
【Step1】7/6(金):夕方 瑠璃浜鑑台駅前
(目前に控えた試験準備期間がためか覗き込んだ図書室は人で溢れ、致し方なく帰路についた放課後。夏の只中にあっては日の入りは遅く、真昼にも近い空の下を歩む足取りは緩慢なものであったが――どん、と突如として訪れた腰辺りへの衝撃に留められる。重心を乗せた片足で耐え、その正体を見遣れば、目線は平生よりもずっと低い位置。腰に抱きついた見知らぬ子供は何やら興奮状態で話し続けており、幾度も“ママ”と語りかけている様子から、どうやら周りが見えておらず人違いをしたのだと察しがついた。)……あの……ママじゃない、よ……。(これでもどうにか物言いを選んだのだという様相で声を掛ける。と、共に、まん丸になった大きな瞳がようやくと此方を見上げた。奇妙な静寂が訪れ、居た堪れない胸裏のままに暫し次なる反応を待てば、幼い少年は周囲を見渡し始める。4歳か5歳程度だろうか、だとか、現実逃避が如く思案を巡らせているうちに――直後、爆ぜるような轟音、もとい泣き声が響き渡る。)えっ、 …………あっっ、う、うわぁ〜〜……!?(瞠目、そして驚嘆。両者とも遅れて事態を飲み込む形となって、しかし此方は動揺を露わに慌てて膝をつき目線の高さを合わせる事を試みる。)待っ……お、お母さんとはぐれたの!?え、えぇとどうしよ、あの、えっと、……な、泣かないでよぉ〜……!!(此方まで泣きだしそうな心許ない声をあげ、事の収束には程遠い。)
* 7/3(Wed) 00:29 * No.2
…
(午後から有休を取ったという母と妹から、「今日は二人だけでみちくんに内緒の寄り道するから、みちくんお迎え来なくていいよ」と邪気のない笑顔でお役御免を告げられたのは今朝のことだった。母と娘二人で楽しく過ごそうという目論見の中には、テストが近いので落ち着いた環境で勉強したいだろうという母の気遣いもおそらくは含まれている。勉強ならいつものように妹が寝静まってからのほうが集中できるのに、と母に対するわずかな反発がないわけでもなかったが、気遣いを無碍にするのは気が引けた。しかし、最初に向かった落ち着いた環境の代表格たる図書室は満室。ならば自習室かと足運んだがこちらも席取り合戦に敗北した。このまま帰宅したってテスト勉強はできるだろうが、母と二人きりを満喫しているであろう妹に水差すようで忍びない。どこかファストフード店にでも寄って時間を潰すべきか。思考巡らせつつ校門を出てのろのろと歩く。駅前あたりにさしかかった頃、目についたのが見知った制服と幼な子の二人組だった。年中さんぐらいかな、自分たち兄妹と同じように歳の離れた姉弟なのかもしれない。そんな呑気な思考は響き渡る泣き声に中断される。母を力一杯呼ぶ声に思わず速足で二人に近づき、目線合わせるようにしゃがみ込む。)どうしたの?ママがいなくなっちゃった?(最初の問いかけは泣きじゃくる少年に向けて。次いでの言葉は困り顔の少女に向けてだ。)なんか困ってる?俺もよかったら手伝おうか。同じ学校のよしみだし。(互いに身につけた制服を代わりばんこに指差して、同じ学舎に通う者ですをアピール。急に現れた怪しい人物でないよが示せたらいいのだが。)
* 7/3(Wed) 12:49 * No.6
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(――どうしてこんな事に。不運を嘆きたくもなれど、この子の方がずっと心細いのだとその思考を振り払って。派手な見目に愛想の無さが加わって元より外聞は悪い部類。まだ此方の威圧感なり態度なりで泣かせたわけではないであろう分マシか、だなんて俯瞰して考えられる余裕などあろう筈もなかった。ただ当惑に暮れる中、差し込むは一筋の光とその瞬間には気付かずに顔をあげる事となったか。)……え、(新たにかかる声に面持ちはより強張る形とはなるが、示された指先に見える同じ制服と温容な口振りとを認めればそれもひととき。眉は下がったまま、しかし少年一人と対峙していた際よりは幾分か落ち着いた声が告ぐ。)う、うん。多分、間違えてあたしに着いてきちゃって、お母さんとはぐれた……のかな。……でも、泣きだしちゃってその辺のこと全然聞けなくて……。(言葉にしてしまえば何とも情けなくとも、ただでさえ人付き合いを苦手とするのに、幼い子供と触れ合うような機会などこれまでになく。苦みを帯びれば勝手に険しくなる不自由な表情筋を携え、眉根を寄せて独り言ちるような声が落ちる。)……どうしてあげたらいいのかな……。(未だ泣き声をあげる少年に寄り添ってあげる事も出来ず、慰め方励まし方や事態解決の選択肢なんて見当たらない。自身まではぐれてしまったみたいに、呆然とした声だった。)
* 7/3(Wed) 18:44 * No.7
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(少女の表情が硬くなったのを見て軽率だったのではと己の行動をわずかに悔いたのはほんの一瞬のこと、困り事を具体的に教えてもらえれば大丈夫だよを二人に伝えるかのように笑みをかたちづくる。まずは幼な子へと向き直り、小さな背中をそうっとさする。だいじょうぶ、だいじょうぶと呪文みたいに繰り返し言い聞かせ、落ち着いた頃を見計らっては、)ママいなくなっちゃった?そっか、さびしくてびっくりしちゃったね。おにいちゃんとおねえちゃんと一緒にママを探しに行こうか。(涙と洟を拭きつつ、妹に語りかけるのと同じ柔らかさで小さな男の子に話しかける。つられて同年代であるはずの少女にも不釣り合いなぐらいの柔らかさで問うことになった。)時間に余裕ある?もし平気そうだったら、この子を交番に連れて行くのに付き合ってもらえるかな?(断られる可能性を認識しつつも返事を待たずにまた少年に言葉かけるあたり、まさかこの状態を放っては行かないだろうという強引さが見て取れる。そのまま自分のペースは崩さずに、)お名前言えるかな?おにいちゃんはみちひさくんってお名前で、こっちのおねえちゃんは(勝手に始めた迷い子への自己紹介に学友を巻き込み途中、彼女の名前を教えようにも続く名を自分は知らないことに気付く。それまで滑らかだった舌が止まった。ちらりと横目でブラウンの虹彩捉えて、「なにちゃん?」と小声で問うた。)
* 7/3(Wed) 21:51 * No.11
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(優しい掌が、柔らかな音吐が、糸のように絡まる混迷を解いていくのがよくわかる。自然な態度にただ口を挟まず感心の瞳を向けて、「すご……」なんて他人事のように感嘆を洩らしていた数瞬。不意に水を向けられたならばぎょっと眼を剥いて、惑う唇がはくはくと空気を食んだのちに。)えぅ、あ、その、……えみこ、ちゃん、です……、(明らかに己よりも慣れた様子の彼へ右に倣えで、フォーマットに則ってはみたもののあまりにも柄にもない口吻だった。こみ上げる羞恥心は奥歯を強く噛みしめて堪えるが、しゃくり上げながらも落ち着いてきた様子の少年がたどたどしくも名前を答えたのを見るに、効果はてきめんであったらしい。安堵を得て、への字に結んだ唇はわかりづらくも意を決した事の表れか。)……丸投げにはしない。ついてく。……あたしに出来ることあるかは、わかんないし、頼ることになっちゃうけど。(彼の方も断りはしないと判じたのだろうと察するとも、改めて明言する形で応えようか。地面についていた膝を軽く払って立ち上がり、中腰の姿勢で引き続き少年を窺った。)……歩ける?え、と……お、おねえちゃんたちに、ついてこれる……かなー……??(少ない引き出しから言葉を選んではみるもどうにも自信はない調子で、舌足らずな少年とはまた異なる意味合いでたどたどしい。前進はすれど、しかし手を引くだとか抱えてあげるだとかいった選択肢は浮かんでいないらしい辺りは減点か。)
* 7/4(Thu) 01:31 * No.14
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(一方的に始めた自己紹介は、無事に三人が互いの名を知る切っ掛けになり得たようだ。少女の意思表明には、笑みと礼とで答えよう。)ありがとう。俺のお節介に付き合わせてごめん。一緒に来てくれると状況説明できる人が増えてすごく心強いよ。(少年に先を進もうと促す慣れないなりの精一杯といった風情に微笑ましくなるが、二人の間に漂うぎこちなさは否めない。彼女の頑張りにまたも割って入るのは申し訳ないが、後でもう一度謝ればいいかと開き直って教えてもらった二人の名を呼んだ。まるでヒーローごっこの始まりかのようにちょっと勿体つけて話し出す。)これからこの三人はチームです。ミッションははるとくんのママを見つけること、まずはそのためにお巡りさんにママどこですかー?って聞きに行こうか。(少年改めはるとくんの元気が段々と戻って来たようだ。この調子ならばと立ち上がって手を差し出す。)おにいさんまで迷子になっちゃうといけないから、はるとくんお手てつないでくれるかな?(左手をきゅっと握ってくれた小さな掌はあたたかい。一人と手をつないだのなら、もう一方もつないでもらうのが当然だという顔して少年が手を伸ばす。)……えみこちゃんともつなぐ?(ずいぶん下向きになっていた視線が上がる。ちょっと傾げた首は、どうする?手つなげる?と言葉なしに問うていた。)
* 7/4(Thu) 22:50 * No.22
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……、あんたに謝られるようなこと、なんにもないでしょ。(礼も謝罪も己が向けられるような理由はなく、寧ろ此方の台詞というくらいであるが、如何せんいくつも言葉が足りない。にこりとも出来ないぎこちなさへの助け舟へ、夢中な少年と並んで何故かオーディエンス側で一緒に頷いて、よい子の元気なお返事とやたらに神妙な面持ちの「……はい」とが重なった。そうして、二者間で結ばれた手を見止めた安堵も束の間。棒立ちの女に伸ばされた手を瞬時に判断出来ず、黙して見合う一瞬の間。はたと気付き顔を上げた際に丁度視線が交われば、やはり明らかに慣れていない反応は変わりなくとも、)……う、うん、迷子になっちゃったら、こわいからー……お、おねがい、ね。(小さくふっくらとした手は力加減やら爪が刺さってしまわないかやらが恐ろしく、おずおずと「痛くない……?」と問う結び目は繋ぐというには随分と弱いものであるが、少年の両の手が埋まる頃にはお陰様で遭遇当初よりも機嫌は上昇傾向だ。その頭上、密やかな声が交わされる。)……すごいね。あんたが来てくれてから、すっかり元気になってきた。あたし一人じゃ多分……や、絶対無理だったな。(泣くのだって体力を消費するだろう。ゆえに、早急に収束へと前進した現今に浮かぶ素直な感心は紛れもない本懐だ。)ちっちゃい子の相手、慣れてる?(同時に、よぎる疑問もまた不意に浮かぶもの。)
* 7/5(Fri) 08:07 * No.25
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(今回の謝罪は物事を円滑に進めるための歯車みたいなものだ。そこまで真剣に悪いと思っていないが口から出たある種不誠実な言葉を真っ向から受け止められ、無愛想な誠実さを好ましく感じる。小さな子の扱いに不慣れだろうに、少年の顔を立てるかたちで手を差し伸べてくれる優しさも。手をつないだ三人の影が長く伸びる。おにいさんおねえさんを引き連れて今や得意顔の少年の頭越し、交わす会話はささやかな音量で)ちっちゃい子って、下のきょうだいでもいないとなかなか普段接しないから、どうしようって慌てちゃうの分かるよ。俺、五月に転校してきたところだから、二人が困ってたおかげでクラスメイト以外の人と知り合うきっかけができてちょっと嬉しい。(本音を軽口にくるんで笑いながら話す。疑問には衒いなく肯き言葉を継いだ。)実は慣れてる。歳の離れた妹がいるんだけど、母親の仕事が忙しかったから、俺が割と面倒見てたんだ。保育園の送り迎えとか、ご飯食べさせたりとか。(「えみこちゃんとみちひさくん、何のお話してるのー?」と下から高い声が割り込んでくる。きらきらの瞳がこっちを見ていた。)みちひさくんにははるとくんよりちょっとおねえさんの妹がいるよってお話だよ。ねー?(おしまいに語尾が上がったのは彼女の同意求めてのことだ。つないだ手揺らしながら歩く道行、目的地である交番まではあと少し。)
* 7/5(Fri) 16:48 * No.26
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(言葉が重なる度、何処を取ったって刺など纏わない物腰の篤さを覚えて、微かに肩の力が緩められた。そうすれば小さな手がゆらゆらと腕を揺さぶっているのを感じる。どちらの感覚も、存外嫌なものではなかった。)……そ。五月の転校生っていうと……後半の方のクラスの?なんか噂してた気がする。……微妙な時期の転校、面倒だよね。試験とか。(実感の籠った口振りで小さく頷く。先々月、クラスメイトが転校生がどうだイケメンがどうだとはしゃいでいたような――尤も、噂話を確かめる相手なんていなくて、記憶は朧気なものだけれど。続く答え合わせに差し挟む相槌は、合点がいったとばかりの響きを伴った。)あー……お兄ちゃんなんだ。さっきの見てたら、納得。世話焼きって感じ。……大変じゃない?(訥々と飾り気ない感慨で返し、話しているさなか。水を向けられる都度いちいち大袈裟なまでに反応を示し、瞳は彼と少年との間を泳ぐ。)え゛、あ、うん。みちひさ……くん、おにいちゃんっぽいもんねって、話……ね、ねぇー……。(彼に倣った方が丸くなる、とは、思いつつ。真似て重ねた声音も表情も引き攣っていては世話が無いというものだ。時折そうして苦みを噛み殺すうちに、記憶を辿り往く先、目的地たる交番が見えてくるまでは間もなくのことで。)あ……お巡りさん、見えてきたよ。ミッション、頑張ろうね。(先んじた彼の言葉を借りて、最後ともなりうる励ましを手向けよう。)
* 7/5(Fri) 22:10 * No.28
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そう、俺が9組の転校生の鵜飼です。噂されてるの?変なヤツが来たとかじゃなきゃいいけどな。……確かに色々面倒だった。(おしまいの呟きにはちょっぴりの思い出し疲れが滲む。彼女にきっとそう意図はないのだろうが、大仰な同情伴わない問いかけがありがたく感じられた。)大変というか、もうそういう生活に慣れて当たり前になってたから世話焼いてない時のほうが違和感というか、……こっち来てからちょっと時間持て余し気味かも。(初対面で互いの事情を知らない相手だからか、心の内に隠していた素直な気持ちがこぼれ落ちた。「さっきも図書室行こうとしたんだけど、」と、新たに話したいこと見つけて言いさしたところでかろく笑いがこぼれる。頑張って柔らかく話すよう努めています!を体現したかのような声音と表情に、つくづく善い人だなあと思った。「はるとくんはきょうだいいる?」と、小さく守るべき存在の彼に話題を振りつつ歩み進めれば、交番の前で母親らしき女性と警官が話しているのが見える。瞬間、つないだ小さな手は力いっぱい振り解かれた。あっという間に少年は母の元へと走り出し、親子は再会果たす。母の胸に抱かれた少年は、もうこちらを見向きもしなかった。)……ミッションコンプリートしたみたい。(あっけないチーム解散になんとなく区切りつけたくて、空になった掌を上げる。いぇーいと緩い掛け声と共に肩のあたりで止まったそれは、ハイタッチでもする?の問いかけのつもり。)
* 7/6(Sat) 10:59 * No.33
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(うかい、と脳裏に記して、そうして緩やかに首を振る。変な噂じゃない、との意図であったが、何せあまりに言葉の足りない娘だった。)……ふーん……片親でもうちは自分一人の面倒見てればよかったから、なんか……想像出来ないな。……今は違うんだ?妹さんおっきくなったから……とかじゃ、なさそうだね。(境遇に触れる話を他者にするなど、初めての事だった。何の気もないように零したのちには、目付きのせいで鋭ささえ伴う眼差しがただその横顔を見つめて。次いで、あ、と口を衝いたのは「……同じルートだ」と本日の経緯が同一と知れたためだが――始まりは波乱という他なくとも、終わりはあっけないものだ。声の途切れぬ道中の結び、母親の元へ駆け出した小さな背を見送る瞳は丸みを帯びつつも、一先ずと肩の荷は下りたよう。然して、向き直ってからの、数拍分。低くも掲げられた手を見遣り、黙する一瞬があったのは意図を察するのに時間を要したがゆえだ。如何せん他者との関わりも薄ければ経験則も浅く、ようやくと理解に至った後には、)……ん。(掌を合わせた際には小気味良く軽やかな音など鳴り渡らず、ほんの一瞬ちょんと触れ合っただけのそれをハイタッチなどと呼べようか。しかし誤魔化すよう手はポケットの内へと逃げ、ふいと視線は宙を泳ぐ。どうにかと柔らかさを取り繕ってみた態度も、不愛想に舞い戻って。)手間かけて悪かったわね。あんたのおかげでなんとかなったよ。声、かけてもらってなかったら……うん、どうにもなんなかったと思う。……お礼とか、出来ればいいんだけど。(眉を寄せ、面持ちに苦みが走るのは、思いつかないといった表情か。)
* 7/6(Sat) 18:37 * No.34
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なんというか、母親が前ほど忙しくなくなったというかまあ、そんな感じ。妹が小学生になったから、ちょっとだけ手がかからなくなったっていうのもあるけど。(横から感じる視線はそのままに、前方見据えて探した言葉をぽつぽつ紡ぐ。視線が彼女の方向いたのは、二つ目の共通点が見つかりかかった時だった。同じ任務を達成したことでも湧いた親近感も相まって挙げた掌は、一瞬だけでも無事本懐達した。そのままその掌は、こちらに向かって頭下げる母親と母に向かってしきりに別れてから今までを説明していそうな少年に別れを告げるために使われる。対幼児体勢を解いた彼女に対して、こちらの語調はあまり変わらない。さすがに幼児番組のおにいさんじみた快活さは薄れはしたが。)俺はそんなに大したことしてないからお礼なんて、(必要ないよと言いかかったところで続く言葉を方針転換。)…わがまま言っていいなら、俺の時間潰しにもうちょっと付き合ってもらえる?図書室寄ったのも勉強したいっていうのもあったけど、家にあんまり早く帰るとまずいなってのもあってさ。妹が母親と二人きりで過ごしてるとこ邪魔したら、「みちくんなんで早く帰ってきちゃったの!」って怒られそうな気がしてて。(途中に挟まったのは妹の口調の真似である。)もしこの後やることあるんだったら、しばらく勉強しながら時間潰してても怒られなさそうな店教えてくれるんでもいいんだけど。(どっちを選んでも全く差し支えないですよの選択肢二つを提示して反応を待つ。)
* 7/7(Sun) 18:07 * No.36
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(早々に視線を外してしまえば傍らにいた彼の挙動によってようやくと気付き、此方を向く母親へ逡巡の末に同様に小さく頭を下げて応え、此度の騒動は一先ずの幕引き。大泣きしていた少年の面差しに、本日一番の笑みが見えたならばそれでいい。二人残された後には、丸みを帯びた双眸がはたと瞬き彼を見上げる。思いがけぬ誘いの中、差し挟まれたどこか幼い口振りから彼の妹の存在を感じ取ったなら、)……賑やかそう、だね。(その光景を思い浮かべれば自然と唇から溢れた言葉と共に、今度は細めて見せた瞳はどこか眩し気に。似てるのかな、そうよぎるは思考の隅にて。しかし別途で思惟を巡らせて暫し、ややあって、すいと持ち上げた指先が駅のその向こう側を指し示す。)駅の反対側行って、ちょっと歩いたとこ。小さめの喫茶店あるんだけど、少し離れてるし看板わかりにくいから……うちの生徒はまず居ない。そもそも客もあんまり。(端的な説明は、先んじて店の勧めから。「あたしも、たまに勉強に使う」とは怒られない事のお墨付き。それから、惑いを孕んで黙したのち、)……2組の、佐々礼。佐々礼笑子。どうせまだ家帰る気ないけど、別にやることもないから、……その……鵜飼が邪魔じゃないって言うんなら、別にいい……けど。(改めての“彼向け”の自己紹介を挟んで、一呼吸分。人付き合いへの疎さからほのかな躊躇いを覗かせながらも、最後には首肯で返そうか。)
* 7/8(Mon) 07:54 * No.40
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(こぼれた言葉と表情に柔らかさ感じる。目の辺りがそっくりだと評される妹がきらきらした笑顔で己の名を呼ぶところが脳裏に浮かんだ。)賑やか、 うん、そうかも。妹が家にいると、なんか空気が明るくなったような感じがする。(視線はすっと上がった指先を追う。示された方角にはまだ足を向けたことがない。客もあんまり、に対する相槌「そうなの?」の中に少しだけ笑みが混じった。教えてくれてありがとうを言うために薄く口開こうとして、もう一度閉じる。沈黙ののちに続きがあるような気がしたからだ。おずおずと、といった感じの了承に破顔した。)俺は全然邪魔じゃない。そこの喫茶店、なんか佐々礼のおすすめメニューある?チェーンじゃない喫茶店、行くの初めてかもしれない。(そもそも個人経営でなくても喫茶店自体が縁遠い存在であるし、外食に行く機会もそう多くはなかった。学校帰りに寄り道して飲食店に入るのも片手で数えられるぐらいの回数しかない。対はるとくん対応の「えみこちゃん」呼びから、学友に倣っての「佐々礼」呼びへと呼び名を変化させ、新たな目的地に向かう途中にも何とはなしに雑談を始める。)図書室に振られたのも、家にまだ帰る気ないのも俺たちお揃いだ。佐々礼は、今日がたまたま?割といつも?(答えが返ってこなくても何にも気にしない問いかけが軽く響く。二人無言で道中行くには、持ち合わせた寡黙さがちょっとばかり足りなかった。)
* 7/9(Tue) 12:54 * No.44
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(まなうらに浮かぶ光景はない。どこか遠い世界の話に聞こえた。彼の内に在る光景を想い、ただ短く「……そうなんだ」と返す音は感嘆のようですらあった。眩しさを覚えるのはそれだけではなくって、不器用な首肯に笑みが返れば、声に微かな吐息が混じる。)……そ、っか。うん。……うん。なら……いいけど。(相も変わらぬ不愛想で安堵感とむず痒さをくるんで、乱れてもいない前髪を指先で整えて泳ぐ眼差しを誤魔化す。)んー、コーヒー美味しいよ。紅茶もあったけど、そっちは飲んだことないな。あと、プリン。固めの。……甘いの、平気?(答えてから緩く首を傾け、逃していた瞳が彼を見上げる。それでも長く目線が交わる事はなく、進行方向を向けば「こっち」と淡泊な案内のもとで歩み出す。この道を誰かと歩むなど初めてのことで、どうにも落ち着かない。平生にはお喋りな性質でもあるまいに、沈黙の間に耐え切れなかっただろうから、かかる声は助け舟のようなものだった。)あー……バイトない日は、夜まで時間潰してること多いから。今日はその日。海浜公園でぼーっとしてることもあるけど……夏場はね。暑いから。(梅雨との狭間、夏季も本格化を辿る頃。掌で顔を扇ぐ素振りを見せるも、今日は耐えきれないほどでもない。)鵜飼は、たまたま?(此方は一点に当たりをつけて、返す如くで問いかけよう。)
* 7/9(Tue) 19:50 * No.46
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(幼児に対する接し方といい、誘えば付き合ってくれる優しさといい、人と接することが嫌いなタイプではないんだなと勝手に判ずる。挙げられたおすすめは、子供の相手で明るくはきはき話してちょっぴり疲弊した喉に魅力的な組み合わせだった。)なら、アイスコーヒー飲もうかな。プリンと両方頼んだら合いそう。甘いの?好きだよ。固めのプリンも。たまにおやつに作る。(まとわりつくような湿気は生まれ育った場所よりは幾分かマシだが、それでも七月上旬の暑さはじわりと汗を呼ぶ。注文する品想像しただけで、グラスに氷が入れられる涼しげな音が頭の中に響き、ちょっとだけ暑さが和らいだような気がした。ブラウンと視線が交わったのは一瞬のこと、そのままこちらも目線は進行方向へ。)ここ、海が近いよね。波が寄せたり返したりするの見てたら、いくらでも時間潰せそう。…だけど、この時期は確かに熱中症が心配になる。(これからの季節は特に海を見てたらそのままふらっと倒れるなんてことにもなりそうである。隣歩く彼女は、そんなヘマはしなさそうだが、もしかしたらがあるかもしれない。妹にするような世話焼きが表に出そうになるのを素知らぬ顔でしまい込む。)今日はたまたま。でも、これからいつも未満のたまたま以上になるかも。(視線の先、お客を呼ぶ気があるのかないのか分からないぐらいの看板を見つける。なんとなく喫茶店かな?が見て取れるそれを指差し、ゆるく首を傾げた。)あれ?佐々礼の言ってた喫茶店。
* 7/10(Wed) 09:26 * No.52
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(反応から一先ず、彼の趣向を大きく外してはいないのだろうと判じて安堵しつつ。付随する言葉にははたと瞬いて。)プリン作れんの?……すごいね?料理はする方だけど……お菓子作り、ちょっとハードル高い。(似て非なる事に感じられるのは、後者の細やかさがためだろう。本日は、感嘆ばかりを洩らしているような気がしている。)うん、海見てる。流石にね……熱中症とかイヤだし、この時期は長居はあんま出来ない。……鵜飼は海浜公園、行ったことある?深那莫の。あそこ、遊園地とかプールとか、動物園とか、色々あるから……妹さん、喜ぶんじゃない。(ふと転校生という話を思い出し、浮かぶ提案。しかし伝えてから「……わかんないけど……」と気まずげにするのは、余計なお世話かもだとか、妹さんの性格も知らないしだとか、後ろ向きに苛まれるがゆえだ。既にじくじくと後悔に脇腹を突かれる想いを抱えつつ、短く息を吐く。)ふぅん……なら、寄り道とか、時間潰し甲斐はあるんじゃない。この辺、色々あるから。(指し示す方へ顔を上げ、次いで頷きながら「よくわかったね」と、そのままわかりづらい看板を目指す。街の一角に溶け込んだ扉を押し開くと、心地良い冷気が肌を撫でた。お好きな席へどうぞ、と老店主に案内されるまま小ぢんまりとした店内を見渡せば、普段は一人掛けのソファ席へ足を向けるのだが、今は対面での二人掛け席を指差して。)……あの辺でいい?
* 7/10(Wed) 18:00 * No.55
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混ぜて濾して蒸すだけだから、そんなに難しくないよ。店で出るみたいなやつが作れるわけじゃないけど、妹が喜ぶからたまにおやつ作るんだ。他だとクッキーとかブラウニーとか、そういう大雑把にいっても大丈夫そうなのしか作れないんだけど。(所詮素人仕事なので出来上がりに粗はあるし、そもそも測って混ぜて焼くなりすればとりあえず完成するものしかレパートリーにはない。跨いでらくらく越えられるぐらいのハードルしか通って来ていなかった。初耳のレジャー施設情報には分かりやすく声が弾む。)まだ行ったことない。大きい公園だけかと思ってたけど、他にも色々子供が楽しめそうなものあるんだ。あーちゃん、コーヒーカップ乗ってみたいって言ってたから絶対喜ぶと思う。佐々礼は親切だね、教えてくれてありがとう。(妹の愛称を思わず話中に混じり込ませたのに気付かないぐらい、有益な情報得た喜びは大きい。「夏休みならプールも楽しそうだし、モルモットとか抱っこしたいとも言ってたんだよね」と、早くも複数回利用の見通しが立ち始めている。夏の楽しい予定から話題を変えれば、ちょっとだけ舌の動きが重くなった。)なんかさ、今まで一人の自由時間ってあんまりなかったから何していいか分かんなくなる時あるんだよね。だからこの辺うろうろすんの楽しそう。……受験生だから本当はうろうろより勉強した方がいいんだろうけど。(「分かりにくい看板って教えてもらってたから見つかったよ」なんて正解探し当てたちょっとした喜びが表情にも表れる。汗ばんだ肌に空調が快い店内に足踏み入れ、「いいよ」と答えたのは席の選定に対して。腰下ろした後、視線がメニューを辿る。)佐々礼もう注文決めてる?俺アイスコーヒーとプリンアラモードにする。(メニューに見つけた文字見て、道中に決めた注文をちゃっかり変更。彼女のオーダーが整っているようであれば、店主に声掛け注文済ますだろう。)
* 7/11(Thu) 12:37 * No.59
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(へぇ、と簡素な相槌を打つ中にも、やはり感心が混じる。言葉の端々から、彼の中心にあるものが感じ取れるから。)う、うん、あんまおっきいとこじゃないみたいだけど……コーヒーカップくらいあると思う。……仲、良いんだね。いっぱい、お話してんだ。(あーちゃん、と。新たに耳に触れた響きにどこか温もりを感じる間隙、手向けられた謝意に瞬き、「お、思い付きで言っただけ……」と逃げたがる辺り素直さには欠いているとしても。弾む声に、重ねられる予定の見通しに、浮かぶ情動は何という名であったか。)まぁ……勉強漬けも息詰まりそうだし、いいんじゃない。んー、好きなことして過ごせばって、思うけど……それが難しいんだもんね……?(勝手に考え込んで、情感が伴えば自然と険しくなる表情は相変わらず。その狭間、ふと薄く開いた唇からは息が抜けた。)……鵜飼とは同じな事もいくつかあるけど、やっぱ逆。あたしはいつも一人でいるから。この道誰かと歩くのも初めてで……ちょっと、変な感じ。……人と話すの、得意じゃないんだ。(ぽつり、ぽつりと吐露して「だから、変な言い方したら……ごめん」と視線は下方を滑る。こんな内情を曝け出してしまえたのは何故だろう。夏の熱に当てられたのかとさえよぎる中、ようやく傾く気配を見せ始めた陽光から逃れた先で、向かい合って腰を下ろした後には。)……グレードアップしてる。あたしもアイスコーヒーと……普通のプリンで。(道中の話と少し変わった彼のチョイスに続いて此方の分と共に注文を済ませ、少しの待ち時間。――よくよく考えれば、否、考えずとも、顔をあげれば自然と目が合いそうな対面という体勢は落ち着かない。ほのかに下がる眉に自覚はなく、瞳は何もない床や古びた電灯の間を右往左往と泳いでいた。)
* 7/11(Thu) 19:47 * No.61
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そう、うち仲良し兄妹なんだ。歳十個離れてるから、俺の気持ちとしては兄、兼父親みたいな感じ。(何気ない謝辞に対する反応に、自分や妹との相違感じるが、それは決して不快なものではない。むしろ違って面白いな、と興味惹かれるものであった。そういえば表情の標準装備も違う。)好きなことで家にいなくても一人でもやれること、これから見つけた方がいいんだろうな。ぱっと思いつく好きなこと、料理して誰かに美味しいって言ってもらうぐらいしかなかった。(改めて己の無趣味さに気付かされ、口元がやや自嘲的に弧を描く。だが、青年にしては珍しいそれはすぐに姿を消した。ここでも見つかる相違点は、しかし相容れないに直結するものではない。)佐々礼、聞き上手だから俺はすごく話しやすいよ。変な言い方とかも全然ない。一緒に喫茶店まで歩く初めての相手になれて光栄です?(大仰な物言いで語尾上げて、ふざけ混じりの言であること示す。向かい合わせで座った席で、「人と話すの、得意じゃない」を初めて実感する。これも自分とは違うところだ。)確かに、今が一番友達といるのに慣れないって顔してる。「いつも一人でいる」が「いつも一人じゃなきゃいや」じゃないんだったら、佐々礼の連絡先聞いといてもいい?たまに誘うから暇で気が向いた時、俺の時間潰しに付き合って。(初対面の女の子相手に踏み込み過ぎかと懸念がないわけでもないが、協力して難題解決した仲なのだからまあそれぐらいいいだろうの楽観の方が勝った。折が良いのか悪いのか、お願いし終わったところで運ばれてきた二人分のアイスコーヒーにプリンアラモードに普通のプリン。これで少しは友人の視線の泳ぎも和らぐだろうかと、プリンアラモードに集中していますの顔してスプーンで生クリームとプリンを一緒に掬う。)……これ、すげーうまい。(そのまま口に運んだら、結局美味しいの共有の為に視線合わそうと顔上げることになった。)
* 7/11(Thu) 23:19 * No.63
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(恥じらいなんてない、手放しの肯定からも伝う。それが彼にとっての“普通”なんだろう。だからこそ宙ぶらりんになった時間と気持ちの取り扱いに首を捻れども、此方もまた勧められるような趣味があるでも無し。)立派な……趣味?だと思うけどね。……バイトとか、習い事とか?逆に一定時間拘束されちゃうけど。(そもそもが受験生がこの時期に、という点もある。結局、大した案も出せぬまま。吐露した胸中を掬い上げる彼の言葉はどれも、ただ後ろ暗さを拭い去る。大仰な口振りに「……なんか、大袈裟」なんて零すのに混じる呼気は、笑声とするには随分と淡泊であれど、何処か柔らかさを纏うものだった。)う゛、……ど、どうしたらいいか、わかんないんだもん……。(向かい合う現状の図星をつかれ、面持ちは苦みを帯びる。しかし次いで瞬いたのは、思いがけぬ言葉が続いたからだ。――あたしと?そんな疑問符に支配され飲み下すのに時間を要するその数瞬のうち、注文の品が運ばれてきたならば、小さく肩を揺らし思考は一時ぷつりと閉ざされる形となるか。ようやくと着地点を見つけた目線をアイスコーヒーへと落とし、ミクルを注いでマドラーでかき混ぜながら。窺うよう、そろそろと持ち上げた眼差しが交わった。)……でしょ。他のメニューも美味しいんだよ。デザート系しか、食べた事ないんだけど。(ふと、微かながらやわらいで伝う表情と声音。手慰みのように回し続けていたマドラーを置いて、行き場に惑った手は膝の上へ。)……あの……いやじゃ、ないよ。これでも、鵜飼にはあんまり、緊張しないんだ。……初対面が、それどころじゃなかったからかな。(小さなひと騒動を思い返した分析は、果たして的を射ているのか否か。鞄からスマホを取り出して、しかし差し出す前に両の手でぎゅうと握ってから。)……それって、あたしからも連絡していーの?(不慣れなりの、拙い第一歩だ。)
* 7/12(Fri) 08:04 * No.66
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バイトか習い事か……、(しばし言い淀む。習い事であってもやりたいことがあってと話せば母親は喜んで受講費を出してくれるだろう。だが、今までと変わらず大学進学するものだと信じ切っている母にそれを言い出すのは良心が咎める。比較して言えばアルバイトの方が親の懐痛めない分、抱く罪悪感は薄くなりそうである。)佐々礼はどんなバイトしてるの?(参考までに、経験者の談尋ねてみる。飲み物とおやつの到着で一旦逸れる話題も、共有できる美味しいも、交わる視線も全てが青年にとって楽しいものだ。何も入れないままのアイスコーヒーにも口つける。こちらも美味しい。)俺はコーヒーの味とかこだわりとかあんまりよく分からないんだけど、ここのアイスコーヒーはなんか 夏に合う味がする気がする。(とは、ただの美味しいだけで片付けたくなくて言葉並べた即席食レポ。一つ一つ感想共有したがるのは、自分がいつも誰かといるからなのだろう。)さっきメニューで見たナポリタンとか、サンドイッチもうまそう。コーヒー飲んで勉強して、お腹空いたら軽食頼んで、疲れたら糖分補給して紅茶飲んで、ってループできるな。(そこまでいったら流石に店主の迷惑になるだろうが、友人と二人で対面に座り、互いにノート広げて時折ぽつぽつと会話交わし、昼時になれば一緒に昼食とるさまが脳裏に浮かんだ。それが実現するかはまだ分からないが、そのきっかけになるかもしれない申し出に色良い返事得られ、肩の力が抜けた。知らない間に少しだけ緊張していたらしい。こちらもスマートフォン取り出し、読み取り用のコード表示させようとしてふと動きが止まる。視線を液晶画面から上げて、目の前の友を見る双眸が柔らかく弧を描いた。)もちろん。待ってる。佐々礼から連絡もらえるの。
* 7/12(Fri) 21:25 * No.69
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(言葉の先が途切れ、移ろう瞳はただその続きを待つ。そうして、此方へと新たに問われれば、)カラオケ。福の神じゃなくて、もうちょっと遠くて小さいとこ。……うちの生徒はまぁ来ないね。鵜飼は、なんでも出来そう。(先ず以て働き先を選ぶに際して最も重視した点である。愛想良くも出来ない性情のため少しさびれているくらいが丁度良かったが、彼は違うだろう。やや漠然としてさえ伝う食レポに首を傾げ、差し入れたストローへと唇を寄せる。喉を通る冷たさと風味は慣れ親しんだものだ。けれど、)……んー。そうなのかも。夏に合う……スッキリしてるから、なのかな。あたしも、そんなにこだわってる方じゃないから、深くはわかんないけど。(確かに、と。よぎる胸裏がある。普段はただ自分が気に入っていただけで、こうして同じ味を知る誰かがいなければ、言語化など必要なかった。からん、と氷の鳴る音がした。涼しさの中で、どこか温もりを覚えていた。)うん。他の席に運ばれてくホットサンドの匂いとか届くと、ちょっと揺らぐ。あたしは、そんなに長居はしたことなかったけど、……楽しそう、だね。(精々コーヒー一杯分と少しの時間潰し。ノートと向き合って時折スマホを眺めて、集中が途切れたら退席。そんなものだった。二人、なんて絵面をきっと上手くは思い描けていなくとも、嫌なんかではなかった。どれもそう。益体無い問いに、彼が頷いてくれることだって。)……ん。(小さく頷く、引き結んだ唇には柔らかさなどなく。けれど喜色がほのかに頬を色付けて、情感を物語るかのようだった。)じゃあ……え、と……あたしも、……待ってる、かも。(まごまごと言い淀みながら、それでも心胸を晒す。そうして彼のアカウントを読み取らせてもらって、登録は完了だ。何とも簡単な事だけれど、一覧の中に新たに刻まれた彼の名を暫し眺めていたりなどして――斯くして邂逅を果たした、夏の始まり、始まりの夏。)
* 7/13(Sat) 20:59 * No.74
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カラオケ、カラオケ……、佐々礼ってもしかして、ちょっと寂れたとこが好き?(勧めてくれた店と働き先を形容するには、やや失礼な表現使って問う。気が緩んだ分、いくらか率直になり過ぎたかもしれない。自らへの評には「どうかなあ」と曖昧に疑問呈してそれでおしまい。コーヒーについての評の方がいくらか熱心だった。)そうだ、佐々礼の言うとおりスッキリしてる。なんか喉渇いた時にゴクゴク飲める感じ。次来た時にでも言ってみようかな、「スッキリしてて夏に合う味で美味しいアイスコーヒーですね」って。(次はホットサンドもいいなと、早くも二回目の来店目論見つつ。)夏休み、バイトなくて暇な日あったら誘うよ。二人なら半分こして色々食べれそうだから。(これは彼女が食べ物のシェアに抵抗がなければの話になるが。口に出す誘いのどれもが断られたって全く構わないものではあったけれど、了承得られる方がずっとずっといい。自分ほど口数は多くないけれど、確かに彼女の顔に喜びがうつるのを感じれば、こちらの声音にも新たな友人得た楽しさが滲んだ。)家に帰るまでに、佐々礼に何て連絡すると楽しいかなって考えようかな。佐々礼からなるべく早く返事がもらえるように。(夏の始まりに得た友人と、これから巡るだろう季節を想う。別れののち、帰路につく足取りは校門出た時と比べれば嘘のように軽い。自宅の扉開けてただいまを告げる声も明るく、兄の変化に聡い妹に「みちくんとっても楽しそう!いいことあったの?あかりに教えて、ねえねえみちくん!」としばらく絡まれることになったのは、友には明かさぬ内緒の話だ。)
* 7/14(Sun) 21:33 * No.78
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