零、歓迎の宴の段
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【零】食堂

(学級委員長委員会所属の男は此度の学園長の思いつきには特段振り回されることなく日々を送っていた。体験入学生の歓迎の為に遠くの街の入手困難な甘味を買いに行け!などと無理を吹っ掛けられる可能性すら考えていたのだから、宴のために必要なものを入手してこいというのはいささか拍子抜けしたくらいだ。そんな訳で野菜を調達することになった男は朝食後、真っ先に食堂へ戻りーー)食堂のおばちゃーん。ちょっといいかな?いつも野菜を仕入れてる農家を教えてほしいんだ。俺たち、そこで良い野菜を譲ってもらうつもりでさ。(呑気な口調でここへ来た経緯を説明すれば、揶揄い混じりのおばちゃんの言葉にもからりと笑って、)えぇ?タダでなんて考えてないよ。勿論、きちんと手伝いをして取引するさ。心配しないでよ、おばちゃんの顔に泥を塗るような真似はしないからさ。(急ぐ様子もなくカウンターの前で談笑する姿はとてもお使いを頼まれたようには見えなかったかもしれない。男がおばちゃんを口説き落とすことができなかった時のために、チームのメンバーが助太刀してくれる手筈にはなっているのだが、さて。)
* 9/5(Fri) 06:56 * No.1

(眠い目を擦り、時々睡魔に負けてしまいそうになりながらも、学園長から集められた場でなんとかくじを引いた後。周りの忍たま達がおつかいのためにくじびきで決まった相手と連れ立って散っていく中、一人眠さに耐えきれず、束の間の居眠りをしてしまい。誰かに肩を小突かれてはっと我に返ると、目の前にはくじ引きで決まった連れ合いの相手、五年生の尾浜勘右衛門先輩がいた。自分の肩を叩いたのは彼なのだろうか。眠気に襲われながら彼と会話をした後、ふと気づくと一人きりになっていて、さて自分はどうすべきか。このまま寝てしまいたい誘惑にかられ、十分程目を閉じてみたものの、どうにもおつかいが気にかかって眠りこけることはできず。このままおつかいに行かなければ、チームを組んだ尾浜先輩がとても困るだろう。それに首尾よく指令をこなせば、穴掘りをする時間が早々に作れるかもしれないし。そこまで考えてようやく欠伸をしながらのろのろと立ち上がり。)んー……尾浜先輩、確か食堂でおばちゃんを口説くとかなんとか言ってたっけ。(半分夢の世界に入り込みながら聞いた話を思い返しながら、良い趣味してるなあと呟きつつとりあえず食堂へ向かう。辿り着いた場所にて入口から中を覗き込んでみると、尾浜先輩とおばちゃんがお喋りをしているのが目に入り、ふらふらと二人に近づいて。)どうです、尾浜先輩。おばちゃん、口説けましたか?ていうか、尾浜先輩って年上好きなんですね。意外〜。(自分に課せられた助太刀の任を完全に忘却しつつ、真面目な声音ででそんな軽口を叩いてみた。)
* 9/5(Fri) 08:01 * No.2

(マイペース、気ままを体現したかのような後輩とチームを組むことに決まった時はさてどうしたものかと一瞬考えを巡らせたが、元々楽観的な性格である故そう悩み続けることはなく。なんとかなるの精神でそのまま寝入ってしまいそうな一つ下の後輩をコツンと小突いて起こしては、聞いているんだかいないんだか分からない彼に向けて、計画を説明しようとし、)いいか、綾部。俺が食堂のおばちゃんから農家の情報を得る、その農家に二人で手伝いに行く、そしてお礼に野菜をもらう、これでいこう。もし俺がうまく話を運べなかったら、お前が後から来て助けてくれ。なぁに、ちょっと食堂のご飯の美味しさを褒めるなり、おばちゃんの仕事ぶりを褒めるなりしてくれればいいだけだ。頼んだぞ、……って、本当に大丈夫かなぁ?(凡そ8割ほど寝ている状態の彼を前にもはや怒る気も起こらず、呆れた様子で首を捻る。この後輩が思い通りになるはずなどないし、いざとなれば自分一人で野菜を取ってくるつもりで先に食堂へ向かったのだがーー)っ、わぁぁ!いやいや、なんでもないですよ、本当に。食堂のおばちゃんの美の秘訣も、野菜にあるのかなぁって話をしたような、しないような、……な!綾部!(のんびりやってきた彼の落とした爆弾発言に大慌てでフォローを入れ、ついでに自由な後輩の口を片手で塞いでヒソヒソ話がしやすいように自分の側に寄せようとし。野菜という本来の目的を思い出させようと、その単語を口にした時には片手で脇腹あたりを小突き、必死に意図を伝えようとアイコンタクトを図る。涙ぐましい努力は伝わるだろうか。)
* 9/5(Fri) 11:21 * No.4

もごもご。美の、もご、野菜?あ、そうでした。もご。(脇腹を小突く手に気付き、野菜という言葉をやたら強調するなあと首を傾げて一瞬考えた後、やっとおつかいのことを思い出す。そうだ、夢の中で尾浜先輩が食堂のおばちゃんを褒めろと言っていたような。あれはひょっとすると現実だったのだろうかと、何か言いたげな先輩の視線を受け止めて。それでも言われた通りに褒めまくろうと、己の口を塞ぐ手を人差し指でつつこうとして、望み通り手が離れたならば先輩からおばちゃんへと視線を動かした。)尾浜先輩、おばちゃんって超良い女ですよね。先輩もいつも言ってるじゃないですか、あんな女っぷりの良い人はなかなかいない、毎日おばちゃんの美味しい料理を食べられるとはなんて幸せなんだろう。きっと料理に使う素材にもこだわっているんだろうなあ、と。(勿論先輩の喜びの声は捏造であるが、自分自身が日頃からおばちゃんの料理を美味しいと思っているのは事実。なのでまあ先輩も許してくれるといいなあと希望をこめつつ。気の良いおばちゃんは「大げさだねえ」と微笑んで、「じゃあ、そんなに褒めてくれる料理の美味しさの秘訣、教えてあげようかしら」と、いつも料理に使っている野菜を仕入れている農家について教えてくれた。それから適当に話を切り上げて、側にいるであろう尾浜先輩にこっそり合図を送り、食堂を出ようと促す。)うまくいきましたね。では、教えてもらった農家さんに行きましょうか。……ところで、尾浜先輩は本当に年上の人がお好きなんですか?(食堂を出てから涼しい顔で次の目的地と揶揄いではない本気の質問を投げかけつつ、ぐっと背伸びをし、まだ少し残っている眠気を振り払った。)
* 9/5(Fri) 17:01 * No.5

(どうやら作戦を思い出したらしい後輩に手を外すように促されれば、若干の不安は残るものの自然な素振りで口から手を離し。彼の口から次々と、これでもかと並べられる口説き文句を聞きながら、そこまでにしておけと言いたい内心をグッと堪え、うんうんと笑顔で相槌を打って。うまく話がまとまれば長居するのは良くない、合図に視線で返したなら、「ありがとう、おばちゃん!また次のご飯も楽しみにしてるよ!」と声を掛けて連れ立って外に出ようか。暫く離れた所でふぅ、と大きくため息を吐き、)やれやれ、どうなることかと思ったが……綾部、お前、喜車の術が上手いな。全部俺が言ったことになってるのがいささか問題だけど……まぁいいだろう。助かったよ。あぁ、少し急ぐか。今なら何が採れるかな、大根、さつまいも、かぼちゃなんかもあるといいなぁ。……って、えぇ?それはお前じゃないのか?年上の包容力はまぁ、嫌いではないけどなぁ。(予想外の角度から問いを投げてくる後輩につられて、普段なら笑い飛ばすようなこともなんとなく真面目に考えてノリのまま答えてしまい。そうこうしているうちに門の前に辿り着いたなら、掃き掃除をしている小松田さんから出門表を貰ってサインをし、隣の彼へと手渡す。今日ばかりは出入りの理由を知っているのか、サインさえしてしまえばなんの妨害もなく外に出ることができるだろう。忍たまの、しかも4年生と5年生の足ならば農家までの距離はそう遠いものではない。道すがら、のんびりとした様子の彼へと言い含め、)なぁ、綾部。雑草を抜く、空いてる畑を耕す、収穫を手伝う、これから求められるのはまぁそんな所だろうよ。お前、しっかり目を開けててくれよ、外では平気かもしれないが穴は掘らないこと。もし何か粗相をして怒らせて、野菜が持って帰れないなんてことがあれば……。うぅ、大丈夫かなぁ?(委員会にも同級生にも彼のようなタイプはいないものだから、あれもこれもとつい心配になってしまい言葉を重ね、眉を大きく下げては胃の辺りを摩って。)
* 9/6(Sat) 11:03 * No.14

いえ、先輩の的確なご指示のおかげです。……いいなぁ、秋の野菜の煮物、食べたい。なるほど、包容力。確かに年上の人って受け止めてくれる感じありますね。僕は僕の掘った穴に綺麗に落ちてくれる人がいいですけど。(先程おばちゃんを褒めるのに勝手に尾浜先輩を持ち出してみたけれど、叱られることもなくすんだことが少し意外で。目の前にいる先輩は優しい人だなあと素直に思う。「きっとおばちゃんにも先輩の優しさ伝わってますよ」、と唐突に尾浜先輩に向かってうんうんと頷いてみせた。それから門に到着すれば手渡された出門表にサインをして、忍術学園の外を歩き出す。)はい、頑張って目を見開いてます。でも時々瞬きはしてもいいですか?……はぁい、穴掘り、我慢しまーす。お互い精一杯働きましょう。ちぇっ。(てくてくと農家へ向かう道を歩きながら殊勝に誓ってはみるものの、穴掘りができないことへの不満を最後にちょっと漏らしたりしつつ。そうして進んでいけば目当ての農家に辿り着いた。農家の周りには点々と畑があり、その内の一つで作業をしている人を見つけて。)きっとあの人が、おばちゃんに教えてもらった農家の方ですね。先輩、行きましょう。……あのー、すみませーん。(優しそうな顔つきの農家の女性は、食堂のおばちゃんからの紹介であることを話せば「そういうことなら」と、こちらのお手伝いをして対価に野菜をいただきたいという要望を聞き入れてくれた。己に任された作業は、使っていない畑を鍬で耕すこと。女性から鍬を手渡されたけれど、なんだか愛用の鋤を思い出し手がむずむずする。そのむずむずを抑えながら、先輩に近づいて。)先輩、危ういです。穴が掘りたいです。……いえ、でも頑張って我慢しますから。健闘を祈ります。では。(ぷるぷる震えながらもなんとか鍬を握りしめ、尾浜先輩をきっと強い眼差しで見上げる。体は穴を掘りたいと震え訴えているけれど、気持ちはまだお手伝いをするつもりではあって。さて、結果は如何に。)
* 9/6(Sat) 15:09 * No.17
成功

……お前、そんな殊勝なことが言えたのかぁ。おいおい、体験入学生達の為なんだから食べ過ぎるなよ。うーん、綾部を受け止めるのは骨が折れそうだし、綺麗に穴に落ちるのはもっと大変そうだ。(後輩らしい素直な言葉にはつぶらな瞳を丸くして心からの感嘆を口にする。呑気に笑みを浮かべながら軽く話を続けていたけれど、再び話が不本意な方へ戻ってしまえばため息を吐き、思い込みを解くのは諦めるのだろう。不満げな後輩に発破をかけるため、「帰ったら好きなだけ穴を掘っていいから、な!」と後から後悔しそうな無責任な言葉を投げかけつつ、到着した先。着いた農家の畑には艶々と実るかぼちゃ、豊かに緑の葉を揺らす大根など、旬の野菜や果物の類が彼方此方に見受けられ。思わず、「立派な畑だなぁ」と呟けば、気を良くした農家の女性が誇らしげに笑みを浮かべて応じてくれる。掴みは上々、このままいけばスムーズにお使いはこなせそうだ。……と思った矢先、)えぇ!?勘弁してくれよー!俺の健闘を祈るより、お前の穴掘り欲求を抑えることに専念してくれ!(いつもの踏鋤を鍬に持ち替えじっと大きな瞳で決意を露わにする後輩に、大きく目を見開いては半ば懇願するように言い聞かせ。取り敢えず任された仕事をこなすのみ、畑に生える雑草を端から順に細かく抜きながら、ぶつぶつと小声で念じ、)どうか綾部が穴を掘りませんように、今後一切とは言いません、できれば今だけは穴掘りを我慢できますようにっ……!(気になって仕方がないのか、隣の畑で鍬を振るう後輩を離れた位置からちらちらと眺めては、穴を掘っていないのを確認してほっと安堵する、それを暫く無心で繰り返した頃。様子を見に来た農家の女性がすっかり綺麗に整った二つの畑を前に、「まぁまぁ!」と喜びの声をあげたところでハッと意識が今現在に戻る。どうやら無事に終わったようだった。)
* 9/7(Sun) 21:19 * No.22

えー。僕、いつも殊勝じゃないですか?勿論、皆の分も残しておきます。体験入学生の中に、僕と尾浜先輩の理想の友人がいるといいですねぇ。(訂正されなかった思い込みは己の中で好き勝手に育っていくだろうが、それ以上口に出すことはせず。「好きなだけ穴掘り。はい、そうします」瞳をぎらりときらつかせて、後からの楽しみに思いを馳せつつ。秋の穏やかな晴れ空の下、絶好の農作業日和に、穴掘りへの渇望に苦しむ少年がここに一人。農家の女性はそんな苦悩には気付いていない様子で、「頑張ってね」と朗らかに応援してくれた。)はい、頑張って欲を抑えます。これも全てはおつかいのため。(鍬をしっかりと握りしめ持ち上げ、任された畑の土に向かって振り下ろす。ゆっくり慎重に作業を始めてみたものの、穴掘りしたい欲求が心を占めて体が勝手に動きそうになってしまい。それをなんとか気合で押し込め、額に流れる汗を拭いもせずに鍬で土を耕していく。)これが終わったら穴掘り、終わったら穴掘り。だから今は鎮まれ僕の両手、僕の穴掘り魂。ああ、掘りたい……。(永遠にも思えたお手伝いの時間。時折意識を体に奪われそうになりながらも、一回一回丁寧に耕していく。隣の畑で尾浜先輩が作業をしているのは分かっているのだが、そちらに視線を送ることすらできず、時は過ぎていき。そしてとうとう、これ以上欲求を抑えることなどできないと諦めかけた時――農家の女性の声が穴掘り小僧の穴を掘ろうとする動きを止めた。きょとんと瞬きをしてから、振り上げていた鍬を地面に下ろす。)わぁ。先輩、僕、我慢できたみたいです。いえーい。だぁいせいこう。ですね、尾浜先輩。(どうやら無事やり遂げたらしい。思わず気の抜けた声を出し、先輩の近くに駆け寄って。片手を持ち上げ、「先輩、どうぞ喜びを僕の手の平にぶつけて下さい」と先輩に真顔でハイタッチを誘いかけてみる。それから農家の女性も笑顔で「ありがとう、ご苦労様。さ、約束していたお礼の野菜よ」とかぼちゃと大根を幾つか忍たま達に差し出してくれた。彼女に改めて礼を述べて、有難く野菜を半分受け取る。)
* 9/8(Mon) 15:55 * No.26

理想の友人!……綾部、お前、意外と可愛いところがあるんだなぁ。見つかるさ、なにせ忍術学園に来るくらいだから、面白いやつがたくさんいるんじゃないか?忍者になりたい……だけじゃない者も居たりして。(変わらぬ日常の中に突然落とされた学園長の思いつき、体験入学生についてこの後輩が前向きな期待を持っていることが少し意外で、大きく驚いてみせては呆けたように口を開け。自分より少し低い位置にある頭をうりうりと撫で回そうと手が伸びてしまうのは後輩の可愛らしさにつられて。躱されてしまえばそれまでだが、甘んじて受け入れられるなら委員会にはいない、一つ下の後輩を思い切り可愛がるつもり。ーー過ごしやすい天気の中、時折体を起こして秋の風を感じながらも、畑のあちこちに生える雑草を残らず根から抜いていく作業を進めていく。遠目から見る分には隣の畑の後輩はせっせと手早く耕しており、大きな問題は起きていない。なるべく早く彼に鍬を手放させたい自分と、穴掘り欲求と戦いながらの後輩のスピード感のある働きは、農家の女性にはそれはそれはやる気に満ちた物に映ったようで、畑を任されて暫く、戻ってきた彼女が感激した様子で、自分たちが最初に訪れた時よりもずっと親しげに笑みを浮かべているのは勘違いではないだろう。「もう充分よ、ありがとうね」、その言葉を耳にしてぱっと後輩に目をやった先、変わらぬ表情の彼が駆け寄ってきてハイタッチを求めてきたならば、こちらも気苦労による少しの疲れを情けない声色に滲ませながら、へらりと笑みを浮かべて土や葉っぱの付いた手を払ってから応じ、)あ、綾部ー!お前やればできるじゃないか!イェーイ!……ふぅ、一時はどうなることかと思ったが、うん、俺たち上出来じゃないか?(満足げに畑を見回しては、持参した風呂敷に譲ってもらった野菜を包み背負う。「ぜひまた来てね」とにこにこと見送る農家の女性に今一度お礼を伝え、大きく手を振って別れれば、学園までの帰り道を歩むことになるだろう。その後、学園のあちこちで落とし穴が散見されれば、上級生からは自分が監督責任を問われる羽目になるのだろうがーーそれもまぁ、三回くらいまでならば許してやろうと思うのだった。)
* 9/9(Tue) 14:59 * No.29

可愛いとこ、あります?僕の穴掘り魂に共鳴してくれる友人がいるといいなーって。忍者になりたい、だけじゃない……食堂のおばちゃんのご飯が食べたくて来た、とかでしょうか。(提示された体験入学生の密やかな目的について腕を組んで考えていると、尾浜先輩から頭を撫でまわされて。逆らわず大人しく受け入れてみれば存外気持ちがよく、いつもの無表情が少し緩み、喉を鳴らして喜ぶ猫のように目を細めた。そうして農作業は傍目には着々と進み、半分意識を失いかけながらも無事やり遂げて。農家の女性も作業が終わった畑を感心したように眺めて、「お手伝い、頼んでよかったわ。とっても助かったもの」だなんて微笑んでくれた。)そうみたいです。僕ってばやればできる子だったようです。尾浜先輩も、草抜きお疲れ様でした。本当に、凄く綺麗に草を抜かれましたねぇ。上出来も上出来、最高に上出来です。うんうん、やっぱり先輩と一緒におつかい出来てよかったぁ。(先輩とのハイタッチを終えた後輩は、満足げに仕事の成果を誇ってにんまり笑う。そうしていただいた野菜達を、こちらも持参した紫色の風呂敷に大事に包んで、「ありがとうございました〜」と農家の女性に大きく手を振ってから帰路についた。帰り道ではとても機嫌よく鼻歌なんかを歌ったり、小走りになってみたりしつつ。「先輩、早く早く」と急かす理由は、やはり帰って穴を掘りたいから。先程好きなだけ穴掘りをしていいと言われたことはしっかり覚えていた。やがて無事学園に辿り着けば、野菜達は宴の準備をする人々に手渡して。)それでは、先輩、お世話になりました。(ぺこりと尾浜先輩に頭を下げてから、念願の穴掘りに向かう。――その後、穴掘り小僧は好きなように穴を掘りまくり。教師から穴を掘りすぎだと叱られた時には「だって、尾浜先輩が好きなだけ穴を掘っていいと仰られてましたもーん」と言い訳して、拳骨を頭に頂戴したとか。その先生は生意気な口答えをする穴掘り小僧に鉄拳制裁をした後、尾浜先輩に監督責任を問い質しにいったとか。宴の準備で皆が忙しく働いている中、そんな光景が見られたらしい。)
* 9/10(Wed) 10:11 * No.35


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