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8/1(水):午前1時頃 エントランス  >みんな【任意】

(ジャガのマイ・ルームにはキッチンが存在する。狭いアパートに備え付けられているような古びたキッチンではあるが、コンロは二口あったし、冷蔵庫の中には使いたいと思う食材が必ず存在した。加えて、食器や調理器具の類もどこにこんなにしまうスペースがあったのかと首傾げたくなるほど潤沢であった。その他にはローテーブルにクッションがあるぐらいの殺風景な部屋の中で調理を始める。ラビリンス内の不思議な小部屋で得たスイカは、結局のところ食べ切れなかった分をなんとかかんとかマイ・ルームに持ち帰ることになった。今日はそれを使ってサイダースイカ牛乳寒天入りを作ろうという目論見である。棒寒天を細かくちぎり、しばらくふやかした後に水と一緒に火にかける。寒天が溶けるのを待って牛乳と砂糖を加え、混ぜ合わせたものをバットに流し込んで冷やす段まで行けば一旦休憩。思い返すは不思議な部屋での経験だ。)あんなに太陽が照るところでもバケツを被ったままでいられるのっていいな。バケツが便利で本当に良かった。(独り言ちつつ休憩終わり。戦利品のスイカをスプーンで丸くくり抜き、大きなガラスボウルに入れていく。そこに先程冷やし固めた牛乳寒天を切り分けて入れ、シュワシュワ泡立つサイダー注げばできあがり。一回り大きなバットに氷水を満たしてガラスボウルをその中に入れれば、しばらくは食べ頃冷え冷えの温度が保たれるだろう。人数分の器とスプーン、取り分け用の大きなスプーンを添えて机の上に乗せ、エントランスの目立つ位置へ配置する。それだけ置いて立ち去ろうとも思ったが、誰のものか分からない食べ物には人間なかなか手を付けづらいだろうとも思い当たる。暫しの逡巡の後、結局は「おすそわけ ジャガ」と素っ気ない文字で書かれたメモが添えられることになった。夏の思い出お裾分けサイダースイカは、食品の傷みと食べ頃温度を考慮して午前一時から約二時間限定の代物となる。午前三時を迎える前には、手が付けられていようといまいと綺麗さっぱり跡形もなく片付けられることだろう。)
* 7/28(Sun) 23:31 * No.5

(開錠した扉を押し開き、マイ・ルームからエントランスへと踊り出る。誰かと鉢合わせたならば誘いかけて探索に潜る予定であったが、現在は丁度人のいないタイミングであるよう。であれば致し方無しと部屋へと戻る前、ふと見覚えのない机の存在に気付いた。更にその上のボウルも気に掛かったものだからそろそろと歩み寄せて覗き込めば、スイカと牛乳寒天とが泳ぐ泡立つサイダーと対面だ。)えっ。わぁっ、なになに?なにこれ?(きゃらきゃらと声が跳ねて、輝かせた瞳もまた炭酸みたいにぱちぱちと弾けるかのよう。突如現れた夏の涼に当然心惹かれながらも、無防備に手を付ける性格でもなく、机周辺を見渡すこと暫し。添えられたメモに「あら、」と瞬いた。)ジャガちゃんから?自分で作ったのかしら。ふふっ、お姉ちゃんもお手伝いしたかったな〜。(なんて独り言ちて、贈り主がわかれば話は早いとばかりに一杯分をよそい、さてと逡巡。ここで座り込んで食べていれば誰かと出会えるかとも考えたが、結局部屋へと戻る事として、一先ず器を置いた後。いそいそと再度部屋から現れたその右手にはラベンダー色のペンが握られている。それから、メモの空いたスペースに几帳面な筆跡で記した「いただきます」との文字にハートマークを添えて、満足気に踵を返そうか。お返しも考えたがキッチンのない部屋だ。それはまた別の機会として、大きなビーズクッションに背中からダイブして早速スプーンを手に取った。)いただきます!……ん〜〜、美味しいっ。(頬を綻ばせ、口の中でしゅわしゅわと弾ける甘やかさと瑞々しさとを味わう。今日という日もまた、もうひとつの夏の思い出。)
* 7/30(Tue) 22:19 * No.16

(イデア・ルームに訪れることはアリスの日課になっていた。ラビリンス探索やエントランスで人探し、あるいは一人でマイ・ルームを満喫するパターンもあるが、ともかく間違い探しが出来る程度にはこの環境に馴染み、人並みには観察眼も育っていた。)……?(目立つ場所に置かれたたくさんの器。近付いて瞬きを繰り返すうちにほのかに漂う甘い香り。隣のメモを手に取って目を通すと、よく見知った姿が頭に浮かんだ。)ジャガなんだ! ……おすそわけ?(改めて器の中のデザートを見つめる。おそらく手作りで、しかもとっても美味しそうだ。用意されているのも仲間の人数分程度。となれば導かれた答えは、)すごい! すごいすごーい!(思わず歓喜の声をその場で上げて、わくわくしながら「いただきます」とジャガお手製のサイダースイカを一つ分、スプーンと一緒に手に取った。鼻歌混じりの軽い足取りでマイルームに持ち帰り、サイダーにスイカ、牛乳寒天と好きなもの尽くしのデザートを食べる間は頬が緩みっぱなしで、ごちそうさまでしたと手を合わせた後もにこにこの笑顔は止まらない。ご機嫌なときは色んな発想も浮かぶもので、そうだ、と独り言を呟きながら引き出しに手を伸ばす。そうして再びエントランスに戻ると、ジャガの残したメモの端にうさぎの付箋を一枚くっつけた。“すごくおいしかった! ジャガありがとう アリス”かわいい付箋に丸文字で感謝を添えて、きっと目を通してくれるだろうとしたり顔。夏の幸せなひとときだった。)
* 7/30(Tue) 22:49 * No.17

あ、これ、いい!(ラビリンスで体験した不思議な夏祭り。その時の土産をどうやって仲間たちに渡そうかと考えていたところ、素敵なおすそわけを発見して閃いた。自分もこうやってメモを書いて置いておこう。幸い仲間たちだけが集う場所だ。勝手に取っていく悪い奴もいないだろう。賢い発想に一人頷き、)ジャガってばさすがだね! いただきます!(ありがとう、は後で本人にも伝えるつもりだが、ひとまず眼下の知恵と思いやりに手を合わせたなら用意された器を手に取り、大きなボウルから一人分の夏をすくいとる。泡が煌めく水を、夕日の欠片のような真っ赤な果実を。それから白いのは何だろう?)……おいしい! これ、牛乳寒天だ。(控えめな甘さが弾けるサイダーをまとって不思議な爽快感を連れてくる。ああ、夏だ。ジャガが体感した夏を、今、自分も体験している。おいしくって嬉しくって笑っていたら、)あ、(メモの余白に見つけた整った文字とハートマーク。名前はないが淡い紫は彼女の色だ。)これ、アイリーンも食べたんだ。それにこっちはアリス!(かわいいウサギの付箋はもっとわかりやすい。中央の文字に添えるように書かれたそれら。寄せ書きみたいでいいな、と思えば実行は早い。一度部屋に戻って机の上から青いボールペンを持ってくると、余白のはじっこに『ごちそうさま! おいしかったよ!』の文字と魚らしきイラストを添えて。)ふふ、これでぼくってわかるかな?(ジャガ、アイリーン、アリス、それからぼく。思いがけず連なった思い出の共有は、きっとこの後も続くに違いない。そうして小さな夏を食べ切ったなら、今度は「ごちそうさま」を口に出して。)こういうの、いいなあ。(ご機嫌な足取りでおすそわけ主のマイ・ルームの扉を叩きに。もしも扉が開かれるなら、器を返すついでに直にお礼を伝えただろう。許されるなら雑談とともに。)そういえば、このスイカってどうしたの?
* 7/30(Tue) 23:08 * No.18

こいつは……夢にまでみたあのサイダースイカ牛乳寒天入りじゃねーかァ!(サイダースイカ牛乳寒天入りを崇め奉る大仰な身振り手振りにミュージシャンの派手めな装いと風貌も相まって、何も知らない第三者に目撃されたらパフォーマンスだと誤解されてもおかしくない。滑り込む勢いでバットの前へ両肘をつくと、双眸に映りこむは夏の揺蕩うガラス。見覚えのある水気たっぷりの果肉に、あのスイカ割りの一幕と終幕の後が呼び起される。彼我の体格を鑑みたら、余ったスイカの持ち帰りに協力を申し出たのは必然で。大体は人型をなしているアムドゥスキアスの手も借りようなんて言い出したものの、帰路でシャドウに遭遇する危険性をみればスイカ持ちは頼めず戦闘要員の役割を割り振るしかなかった。バケツ頭とのお喋りのかたわら大きめの破片を攫って、なんとかかんとかエントランスまで引き上げたのだった。回想終了。そして今、憧れが眼前に顕現している。メモを見るまでもなく提供者の名は明らか。仲間たち全員と分かち合う設えも明らかだ。自然と口角が上がる。すでにスイカは充分に堪能させてもらったけれど、この心遣いは是非とも受け取らねば……というより、憧れのサイダースイカを味わいたい一心。ガラスボウルから器に取り分け、溢れんばかりの一匙分を頬張る。)はー。夏だなァ、この味。(このうえなく上機嫌な声が空気を揺らした。机の端に腰を預け、かきこむ間、通りかかる者が居れば上機嫌のままにスプーンごと手を振っただろう。ほどなくして遠ざかる鼻歌。そのあとに残されたのは空の器とスプーンと、メモの余白に増えたいささか乱雑な筆跡の“ごちそうさま。ロック”の文字。)
* 8/2(Fri) 01:14 * No.19

――………ふ、にゃ…っ!?(扉を一枚隔てた向こうで、なにやら感嘆の声らしき音が上がったのが伝わって来た。まるで呼応するみたいにおおきく膨らんだ鼻提灯がぱちんと弾けて、猫らしからぬ大の字でごろんと転がってうたた寝に興じていた頭が覚醒。なにか聞こえたような心地は果たして夢だったのか、うっかり寝入ったもったいなさと寝起きの倦怠感とが掛け合わさったこともあり、立ち上がるにはすこし時間を要してしまって。さて何事かと様子を窺いに出た頃には、三角の耳をピクピク揺らして鼻歌をかすかに感じ取れるくらい先客の姿は遠ざかっていたことだろう。そうして意識を集中させるまでもなく鼻先を掠める涼やかな夏の香りに、軽やかな足が一直線にテーブルへと向かう。)わーっ! すげー夏って感じだ!(夏のきらめきを反射した瞳がときめきも加えていっそう輝きを増す。思わず飛び出た感嘆はきっと、夢見心地で捉えた声と同等か、それ以上のボリュームで響かせてしまったはず。寄せられた礼の数を数えたら、)あとはルビーとシンシの分かぁ。(マイ・ルームにいるだろうか、と視線を交互に遣って呼びに行こうかと逡巡。――結果、食べている間にやって来るかもしれないし、そうでなくとも残っていればジャガが直接届けにいくかもしれないし、と珍しく消極的な遠慮が勝って自分の分のみ器へと。行儀の悪さを気にもせず、ぺたりと地べたに座り込んでいざ実食。マイ・ルームまでたった数歩の距離を惜しんだとも言える。)んーーーまぁい!(まあるいスイカを一口頬張ったら、ほっぺたが落ちたと錯覚するほどの美味を堪能。ふにゃふにゃ芯のない笑みを零しては、スプーンが進む進む。味わって食べたいのに次から次へと前足が止まらないのだ。あっという間にぺろりと平らげた器は他の空いたそれと重ねて。ジャガ、サイコー! うまかったぞ! と綴ったはずの文字は読み取れる形にはなれなかったので、その上から肉球にインクをまぶしてポンと捺しておいた。素敵な夏のおすそ分け、ごちそうさまでした。)
* 8/4(Sun) 17:04 * No.20


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