弐、復活のたまごの段
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【弐】職員室付近

いくら目立つ色に塗られているとはいえ、たまごはたまご。小さな目標物をこの広い学園内から探し出せとはつまり、私たちの観察眼と洞察力、行動力それに根気体力が試されているに違いない。(楽しいオリエンテーションと銘打たれたイベントだという事実は半ば忘れかけている。真面目くさった顔でうんうんと頷きながら、新たな課題に立ち向かう気を高めつつ、)まあ、多少運に左右されることもあるのだろうが、それを底上げする専用の装備まであるとは恐れ入った。見たところウサギの耳によく似ているな。これに収音機能でもあるのだろうか。ならば、こう、使うのか…?(疑いなき眼で手に取ったカチューシャに付いているのは美しい長毛が特徴的なたれ耳。赤みを帯びた茶色に親近感を覚えたのだが、そのふわふわを両手で掴んで頭巾の下に隠された己の耳を覆うように当ててみる。)…む。(ほんのりと温かいばかりで効果はいまいち。)それに、この湾曲した棒状の部分はどうしたらいいのか。顔の前にあっては邪魔だが、後ろに持っていっても邪魔だ。(はて。誰か正しい使い方を知っている者は居ないだろうか。きょろ、と辺りを見回した。)
* 10/3(Fri) 15:57 * No.3

(忍術学園の職員室付近にて、探すはイースターエッグという南蛮由来のたまご。なんでもとっても色鮮やかなたまごらしく、そんなに派手ならばすぐに見つけられるのではと思っていたのだが、今のところ成果はなく。むう、と眉を寄せて真剣な顔つきで探している理由は、今朝自身が所属する作法委員会の委員長から、たまごが見つかって「エッグダッシュ」なる種目を成功させれば穴掘りをしてもいいと言われたから。ついでに立花先輩からは「作法委員の意地を見せてやれ」と発破をかけられたけれど、見せるのは作法委員としての意地ではなく穴掘り小僧としての穴掘り欲である。そんな欲求に素直な忍たまの頭には、白色の兎の立ち耳を模したカチューシャが着けられていて。)立花先輩、似合ってたなあ。ウサ耳。(我らが委員長の頭にも今頃ウサ耳が揺れているはず。自分も装着するのだから当然後輩達もカチューシャを着けるべき、とは我らが作法委員会委員長の言葉。特に反対することもなく身に着けたウサ耳は、たまごを探し体を動かすたびにぽてぽてと揺れて存在を主張する。と、そんな折。)……理助さん?(たまたま見つけた彼のその姿を凝視して首を傾げれば、ウサ耳もつられてぽてんと倒れる。)耳、あったかいですか?(とりあえず、耳の保温効果について訊ねてみた。)
* 10/3(Fri) 18:18 * No.4

ぬ。(ここ二日ですっかり聞き慣れた声がした。)喜八郎。(呼び慣れた名を紡いで振り向けば、其処には見慣れぬ彼の姿。ぴんと立った白い耳が愛らしい。)ああ、秋とはいえ風の出る日も増えてきた。こうしておけば温かいだろうが……うむ、どうやらそっちが正解のようだな。(彼の頭上に揺れるウサ耳は本当に頭から生えているようで、「なるほどこの湾曲部分は頭に付けるためのものだったか」セルフ答え合わせが完了したのち、倣ってたれ耳を頭に付けた。するとぺたん。ふわふわのたれ耳が再び頭巾の下の両耳を覆う。)おお。これは画期的だな。手で支えておかずとも耳元が温かい。(謎もとけてすっきり。思わず笑顔で頷くも、)だが…喜八郎の奴とは形が違うな? 効果が違うということか?(すぐまた新たな謎にぶつかりふむと唸った。そういえばカチューシャの山には色々な種類があったような。いずれにせよ、彼と一緒なら心強い。あくまで個人戦とはわかっていたが、)喜八郎、宝探しは得意な方か? 
* 10/3(Fri) 19:57 * No.6

(垂れ耳を防寒に用いる彼の姿はどこか可愛らしく、まるで本物の兎のようで。思わず撫でてしまいたくなるのを、拳を握りしめて耐えつつ。)ええ、理助さんもお体冷やさぬようにその垂れ耳を活用されていらっしゃるんですね。流石です。いえいえ、なんだか僕も理助さんの装着方法が正解のような気がしてきました。(「その着け方を止めちゃうのもったいないです」と言いながら彼がカチューシャを装着しなおすのを眺めて。だがまだもや垂れ耳が彼の耳に被さったのを目撃し、なんだか嬉しくなってふにゃりと目を細め。)新型防寒具ですね。あったかいのいいなあ。(と羨ましがり、己のウサ耳が立ち耳であることを惜しく思う。)そのウサ耳の効果はきっと見る人の心を和ませ癒すことだと思います。僕もとっても癒されました。理助さん、本物の兎みたいです。生物委員が今の理助さんを見つけたらとっても可愛がりそう。(五年の竹谷先輩や三年の孫兵が彼を可愛がる様子を思い浮かべて平和な妄想に暫し耽った後、続いての彼の問いかけにはきょとんと瞬きをして。)どうでしょう。僕は勘は良くないし運も平凡。でも穴掘りで鍛えた粘り強さは備えています。総合したらそこそこ宝探しは得意かも。たまご、一緒に探します?共闘するのってアリなのかなあ。(問いかけながらきょろきょろと周囲を見渡し、目当ての宝はないかと軽く探してみる。)優勝者へのご褒美ってなんでしょうね。(自分だったら何が欲しいだろうと、気の早い考え事をしながら。)
* 10/4(Sat) 13:14 * No.8

もったいない?(なにやら彼の眼差しが柔らかい。否、ぬくいと言うべきか。元々眼光鋭い男ではなかったけれど、小さな違和感と言葉にはてなを浮かべつつ、)ああ。こいつはこれからの季節にいいかもしれん。専用の装備ならば返却しなければならんのだろうが、若様への土産に持って帰ることはできないだろうか。(それほどに良い物だ。彼が羨ましがるのもよくわかる。「だが、喜八郎の耳も愛らしいぞ。よく似合っている」と偽りのない感想を紡ぎながら、)…?(一方で、彼が紡ぐは本音だとは思わず、)ははは!(面白い冗談だと素直に笑った。)確かによくできた耳だとは思うが、本物のウサギとは言いすぎだろう。こんなにでかくて目つきの鋭いウサギがいたら驚くぞ。喜八郎は面白いことを言う。(立ち耳機能への疑問もすっかり忘れ、場を和ませるのが上手いものだと感心して。)そうか。私も失せ物探しが得意でもなければ幸運な質でもないから丁度いい。なら、共闘しながら競争するか? 二人で探せば“たまごがない場所”を探す手間が減る。その上でどっちが先にたまごを見つけるか勝負するというわけだ。(単なる共闘では楽をするばかりのようで気が引けるし、何よりせっかくの勝負事、勝ち負けを忘れるのも良くないだろうと生真面目な帰結。)さてな。学園長先生のお考えはまだよくわからんが、ご褒美と言うなら何か素晴らしいものなのだろう。……どれ、私との勝負にも褒美をつけるか?(どちらが先にたまごを見つけるか競うだけではつまらないなら、また一つ張り合いの種を提案してみよう。)
* 10/4(Sat) 18:55 * No.12
たまご発見

(「いいもの見せてもらいました。ありがとう、理助さん」彼の疑問にはただ礼だけを述べておき。)学園長先生に頼んでみましょうか。ウサ耳あったかいのでお土産にくださいって。多分許可をしてもらえると思いますよ。(学園長はよく突飛な思い付きで生徒達を振り回すけれど、忍たまや体験入学生達が催しを楽しんでいると知れば悪い気はしないだろうと予想して。「わぁい、褒められちゃった。ありがとうございます」と一頻り喜んだ後。)どうでしょう。自然界には理助さんのような凛々しい眼差しの兎もいるのかも。兎界のもののふ、みたいな。(草むらで目の前の彼のような鋭い目で敵がいないか見張っている兎を思い浮かべて心を和ませつつ。冗談ではなく本気の言葉ではあるけれど、そのまま流されれば追い縋りはせず。)いいですね。ええ、では共闘と競争の欲張り形式でいきましょう。(勝負事には我関せずといった態度をとることが多いけれど、今この場では彼との競争を楽しもうと決めて。早速たまご探しに本格的にとりかかり、たまごがなかった場所は「ここにはありませんでした」と共有しながら。)ご褒美、欲しいです。何がいいかなあ。(ご褒美の内容を考えながら、たまご探しに熱心に取り組む。――やがて、とある隅っこに、色鮮やかなたまごを見つけて。)理助さん、ありました〜。(すかさず拾い上げて、頭上に持ち上げてみせる。さて、彼はたまごを見つけられただろうか。先にたまごを見つけたのはどちらだっただろう。それとも彼は見つけられなかったか。勝敗の行方は、未だ分からず。)
* 10/5(Sun) 13:14 * No.15
たまご発見

そうか? まあ、自然界は厳しい世界だ。それなりの面構えのウサギも居るのかもしれんな……。ウサギ界のもののふ、見てみたくはある。(冗談めいた言葉に笑みを下げぬまま、一方でそんなウサギが居るならばと興味がわいた。最近どうにも小さいものに関心が向く。)ああ、では今から勝負だ。そっち側とこっち側、二手に分かれて探すとしよう。(とはいえ目下の関心はまだ見ぬカラフルなたまごと傍らの白ウサギ。さほど距離をあけず、左右に分かれてたまごを探しては「こっちにもないな」と情報共有。)褒美と言っても、あまり金のかかるような事はしてやれんぞ?(逆に言えば身一つでどうにかなることならなんでもやってやる気だが。雑談めいた会話も次第に途切れ、二人がたまご探しに没頭して暫し。)……おお! これがイースターエッグ…!(井戸の裏に紫色のたまごを見つけ、)あったぞ!(と叫べば「ありました〜」と朗報が重なる。タイミングとしてはほぼ同時。)やはり職員室の近くというのは生徒が近寄りがたいイメージがあるんだろう。幾つか隠されている気がしたが、早速二つも見つかるとはやったな喜八郎!(予想が当たったこと、無事成果を得られたことにご満悦な足取りでたまごを見せるべく近づけば、)ほら、このたまご、お前の制服と色が似ている。(描かれた花柄が可愛らしいそれと彼を並べて見たり、「そっちはどんなたまごだった?」と彼の手元を覗き込んだり。もちろん勝敗を忘れたわけではなく、)正直どっちが先に見つけたのかはよくわからなかったが、喜八郎も頑張ったからな。褒美はやろう。何が良い?
* 10/5(Sun) 16:10 * No.17

(「もののふ兎が実在すればヘムヘムと並ぶ忍術学園の看板兎になるかもですね」彼に似た兎であれば可愛らしくも頼りになりそうだと想像を膨らませ。それから勝負が始まれば、彼からたまごがないと知らされた場所は避けてたまごを探し。)僕もお小遣いが少ないので、高級用品なんかは手が出ないです。お互いお金のかからないご褒美にしましょう。(そうして己がたまごを見つけたと声をあげるとほぼ同時に、彼もたまごを見つけらしく。では、勝負は引き分けだろうか。)確かに。普段は皆あんまりここら辺には来ないでしょうね。僕もあんまり職員室には行かないかなあ。それはともかく、やりましたね、理助さん。いえい。(喜びの声を漏らして、彼がたまごを見せてくれればしげしげと眺める。)ほんとだ、四年生の色だ。この子は四たまと名付けましょう。お前、無事見つけてもらえてよかったねえ。あ、僕のたまごは緑色で、謎の珍獣が描かれてます。これ、誰が描いたんだろ。(こちらも見つけたたまごを彼に見せる。緑色のたまごには何か兎のようなたぬきのような歪な珍獣が描かれていて、見る者の心を不安にさせそうで。)やった。では理助さん、今度暇な時にでも、一緒に穴掘りしませんか?理助さんと一緒に穴掘りできたら、楽しいだろうなあと思って。(勝負の褒美はお金のかからないこんなものを望んだ。)勿論理助さんにもご褒美を差し上げます。何がいいですか?(今度はこちらから褒美をたずねて。それがなんであったにせよ己の力の及ぶ限り用意して、彼に贈ることを約束し。初めてのたまご探しは、無事成果を挙げて終わったのだった。)
* 10/6(Mon) 16:20 * No.22

(「いえい」と軽やかな喜声に目を細め、)喜八郎もよくやったな。(たまごを見せ合い暫し達成感に浸ろうか。四たまと名付けられた紫色のたまごは一層彼に似て見えて、少々の愛着すら芽生えた。このたまごも終わったあとはもらえるのだろうか。)ん、……こいつは……緑色なら六たま、いや三たまか? しかし、この獣……まさか、此奴がウサギ界のもののふ…?(一方、差し出された緑色のたまごには芸術的な獣の姿が描かれている。小さなスペースいっぱいに描かれた歪なそれが何かは分からなかったが、異様な雰囲気にごくりと唾を飲み込んだ。一瞬呪具の類かとも思ったけれど、忍術学園で用意されたものだと思い出せばひとまず安心。そんな葛藤はさておいて、)一緒に穴掘り?(ご褒美の行方に瞬いた。)ああ、それなら願ってもない話だ。私も喜八郎の穴を見てみたいと思っていたし、それを間近で学べて実践もできるならありがたい。(むしろそんなことで良いのかとすら思ったが、「それがお前にとっての褒美となるならば」と頷いて、楽しみな約束がまた一つ。)なんだ、私ももらえるのか?(以前の願い事は彼の宿題となっている。そこに新たな宿題を増やすのも気が引けて、此度はしっかり悩むことに。)…喜八郎にしてほしいこと。…いや、共にしたいことがいいな。……そうだ。今度の休み、町を案内してくれないか? まだこの辺りのことがよくわからなくてな。(口にしてから「もう予定があれば別の機会にでも」と言い添えたのは、またしても手軽に叶えられる願いではない自覚があったので。次の休みか、その次か。いつか彼とゆっくり町に出たいという贅沢な願いが叶えられる日は来るだろうか。もしも彼が頷いてくれるなら、その日が来るのを指折り数えて楽しみに待とう。学園長先生が下さるご褒美よりもずっと心躍る約束こそ、此度の一番の成果に違いない。)
* 10/9(Thu) 00:20 * No.27


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