど、彼女の定義する大好きとはまた違うのだろう。わからないなりに、未知を探るのは楽そうだから笑ってしまう。若干下向きに傍らの顔のひとつひとつへ、眼差しを流した。ぱっちりした瞳、形のよい唇、すべらかな額と頬、まさしくその面貌はアリスの名を冠する少女。現実から切り離されている少女。切り離されているとはいえ、彼女はもう一人の彼で。だいすきを求める彼女と、あの夜に彼の語ったことをつい重ねてしまう。)……。お前って、ほんとに特別を欲しがるんだな。前は、空っぽを埋めようとするからだって話だったけど……。(独白めいた呟きになった。)
* 9/12(Thu) 06:48 * No.263
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(甘えてもらうためにと聞いたワガママは、聞き返してもなお甘やかすような返答を重ねられる。繋いだ指を通じたじゃれあいと小さく溢した笑みはどこか大人びて見えるから、子どもらしくまた指に力を込めて笑った。)ずるい。好きって言われてるみたい。(思わせぶりだと非難しつつも、ワガママの中身はほんとだと物語る言葉に嬉しい気持ちは隠せていないだろう。彼が拒まないから気持ちを留めることもせず、オープンな片想い感覚はわりと楽しめてしまっている。「しかし?」間に挟まれた言葉を反芻した後、唐突に始まったお説教は耳が痛い気もしたけれど――彼自身の口で中断されてしまえば、息を吐き出す姿を見届けた後に、素直に問い掛ける。)……ナシにしていいの?(言ってしまえば未成年の戯言なのだから、言語道断と弾かれたらそれまでだ。だめならだめで、嗜めを求めるように返事を待つ。そうして、かわいいに次いでだいすきの定義にも疑問を投じる声には、釣られるように笑みを漏らした。)ふふ、難しいでしょ。わかんないだろうなあ。(昨日までは“すき”に収まっていた気持ちが膨れ上がったのは、正しく彼のせいなのだ。ひとりで抱えきれなかったものをまるごと受け入れて、甘やかし続けてくれたせい。どうして何一つ否定しないのか、拒まないのか、怖いくらいでもあった。向けられた視線とは目が合わないまま、本質を辿るような言葉が零される。)……呆れてる?(困ったようにすこし笑った。色恋に限らず欲しがった特別は、結局のところ自分本位の欲の塊。どちらの姿でも求めてしまうのだから、きっと欲張りなのだろう。)満たされた経験があるから、やっぱり特別は好き。恋愛のかたちじゃなくても好きな人からのとくべつは欲しいもん。大切にしてもらえるの、嬉しいから。……空っぽじゃなくなっても、求めちゃうと思うな。(前向きに捉え直した気持ちは、きっと夢から覚めても揺るがない。「心配しないで」と小さく添えて、笑いかけた。)
* 9/13(Fri) 02:14 * No.265
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いいのいいのー。社会規範とかそういうのに縛られるのがイヤで、オレはここに居るんだから。ま、オレがアリスを傷つけたりしないって、そのうち律にも分かって貰えるさ。……それに、だいすきの深掘りするには良い機会だろ?(顰めた眉と膨らませた片側の頬に不満を充満させての、ナシにしていい!の主張はけっこう幼稚だ。ロックも律も彼女を大切にしたい意思は共通ながら、傷つけないラインについては喧嘩しそうだ。認めたくないけれども、譲歩してしまうこともあるかもしれない。ぷしゅっと頬から空気を抜き、片目を眇めてどこか窺うようにひとつ同意を求めた後は、)――なんだそれー? 煽られてる気分!(その笑みと、わかんないだろうなあの言いように、なんだか手練れの女性を相手にしているみたいな心地に陥る。むむむと口を曲げ、悔しがる空気を纏う。年齢差のある二人の外見も一切気にせず、また子供っぽい。呆れてるかと問われると、)まさか? ただ、もっと知りたいって思っただけ。お前たちのこと、多分、ちゃんと分かってるワケじゃないからさ……。そっか。特別で満たされるって幸せ? アリスが幸せなら、彰虎も幸せ?(心配しないでの言葉を貰った途端に、ぎくりとした表情が過ったのは見透かされたような気がしたからだ。心配。たしかに、そうかもしれなくて。けれど、)いや、でもさ。オレは、オレなら……この世界のアリスのことだけ考えていたい、はずなんだ。 あ゛〜っ、もう……。(混ざってしまう。はじめから、そうだった。どうしようもない現象らしい。思いきり渋く、呻き声を漏らしてから、)混ざってしまうにしても、オレのやりたいことは揺るがない。(これだけは間違いない。唐突に少女の鼻先に人差し指を突き付けて、ふふんと双眸で笑ってみせた。)絶ーっ対、だいすきになってやるからな。覚悟しとけよ!
* 9/14(Sat) 03:25 * No.267
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(社会規範から逃れるべく存在しているのが彼ならば、悪い言葉を受け入れる姿勢も納得できた。一方で、共存しながらもラインが異なるらしい彼と彼との悶着は理解として落とし込むのはすこし難しい。「ね。ロックに傷つけられる想像、あんまりできないもん」指先に力を込めて、上目がちに笑いかける。ロックへ向けての信頼を伝えるのは、アリスが夢の住人だからだ。――だいすきの深掘りと聞いて、言葉として表現する難しさに気が付いた。うーんと悩みながら繋いだ指を胸元に引き寄せて、両手で腕を抱き締めるように閉じ込める。他に誰もいなくたって独り占めしたくなるような気持ちも、だいすきの一部に違いない。)あ! ねえ、だってロックからスキンシップしてくれないもん。わたしがしてって言わなきゃしてくれないんだ。(言葉として煽ったつもりはなかったものの、なんでもありな先制攻撃として彼曰くのワガママがもっと欲しいと要求しておく。今というよりはこれからの、ふたりで居るときの願望だ。 知りたいと告げる意味そのままに、彼は伝えたことに理解を示して寄り添ってくれるのだと思う。そうして与えたがるような言葉に聞こえるのは、既にわりと愛されている自覚があるからだ。)……ロックって、すごーく愛情深いひと?(宣戦布告を受けて、きっと頑張るのは彼のほうなのに、求められる覚悟を前にくすくすと笑みが零れた。繋いだ指をようやくほどいて、向けられた人差し指もちょっとどかして、だいすきなひとの胸に甘えるように抱き着いた。)特別で満たされるの、すごく幸せだよ。でもね、わたしと向こうでその感じ方は違うと思う。主観と客観みたいな……(わかるかな、と切り離した感覚の違いを曖昧に告げて。)わたしは夢と現実の自分を一緒にして考えられないけど、ロックは混ぜて考えてるでしょ。その上でどっちも大切にしてくれて、“わたし”を見てくれようとした。すごいし、ふしぎだし、もう特別はもらってると思うの。……でもね、足りなくて。(「ぎゅーってして」わがままを連ねながら、彼の胸の音を聞きたがった。欲張りな自覚はあっても、今回ばかりは彼のせいだ。)焦がれて仕方ないから、だいすきなのかな。わたしもね、ロックのこともっといっぱい満たしたい。……はやくだいすきになってよ。(胸に頭をこすりつける。少しだけ満足してから、背中に回した腕を解いて顔を上げた。)ね、手つないで帰りたい。だめ?
* 9/15(Sun) 12:52 * No.269
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スキンシップ……言われてみれば、そう、かな。なら、実はオレって女性と適切な距離を保つ立派な紳士ってこと?褒めてよー? でもアリスからのご要望だしなー、今後は……お楽しみに?(その場の思い付きで紳士を名乗りたがる。ふっと笑み、包まれたままの指を緩やかに動かして、囲い込むその檻に甘えるように擦れさせる仕草は、紳士らしいとは言えないだろう。双方合意の上なのだから、ある程度は紳士ではない甘え方も許されるはずと風紀委員に一歩リードしたつもり。)……えー? 軟派に見えるかもしれないけど、気に入った何かに対しては愛情深いよ、オレ?(知らなかった?と笑ってみせる。音楽を奏でられるのも音楽への愛情あればこそ、そう考えている。向ける方向に節操がない節もあるけれど、惜しみなく愛情を撒きたがる気質は事実ではある。こちらの胸に寄った少女の身体を静かに抱きとめた。「そうなんだ。わかるような、わからないような?」返答はあやふやながらも、彼女と彼のことを知識としては頭に刻んで。頷き返しはしっかりしている。)お前を大切にしたいのは、アリスが彰虎の理想だから……ってのも間違いなくあるよ。オレと律が重なるから、どうしたってそれは拭えなくて。(わがままに応え、「ぎゅーっ!」と間抜けに口に出して、衝動任せに少女特有の柔らかさを全身で五感で掬いとる。)それでも。ロックがアリスを好きなのは、アリスがアリスだからなんだ。可愛さいっぱいの見た目も、ふわふわもちもちも、おしゃまな女の子なところも、欲深いところも、全部、ぜーんぶ…… (耳元へ唇を寄せての語りかけでは、皆まで言わずに。片手のひらを当てがって彼女の頭を心臓の真上に導き「聞いて?」と強請って。足りないといった相手を、少しは満足させたはずの鼓動の速度。)オレを満たしたいんだ? へへー、それって……すげー可愛い。(偽りなく笑んだ。そこはかとなく底なし沼の匂いを感じながらも、もっと欲しくなってしまう。それこそもう答えかもしれないけれど。)うん、もちろん!(お願いには快諾を返して、ぎゅっと手を繋いで。ラビリンス内だというのにピクニックみたいな趣きで、見て、かわいいの、なんて言って、二人を映す鏡へ手を振ってみせたりした。)
* 9/16(Mon) 14:20 * No.272
azulbox ver1.00 ( SALA de CGI ) / Alioth