壱、歓迎の宴の段
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【壱】炊事場付近>あやべきはちろう

(本当ならばいち早く挨拶に向かうべきと思っていたが、作るだけ作ってはいさようならとは礼を失する。ゆえにこれは出来たての料理を少々楽しんだ後のこと。世話になった先輩には丁重に礼を重ねて席を立ち、同じ班には居なかった赤いくじ紐を持つ者を探し始めた。「赤? ああそれなら、」と教えてくれたのは誰だったか。)……失礼。今良いだろうか。(ほどなくして、緩やかに髪が波打つ後ろ姿に声かけた。彼が振り向けば其処にはイモ粥の入った器を持ち、緊張した面持ちの男が一人。ほのかに立ちのぼる湯気が丁度よい食べ頃を示している。)私は栗栖理助、本日より体験入学生として忍術学園に世話になることになった。歳は十四。そしてお前……いや、貴方が私の世話係となるあやべ…(紫の制服は四年生と聞く。訳ありでなければ歳は十三。年下だ。が、しかし、立場で言えば此方が新米。ついでに世話係などという肩書の所為でまた迷い、)きはちろうすん、…だろうか。(迷った末に「さん」と「くん」の間の子になりそこなった音がこぼれ落ちた。)
* 9/18(Thu) 12:15 * No.18

(さて、班の皆で作り上げたイモ煮の出来はどうだったにせよ、それから時は過ぎ、ふとした拍子に後ろから声をかけられて振り返る。見えたのは私服姿の、恐らくは体験入学生。手に持っているのは彼らが作った料理だろうかと興味を抱き、じっとその湯気がたつイモ粥を見つめて。そのため話しかけてくれた彼の顔には視線が向かず。ちなみに男は手ぶらだ。)ええ、良いですよ〜。なんでしょうか。(いつもの真顔で話を聞きながら、イモ粥から視線を移しちらりと彼のくじ紐を盗み見る。その色は赤、自分が引いたものと一緒の色。そういえば先程忍たま長屋前に集められた時、彼の姿をちらりと認識したような。それに加えて彼の言葉が二人の関係性を明確にしてくれて。では彼が自分がお世話係となる体験入学生か、と頷こうとした時。)……すん?はい、僕が四年い組に所属する綾部喜八郎でーす。貴方は、栗栖理助さ、すん?ですね。(意外な呼ばれ方にぱちぱちと瞬きをした後、片手をはい、と持ち上げて珍しく元気よく返事をする。自分がお世話係となる人はどんな人だろうかと想像していたけれど、なんだか一気に力が抜けてほっとして、柔らかな声音で続きを紡ぐ。)これから色々とお世話になります。いや違う、僕がお世話するのか。まあ、互いに持ちつ持たれつでいきましょう。栗栖……すん?理助さん?どっちがいいですか?とにかく、貴方が十四歳ということは、僕より一つ年上だ。僕、十三歳です。(彼が年上ならば、このまま敬語で話せばいいかと決めて。マイペースに話し続けながら、「とりあえず、ここ、座ります?」と炊事場にぽつんと放置されていた二脚の椅子を指さした。)
* 9/18(Thu) 16:41 * No.20

や、あの。(しまった。心の揺らぎが生んだ「すん」が此方の文化由来のものと思われたらしい。しかし訂正しようにも元気の良いお返事からなる自己紹介にタイミングを逸してしまう。幸い彼は細かいことは気にしない質のようだ。穏やかな声音が歓迎の意を紡ぐのを聞きながら、此方もまた肩の力を少し抜いた。)ああ、これから世話に……いや、うん。そうだな。慣れぬことも多く迷惑をかけることもあるだろうが、私にも力になれることはあるだろう。互いに助け合える関係になれたら嬉しい。(ひとまず大きく頷いたのち、)私のことは好きに呼べ。歳は上だが立場で言えば後輩だからな、敬語も問わん。……や、栗栖すんは駄目だが。(ようやく訪れた訂正の機会に「あれはしくじっただけだ」と、先ほどまでの緊張をそっと吐露しよう。促されるまま椅子に腰掛け、)私はきはちろうと呼ぶことにする。(そう決めたのは予想通り年下だからという理由。それと、)……その、…親密度により呼び方は変わるものだと教わったのでな。(暗に彼とは親しくなるつもりだという決意表明。)というわけで、よかったら食ってくれ。(差し出したのは先ほど彼の目を奪ったイモ粥。反応からして大好物とまではいかずとも苦手ではないのだろう。)さっき七松先輩と作ったイモ粥だ。まあ、好みの味かはわからんが、甘いものが嫌いでなければ食えるだろう。(調理の過程はさておき、結果的にはそれなりのものが出来たはず。両手が空けば「きはちろうは、喜ぶに数字の八か? めでたい名前だな」などと宙に文字を書きながら、ちらと彼の反応をうかがった。)
* 9/19(Fri) 10:29 * No.23

大丈夫です、僕ら四年生は日頃から互いに迷惑をかけ合ったり助け合ったりしていますので、慣れっこなんです。だから、貴方もどんどん僕に頼ってくださいね。勿論、僕も貴方を頼りにしていますので。はい、助け合える関係になりましょう。(自分の優秀さを誇ったりアイドルぶったり髪結いしたり冗談に爆笑したりする級友達を思い出しては、迷惑をかけることもある、と語る彼に向けて気にしないでほしいと首を横に振る。)わかりました。年上の後輩って、なんかタカ丸さんを思い出します。あ、タカ丸さんは十五歳だけど僕らと同じ四年生なんです。後輩、ではないですけど。……あれ、すんはしくじりでしたか?風習とかじゃないのか。(きはちろうと呼ばれることには頷いて賛成の意を示し、彼の隣に置いた椅子にこちらも座る。それから続きの言葉には一瞬目を丸くした後。)わぁ。ということは、僕も理助さんって呼べば二人は仲良しってことになりますか?嬉しいなあ。嬉しすぎて穴掘りたくなってきました。(思いがけない言葉を聞いて嬉しさに手がむずむずしてきてしまい、椅子に座ったまま両手で己の肩を抱いて、むずむずを抑えこもうとしつつ。)やった。いただきます。理助さんは七松先輩と料理を?僕は鰐文寺さんと細葉さんでした。(肩から手を離し、イモ粥を受け取りながら「はい、喜ぶに数字の八です。おめでたいのです。理助さんはどんな字ですか?」と尋ねたりしつつ。まだ湯気がたっていて熱々だったのでふうふうと息で冷まし、器に口をつけた。)……美味しい。なんだかほっとする味ですね。穴掘りで疲れた心身に沁みるー。(目を閉じて、ほわんと和んだ表情を浮かべながらイモ粥の美味しさを堪能する。)
* 9/19(Fri) 16:46 * No.25

タカ丸さん…という方が居るのか。(年上の四年生が居ると聞けば興味深そうに頷いた。どんな青年なのだろうか。現に絶対に年下だろうと思った少年が同い年だった件もあるのだし、見た目で判断できないならば紫の制服には慎重に声をかけようと密かに誓う。)…ああ。そうでなくとも「くりすすん」は言いづらいだろう。(失態を打ち明けた恥じらいからか、些かズレた相槌を挟みつつ、)…お前、素直な男だな。(目指せ仲良し計画が秒で達成されそうな気配に今度は此方が目を丸め、のちにふ、と笑気をもらす。裏表のない心からの言葉なのだろう。「嬉しすぎて穴を掘りたい」の意味は分からなかったが、それこそ彼の文化由来の何かだろうか。己の肩を抱く様に「犬みたいだな」と笑ったときは、まさか本当に彼が感情の赴くままに穴を掘るとは思いもせずに。して、話の接ぎ穂になればと持って来ていたイモ粥を渡し、)ああ。七松先輩は豪快で気持ちのいい方だな。……なんだ。史士郎と一緒だったのか? そいつは私の友なんだ。(続く話の中に出来たての友の名を聞きつけ嬉しそうに「なかなか面白い奴だろう」などと返してみたり、「理に助くと書いて理助だ」と問いに答えてみたり。)…そうか。それならよかった。(それから彼の「美味しい」に目を細めつつ、)ところで今日は芋でも掘ってきたのか? 料理の材料は在校生たちが用意してくれたと聞いたが、もしやこのヤマノイモは喜八郎が…?(ふと気になった「穴掘り」発言をつついてみる。)
* 9/20(Sat) 00:54 * No.29

タカ丸さん、良い人ですよ。今度理助さんもお喋りしてみては?(いつもほんわかした雰囲気を纏う年上の同級生を思い出して、気軽に彼にも交友を促してみる。)くりすすん。確かに早口で言ったら舌をかみそうです。りすけすんなら大丈夫かな?(掠れた相槌には首を傾げるけれど、深く突っ込みはせず。喉が渇いたのかな、とのんびり彼の喉の具合を心配してみた。)はい、皆からよく素直すぎると叱られます。主に穴掘り欲に素直だとも。……でも、理助さんに言われたらそんなに悪いことじゃないのかもって思いました。(微かに笑みの気配を感じさせる彼の顔をじっと見つめて、こちらもほんの少し口角を持ち上げてみる。穴掘りについてはまだ彼には何も説明していないけれど、問われなければ解説は挟まず。「犬って穴掘り好きですもんねえ」とは穴掘り願望に震えながらの返答で、何かを堪えるように声も震えて。)ええ、七松先輩ってとってもお元気な方で。流石体育委員会の委員長です。わぁ、細葉さんとお友達なんですね。細葉さん、器用で面白いお人ですよね。(忍術学園の先輩や先程共に作業した体験入学生の話に花を咲かせて、「理に助く、覚えやすいですね」と頭の中に漢字を刻み付けた。)いえ、僕は農家さんに大根とかぼちゃを貰ってきました。ヤマノイモは別の方々の戦利品かと。掘ったのは穴です。いっぱい掘りました。いえい。(無表情に戻りながらも、得意げに胸を張る。得意がっているのは野菜を貰って来たことと穴掘りをしたことの両方で。)いつか理助さんにも僕が掘った穴に落ちてほしいです。(悪気はなく、純粋に穴に落ちてほしいのだと無表情に呟いた。)
* 9/20(Sat) 11:53 * No.32

そうだったのか。農家で大根とかぼちゃを……ん?(いっぱい穴を掘るとは。ごく自然に紡がれた言葉はひとつひとつの意味はわかるのに繋げてみると少しおかしい。満面の笑みこそ浮かべていないが得意げな様はふざけているようには見えなくて、「頑張ったな?」と相槌は疑問符を携えて。)……んん?(続く呟きを耳にすれば疑問符は更に倍。そっと腕を組んで目を閉じた。「喜八郎 穴 掘る 好き」脳内に単語が次々と浮かび上がっては連なった。先ほどの「嬉しすぎて穴掘りたい」発言はもしかして。ひらめきとともに目を見開く。)…喜八郎、お前、もしかしなくとも穴掘り小僧だな?(答え合わせを求める眼差しに浮かぶは困惑の色。それは彼の趣味が穴掘りであることや、いつか自分を落とすつもりであるということに対してではない。)若様にいただいた助言の中に、友を作りたければ会話を沢山しろ、贈り物をしろというお言葉があった。そして、相手の趣味に付き合え、というお言葉も。……私は勉学が嫌いではないし、運動も好きだ。料理もそれなりに得意であるし、剣術は言わずもがな。ああ、今は部屋に置いてきたが、普段は刀を持っていて……って、そうではない。話がずれたが、歌舞音曲や工芸の類も出来るか否かはさておき一応の知識があり、やるべきことの想像はつく。……だが、(そこまで連ねれば男の失意の原因は明らかだろう。)穴に落ちた経験は乏しい。危険があれば察して避けるのが常だからな。お前の望むようにうまく落ちてやることは出来ないかもしれん。(まさか彼が天才トラパーと呼ばれるほどの腕前とはつゆ知らず、彼一人で掘る穴の大きさなどたかが知れていると侮っての発言に悪気はない。)すまんな……。(申し訳なさそうに眉すら下げたこの男、のちに彼の掘った完璧な穴に見事落ちることになるのだが、それがいつかは彼次第。)
* 9/21(Sun) 00:22 * No.35

頑張りました。その結果先生から頭を小突かれましたが。(なにやら考えている様子の話し相手を見つめながらあれは痛かったなあと改めて思い出したけれど、いっぱい我慢した後の穴掘りはとても楽しかったので後悔はしておらず。)気付かれましたか。いかにも、僕こそが忍術学園に巣食う穴掘り小僧です。(自分こそが穴掘り小僧だと宣言するその顔には後ろめたさもばれた気まずさもなく、いつもの涼しい表情で彼の眼差しを受け止める。常であれば、こういう会話の後はドン引きされたり穴を掘るなと叱られたりするのだけれど。目の前の彼は何か惑うているようで、どうしたのだろうと疑問に思いながら黙って彼の言葉に聞き入る。)若様という方、もしかして友人作りの達人なのでは。理助さんは、その若様にお仕えしてらっしゃるんですか?(まずは、その若様、という人についての疑問を漏らして。友の作り方を熟知している様子のその人には、きっと多くの友と呼べる存在がいるのだろうと思った。)……そっか。理助さんは危機を察知する能力に秀でているんですね。いえ、謝らないでください。僕は穴掘り小僧としてはまだまだです。いつか理助さんでも察知できず、かつ綺麗に落ちれるような巧妙な穴を掘ってみせます。(真摯に応えを返してくれた彼を、責める理由などどこにもなく。自分がもっと成長すればいいのだと改めて決意する。まさか未来に彼が穴に落ちてくれるかなんて、今は想像も出来ずに。)……思ったんですけど、理助さんってとっても良い人ですね。(それからしみじみとした声音で、素直に感じたことを呟いた。)
* 9/21(Sun) 15:40 * No.36

ん? ああ、若様自身はお立場ゆえにご友人らしいご友人はそう多くないようだが、臣下には慕われている素晴らしい御仁でな。私もその一人だ。(困惑のさなか挟まれた問いも「若様」という言葉を聞きつければ反応は早い。語るさまは誇らしげに。その後、心の裡を全て晒し終えたのち、)…そうか。そう言ってくれるか!(期待外れですまんと謝罪をする方もする方だが受け止める方も受け止める方。互いに少しずつズレているからこそ、なんだかうまいところに落ち着いたよう。)ならば喜八郎。見事私を落とすほどの穴を掘ってみてくれ。私もお前の掘る穴に全力で向き合ってみせよう。(決意を新たにする彼を見つめ、忖度抜きの真剣勝負と言わんばかりに拳を握る。彼の掘る最高の穴に落ちる日がそう遠くないことを知らぬまま、最後には笑顔すら添えて。生憎二人のズレっぷりを指摘する第三者は居ない。)……そ、そうか…?(そうして交友を深めたところに落とされた感想はやはりド直球。年嵩の男たちに褒められたことは数あれど、それは男の努力や技術に対してであって、このように自分を丸ごと肯定された覚えはない。ゆえになんとか受け止めたものの気の利いた言葉を返すこともできす、照れを滲ませた視線がうろ、と地面を這った。)…その言葉を撤回されぬよう、これからも努めるとしよう。(やがて少しだけ持ち上げた視線が彼の手に移る。)約束してもいいぞ。
* 9/22(Mon) 00:07 * No.39

そっか。身分の高いお方であるからこそ、人心掌握の術にも長けていらっしゃるのでしょうね。理助さん、その若様のことがとてもお好きなんですねえ。(一時、誇らしげな様子の彼を微笑ましく思いながら眺めて。しかしそのような人に仕える彼が、何故この忍術学園に体験入学してみようと思ったのかと新たな疑問が生まれたけれど、口にする暇はなく話は流れ。なんやかんやあって良い感じの方向に話は決着し、穴掘り小僧も心を新たにしたところで。)はい、やるからには全力で掘ってみせます。たとえそれで先生に叱られたり、先輩達に叱られたり、同級生に叱られたりしようとも。……理助さんも一緒に叱られてくださいね?(さらりと彼を叱責に巻き込もうとしつつも、穴掘り小僧の顔色は明るく。そう、これは真剣勝負。勝負に茶々を入れる狼藉者も今この場には存在せず。)そうです。だって、僕が穴掘りの話をしてここまで真剣に向き合ってくれた人、初めてでしたもん。理助さんって良い人だな〜って、ちょっとびっくりしました。(体験入学生である彼のことはまだあまりよく知らないけれど、きっとこの先も「良い人」だという印象は変わらないだろうとなんとなく感じつつあって。)はい。……?(己の手に視線を感じて一瞬考えた後、膝の上に空になった器を置いて。)約束、です。指切りげんまん、嘘ついたら穴掘り地獄におーちる。(片手の小指を彼へと差し出し、約束を守る印をせがむ。小指が絡む前から、嘘をついた時の罰を口ずさみながら。)穴掘り地獄って僕からしたら極楽かもしれません。(ふと冷静になって真顔でそんな呟きを挟みつつも、小指は差し出したまま。) 
* 9/22(Mon) 17:03 * No.42

ああ!(「お好きなんですね」と言われれば全力で頷いた。たった二文字にこれほど心を込めることもそうないだろう。ゆえに敬愛する御方との別れは辛く、此度の体験入学の話が持ち上がった際も二つ返事でとはいかなかった。結局はその若様のためだからこそと泣く泣く長旅に出たわけなのだが、その話はいずれ彼にもするとして。)……先生に叱られたり、同級生に叱られたり? なぜ喜八郎が懸命に穴掘りに励んでいるのに叱られなければいけないんだ? (「一緒に叱られてください」とは何とも不穏なお誘いだ。晴れやかな表情と淡々と紡がれた未来の不一致に対しては心底不思議そうに。まさか彼の落とし穴が学園中にあるとは知らず、勉強もせず遊び惚けているように思われているのだろうかと心配すらして。「罠づくりも忍者の修行の一環だろうに」と言える寛大さが日常に潜む落とし穴の脅威に触れたのちも残っているかはさておき。)……そうか。(少なくとも今は、彼の喜びを曇らせるようなことはしたくなかった。改めて紡がれた「良い人」の響きはこそばゆくも温かい。)…ああ、(遠き日の記憶とは少々異なるけれど、懐かしい旋律が耳をくすぐる。)はは、確かに喜八郎にとっては罰にならんな。(真顔で紡がれた感想がおかしくて笑いながらも、差し出された小指にそっと自らの指を絡めて、)約束だ。(指切った。)お前にとっての一番の罰は穴掘り禁止地獄かもしれないな。(そうしてすっかり気が緩んだ証拠だろう、珍しく冗談めいた言葉をもらせば、)……よし。穴掘り以外にも喜八郎の機嫌のとり方を知っておくか。他に好きなものはあるか? 食べ物でも、何でもいい。(有言実行のため、まずは情報収集を。)
* 9/23(Tue) 22:48 * No.47

僕も理助さんにとっての若様のような人に出会えるかなあ。(力いっぱいの頷きから、彼の主人への想いが伝わってきた。いつか彼にこの学園に来ることを決めた理由や経緯を聞いてみたいなと思いながらも、今は胸に疑問をしまっておく。)一生懸命すぎて引かれてるのかもしれないです。前にタカ丸さんにもほんわかした笑顔で言われました、「喜八郎は穴に取り憑かれてるね〜」って。僕、取り憑かれてるんですかね?(何故叱られるのか、という問いにはずれた答えを用意して。「ですよねー。でも穴掘りが修行ならずっと修行してたいな」と、穴掘りも修行の一環とみなしてくれる彼の優しさ、或いは誤解に甘えた。)そうです。まだ初めてお会いしてからそれほど経っていませんが、既に僕の中では理助さんは良い人度の頂点を突き抜けています。(心の中にある良い人を集めた頁の中で彼の存在は輝いているのだと請け合ってみたけれど、残念ながらそれを可視化することは出来ず。ただ言葉のみで説明する。)よし、これで約束が結べました。(小指と小指が組み合い、約束は結ばれて。)くっ。想像しただけで冷や汗が出てきました。なんて罰だ。(小指が離れると共に、こめかみに一筋の汗が流れて落ちて行く。)好きなもの。うーん、そうですねえ。あ、食堂のおばちゃんが作ってくれる料理は好きです。そういえば前、おばちゃんと五年の久々知先輩が共同で作った豆腐料理を食べましたけど、美味しかったのであれも好きです。(穴掘り以外と言われて思い浮かぶのは、今はこの答えで。それから逆に、首を傾げてこちらからも彼に問うてみる。)理助さんは、何がお好きですか?あ、若様以外では。
* 9/24(Wed) 16:57 * No.48

会えるだろう。なんなら卒業したら我が城に来るといい。若様以上の主などそうそう居ないだろうからな。(若様への愛ゆえにさらりと無自覚スカウトをかましてみたり、)憑りつかれている…とは物騒だな。さては三度の飯より穴掘り好きか? 私も鍛錬を始めると周りが見えなくなることがあるから気持ちはわかるが。(彼の狂気を知らずに誤解を深めてみたり、)頂点とは大げさすぎる気もするが、…まあ、嘘ではないのはわかる。(口がうまいようには見えない彼がこぼした真っ直ぐな言葉に照れてみたり、ちょっとした挨拶のつもりが気づけば指切りげんまんまでする仲になるとは誰が想像できたろう。触れた指先。使いこまれた厚い皮膚が刀を握り続けてきた時間を表すように、彼の指先からも穴掘りに捧げた時間がうかがえるか。)はは。そうだろう。きっと私にとっての若様に会えない地獄と同じくらいきつかろうな。(そんな地獄を味わわないためにも頑張らねばと、愉快そうな笑い声が落ち着いたのち。)…ほう、食堂のおばちゃんの料理か。確かに昼食は美味かったな。(昼に食べた焼肉定食を思い出せば他の料理もさぞかし美味いのだろうと頷くも、)…豆腐料理?(ただ一つ挙げるには些か意外と言える料理名にきょとんとする。)私も豆腐は好きだが、そんなに美味いのか?(というか、)忍術学園では料理の授業もあるのか?(食堂のおばちゃんと共同開発とはこれ如何に。本当に多種多様な学びに溢れたところなのだなと半ば感心しながら。)私か? む、言われなくともわかっている。そもそも若様は好きとか嫌いとかの対象ではなくてだな……ああいや、(ごほん。脱線は咳払いで自己修正。)剣術だな。刀は使うのも見るのも好きだ。ちなみに食べ物の好き嫌いはないが、しいて言えば硬いものが好きだな。たとえば煎餅や南蛮菓子のビスコイト。歯を鍛えるのは体を鍛えることにもなる。(味の好みもなくはないが、概ね食べられればなんでもという男なので選択基準がちとずれる。)そういえば喜八郎は南蛮菓子は好きか? 若様から手土産にと幾つか持たされたんだが、嫌いでなければ明日にでも部屋に持っていくぞ。ついでに同室の者が居ればその分も。
* 9/25(Thu) 22:59 * No.52

わぁ。理助さんの若様に、是非お会いしてみたいです。(提示された未来はなんとも魅力的で、現実になればいいとつい願ってしまう。それもこれも無事に卒業できればの話だけれど。)ご飯と穴掘りでしたら穴掘りを選びます。理助さんは鍛錬にとり憑かれてるんですね。一緒だ。(勝手に憑かれ仲間にしてみたりしつつ。)はい、本当です。それにしても理助さんの手、がっしりしてますねえ。これも鍛錬の賜物でしょうか。(嘘ではなく本心なのだとしっかり主張した後。約束を結んだ際に触れたその手には、彼の努力の証が現れているように思えた。穴掘りのしすぎで固くなった己の手のように。)あのう、忍術学園には若様はいらっしゃらないですが、大丈夫でしょうか。(一転、彼がこの学園で若様不在地獄に苦しむのではとはらはらして、困り顔になったりしつつ。)おばちゃんの料理、美味しいですよねえ。それにおばちゃんと久々知先輩の豆腐料理も絶品でしたよ。おばちゃんが先輩に豆腐料理の開発を頼んだそうで。あれって授業だったのかな?でも、忍術学園では他にも楽しい授業が目白押しですよ。(あの豆腐料理が授業の一環だったのかは己にも分からなかったので、学園の紹介のみに留めておく。)では若様は、神仏のような存在、とか?(脱線に乗っかって、謎解きに回答するような心地で呟いた。)理助さんは刀に名前をつけて可愛がったりしてます?なるほど食べ物までも鍛錬に使うとは、まさしく鍛錬中毒。(憑かれてますねえとどこかうきうきと彼の好みに反応して。)南蛮菓子なら、前にお裾分けしてもらったのを食べましたが美味しかったです。同室、いますが……その分まで?すみません、ありがとうございます。(思わぬ申し出に目を丸くして、ぺこりと頭を下げ礼を述べる。)僕も理助さんに何かお返ししたいなあ。何か欲しいもの、ありますか?(彼の優しさに胸がぽかぽかと暖かくなるのを感じながら、そんな質問を投げかける。何が望まれようと叶えてあげたいと素直に思えた。)
* 9/26(Fri) 16:43 * No.53

ああ。何度も木刀を振るったからな。…喜八郎の手もそうだ。使い込まれたいい手をしている。(指切りを終え、一度は離れかけた指先が彼の手のひらをそっとなぞる。その隆起を称えるように。)っ、それを言うな。(せっかく上機嫌だったのに。約束を破る前からすでに若様不在地獄に居る事実を思い出せば、「永遠の別れではないのだから、と。会えない時間が愛を育てるのだとかなんとかおっしゃっていた…」と顰め面。大丈夫か否かでいえば大分駄目そうではあるが、「だが、私の苦しみなど若様の慶びに比べれば些末なことだ。それに此処は想像以上に興味深い。為すべきことに集中していれば辛さも忘れられるというもの。」――そう、彼の言う”楽しい授業”とやらもこれから待っているのだし、嘆く必要はないはずだ。現に今、彼との他愛のない話を楽しんでいる。「まあ、尊ぶべき御方という意味ではそのようなものだ」とは男の唯一神の話。)刀に名前? 名刀であれば刀そのものに名がつくが、それとは別の話か?(察するに、愛猫に名をつけるような意味合いだろうか。「少なくとも私が名付けた名はないが、喜八郎はどうなんだ? 何か効果はあるのか?」自分には無い発想に驚きながらも興味深そうに。剣の腕を磨くためなら手段は問わない性質なので。)それはよかった。若様もお喜びになる。では二人分、明日の昼にでも届けに行こう。(部屋を訪れれば彼の相棒を見ることも叶うだろうか。勝手な楽しみを一つ見出し、礼には軽く頷いて。)そう気にするな。これから世話になるお礼にと持たされた手土産なのだから、その心遣いだけで十分嬉しいぞ。(問われてすぐに差し出せる物欲もなければ苦笑交じりに。)だが、(それでも彼の厚意を無下にするまいと逡巡の末、)…そうだな。もし喜八郎が私にやりたいと思ったものがあれば、それが欲しい。(彼の心が己に向いた証がほしいのだと、ある意味最も贅沢な難題を押し付けたことにも気づかず「いつでもいいぞ」と小さく笑って。――と、その時だ。いよいよ宴のお楽しみ、体験入学生による余興の始まりを告げるアナウンスが響き渡った。)もうそんな時間か。……ではまたな、喜八郎。(別れ際、「よく見ておいてくれ」と。彼が応援してくれていると思えば心強い。いざ演目が始まれば客席を気にする余裕などなくなるだろうが、二人をつなぐ揃いの赤い糸ならばすぐ傍に。)
* 9/27(Sat) 23:51 * No.55

僕達お揃いですね。なんだか嬉しいです。(手の平に彼の指先が触れればくすぐったさに目を細めて。「若様と理助さんの愛は今まさに育まれているんですね。はい、皆と一緒に授業や実習に夢中になれれば、きっと体験期間を乗り越えられます。頑張りましょう」拳をぐっと握りしめて、一緒に頑張ろうという意気込んだ。「そこまで想える御主人がいるのは、とても幸せなことでしょうね」そのようなもの、との答えに僅かに羨ましさがわき上がり、ついその感情を声音に滲ませる。)僕は穴掘りに使う鋤達に名前をつけて可愛がっているんです。つけてみたら愛着がわきますよ。(「効果は穴掘りをする気力が増します。皆を使っていっぱい穴を掘ってあげよう、という風に」周りの者達にとっては寧ろ名付けない方がいいかもしれない効果を説明して。彼の剣術に良い効果が齎されるかは定かではなく。)僕の同室は平滝夜叉丸というんですが、きっと滝夜叉丸もうるさい位喜ぶと思います。……ほんとに賑やかな奴なので、覚悟してくださいね。理助さんも若様も、ありがとうございます。(同室の忍たまはきっと体験入学生の彼をやいやいと構いまくるだろうが、悪い奴ではないので許してほしいと今から念を押しておく。)きっとのその手土産には、理助さんのことを想う気持ちが一杯つまっているのでしょうね。……僕が、理助さんにやりたいこと。……それ、宿題にしていいですか?今すぐには思い浮かばないので、じっくり考えたいなあって。(大切な宿題は、沢山考えて花丸がもらえる答えを出したい。そう願った時、聞こえたのは余興の始まりを知らせる声。)はい、それではまた。理助さん、頑張れ。(そして始まった体験入学生の面々による余興。見ておいてくれと言われたから、真剣な眼差しで皆の出し物を観覧する。やがて彼の出番がくれば、流鏑人や投物斬りに息を呑んで見入り。)若様。理助さん、だぁいせいこう、ですね。……すごいぞー、理助さん、細葉さーん。(無事余興が成功すれば、声を張り二人に祝いの言葉をかけて拍手する。小指に残る約束の名残を確かに感じて、穴掘り小僧はそっと笑んだ。)
* 9/28(Sun) 16:09 * No.56


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