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10/23(火) :エントランス 午前2時頃【5】

(たまには広い場所で思うさまやってみたい。思い立ったが吉日、衝動に委ねた行動に躊躇はなかった。まずはマイ・ルームから持ち出した一人掛けの椅子を引き摺って、エントランスの丁度よさげな位置に据える。同じくして引っ張り出した物はアコースティックギター。今夜はこの楽器の気分だから。椅子に腰を落ち着け、軽く調弦を済ませる。何にしようか?自分自身の気分へアンテナを傾けた末、浮かび上がったその曲を弾き始めた。スローテンポの穏やかでありながら力強い曲調へ、弾き語りの歌声が重なる。愛を川に、刃に、そして花に例える歌詞はすべて英語で。それから。『夢から目覚めること』 歌詞のその一節を紡いで、ふいに弦を押さえた手が音を止めた。伏せての短い静止ののち、ゆるりと顔を上げた先に仲間の姿を捉えたなら、)……お、ごきげんうるわしゅー。なんか一曲聴いてく?今ならサービスしちゃうよ。(ニマっと笑んで。ギターの縁に頬杖をつく姿勢をとり、仲間のリクエストを聞きたがるふうな趣。)
* 8/18(Sun) 20:00 * No.23

(訪れてみたはいいものの、何となく探索の気持ちにもなれず、マイ・ルームに置かれたビーズクッションに沈む午前2時。少し様子の違う部屋の主を案じているのか、わらわらと集まってきたぬいぐるみたちが周囲でわたわたと右往左往しているのを眺めていると、ふと何処からか音楽が聞こえてくるのに気付く。耳をすませて、瞼を伏せる。沈む葦の葉に始まり、歌の情景をまなうらに描いているうちに、地につけた足は自然の扉の向こうを目指していた。)……ふふっ、ごきげんよう!今日はロックちゃんオンステージのお時間?(扉を押し開いた先、エントランスにて。途切れた音を惜しみながら、まずは小さく拍手を贈る事とした。見知った仲間のもとへ歩み寄せ、その眼前で足を止めると、頬に指を添えて思案の面持ちを見せる。)んー、そうねぇ……さっきの、素敵な曲だったわね!洋楽かしら?お姉ちゃん、さっきの曲の続きが聴きたいなぁ。(浴びたばかりの感慨を惜しみなく手向けて、その延長線をねだる。彼の歌が続くのならば、ちらと自身のマイ・ルームへと視線をやり「お姉ちゃんも椅子引っ張ってこよっかなぁ」と特等席を心ゆくまで味わうつもりで。)
* 8/22(Thu) 20:10 * No.24

(小さな拍手の音が響き、登場した嫋やかな風姿。観客は誰だって歓迎なれど、仲間のなかでもとりわけ、たった今思い描いていた花に合う相手だ、ちょっとした運命を感じてしまう。)ようこそ、ロックのオンステージへ。アイリーン! ……さっきの曲を?(アイリーンのためなら何だって弾いちゃうよーなんて、調子よく付け足したあとで、そのリクエストに瞬きを重ねた。もちろん、大切な観客のリクエストとあらば否はない。ただ少しばかり、風合いを移ろわせた口許の笑み。どうしたもんかな、やや上向いて呟いてから、思いついたとばかりにぱっと彼女に焦点を絞る。)やっぱこの曲ってさー、女声の歌のほうが好きなんだよね、オレ。原曲が女声だし。ね、一緒に歌ってよ。メロディはさっきの繰り返しで、ええっと、歌詞カードあるし…ハミングでもいいからさ。(リクエストに応じる立場のくせに、自身も求めたがって撓めた双眸を光らせ、「アイリーンの歌声、とっても聴きたい〜」甘えた声音をつくっておねえちゃんにおねだりするのだ。そうしてから特等席の用意を勧め、特段、紳士ではないミュージシャンは淑女の椅子の運搬を手伝いもせず、求められれば自身のマイ・ルームから英語の歌詞が印字されたカードを持ち出して手渡しただろう。二人ともに落ち着いたなら、石壁とタイルに囲まれた静けさの中、曲の続きを始めよう。瞼を伏せて、孤独の夜を歌い、長すぎる道を歌い、その先は――。『思い出して』語りかけるその一節でテンポを落とし、淡い滋味を湛えて緩やかに。自分自身の為の歌であり、そして彼女の歌を聴きたかったのもまた確かだ。)
* 8/25(Sun) 18:12 * No.26

そうなの?お姉ちゃんははじめましての曲だから、やっぱりロックちゃんの歌声が素敵だったけど、…………え゛っ、お、お姉ちゃんも?お歌を??(玉響の思考停止、のちに思いがけず水を向けられた内容を確かめるよう反芻する。動揺こそ先行するもお姉ちゃんはおねだりにはめっぽう弱い。つくられた甘え声に「はぅっ……」とたじろいでしまえば、もう答えは決まっていた。)う……わ、わかりましたっ。お姉ちゃんがんばる……!でもお歌も英語も得意ってわけじゃないからね!(逃げ道こそ作れど、やると決めたからには目指すは完遂。何事もそんな調子で挑むお姉ちゃんは歌詞カードをリクエストし、その間にビーズクッションをころころ転がして運んでから、手渡された紙面とにらめっこすること幾許か。紡がれる一音に合わせ、息を吸い込んだ。音色こそ声質による柔らかなものながら、音程を外さぬようにと慎重なトーンはやや硬質さも混じるだろう。馴染みのない単語は少ないために英語でも読み取れる程度だが、彼の紡ぐ旋律に耳を傾けていれば、やはり自然と情景が眼前に広がるのだ。やがて、冬を超え、春が訪れ、咲き誇る花は薔薇。赤い薔薇が、互いの纏う棘で傷付け合わぬよう寄り添う姿を思い描く。――そうして、息を吐き出しきった後に。)……歌詞の情景を思い浮かべながら聴いていたの。今もそう。ねっ、ロックちゃんは最後の薔薇、どれくらい咲いていたと思う?お姉ちゃんはねーえ、ちょっとした花束作れちゃうくらいだったなぁ。(孤独な夜から、長い道から、今は目を逸らしてしまって、胸元に何やら抱えるような素振りを見せる。10本か、それより少ない程度の薔薇の花束が、胸の内にあった。)
* 8/28(Wed) 22:10 * No.27

(初めて相対した、たじろぐ様がなにやら可愛らしくて楽しい。常日頃おねえちゃん然とした態度と接しているからこそ、いや増してそう感じる。深まる口許の角度は、おねえちゃんへの敬意をいささか欠いてしまったかもしれない。得意というわけではないのにがんばるとの承諾に、「ありがと、アイリーン!」感謝を響かせ、破顔は幼子なみに純粋だった。準備した歌詞カードを渡すと、彼女のにらめっこが終わるまでは手慰みにコードをかき鳴らしていた。――そうしていざ、二人声合わせての歌唱へ。「せーの」で音頭をとって一音を紡いで始める。男の声のほうは、ハスキーボイス気味で時に深く波うつ。コーラスと呼べるほど上等ではないにしろ、男声と女声の奏でるハーモニー、今のこの二人だけの、この二人ならではの音色。高く柔らかく、慎重な歌声に耳を傾け自身を寄り添わせながら、時折、目をあげて彼女を映した。そうしていれば、歌詞に綴られた情景、薔薇の色の鮮やかさ、浮かびあがる様々の断片を共有できていると錯覚してしまいそうだ。現実の痛みさえも。自身と彼女と、伴奏の最後の余韻まで聞き届けたら、ピリオドをうつかわりに手を掲げハイタッチを求めた。)ふふ、アイリーンってこんなふうに歌うんだねェ、聴けて良かったよ。……薔薇の、数?(瞬き、胸元に抱える素振りを見つめる。合わせて思い起こす。)そうだね。ずっと思い描いていたのは一本だったけれど。今の歌だときっと、アイリーンのと同じくらい、だね。抱えるには丁度良い数だし、宝物にしちゃおっかな。(冷たい雪の下の薔薇の種は、やはり小さな花束を作れる位の数。暖かな太陽の季節に花開くのも同じ数――瞼裏の画に、ほのかに笑んで、語る声音はいつになく穏やかだった。「さて、せっかく席まで作ってもらったことだし、もう一曲くらい聴いてく?」ジャーン!と景気よく鳴らして片目を瞑ってみせる。その後の無茶振りは控えたので、別れるまで楽しい時を共に過ごせたら幸いだ。)
* 9/1(Sun) 23:06 * No.29

(存外無邪気な笑みが咲けば躊躇いも全てチャラになってしまうのだからチョロいお姉ちゃんなのである。歌詞カードと相対して、彼の紡ぐ音を、呼吸を、逃さぬようにと此方もまた歌に声を乗せた。殆どの時を紙面へと落としていた眼差しをふと持ち上げた時、その瞳と交わる事もあろうか。そんな折には、長い道の中であれ、降り積もる雪の下の花の種を気に掛ける中であれ、その景色の内側に彼と隣り合っていられるような心地があった。――彼のリードもあって妙にとっ散らかるような事もなく一曲を終えることは叶った筈。ふ、と息を継いで、ほのかに紅潮した頬を指の背でさする。掲げられた掌を見つめる一拍、二拍ほどがあってから、軽い勢いに乗せて手と手を合わせ、小気味良い音を鳴らすことだろう。)ちょ、ちょっと緊張しちゃったぁ。……でも誰かと一緒に歌うなんて新鮮。なんだか楽しかったわ。(入り口こそ巻き込まれたような形であれ、音の余韻に伴うは本懐だ。伸ばしていた背を緩めクッションに沈んでいきつつ、浮かぶ情景を交わし合う。)あらぁ、ロックちゃんも一緒なのね!ふふふっ、これってふたりで歌ったからなのかしら?それなら尚更、お姉ちゃんも宝物にしちゃおーっと!(胸元にある想定のエア花束を大切にしまいこむみたいに、両の腕でぎゅっと我が身を抱きしめる仕草を見せる。その拍子に爪先まで浮き上がって、全身で愛着を示したことだろう。雪が解ける頃、その美しさ芳しさをもって心へと太陽の愛を齎すのだろうし、鮮烈な花束はきっと彼にもよく似合う。空想を分かち合い、まだ続くステージの気配には目に見えて面持ちを華やがせた。)いいのっ?是非聴いていきたいわ!ロックちゃんって洋楽専門?他にどんな曲を歌うの?(今度はお客様気分で、たった一人だけの観客という贅を味わい尽くさせてもらおうか。感興を、感動を、余すことなく手向けて、理想のこの世界にて彼と過ごすひとときを楽しみたい。)
* 9/3(Tue) 18:19 * No.30


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