弐、復活のたまごの段
戻る
【弐】図書室付近

(学園長先生からのオリエンテーションのお達しには当然ながら対抗心もくすぐられる。いけいけどんどんと体育委員会の後輩たちにも発破をかけ、自分もさっそく探そうかと駆け出しかけて。そんな走りはじめを肩をつかんで同室の友人に制される。返却期限間近の本がある、と諭されれば、)あー……(ちょっと目線を上に投げて、少しして「わかった!」と先に図書の返却をすることに決める。何せこの友人、とてもやさしいがそれと同時に図書委員としての業務にも忠実だ。自室から返却期限の近い本をとってきて図書館近くへ向かう。ついでに折角だからと黒色のピンと立った耳のカチューシャを身につけてみた。たまにうろちょろと探し回っている下級生たちならまだしも、卒業も近い自分がこんなものをつけているのはどうなのだろう、と思わないでもなかったが、折角のオリエンテーションなので楽しんだもの勝ちだ。)よし!探すか!(無事に返却を終え、図書室の静謐な空間から出たとたんに声を張り上げての仁王立ち。)…これ、外れないよな?(割合に激しい動きをすることの多い男である。頭につけた耳を軽く引っ張り、しっかり装着できているか確認する。どこかで落としてきてしまってはさすがによくない。)
* 10/3(Fri) 19:17 * No.5

(未だ頭に馴染まぬ兎耳を、ちょっと触ってみたり取ろうとしてみたりと落ち着かない。人目を避けて何となく室内の方に歩んでいけば、丁度廊下の向こうの方で声がしたきがしてそちらに進行方向を定め。ひょっこりと訪れた視線の先、耳を引っ張る6年生の姿を見れば、)わぁ、……妙な親近感。(おもわず小さな声でぽっつりそう呟いてしまった。青年の目には、うさ耳に恥を捨てきれぬ自分と同じように見えたのだ。)こんにちは、六年生の方……ですよね?善法寺先輩と同学年の。(ゆっくりと近づいて、自分の衣の肩辺りを摘まんでちょいちょいと引っ張る。学年分けされている衣の色でそう判断した、というジェスチャーだ。)あの、……大変お似合いですので、大丈夫だと思いますよ?そのお耳。(穏やかな笑顔で小さく頷きながら告げる。耳が気になるのだろうかとか、落ち着かないだろうかとか、そんな勘違いをしたまま口をついた励ましは、的外れも甚だろうが。「運も上がるようですし」「兎というだけで無条件に可愛らしいですし」とぽんぽん次々湧いて出るし何ならどんどん熱が入っていく。自分にもそう言い聞かせているようだ。)
* 10/4(Sat) 17:03 * No.11

ん?(ふいに耳に届いた声はなれぬもの。首を傾げつつ、ウサギの耳に触ったままそちらを見れば真新しい制服姿の少年。)おお、そうだぞ!六年ろ組、体育委員会委員長、七松小平太!伊作は隣のクラスだな!(そして彼の口から友人の名が出たなら明るい調子で笑みを浮かべてみせる。優しいその性質もよく知っているし、世話係に任命された旨も耳にしている。「細葉史士郎、だったか?」と友人から聞いた名を確認するように首をかしげて見せつつ、ウサギの耳から手を放す。)ん?(彼の穏やかな笑顔と励ましに首をかしげながらも耳を傾ける。さして自分は気に留めていなかったが、なにやらどことなく自分にも言い聞かせているかのような。)なっはっは!そうだな!先ほど見かけた後輩たちもとてもかわいかったぞ!お前もよく似合っている!…それにしても、運が上がるなら伊作は常につけておいたほうがいいんじゃないか?(心配するな、とばかりに彼の背をたたいてみる。その直前に脳裏に浮かんだ滝夜叉丸が渋い顔で加減してください!と悲鳴を上げていたので、いつもよりは力加減をして。きっと少し痛い、程度に力加減は収まっていたはずだ。ちょっとした独り言は、もし彼がすでに友人の不運を目撃していたなら共感が得られるかもしれない。)お前はたまご探しか?それとも、もう本でも借りに来たのか?
* 10/4(Sat) 20:40 * No.13

(間違いでなかったのならほっと一息。名を尋ね返されれば頷いて肯定を。「はい、先日よりこの学園にお世話になっています。」一礼して改めて顔をあげれば、やはりどうしてもぴょこりぴょこりと動くけものの耳に目がいってしまう。人が付けているのを見るのはむしろ微笑ましい気持ちにもなるのだが。自分の頭に同じものが付いているのだと思うとどうにも、――なんて、ささやかな感傷をブチ飛ばすように快活な笑い声と豪快な一発が飛んでくる。ぶえ、とか、ぐへ、とかその辺りの唸り声を口から零して無様にたたらを踏む。廊下に倒れ保健室送りにならなかったのは彼の手加減のおかげかもしれない。彼が落とした独り言に登場するお世話係は早々にこぶを作って保健室送りになっているのでもう笑うしかなかった。)はは……、七松先輩は、熊や犬の耳なども似合いそうですね。力強く快活で、明るい。友人に聞いた通りのお方だ。(背中をさすりながら、初日に彼と料理をしたといっていた友のことを思い出す。誰かと問われれば、栗栖理助だと答えるだろう。)図書室もとても気になりますが、今はたまごを探しに来ました。七松先輩は図書室から出てこられたようですが、中はもう探しましたか?まだのようであれば、一緒に探していただけないでしょうか?(学園内のおおまかな地図は頭に入れたが、室内のことまではわからない。触れない方がいい場所もあるだろうと思っての提案だった。小さく首を傾げて、彼の返答を待つ。)
* 10/5(Sun) 22:08 * No.18

(名前があっていたならば一安心。ぴんと立っているせいでちょっとした動作でも耳は揺れ動き、けれどきっちりと頭の上に鎮座しているので取れてしまうこともなくて一安心。たたらを踏んだ彼に「おぉ」と息を漏らして、「すまんすまん!」とあまり反省の色の見えない謝罪を送ろう。悪気はなかったが、加減の苦手な性分はなかなかどうして治らない。)ん、そうか?なっはっは!熊は強くていい!肉もうまい!お前は…熊よりは犬やウサギのほうが似合いそうだな!友人?…ああ、理助か!あいつもウサギの耳をつけているのか?リスの耳のほうが似合いそうだが。(きらびやかというよりは素朴。そんな印象を受けて、動物の耳を身に着けるならば見るからに強いものよりもほかの耳が似合いそうだという所見で。首を傾げたのちに帰ってきた、初日にともに料理をした彼の名にポンと両手を打つ。素朴な疑問は彼が連れていた小動物に完全に引っ張られている。)うちの蔵書はちょっとしたものだぞ!後、図書委員たちの管理の正確さもな。私はよく返却期限のことで怒られる。あまり騒がしくすると追い出されるからなぁ…だが、史士郎の案内ついでにというのなら許されるだろう!よし、中に入って探すとしよう!(一人どたばたと探していては顰蹙を買うだろうが、ならば大義名分があればいい。にんまりといたずら小僧のようにして笑って、彼の背を押しながら再び図書室の戸を開く。)
* 10/7(Tue) 20:57 * No.24
探索続行

(快活で明朗な声色のためか、彼の頭上のうさ耳は自分のものより元気いっぱいぴんと張っているように見えた。はきはきとした謝罪の言葉に柔らかな苦笑を返し。)熊肉はまあ、確かに、美味しいですよね。七松先輩なら仕留めるところから食べるところまで一人で出来てしまいそうだ。……ふ、確かに。理助くんの髪ってリスのしっぽに似ていますし、リスとも仲良しだったみたいですし。はは。(熊をおとす姿が想像できてしまって、誉め言葉のつもりで呟く。続いた友人についてのあれそれにはつい笑い声を漏らして。これもまた容易く想像できてしまう友人の姿に、もう一つ肩を揺らして笑うんだろう。)わあ……滅茶苦茶気になりますけど、部外者の僕でも本を借りることは出来るんですかね?この催し物が終わったら聞いてみようかな。その厳しい図書委員さんの中でもゆる……優しそうな方を紹介していただけますか?七松先輩。(緩そう、と言おうとしてがさつに言い直し。よく怒られている彼ならばあまり怒らない人も知っているであろうというあたりを付けて尋ね。)……せんぱい、今すごく忍者っぽい顔していますよ。っとと、勿論行きます。行かせてください。楽しみだなあ。(図書室に入る大義名分を手に入れようとしたはずが、どうやら彼に与えてしまったようだ。いや、この場合は所謂WINーWINの関係というべきだろうか。同じような笑みが唇を彩り、共に入室しよう。 尚、)――……わぁ、本当にいろんな本がある……うわ、こんなとこの地図まであるんだ、へえ〜……(たまご探しの途中で気になる本を見つけてしまった青年は、たまごそっちのけで立ち読みに夢中になっている。ぶつぶつと呟きながら頁をめくる手が止まる様子はなく。)
* 10/9(Thu) 09:11 * No.28
たまご発見

部外者?体験とはいえ、今のお前は学園の生徒だろう。遠慮することは何もないと思うが。っふ、なっはっは!優しそうな奴だな!いいぞ、任せておけ!(こてんと首をかしげて彼の遠慮に対して疑問をぶつけつつ。それはそれとして彼のいいかえた先の言葉につい噴き出すようにして笑い、また背中をたたこうとしかけて、先程たたらを踏ませたことを思い出してか肩を組むような形に変える。図書委員の皆は心根は優しいけれど、規則に関しての融通という点でいえば、と、頭の上にいくつか候補を。「ところでお前は、小遣いに余裕があるほうか?」と内緒話をするように少し声を潜めて。)私も最上級生だからな!よしよし、これで私たちは共犯だな!長次に怒られるときは一緒だぞ!(互いに図書室に入り散策する大義名分を分かち合ったことに笑みは快活さよりもいたずらっぽさを増して。とはいえ件の友人にもし捕まった場合はお叱りの的となるのは自分のほうだろうけれど、まあ、それはそれとして。)史士郎は火器を持っていないよな?火器持ち込み禁止、飲食禁止、本を読む前には手を洗え、だ!(口を酸っぱくして説かれている図書室内でのルールを彼にも伝える程度には、図書委員たちとの交流も深く、ルールを守ろうという気も一応はある。うっかり抜け落ちることもある。さて、とざっと周囲を見回して、先程は棚の下までは見ていなかったからそちらを、と屈んでみる。見つけた一つを手に、何やらつぶやきながら頁をめくる彼の姿をじいと見上げる。)なっはっは、どうせなら座って読んだらどうだ?(彼を見上げるような形でにんまりと笑う。見つけた卵は手の中で手慰みに遊ばせつつ。)そのうち松千代先生もいらっしゃるだろうし、貸出手続きの仕方も教わるか。
* 10/10(Fri) 00:00 * No.30

(内緒話に少しだけ思案。最終的に「多少は」と答えて、小さく笑みを零した。賄賂が通じる相手がいるのか、それとも金を払えば部外者でも利用できるのか。これまでのやり取りからして恐らく前者であろうとは思うのは、それはそれで面白おかしい話だ。この共犯者の先輩以外にもちゃっかりものが何人もいるらしい。)火器?……持ってないですね、おやつも持ってないです。手はまあ、汚れが付いているわけじゃないし、本を読みに来たけじゃないからいいか……。(袖口、胸元、手のひらと確かめてそう返答したはずだが。──棚の隙間や上を探す最中、ふと気になった本を手に取って、ちょっとだけと思ったはずがつい。真剣なまなざしで文字を追い、されど頭の片隅ではたまごを探さねばならないことも重々に理解していて。要するに脳味噌のリソースほぼフル回転で動かしていたためか、つい隣にいるのが先ほど知り合った先輩だということを失念した。)いや、もう少しでやめるから……(本から視線を離さずおざなりに返事をして、片手を彼の方へと伸ばした。避けられなければ、たまたま下の方にあった彼の頭をがさつに撫で繰りまわそう。どうにせよ、触り慣れぬうさ耳の感触と、聞き慣れぬ先生の名前に、首を捻って顔をあげる。本棚から彼 の顔に視線を動かして、とんでもないやらかしにさっと顔を青くした。)す、みません。普段は、その、……年下の子らを、相手にしていることが多いもので……(言い訳の苦しさがくしゃくしゃの表情によく表れていることだろう。とんでもない失礼をリカバリーできる気がしない。ちゃんと謝罪をするべく焦って本棚に戻した本が変な引っ掛かり方をしてそのままどさどさと隣の本を巻き込んで落ちていく。慌てて掴もうとしたら肘まで本棚に当たってもうてんやわんや。)……これ、本格的に図書委員さんに怒られますよね?僕、本当に本が借りれるようになるでしょうか……七松先輩、これも共犯ってことにしていただけます……?(悲惨な光景を目の前に顔を覆った。結局、彼がいうように先生がいらっしゃるまで、いやいらっしゃってからも、細葉史士郎の頭の中からたまご探しという当初の目的は抜け落ち。図書館での捜索は空振りに終わったのだった。)
* 10/11(Sat) 21:48 * No.33

(ならば紹介する相手は決まったようなものだ。小遣い稼ぎの手段を増やしてやるのも、悪くはない話であるかもしれない。快活な笑みを浮かべたまま「今度見かけたら話を通しておこう」声を潜めると同時に近づけていた体を放して。)なっはっは、よしよし。ちなみに手洗い場はあっちのほうだ。まあ卵を探すだけだからな。多分見逃してくれるだろう。(と図書室に一番近い手洗い場を指さしたのち、二人そろって図書室に入る。静謐に満たされているこの空間は自分の性質とはまるで違うが嫌いではない。機嫌よさそうにしながら卵を探し見つけ出したはいいものの、すっかりと本に熱中している彼の姿に微笑ましいものを見るかのように。しかしこちらを見もせずにむけられた掌にぽかんとして。払いのける気も飛びのく気もないが、丸い瞳をさらに丸くして彼を見上げる。珍しく心底から驚いた姿をさらして。)お、おぉ、なに、気にするな!私も低い位置にある頭はなで回したくなるからな!この年になってまで撫で繰り回されることはないが!(とりあえず落ち着かせようとフォローの言葉を入れ、どったんばったんとばかりに本が飛び出て落ちていくのはいったん置いておいて、ひとまずは本棚の位置を安定させる。)なっはっは!まあ細かいことは気にするな!こういうこともある!私が力加減をしないのは今に始まったことじゃないしなぁ…まあ、私の後ろで小さくなって頭を下げていればそう怒られることもないだろう。(とりあえずは床に落ちた本を机の上に並べなおす。まあまあ気にするな、とばかりにポンポンと彼の頭をなで、しかし本の並びはあまり覚えていない。)一応、折れ目なんかがないか確認しておくか。手伝ってくれるな?(パラパラと適当に本をめくり、折れ曲がっている部分がないか確認する。そうしているうちに松千代先生が姿を現せば「やらかしました!本を戻すので並びを教えてください!」とこれまた快活な謝罪を送り、そのまま図書室での手伝いに従事するだろう。この後輩、しっかりしているようでちょっと放っておけないタイプだ。)
* 10/13(Mon) 12:38 * No.36


 0


azulbox ver1.00 ( SALA de CGI ) / Alioth