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【Step1】7/9(月):夕方 瑠璃浜鑑台駅付近

(困り果てている。その原因は、対面の幼女の泣き顔である。本日の授業と自主勉強を終え、帰路を辿る足が通学に利用している瑠璃浜鑑台駅前の通りへ差し掛かったのが20分ほど前。母親を呼びながら泣きじゃくっている幼女をそこで見つけた。彼女の背格好から推測するに、年齢は幼稚園の年長くらいだろうか。母親と逸れてしまったらしいとみて放っておけずに声をかけたものの、泣き声がかえるばかりでまともな返答はない。周辺に母親の姿は未だ現れない。)……いや、君、このままでは解決にならないでしょう。と、とにかく……、(双鏡学園の制服姿の青年は零れ落ちる幼女の涙に手を伸ばしかけては止めての動作を繰り返し、ついには途方に暮れて固まった。親を探すにしろ、然るべき場所に連れて行くにしろ、まずは提案を聞いてもらわねばならないというのに、肝心の相手は道端で立ち尽くしたまま泣き続けてそれどころではない。不安に苛まれる幼い心には、耳を傾ける余裕もないのだろう。小さな子供の扱いがとんでもなく不得手なのだと、初めて自覚を持った。)一体、どうすれば……。(どうすれば良いのか皆目、わからない。陰りはじめた夕空の下、棒立ちで遠い目をしていた。)
* 7/3(Wed) 05:40 * No.4

ん?(日々通り過ぎる景色に非日常が映り込んだ。クラスメイトとの談話を適当に切り上げ、バイト先にでも遊びに行こうかと目論んでいたその道すがら。同じ制服の男子生徒と泣きじゃくる女の子が揃って立ち尽くす様子は、傍から見るとどうにもちぐはぐな光景だ。二人に歩み寄り距離を縮めては、)迷子すか?(軽い問い掛けは同校生へ向けて。僅かでも視線がぶつかれば柔く笑んで干渉の意志を示し、泣き続ける彼女と顔の高さを合わせるようにしゃがみ込んだ。)そんな泣いたら目え腫れちゃう。(四つ折りのハンカチをポケットから取り出して、無骨な手でなるべく丁寧にと涙を吸わせていく。あまり拒否反応がなかったことからよしよしと軽く頭も撫でて慰めつつ、意識して柔らかい声を紡いだ。)ママどっか行っちゃったんだよな?お兄ちゃんたちと探そ。歩くのイヤならおんぶか抱っこしたげよっか。パパより高い景色見せれるかも。(ともすれば傲慢でもある選択を提示しつつ、動き出すことを前提とした提案は一旦彼女の返事待ち。見上げるように彼を振り返る。)近くに交番あるんで、一緒に行きません?(付き添いの要求はしっかりと。誘拐犯でない証明は彼頼りになるだろうから。)
* 7/3(Wed) 18:57 * No.9

(慰めるすべも知らず、立ち尽くす木偶の坊。泣く子供に対して己の無力を認めざるをえなかったその時、場に加わった声。声のした方へ振り向けば、柔い笑みとかち合う。己と同じ制服を着た、体格の優れた男子生徒がそこに居た。)ええ。迷子らしいです。(ほとほと困りきっていた心境にも関わらず、慇懃無礼で事務的な伝達になるのは性分ゆえ。突っ立ったまま、男子生徒の動向を見守る。涙を攫われ、頭を撫でて貰うと迷子はやがて泣き止み、優しい対応をくれた人物に素直になった。ママを探す提案を受け、彼女はこくりと頷きを示す。)交番。ふむ、それが最善でしょう。この子の親も交番に届け出ているかもしれない。君に丸投げはしません、同行しますよ。(付き添う意をきっぱり返した途端、下方より、おんぶ、と幼女のおねだりの声がする。優しいお兄さんにすっかり懐いた彼女は、目線の高さの合うお兄さんだけを見つめて両手を伸ばしていた。要望が叶ったら、先程までの号泣がまるで嘘のようにご満悦だ。)……ありがとうございます、助かりました。子供をあやすのが上手いのですね。(交番へ向け歩みを進めながら、伝えなければならない謝礼を生真面目に言葉にした。行き詰まっていた状況を打開してくれた対応は有難かった。)
* 7/4(Thu) 03:35 * No.15

(涙を丁寧に拭った甲斐もあり、泣き止んでくれた女の子の姿に安堵すれば役目を果たしたハンカチは元の場所へと仕舞い込む。多少強引な介入ではあったろうが、とちらもが提案を素直に受け入れてくれる優しい人柄が窺えたのは有り難かった。)やった。(付き添いを快諾してくれた彼に返す笑顔は、感謝と嬉しさが両方入り混じったものだ。おんぶのおねだりに視線を戻して、ちょっと待ってなと挟んだ後に背を向けての受け入れ体勢。小さな重みをしっかりと背中と腕とで支えながら、立ち上がる動作は軽々と。耳元すぐ近くで上機嫌な声が聞こえては、「高い?これでママもすぐに見つかるな」と誇らしげに言葉をかけた。安全運転のように歩幅を多少調整しながら、丁寧な言葉選びが印象的な彼に眦を下げる。)助けになってるなら何よりです。けど俺、あやす以前に結構泣かれちゃうことあって。たぶん、小っちゃい子からすると見上げるのが大変だし、なんか威圧感あるぽくて。(よく泣かせる分、なんとなくのアフターケアが身に付いたその感覚が前向きに評価されるかはさて置いて。)ちなみにどれくらい格闘してました? 結構困ってた感じあった。(純度の高い好奇心から、そんなことを問い掛けてみる。)
* 7/4(Thu) 14:02 * No.17

(子供一人分の体重を支える背中は随分と頼もしい。彼の行いで救われた状況も相まって、なおさらにそう感じられるのか。遊園地のアトラクションさながらに視界が高くなってはしゃぐ、今泣いたカラスがもう笑ったを地で行く迷子を見やった瞬間に青年の眉が上下し、僅かばかり複雑が浮かぶ。良くも悪くも子供は素直だ、受け入れる相手を選ぶのを隠さない。理解していながらも複雑が過るのは否めなかったから。)君は、学校帰りですか? 鞄や、持ち物は?(逞しくとも、子供をおぶって移動するとなれば負担も相応だろうか。責任感に突かれ、負担を少しでも軽減できればと男子生徒へ淡々と申し出る。彼が荷物を携えていたならばそれを運びたがった。)高身長にはデメリットもあるのですね、なるほど。威圧感……あまり、私は感じませんが。(高身長に憧れる性分ではないが、高身長には利点が多いはずとの単純な思い込みはあった。体格よりも言動の柔らかさの印象が勝り、彼と威圧は結びつかない。が、子供の感覚は異なるのかもしれない。交番への道すがらの問いに、もともと愛嬌の欠片も無い表情に渋さが混ざる。)……おそらくは、数十分程度、苦戦を……。(性格的に誤魔化しなど出来ないが、不名誉な格闘を明らかにしなければならない事態にますます渋面になる。短く息を落とすと、かなり困っていましたと顔は前方に向けたまま正直に口にした。)
* 7/4(Thu) 21:20 * No.20

(背中で喜ぶ女の子とは相反して、どこか複雑そうな面持ちをした彼を視界が捉える。程なくして紡がれた質問は瞬時に理解が及ばず、間抜け面を呈したかもしれない。)? 学校帰りすね。……あ。いいすか?(一拍の間を置いて恐らくの意図を理解すれば、鞄、と呟いて手首にぶら下げている学生鞄を視線でアピール。おんぶ継続中のため、持ち手を手首から外してもらおうと彼との距離を縮める。ちなみに見た目は極薄、中身も超軽量の健全な学生鞄だ。)デメリット、ドア枠で頭打つとかよくありますよ。知らない建物は怖いのなんの。 感じないならよかった。じゃあ、俺ら友達なれます?(心の距離にも柔い雰囲気で一歩踏み込む。――数十分。余程の苦戦であったのはその表情からも想像に易く、)おお、それは……(重々しく声を漏らしてはゆらゆらと背中の女の子を揺らし、「喉枯れなかったのすごいなぁ」とある種の感心も寄せながら、)お兄ちゃんずっと傍にいてくれたんだ。優しいな?(今や上機嫌の彼女に語り掛ければ、彼の方へ顔を向けて「ありがとう」と呟いた声が確かに聞こえた。多少の言わせた感は否めないけれど、先程の苦い顔を思い返しては報われて欲しい気持ちがある。)困ってもずっと向き合ってたのは、性分?正義感?優しさ?(どこか不器用にも思える生真面目さの正体を知りたがって、またも疑問符を投げ掛ける。答えが何であれ、)面倒見、いいんですね。(率直に抱いた魅力を、そのままに告げてみた。)
* 7/4(Thu) 22:47 * No.21

(近づいた手首にぶら下がる学生鞄を慎重に取り外すと、自身の鞄も合わせ二つ持ちで片手に提げる。彼の鞄を手にした瞬間には、その儚さに、中身が存在するのかと凝視してしまったが。)なるほど。となれば、屋内での行動では注意を怠れませんね。――は? ともだち?(なるほどを繰り返しては、高身長のデメリットをまた一つ頭の中のメモに書き止める。直後のその単語だ。思わず驚きを浮かべ、隣の相手の顔を見上げる。九堂律は同年代の友人として好まれるタイプではないと、さすがに認識している。また、自分自身も友達作りが苦手だ。)なろうと思えばなれる、可能性も無きにしも非ず……?(内心の混乱によって混迷する返答。整理のために一呼吸を置き、落ち着きを取り戻そうとする。)君は、私との友好関係を検討している。この解釈で合っていますか?(ただの確認に過ぎない故に、声色には負感情も無い。)いえ……、(たどたどしい小さな謝礼を受け取ると、若干ぎこちなく迷子へ顔を向け、「どういたしまして」を返した。きつめの目つき、抑揚の薄い声、その他諸々がいけなかったのか、次は続かず迷子は広い背中へと顔を伏せた。しかしながら一歩前進したとは言えるか。)個人の信条や感情以前に、やるべき事をやっただけですよ。迷子の保護は、年長者であれば当然です。(自分も、他も、年長者はそうすべき。いわば義務だと。)ですから、優しいわけでも面倒見が良いわけでもないのでしょう。(身長を話題にしていた時と変わらぬ冷静な語調で続け、思案する風に少し首を傾けた。)優しさとは、他者の気持ちに配慮し寄り添う事では。むしろ君のほうが優しい、と思います。(それは迷子に向けた彼の振る舞いからの心象。)
* 7/5(Fri) 22:14 * No.29

(足を踏み出す度にぷらぷらと揺れていた鞄は厚意により手元を離れ、一時的に詰めた距離はまた歩く過程で元に戻す。一度話したらもう友達だよなの傾向ではないと予想はしていたが、面食らった様子でこちらを見上げる姿は些か想定外でもあった。一方で表面上は動じた様子もなく、穏やかにそうだと頷いておいて、)無きにしも非ず? 押したらいけそう。(何よりも新鮮な反応に、彼に対する興味が惹かれる。改めての確認に、間髪入れずに返事をした。)はい。ん? ご検討お願いします。俺はなりたい方なんで。(僅かに考える素振りを挟んで、認識の修正を求める。最初から主導権は彼に委ねているのだから、検討中で留めたって構わないのだ。女の子と彼、二人のささやかなやりとりはそっと見守って、少しやさしい気持ちになる。迷子を保護して立ち往生していたその理由、彼から語られた言葉はある種の使命感のように感じられた。)そっか。(やるべきこと。責任感の強いそのスタンスが彼の軸だと認識したと同時に、己が向けた先の言葉はやんわりと否定される。けれど、自己評価と他者評価は必ずしも一致しない。歩む速度が落ちて、少しだけ立ち止まる。)……俺、優しい人でありたいなって心掛けてるんですよ。(独り言のようで、届いても欲しかった。感情論ではなく客観視として語られる脚色のない優しいが、却って心地良く感じられたのだ。)だから、そんな風に言ってもらえるのはかなり嬉しい。 気付いてます? 今、俺の気持ちに寄り添ってくれた。俺にとっては、優しいですよ。(感じた印象を、そのまま彼に打ち明けた。)
* 7/6(Sat) 07:31 * No.32

(意味不明を言ってしまった。我ながらに訳が分からない。押したらいけそうには、たしかに字義にのみ則るならばその通りと認めながらも、混乱の最中にあればそれが適切であるかの判断もつかない。己は一度話したらもう友達などとは到底考えられない性格だが、彼はそうではないようだと思う。)初対面の相手に……。君は社交的なのですね。……どうも、人たらしの喋りにも聞こえますが。(つっかえ気味に返しつつ、まじまじ見詰める目力がこもり過ぎて、少々睨みめいた様相になってしまった。人たらし、とは、彼の言葉選びや雰囲気を青年なりに漠然と表現したもので、無意識に失礼な物言いになった次第。二つの鞄を持ち直したのも無意識の動作だった。やがて隣の速度が落ちると、合わせて歩みを緩め、足先を揃える。)そうですか。良い心がけですね。(独り言のような、語りかけるような境界の曖昧な声を耳に拾い、対して静かに口にした。優しい人でありたい。その心は何処から生まれたのだろう――その興味を露わにしては踏み込みすぎと判じたから、内に留め。一方で、良い心がけだとの所感は紛れもない本心だった。優しさをもって他者に接する、人として立派な行いだ。例えばこの迷子だって、彼の優しさに助けられたはずだから。)寄り添う意識は無かったのですが、結果としてそうなっていたのなら幸い、です。(眉を上下させむず痒さ交じりに言い、一息ついた折、前方に交番の建物を見出した。)――九堂です。九堂律。(唐突な名乗り。それほど間を置かずに言を繋げる。)友人関係を検討するとなれば、互いの名前は知っておくべきでしょう。(あいもかわらず愛想のない空気で、相手方の氏名情報を待つ。)
* 7/6(Sat) 22:46 * No.35

人見知りはしない方ですね。なので、こういう馴れ馴れしさが嫌だったらすみません。(自身のスタンスを開示した上で、紡ぐ謝罪はにこやかで軽いもの。返答次第でなるべくの配慮を心掛けるつもりではあるが、まだ信頼関係も結べていない段階であることは理解しているので、人たらしとして強く向けられた目線は一先ず彼なりの警戒として受け止めた。)顔見知りと友達じゃ、関係性ってそれなりに違うかなと思って。俺は仲良くなりたいし、見かけたら声掛けて欲しいので。……検討の余地、ありそうすか?(穏やかに問い掛ける。門前払いをされなければ、正直なところ万々歳だ。 歩みを緩めたことに聡い彼はすぐ気が付いて、ペースを落とすことを厭う気配もなかった。独り言のような呟きもまた、それが当然であるかのように拾い上げて、対話として言葉を紡ぐ。やっぱり、優しいひとだ。)結局は、自分のためなんですけどね。(良い心がけだと肯定された優しさは、男にとって利己的だ。自覚のないまま優しさを体現する彼とは真逆のように思えて、だからこそ興味深いのだろう。どこかむず痒そうな、はじめて見た彼の表情を捉えながら、すこし微笑ましげに笑った。)そういう無意識下の優しい、いっぱい持ってると思いますよ。 律。覚えた。(フルネームで名乗ったが最後。悪びれもせず、仲良しみたいに名前を呼んだ。)宮生彰虎です。よろしく。(名前だけの簡易な情報交換。おまけの会釈も挟んだら、交番へと視線を戻して背中の女の子を軽く背負い直す。「あそこにママ居たらいいな」と語りかけるのは紛れもない本心で、目的地へと辿り着けばあとは成るようになるはずだ。)
* 7/7(Sun) 18:37 * No.37

君の個性であり、スタンスであると受け取っておきましょう。礼節はわきまえていただきたいですが……、今のところは、そちらに不快は感じていませんので。ええ、その……、検討、しておきます。面識は得ましたし、今後見かけたら挨拶くらいはしますよ。知っている顔を無視などしません。(多くの友達を欲しがる人間というのも居る。彼もその類の人間かと推測した。己の取っ付きづらさなどこれまでの会話で察せただろうに、それでも友にしたいとはもう物好きの域ではないか、検討に対して肯定を返しながらも呆れを帯びてしまう。不快ではないとは事実である為、拒否には至らずに検討の段階で足踏みする他ない。)……。(優しくありたいのは自分のため。そう語った彼の真意が掴めず戸惑うも、むず痒さを押し込めて生真面目な表情を作り直した。つかみどころがないような、よくわからない相手だ。問題のある言動もこれといって無し、ゆえに深入りする理由も見つからないものの、なんとなしか落ち着かない心地がする。その心地も話題が移ろったなら、長続きはしなかったが。)……下の名前で呼び合う文化圏で育ったのでしょうか。ところで宮生君も双高生でしょう、学年は?(異星人と初めて遭遇した人類は、この青年のような顔をするのだろう。仲良しといわんばかりの下の名前呼びは、異星レベルの別世界。今度こそ、胡乱げに睨む目つきになった。礼節を弁えよと注意するラインには未だ絶妙に引っかからない。馴れ馴れしさや無邪気とはどうも合致しない、まさに人好きのするとの表現がしっくりくる印象を受け、人たらし、の一語がまた頭に浮かび上がる。交番への距離を詰めれば、出入口近くの机で警察官と向き合っていた女性が三人組の一行へと振り向く。次の瞬間、女の子の名を叫んで必死の表情で駆け寄る女性へ、「ママ!」と叫び返して幼子もくしゃりと顔を歪めた。)
* 7/8(Mon) 21:31 * No.41

礼節……はい。(それなりの分別と空気読みの備えはあるつもりだが、これまでのやり取りを思えば彼は存外寛容な印象だ。釘刺された礼節のラインはどうにも測りあぐねて、しゃんと背筋を伸ばしての返事を一先ずのアピールとした。)見掛けたら挨拶してくれるんだ。廊下歩きまくろうかな。お昼は普段どこで食べてます?(学舎の規模を思えばすれ違う機会も早々ないだろうが、前向きな検討を目指す以上は時たまくらい顔を合わせたいものだ。独り言に等しい調子の軽口は、そのまま彼の居所を知りたがるような雑談へと続く。――すごい顔で見られている。異文化と認識したらしいその反応に破顔して、しかしなるべく笑いは堪えた。)いいえ。九堂さんか律、呼ぶなら後者だなって。(仮に友達候補から遠ざかったとしても、あまりお目にかかれなそうな表情を引き出せた以上は選択した事に後悔はない。)学年は二年です。……弁えてないことになります? 律って呼びたい。(ダメ押しの意思表示。嫌悪感が見て取れなければ押し切る可能性も否めないけれど、改めての確認を挟んだ。 交番に着く手前で抱いた期待の通り、女の子の待ち人はそこに居たらしい。母を呼ぶ声を聞いては、その場にしゃがんで丁寧に彼女を背中から下ろす。親子が互いに抱き付く姿を見守りながら再びゆっくりと立ち上がれば、警察官も近付いてきた頃合いを見て朗らかな青年の顔をする。)駅前で彼が保護してくれていたんです。再会できて良かった。(端的な状況説明を以て、迷子の保護は完了である。安堵と達成感から浮かんだ笑みを彼に向けた。友達みたいに。)
* 7/9(Tue) 23:21 * No.48

私と接触する為だけに廊下を歩き回るのは非推奨です。昼食を食べる場所ですか? 教室か…天気次第で屋上も利用しますが。(真顔で、いわゆるマジレス。ますます呆れたように眉を顰める一方、律儀に答える。ちなみに、昼休みの時間に一人きりで過ごすことも珍しくない。――コミュニケーション方法の異文化感。初対面の同年代の若者と親しく呼び合った経験はない。)理解できかねますが、そう、なのですか……。(腑に落ちないながらも呼称の選択に首肯を返す。彼の容姿の情報から学年を判別するのは難しい。一学年下と知り少し目を見張る。自分は三年生だと改めて告げて、数秒の無言。)……、君の好きにすればよろしい。(一学年二学年の生徒たちにはもれなく、苗字に先輩を付けて呼ばれる。呼ばせている。敬称とは相手に対しての敬意を示す手段であり、礼儀に繋がるもの。しかしながらこれまでの彼の振る舞いが総じて人懐っこくはあれど無作法ではなかったと思うから、敬称無しのファーストネームも、そう呼びたければ呼べばいいと結論付けた。ふいっと一度顔を背ける動作、照れ隠しは分かりやすかっただろう。迷子と母親の再会をみとめ、胸を撫でおろす。ふいに視界に入りこんだ笑みに瞬いてから、浅く顎を引き頷き返した。)こちらの宮生君も、迷子の保護に尽力してくれました。ここまで来れたのは彼のおかげでもあります。(「でしょう?」と投げかけた相手は、元迷子。彼女は満面の笑顔を広げた「うん!」 男子生徒二人へ母親が謝辞を繰り返す場面を経て、交番を離れた後、彼の学生鞄を持ち主へ差し出そう。)ここまであの子をおぶって連れてきてくれて、本当に助かりました。お疲れではないですか?
* 7/10(Wed) 01:50 * No.50

晴れた日の昼休憩、屋上行ったら会えるかもしれないってことですね。了解です。(呆れ顔に臆する様子もなく、にこやかに律儀な返答からの情報収集を終える。こちらも教室で過ごす機会が多いが、気分転換に屋上へ行く際はエンカウントに期待することにした。礼節を重んじる一方で鉄壁ではなく、踏み込めば柔らかな部分も点在する彼の印象は学年差が露呈されても覆らない。敬称を欠いた呼び名が許容されたとなれば、照れ隠しのように顔を背ける様子を捉えながら「やった」と嬉しさを声色に乗せた。些かお節介染みた介入であった自覚はあるものの、彼の言葉と女の子の笑顔を見ればすべてが自惚れでないことは明らかだ。改めて清々しい気持ちを抱きながら、しばらく背中で甘えてくれた女の子とは笑って手を振りお別れした。預けていた鞄は「ありがとうございます」と感謝を添えて受け取って、そのまま肩に引っ掛ける。)どういたしまして。体力には自信がある方なんで、全然。律の方こそ大変だったろ。お疲れさまです。(二人の姿を見つけるまでの時間を思えば、恐らく不慣れな対応をしていた彼にも労いの言葉は欠かせない。ともあれ一件落着である。時間の確認にスマホを取り出しては視線を落とし、)俺、今日はバイト先に顔出そうと思ってて……律、駅まで戻ったらそのまま帰る?(途中で液晶から顔を上げて、彼の予定を訊ねてみる。「急ぎの用事とかありませんでした?」迷子の保護は予想外のアクシデントではあるだろうから、駅まで再び同行して良いかの確認を。)それと、連絡先交換しときませんか。LINKS。(一応は友人関係を検討してもらっている身なのだから、自然消滅は回避したいところ。すぐに登録できるよう、メッセージアプリの画面を提示した。)
* 7/11(Thu) 17:21 * No.60

(同意を求めた時も、愛らしい幼い笑みに対面した時も真顔のまま。別れの挨拶に元気よく手を振る女の子と頭を下げた母親へきちりとした角度の会釈を返したのち、連れと共に踵を返しただろう。)いえ、労力をかけたわりに、たいして役に立てなかったのですが……、(体力には自信があるとは事実であるのだろう、筋肉質な体つきが充分な説得力となる。時間を費やした頑張りを肯定されていると、これまでの彼の言葉で知れた。それを突っぱねるほど青年は捻くれておらず、「労いありがとうございます」といささかぶっきらぼうに結ぶ。)バイト……? 顔出し、というからには、今日は勤務の日ではない?(彼に目線を向ける。先刻のアクシデントによってバイトの出勤時間に遅刻するなどといった事態にならないか、まずその点を確かめたがって。)力仕事のバイトですか?(女児を背負って運びきった体力が印象深い。バイトの業務内容もその関係だろうか。ふと興味が口をついて出た。)そうですね、駅まで戻ったら電車に乗って帰ります。急ぎの用事もありません。(こちらとしては問題はない旨を淡々と告げ、駅まで同道する意思をみせる。そして、)LINKS…?! ま、まぁ、良いでしょう。(慣れない誘いに戸惑いを滲ませては、ひとつ息を吐きだして厳かに首を縦にした。友人関係を検討する上で妥当な流れと考えられなくもないから。スマートフォンを鞄から取り出し、互いの連絡先をLINKSに登録しよう。そうしてから、アキトラとはこの漢字か、とアプリの画面をまじまじ眺めるうち、何の気なしに微かに口端が緩んでいた。)
* 7/11(Thu) 22:46 * No.62

律が労力かけてくれたから出会えたんだし。俺としては、良かったなって思うな。(彼一人で対応出来ていたなら、今こうして向き合っている時間も存在しなかっただろうから。結果論を重視する楽観的な言葉ではあるが、彼が卑下することはないと向けた笑顔は物語る。)大丈夫です、今日は違うんで。鬼詰めは……明日から。(懸念を打ち消すようシフトの日ではないことを示した後、雑談の延長のようにバイトの予定をにこやかに告げた。風に煽られ、ぺらぺらと揺れる鞄。鬼詰めとは名の通り、宮生にとっての書き入れ時である。その内容が力仕事かと問われては、僅かに思案を挟んでから浅く頷いた。)……半分は正解かも。ファミレス勤務なんですよ。ハッピーイート、聞いたことありません?(駅から更に歩く必要のある立地のため双高生徒からの知名度と人気はそれほどだが、返事がどちらであってもいずれは同伴に誘う気満々である。)なんなら一緒に食べに行きます? パフェとか。(急ぎの用事がないのなら、とさすがに断られる前提の軽い誘い文句。次回に繋げるほうが目的としては大きかった。どこか戸惑った様子は気になったが連絡先の交換は無事に完了し、彼が画面を眺めているうちに「よろしく」の文字が添えられた猫のスタンプをひとつ送信。)たまにお昼誘っていいですか? 天気良い日とか。あと……休日も。面白そうなことあったら。(スマホを仕舞いながら、前提を添えた上での交渉を開始する。せっかく結ばれた縁は大切にしたい方であるし、単純に彼と過ごす時間への興味もあった。)
* 7/12(Fri) 20:12 * No.68

(本日、バイト勤務の予定はないという。ひとまずは安心だと頷いた。)それなら、よかった。明日から鬼詰め……?(はたと、何かしら引っかかる感覚。それを探ろうとすれば自ずと足が止まる。視界の端で軽やかに揺れる鞄に煽られるように、引っかかりの正体に思い当たった。)もうすぐ期末試験でしょう。テスト勉強とバイトを両立できるのですか。(校則で許可されている以上は勿論、高等部の生徒のアルバイトそれ自体にとやかく言う心算はない。しかし学生の本分は学業である。おろそかにすべきではないと、鋭さを帯びた疑惑の眼差しを刺す。)ハッピーイート……ああ、駅の向こうのあのレストランの。半分は力仕事? それは知りませんでした、飲食店の仕事にあまりそういったイメージはなかったのですが。(瑠璃浜鑑台駅近くの、そのファミリーレストランの存在は知っている。アルバイトの経験もない世間知らずの学生にとっては、ファミレスの仕事の具体性ある想像は難しい。厨房で調理するコックや、料理を運ぶウエイトレスの像がぼんやり浮かぶ程度だ。)パフェ……。寄り道はしないよう、心がけていますので。(また、じろりと睨んでのち、溜息を吐き落として首を振る。連絡先の交換の後、画面を華やかにさせた挨拶と猫にまたもやまじまじと見入る。その場で返せるほどフットワークは軽くない。彼が帰宅する頃の時刻になってから、よろしくの簡素なメッセージが九堂律の名と共にぽつんと届けられるだろう。)受験を控えた身ですので、節度というものは考えていただきたいのですが……。(しかしだからといって、拒否と同義でもない。難しげな顔をしながら、迂遠なYESの返答。)
* 7/12(Fri) 22:33 * No.70

両立……は無理かも。シフトいっぱい入れちゃったし。(眉を僅かに下げつつも、そこまで悪びれなく笑う男が勉学とバイトのどちらに肩入れしているかは明らかだろう。これまでの言動から彼が優等生であることは想像に易いけれど、一方でこちらは素直に開き直る程度には不真面目であった。)律は? 計画的に勉強するほう?(三年、即ち受験生であることも加味すれば常日頃から自習を欠かさない努力家なのかもしれないと、日常の解像度に興味を持って問い掛ける。)案外知名度あったんだ。うち、わりと大盛りのメニューが多くて運搬が結構大変なんです。皿洗いと調理も思ってたより根性要る感じで。(意外にも力仕事だと感じたのは働き始めてからのことで、イメージがないと語る彼の言葉にも納得できる。「甘いの嫌い?」誘い文句のメニューを反芻されては間髪入れずに問いを重ねて、寄り道をしないスタンスは笑って受け止める。)じゃあ、休みの日が候補ってことで。(あくまで候補。可能性がある選択肢ということで。液晶を眺めたままの彼はスタンプが気に入ったのだろうかと推測しながら、確かに受験生へ向けては軽率だったやもしれない誘い文句の返答に耳を傾ける。)……“ですが”?(結論までは口にしない、彼が大切にする節度を強調された一言。)なら、律が息抜きになるなって思ったら付き合ってくれる? 受験とか、日常とかの。(踏み外すタイミングこそあるが、基本は相手の意思を尊重したいスタンスだ。押したら大抵のことには折れてくれそうな彼だからこそ、気が向かない中付き合わせるのはこちらも本望ではないと意志を示して、やりとりの約束事を作った。程なくして駅が見えて来れば、そこからの進路は別方向。)律。 またな。(右手を上げて軽く手を振る、友達へ向けた別れの挨拶。バイトへの顔出しを終えて帰宅してから、気付いた彼からの四文字のメッセージには笑顔の猫のスタンプを送り返した。)
* 7/14(Sun) 19:25 * No.77

は、無理? 君、ねえ……、(悪びれない笑顔を目にして眉が吊り上がる。シフトを入れた、との物言いからすると、雇用主の強要ではなく彼自身の意思でバイトを優先しているわけだ。何故なのだろう。単に勉強嫌いのバイト好きなのか、期末試験の成績よりも金銭を優先しなければならない事情があるのか、或いは他の理由があるのか。いや、このような疑問はプライベートに触れ過ぎるか。お説教を繰り出しかけた舌は緩慢に止まり、逡巡が流れて言葉は続かない。彼の内情にあれこれ思惟を巡らせるのに気が引ける一方、問いの形式には出来ない興味は胸底にひっそりと沈殿していく。すっきりしない。)はい。目標がありますので、勉強は計画的にしていますよ。(先のもやもやを内側に抱いてしまった所為で、こころもち仏頂面であった。話題が変われば息を吐き出し、気を取り直す。)運搬に調理や皿洗い、色々な仕事をしているのですね。なるほど。大盛りですと、その分、調理や片づけの労働量も増えるのでしょう。(未知の世界の説明に知識を得て、神妙な頷きを返す。そうして甘味についての問いかけを受けると、)……甘いものは嫌いではありません。まあ、好きなほうかと。……休みの日に?(知らず知らず引き込まれた風にぽろっと返答が落ちた。余裕のある休日であれば拒否する理由も見つけられず、曖昧な角度に頭を動かす。咳払い。)……そ、れならばいいでしょう。承知しました。(君だってバイトに忙しいのではないか、と。聊か懸念はあれども柔らかな誘いにまた自然と引き込まれ、首肯していた。別れの挨拶には「では、また」と折り目正しく返し、ささやかな約束事にそわそわする心地を笑顔の猫のスタンプが継続させたのだった。)
* 7/19(Fri) 01:35 * No.84


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