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idea / Real

焼き魚とイチゴシロップのかき氷。青と黒の水ヨーヨー。色とりどりに弾ける花火。イカしたアレンジの盆踊り。ばっくり割れたスイカの欠片。夢がつまった砂の城。お化けカボチャのジャックオランタン。愉快な仮装のハロウィーン。芸術家たちが描いた好物。幸せ味のサツマイモ。おかしな凸凹パン食い競争。二匹のうさぎとお月見パーティー。

全部、全部楽しかった。
鏡を通してみんなの体験を共有するの。一緒に冒険して、遊んで、恋をして。

なのにどうして! どうして抗うの! 抗えるの!?
だって此処は…このラビリンスはわたしの理想の世界≪マイ・ルーム≫なのに……!!

現実なんて辛いことばっかりじゃない。
いいことなんて何もなかった。
だからみんなを呼んだのに……わたしみたいに現実が嫌で、自分のことが大嫌いで、毎日が苦しい…そんなみんなを……

――現実に帰ったらもう二度と此処には戻れない。
それでもいいの? それでも現実を生きていたい?
* 9/28(Sat) 16:17 * No.37
女帝…「幸福」

……現実は息苦しかったよ。自分のことも嫌いだった。アイリーンになれてからは、やっぱりあたしじゃなくってアイリーンみたいな人が代わりに同じ場所にいてくれたら、きっと家族のことだって幸せに出来るって、何度も思った。でも、変わったの。友達が出来て、……好きなひとが、出来て。ただ一日を終わらせるためだけじゃなくって、明日が楽しみだって思いながら、眠れる日がたくさん増えた。誰かと過ごすのが、誰かと生きるのが、楽しいことなんだって……イデア・ルームやここで出会ったみんな、それに、大切な人が教えてくれたからなんだ。
ここで楽しいって思えたなら、現実も楽しく出来るかもしれないって今は思える。ヒカリもそうなれるように、あたしに出来ることがあるなら手伝いたい。……みんなと一緒にいたいのは変わらないよ。でも、あたしは現実で生きるって決めたから。夢の続き、現実で続けたいの。
* 9/28(Sat) 16:20 * No.38
法王…「信頼」

ヒカリ、俺はね、自分のことが信じられなくていつか誰かにひどいことをしてしまうんじゃないかとずっとびくびくして、そういうことをさせる原因になった二人を嫌いになったり、そうじゃなくなったり、ずっとぐらぐらした自分のまま生きてきた。
ここにいる間は自分が何者かを無理に決めなくてよかったし、地面はしっかりしてたし、誰にも顔を見せなくていいから楽だった。でも、こちらの世界の自分だって、結局は現実の俺と完全に切り離せる存在じゃなかった。誰とも仲良くならないはずの表情が読めないバケツ頭のジャガは、結局表情を隠しているくせに感情がわかりやすくて、自分が作ったおいしいものを仲間に分けてあげたい人にしかなれなかった。バケツを被ったって結局、自分が自分じゃなくなるわけじゃなかったんだ。
俺はこちらの世界でみんなと話して、自分のことを信じてみようと思えたけど、それはここでの思い出だけのおかげじゃない。現実で友達と話して、一緒に時間を過ごして、仲良くなれたおかげなんだよ。
ヒカリ、俺たちと一緒に眠りから醒めて、現実の世界でも友達になろう。あなたが苦しんでいるなら俺は力になりたいし、そうでなくても俺はあなたの話が聞きたいよ。
* 9/28(Sat) 16:21 * No.39
恋愛…「選択」

この世界でアリスとして過ごせて、幸せだった。理想の姿で好きなことができたから、ずっとマイ・ルームに居ても幸せだったよ。でも、影としての“俺”が現れたあの時。アリスとしてただ一人で居たなら、きっと呑まれてた。抗わなかった。……一人じゃなかったから、今もこうして生きている。
仲間の中でも恋した相手。現実でも互いの姿を知ってる相手に、――全部知られたのに、俺が現実を受け入れてるの、不思議だよな。あんなに嫌いだったこの姿が、今はそんなに嫌じゃない。アリスにはなれなくても、俺の理想を知って、それでも受け入れてくれたたった一人がいるだけで――わりと、現実でだって幸せなんだ。
ヒカリ。どう足掻いたって、俺はアリスになれないだろ。 だから、嬉しかった。夏と秋の小部屋でいつもと違うかわいいを纏えたことも、ふつうの女の子としてラビリンスを歩けたことも。からだも手足も小さいから、見上げる相手が多いのも新鮮だった。繋いだ手はかわいいし、好きな人に、……自分よりずっと大きな体に抱き締めてもらう安心感を知れたのは、この理想の姿だったから。アリスとして過ごせたから感じた想いも、大切な思い出も、たくさんある。 幸せだったんだ。やさしい夢を、ずっとヒカリが見せてくれてたんだな。
未練はあるよ。ずっと浸ってたい。でも……夢のおかげで、俺は自分のことも大切にしたくなったんだ。だから俺は、現実を生きるよ。……それで、ヒカリのことも勝手に待ってる。現実が嫌なら、ここでヒカリが共有したみんなの思い出とか、楽しかったこと、色々聞かせて欲しい。いくらだって、付き合うからさ。
* 9/28(Sat) 16:22 * No.40
隠者…「導き」

ねえヒカリ。おれがこの世界で初めて読んだ本、なんだかわかる? じいちゃんが好きだった本なんだ。そのなかに、『風立ちぬ、いざ生きめやも』って言葉がある。「いざ、生きめやも」──生きようか、どうしようか。風が吹いても、だからって生きなくちゃいけないってわけじゃない。がんばりたくて、でもがんばれなくて、悩んで悩んであきらめちゃう人はたくさんいて、その方が楽で、……おれもずっとその間に居たけど、もうやめる。……おれ、生きたくなったんだ。みんなのおかげで。ヒカリがここに呼んでくれたおかげでさ。──風が吹いたよ。だからおれは、現実の世界を生きていく。
みんなで帰ろう、元の世界に。ロックもアリスも、ジャガもアイリーンも。それにヒカリもマンゲツも。きみたちが大好きだから、向こうの世界のきみたちとも会ってみたい。いっしょに生きたい。…それじゃだめかな?
* 9/28(Sat) 16:23 * No.41
悪魔…「覚醒」

ヒカリ、ありがとう。全部、全部楽しかった。冒険して、遊んで、恋をして。
好きなものを好きだといえる勇気もなかった私ですが、ヒカリの世界では怖いものしらずな不敵なロックを貫き通せて、この世界が大好きになった。

ねえ、ヒカリ。私は……ロックはね、ラビリンス攻略の大詰めを楽しみにしていたのですよ。
冒険物語のクライマックスさながらに待ち受ける強大な敵と相対して、神秘のペルソナたちの力を借りてみんなで戦うのだと。きっとその戦いでは苦戦する。けれどペルソナと仲間たち、マンゲツの分析とヒカリの応援、すべての力を結集させて、元凶を倒してみせる。眠っていた人は目覚め、ラビリンス攻略隊は健闘を称え合い喜びを分かち合う。ロックは祝福の曲を奏でて騒ぐ。
めでたしめでたし、ここで終わり? いいえ、冒険者たちは新天地へと旅立ち、また新たな冒険を繰り広げるのです。
この夢も、ヒカリの理想の世界のおかげで生まれました。……実は今でもね、この夢を諦めていません。ラビリンス攻略は終幕を迎えても、冒険の夢は現実に続くと信じています。だからこそ、私の居場所に……駄目なところも含めて私を受け入れてくれる大切な人が居る現実に、心おきなくちゃんと帰ることができます。

ロックならば、きっとこう言いますね。
「みんなで冒険して、笑って、いつかハッピーエンドを迎えるのさ。そこにはさ、ヒカリも居なくちゃ嫌なんだ。ぜっったい、嫌なんだ。だからさ、一緒に帰ろうよ、ヒカリ!」
* 9/28(Sat) 16:24 * No.42
月…「幻惑」

なぜみんなが目覚めることができたのか。
……それはね、私がそれを願ったからさ。
ヒカリ。ラビリンスは……私の≪マイ・ルーム≫でもあるんだよ。

>取り出した「塔」のカードの上に重ねたのは「月」のカード。
「月」は幻惑を示すカード。所詮はまやかし。
私は願った。辛い現実を一時忘れさせるゆめまぼろしを。
誰しも現実で生きるためには希望が必要だから。
生きる喜びを知る必要があったから。
此処は君を生かしたくて創った世界。

そして君は此処で出会った。素晴らしい仲間たちと。

>さらに「女帝」「法王」「恋愛」「隠者」「悪魔」のカードを重ねていく。
――アルカナは示すんだ… 
幸福を、導きを信じ、汝を知ってなお汝を生きることを選択したとき、新たな世界で覚醒めることになるだろう。

>すると全てのカードは消え去り、1枚のカードが宙に浮く。
>「星」のカードだ。
>仲間たちの絆の力が、今、ひとつになる。

崩壊と絶望。昏い夜を迎えてこそ、星は生まれ、空に昇る。
希望とは、明るい世界では見えにくいもの。
そう、「星」の在処は、誰しもその胸の中に。

欠けては満ちる月のように時は過ぎ、世界は変わる。
どれほど堅牢に見えた「塔」も崩れ落ちる時が来る。

>!!!
>「塔」が…ラビリンスが………

聞いたかい? 彼らの決意を。
みんなは君を置いていくわけじゃない。共に前に進むんだ。
* 10/1(Tue) 00:10 * No.43
星…「希望」

>ラビリンスが、崩れていく。
>仮面は外れ、閉ざされていた記憶の扉が今開く。

……そっか。この世界は、生きる希望を失くしたわたしにあなたが見せてくれた夢。……そして此処で、みんなと出会った。本当は、わたし、ずっと生きたいって思いたかったのかも。…思わせてほしかったのかも。わたしと同じくらい苦しくて、それでも前を向ける人たちに。がんばれじゃなくて、がんばろうじゃなくて、ただ、一緒に生きようって言ってほしかったのかも。

ねえ、みんな。
……夢なのに、続き、現実でも見れるかな。
……わたし、ちゃんと目覚めるかな。もうずっと、起きてないの。起きても、うまくしゃべれないかも。
……それでも、待っててくれる? わたしの話聞いてくれる?
……起きたらきっととてもつらいの。それでも、わたしも生きること、選べるかな。
……わたしも、みんなとハッピーエンド、迎えられるかな。

ねえ、マンゲツ。
……どうしよう。目を閉じるのが怖い。
* 10/1(Tue) 00:14 * No.44
太陽…「約束された未来」

大丈夫。どんなに辛くとも、たとえ全てを失ったように思えても、必ず希望は残されている。
ヒカリ。次に君が目覚める世界にも、みんなが居るよ。
だから安心しておやすみ。私もずっと、傍に居るから。

アイリーン、ジャガ、アリス、イサナ、ロック……――いや、佐々礼さん、鵜飼くん、宮生くん、昼神さん、九堂くん。
……此処で出会えたのが君たちでよかった。
ヒカリに…私たちに、生きる希望を与えてくれてありがとう。

>マンゲツが指を鳴らすと眩い光に包まれた。
>だんだん意識が遠のいていく…

君たちもおやすみ。
向こうの世界で必ず会おう。いつかまた、光とともに。
* 10/1(Tue) 00:23 * No.45


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