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30日目:宴会場>理助さん
(夜。穴掘り小僧はいつもの飄々とした態度で体験入学最終日に催された宴に参加していた。己から少し離れた場所では、作法委員会の一年コンビの伝七と兵太夫がなにやら言い合っていて、伝七は怒り顔を見せ、兵太夫は無邪気に笑っている。かと思えば別の場所では立花先輩が潮江先輩と隣り合って料理をつついているし、他にも見知った顔が幾つも見えた。皆今日の宴を楽しんでいる様子だ。けれども己は料理にも手を付けず、隣に座った忍たまにも話しかけず無為に過ごしていて。)そろそろかな。(ぽつりと呟けば、右隣に座るタカ丸さんが「ん?」と首を傾げて。「そろそろですよ、タカ丸さん。ですので、行ってきます。僕の食べなかった料理は適当に食べちゃって下さい」と喋りながら立ち上がり。せっかく作ってもらった料理を残してしまうのは申し訳ないが、たまたま隣に座っていた年上の友人に後を託した。タカ丸さんはよく分からない理由で押し付けられた料理を「食べていいの?ありがと〜。いってらっしゃい、頑張ってね」とほわほわ請け負ってくれたうえに、事情も知らないはずなのに応援までしてくれて。ありがとうございますと頑張りますの意味をこめて頷き、今日会いたかったその人を探し始める。)すみません、理助さん、体験入学生の栗栖理助さん、見ませんでした?(宴会場の中を歩き、探す。途中で会った忍たまにも理助さんの姿を見なかったか聞いて。そうしてようやくその人を見つけ出し。)……理助さん、少しいいですか。(いつものポーカーフェイスで、必死に探していたことも分からぬよう落ち着いた調子で彼に声をかける。怯みそうになる己を、昨日励ましてくれた友の言葉を思い出し鼓舞して。)話がしたいんです。お時間頂戴できますか。(淡々とした声色の裏で、少しの緊張感を覚えつつ。)
* 12/7(Sun) 16:26 * No.35
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(冬の日が落ちるのは早い。初めて忍術学園の門をくぐった日のことを鮮明に思い出せるのに、そんな思い出に浸る間もなく最終日の夜を迎えた。荷造りは昨夜のうちに終えていたので今日は世話になった人々に礼と今後の事を伝え、「またいつか」と決まった結びで別れを告げる。その繰り返し。特に世話になった体育委員会の面々は皆盛大に名残を惜しんでくれたけれど、一方で、若様のため見分を広げる目的でやって来たことを隠しはしなかった男が期間を終えて国に帰るのは誰にとっても想定内。だからこそきちんと用意された餞別とともに送別の言葉が連なった。リスはいつものように男の肩で自由に過ごし、木の実を齧る。それでも宴の賑やかな気配に時折忙しなく体を揺すり、見知った忍たまを見つけると髪を引っ張ってあっちに行け、こっちに行けと操縦してくる。おかげでろくに料理に箸をつけられぬまま彼方此方へ。それなのにどうしてか。彼の姿は見当たらない。見慣れた紫の制服を見かけるたびにハッとして、彼ではないことに肩を落として。そうして宴の盛り上がりに比例して、男の歩みは緩慢に。横顔は寂しさに縁どられていった。)…喜八郎、(最終日になれば、否、昨日のうちから共に過ごしたいと彼の方から言ってくれるにちがいないと思いこんでいた自惚れは時が経つにつれて萎え、有り体に言えば落ち込んでいた。だからこそ不意に現れたその姿に目を見開いたのち、)…勿論だ。私も最後にお前と話したかった。(ポーカーフェイスとは対照的に喜色を隠さず歩み寄る。彼の葛藤など微塵も知らぬ男は浮かれたまま、「昨日から姿が見えなかったが、また穴掘りに夢中になっていたのか?」と問いかけて。)
* 12/8(Mon) 02:21 * No.36
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ありがとうございます。それではこちらへ。(最後に、と彼の言葉を心の中で繰り返しながら宴会場の中を先導して歩く。歩きながら「ええ、昨日は穴掘りに夢中になっていました。その後探しにきてくれた守一郎と一緒にお風呂に入ってさくせ、いえ、はい、お喋りをして、それから自室に戻り就寝しました」と途中で言葉に詰まりつつも昨日のことを話して。やがて見えてきたのは宴会場と外を繋ぐ障子戸。そっと戸に手をかけて僅かに開けば、外のひんやりとした空気が室内に入ってくる。)外は冷えてきましたね。理助さん、朝の鍛錬で汗をかいたらちゃんと拭わないとだめですよ。汗をそのままにしておくのは病の原因になると、保健委員の誰かが言ってましたから。(戸の隙間から夜空を見上げ、いつものように他愛のない話題を口にする。昨日伝えたいと思った言葉は、まだ音にならない。)それから、どんぐりくんが理助さんの足元をうろうろしていたら、動かないでどんぐりくんが落ち着くまで待っていた方がいいです。でないとまた転んでしまいますよ。伊作先輩も他の保健委員もいないところで理助さんが怪我をしないか心配です。(夜空には星が瞬いていて、この星明りの下で忍びとして動くのは難しそうだった。このまま星の下で言いたいことを言わず我慢するのもまた一つの選択肢ではあるけれど、いよいよ堪えきれなくなって。)うん、ではこの位にして。理助さん、お元気で。若様によろしくお伝え下さい。それでは、さようならっ。(最後の別れの言葉は叫ぶように放たれたけれど、騒がしい宴会場のはしっこで喚いたところで気にする忍たまなどおらず。そのまま戸を開けて駆けだして。)理助さーん、追ってきてくれなくてもいいですから〜っ。ほんとのほんとに、恨みませんのでーっ。(前を見て走りながらとても追ってきてほしそうに叫ぶ。理助さんが追ってきてくれるといいなあ、でないと作戦失敗だよと脳内で独り言ち。そのまま追手が自身を見失わないよう、のろのろと亀のような速度で無人の校庭へと駆けて行く。)
* 12/8(Mon) 16:29 * No.38
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(深い意味はなかった。今夜は忍術学園で過ごす最後の夜。だが、知った事実も口にすれば輪郭が際立ち、こうして豊かな彼の髪が揺れる様を眺めるのも、これで最後なのだと思い知る。「そうか。…守一郎と」残り僅かな夜を自分以外の相手と過ごしていたのだと知れば、不思議と口が重くなった。彼ら四年生の結束が強いことなどよくよく知っていたくせに、「相変わらずお前たちは仲がいいな」と添えた応えはぎこちなく。つっかえた言葉の続きを想像する気にもなれなくて、開かれた戸、その奥から流れ込む冴え冴えとした夜の空気がささくれた心をそっと撫でるようで心地よい。リスはきゅ、と声を上げ、身を竦めたようだったが。)……ん? ああ、そうだな。(すると夜風よりもはっきりと、それでいて淡々とした声が男の意識を掬いとる。平素と変わらぬ風でいて、どことなくいつもと違う饒舌さに瞬いた。)…それはもう随分と前の話だろう。(けれど唐突ながら紡がれる言葉が全て男の身を案じるものと知れば、懐かしい失態を思い起こさせる忠告に苦笑しつつも頬を緩め、その心遣いに耳を傾けていた。)……ああ、ありがとう。(のだけれど、)……は?(手を伸ばせばすぐに触れられる距離にいたはずの彼の背が、今は遠い。)お、おい! 喜八郎!?(突然差し出された別れの言葉からの猛烈ダッシュ。足腰を鍛えぬいた天才トラパーの足は――はや、い?)…いや、なんだあの走り方は…。(揺れる髪はこっちにおいでと言わんばかりに庭をうろうろ。一瞬呆気にとられたものの、「追わなくてもいい」と言われれば追わないわけにはいかないだろう。否、「追うな」と言われたとしてもすぐさま庭に飛び出したに違いないが。「いいかどんぐり。私は喜八郎を追う。お前は踏みつぶされんよう大人しくしておけ」そう言い残して寒空を厭うリスを縁側に残し、男は走る。)待て、喜八郎…!(月明かりだけが頼りのほの暗い庭。必死に走る男の視線は彼だけを捉えている。)
* 12/8(Mon) 22:34 * No.40
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(「昨日守一郎とお喋りして、改めて友達っていいものだなって思いました」と、仲がいいと言われれば躊躇いなく頷いて。彼のどこかぎこちない口ぶりが心に引っかかったけれど、先程から内心を占めている想いに胸を塞がれて触れることができず。それから体験入学の思い出をなぞるように口に出した小言は、別れに際して言っておきたかったこと。離れても体には気を付けて。そう素直に言えばいいのに、持って回った言い回ししかできず。そうして鬼ごっこが始まれば、「待ちませ〜ん」と言いながらもすぐに捕まってしまいそうな速度で目的地へ向かう。宴会場から校庭まで、歩いたとしてもたいして時間はかからない。だからのろのろ走っても数分経てば校庭に辿り着いて。)理助さん、僕のこと追ってきてくれたんですね。僕、追いつかれちゃいました。――では理助さん、これを見て下さい。(ゆっくり走ったために息切れもせず、理助さんが校庭に辿り着けたならばすんとした顔で地面を指さす。そこには小枝が一つ置いてあり、小枝から少し離れた場所にもう一つ、同じような小枝が置かれている。)これは罠がここにあるという目印です。僕が準備しました。ですがここには二つの目印がある。一つは本物の目印、一つは偽物の目印です。はたしてどちらの小枝の下に落とし穴があるでしょうか。(いつもの真顔で不躾に問いかける。まるで今日が最後なのだと気付いていないように。)もし理助さんが落とし穴を引き当てたら、ご褒美をさしあげます。もし当てられなかったら、僕がご褒美をもらいます。(当たりは落とし穴がある方だとさも当然の如く言って、理助さんの反応を窺う。もしも付き合ってられないと背中を向けられれば潔く諦めよう。けれども彼ならば付き合ってくれる気がした。)さあ、本物はどちらでしょうか。どうぞ当ててみてください。(挑発するように薄く笑んで答えを待つ。ヒントも何もないこの状況で、頼りになるのは彼の直感だろうか。)
* 12/9(Tue) 16:11 * No.41
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(待ってはくれぬが置いていくつもりもないのだろう。茶番じみた逃走劇にどんな意図があるのかはわからないが、悪意の無いことだけは確かだと、緩やかな足取りで男を導くその背を追いかけて。辿りついた校庭。其処に待ち受けていたのはいつもの彼のすまし顔。)……あんな風に逃げられたら、追うに決まっているだろう。(何かしら企みがあるとわかっていても。示された指先に視線を落とすと、見慣れた小枝。以前の自分ならば地面に転がった枝など単なる風景の一部に過ぎなかったが、彼と共に過ごす中で身近な印へと変わっていった。)随分と面白い餞別を考えたな。(それが二つ並んだ理由を聞けば、は、と短く吐いた息に笑気が混じる。わざわざ校庭に連れてこられた理由がやっとわかって。落とし穴のプレゼントとは彼らしい。その内心を推し量ることはできなくとも、宴まで会えなかった彼が自分のためにこれを用意していたのだと知ればそれだけで嬉しかった。)……しかし、なんだ。落とし穴を引き当てたら…ということは、罠にかかったら私の勝ちということか?(だが、続いた話には眉を寄せて。ご褒美とはいったい何のことだろうか。どうやら単なる餞別とも異なる意味が、地の下に隠されているらしい。)喜八郎。私がお前にやれるものなら、何でもやるぞ? …このような勝負事をせずとも。(素直に強請ってくれればなんだって。無論、彼がせっかく用意してくれた罠をむげにするつもりはないので勝負は受けるつもりだが。うっかり穴に落ちぬよう小枝から距離をとりつつしゃがみ込み、目を眇めて真贋を見極めんと口を閉ざす。真昼ならともかく、土の具合などちょっと見たところでちっとも違いが判らなかった。)……(そのまま暫し冷えた空気に晒されて、ふと思いつく。)……喜八郎。もし間違っていたら私の負けでいいんだが、(地面に膝をついたまま彼を見上げ、)…どちらも偽物、ということはないか?(呟くように問う。わざと負けを選んだのでも、彼を疑ったのでもない。ただ己を信じてみたくて。――深読みに終わるならそれでもよかった。彼の応えが先か、それとも男が半歩、近い方の小枝に身を寄せるのが先か。もし穴に落ちなければ、あるいは落ちても彼の勝ちだ。もう一方の小枝の下にも穴など無かった、ということがないかぎり。)
* 12/10(Wed) 03:20 * No.42
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作戦会議の賜物ですよ。(守一郎とお風呂での作戦会議の末に考案した落とし穴作戦。如何にも自分らしいやり方だと、その場で決行を決めたのだった。)はい。見事穴に落ちたら、罠にかかったら、理助さんの勝ちです。穴を引き当てるのは良いことですので。(穴掘り小僧にとって穴を引き当てるのは問答無用で誇るべき結果なので、今回の勝敗の分かれ目もそれに倣うことにした。)んもう、理助さんってばすぐ僕を甘やかしてくれるんですから。どうするんです、僕に甘え癖がついちゃったら。だって、……だって今ですら理助さんに追いかけてもらいたいなーって甘えちゃったのに。(だって、の続きの言葉を口にする寸前で飲み込む。代わりに茶化した言い方をして、己の心もごまかした。その後は小枝以外の目印のない地面と、しゃがんでいる理助さんを眺めて。)なるほど。そうお考えになりましたか。(どちらも偽物、目印の下に穴はない。ならば理助さんは穴を引き当てることができない。そう問われても答えは言わず、ただ微笑んだ。そのまま彼が選んだ小枝に近寄るのを待つ。選ばれた答えは「穴などない」なのだから、穴に落ちたとしても彼の推理は間違っていたことになる。やがて彼が小枝のすぐ横に辿り着いた。その結果は。)理助さん、こっちは偽物でした。では、あちらの目印はどうでしょうか。(誰も穴に落ちず、校庭は静かなままだ。彼の選んだ小枝の下に穴はなかったが、「どちらも偽物」という推理は合っていたのか。答え合わせをするために、もう一方の小枝に近寄ってちょんと足だけで小枝のすぐ横の地面を突っついた。何も起こらない。もっと近寄って両足を小枝のすぐ傍に置いてもそれは変わらず。)……てへっ。(とりあえず笑ってごまかそうとするも、すぐ考え直し。)ずるしてごめんなさい。理助さんの推理、当たりでした。ということは勝負は理助さんの勝ち、ですよね?(しゅんとしながら謝罪した後、勝敗の行方を彼に確認してみる。穴は当てられなかったけれど、推理は正解。ならばご褒美は理助さんのものだろうか。)
* 12/10(Wed) 16:23 * No.43
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(てへ、と笑う様を見て湧く感情は怒りなどではなく、妙な納得と己の考えが当たったことへの喜びだけ。下手な誤魔化し笑いはいっそ可愛らしく思えたが、今それを言うのもどうかと思えば謝罪に対して「別に謝ることはないだろう」と短く答える。甘やかしのつもりもなく、心から。)ずるだろうがなんだろうが、相手に気づかれないように工夫をして自分の思うように事を運ぶことは忍者にとって重要だ、と私はこのひと月で学んだぞ。(ゆえに彼の行動は忍たまとしては真っ当なことで、加えて悪意もないのだから責める謂れもないだろうと。すっくと立ちあがると歩み寄り、)…だがまあ、謀った相手にばれてしまってはまだまだ、だな。無論喜八郎は失敗したのだから私の勝ちとなるのだろう。(彼が気にする勝敗については無慈悲なまでに淡々と告げて。)件のご褒美とやらも私がもらうことになる。(それが何かは気になるし、彼からもらえるものは喜んで受け取るつもりであるが、)……が、その前に、もう少し反応があってもいいんじゃないか? もっと驚き、感心してくれ。(何より強請ったのはご褒美ではなく彼の関心。「私がどちらも偽物だと言ったとき、あまりに反応が薄いから頓珍漢な推理をしたのかと内心焦ったぞ」と不満げに呟き、)それに…どうしてわかったんですか!とか、聞かないか?普通は。……言っておくが、私が優秀な忍者のたまごだから、ではないぞ。(たったひと月の体験入学では学びきることなど到底できない忍びの道。にんたまの友に書いてあることすら全てを知ったはずもなく。「お前のことだから、わかったんだ」静かな答え合わせは求めた問いを待たずして、)…この勝負、仕掛けてきたのが他でもない喜八郎だったから、両方とも偽物だろうと思ったんだ。(誇らしげに紡がれた。それから彼を見つめ、)綾部喜八郎のことなら、良く知っている。……つもりだったんだがな。(ふ、と息を吐いて、眉を下げる。)で、お前は何が欲しいんだ? 私を謀ろうとしてまで望んだことを教えてくれ。(乞う声はやさしく、そして甘い。)
* 12/11(Thu) 02:01 * No.44
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言われてみれば確かに。僕、忍びっぽく罠をしかけられたんですね。やったぁ。(彼の言葉に納得し、しゅんとしていたのもすぐに忘れて喜んだ。こんな風に気付きを与えてくれる理助さんは凄いなあと改めて感じ入って。)むう。悔しいです。でも負けを認めます。では、ご褒美を……。(ご褒美の品を懐から取り出そうとして、理助さんが言葉を続けるようなら動きを止める。)えっ。かわいい。(素で驚き、思わず感じたことそのままの感想を漏らしてしまった。いつも年上らしく自分を導いてくれる理助さんの意外な態度に、暫し驚きとかわいいという感慨から立ち直れず。そうするうちに話題は移り。)り、理助さんすご〜い。どうしてわかっちゃったんですか〜?(とりあえず求められた反応を返す。先程驚きを表さなかったのは、勝負中は内心を隠したかったから。決着がついた後の反応の薄さはずるをしたことが後ろめたかったからで。だが今のように求められていたのならば、初めから我慢しなくてもよかったのだとなんだか気が抜けた。)……ふ。僕のことよくご存知で。性質を把握されていたことが僕の敗因ですね。僕は理助さんのこと、ちゃんと理解できてるでしょうか。できてるといいなあ。(完敗だ、と天を仰ぐ。やはり自分はまだまだプロの忍びではなく、忍たま四年生なのだと思い知る。だというのに不思議なほど清々しくて、軽やかな笑みが零れた。)また甘えちゃいますね。(理助さんの優しさに、今は存分に甘えよう。)僕、……僕はただ伝えたかったんです。理助さんと離れるのが寂しいって。離れたくないって。でも別れなければならないなら、こうも言いたかった。またいつか会いましょうって。たとえその場所が戦場でもいいから。(本心を伝える時は笑みを消し、真剣な表情で。寂しい、と迷子になった幼児のような頼りない声で呟く。だが再会を願う時には、少し背筋を伸ばして言葉に希望をこめた。こんなことを言っては理助さんを困らせるかもしれないけれど、ご褒美は心の痛みを素直に口にすることだった。)
* 12/11(Thu) 16:19 * No.45
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かわいい?(どんぐりなら置いてきたぞと思いつつまろびでた感想はさておくとして、少々わざとらしいまでの感嘆と疑問に対して答えよう。)この勝負、私の知っている喜八郎らしくないと思ったんだ。…いや、落ちた方が当たりというのはむしろらしいのだが、お前ならせっかく掘った穴が無駄になるような二択は用意しないだろう。……私のために掘った穴に、私を落としてくれないなんてこともないだろうと思ってな。(ゆえに、どちらも偽物なのではないかと思ったのだ。手の込んだ演出をしてまで欲しかったご褒美とやらのことを思えば何も気づかぬふりをして負けてやってもよかったけれど、それはそれとして彼の理解者である証明をしたがったのは男のエゴだ。どうせ勝っても負けても勝負なんて関係なしに彼の心に触れたがったに違いないが、「負け」という事実が頑なに隠された本音を引き出すきっかけとなるのなら、やはりこれで良かったのだと軽やかな笑みを見て思う。やさしい眼差しを向けたまま、その綻んだ口元から紡がれる次の言葉を静かに待った。)……そうか。(そうしておおよそ予想通りの、否、期待通りの言葉に笑みを深めた。真剣な彼とは対照的に、詳らかにされた本音を噛み締めるよう「そうか」と繰り返す様は楽しげで、和らいだ表情は変わらない。それからふと、先ほどの問いを思い出して、)…喜八郎。お前は私のことを、ちゃんと理解できてないみたいだな。(苦笑まじりに呟いた。)こんな仕掛けをして私を負かさないと、その気持ちは伝えられなかったか? そんなことを言ったら私が困るとでも思ったか?(いつものマイペースは何処へやら。遠慮など知らぬような顔をして、別れの寂しさひとつ言えないなんて。それほどまでに想われている事実を嬉しく思いながらも、だからこそ問う声は淡々として、詰るようなものではない。)たとえお前に何を言われても、それこそ盛大な罠に嵌められても、何が何でも私は若様のもとに帰る。……心は揺れない。(告げるのは揺るぎない事実。)…だが、動きはする。喜八郎が別れを惜しんでくれたことを、嬉しく思う。私もお前と離れるのは寂しいよ。(それから両手を大きく広げて、ん、と彼を促した。その意図を、ちゃんと理解できただろうか。)
* 12/12(Fri) 14:54 * No.46
…
はい。かわいいのです。(真顔の裏で理助さんの可愛らしさに震えたりしながらも。)穴は落ちるもの、という僕の概念を理助さんは心からわかってくださったんですね。なんだか勝負を始める前から負けてしまっていた気がします。でも、勝負をしたから理助さんが僕のことわかってるって知れたから、無駄ではなかったのかも。(親元から離れ友と共に忍たまとして生きるという生活は、時折寂寥感に包まれることがある。けれども今感じている理助さんが自分のことを理解してくれているという安心感は、そんな寂しさも忘れさせてくれて。だからだろうか、固く縮こまっていた心もゆっくりとほぐれていく。)そうです。うー。(楽し気な彼とは反対に、こちらはなんだか本音を曝け出した気恥ずかしさや、もうすぐ理助さんともお別れだという切なさや、かっこよく勝負に勝てなかった自分への情けなさやらで情緒がぐちゃぐちゃで。唸り声を漏らして俯いた。)……え。は、はい、伝えられませんでした。困るかなって思いました。(けれども理助さんの続く問いかけに、思わず顔を上げて。どちらの問いにも頷き、戸惑いながらも答えを返す。)はい。そう、ですよね。だって、理助さんは若様のことが大好きなんですから。(知っていた。理助さんは、若様のもとへ帰っていくのだと。そういう風に想える人がいる理助さんが羨ましかった。そしてちょっぴり嬉しくもあったのだ。理助さんはそれほどまでに慕う人のもとへ忍術学園での思い出を抱えて帰っていく。その思い出の中に、自分がいることが。己も理助さんの心の中にある、若様への想いの一片になれたようで。)……理助さん。(今はただ、彼の名を呼びたいから呼ぶ。促されるままに体を動かす。一歩、二歩とよたよたと彼に歩み寄って。彼の意図を完全に理解できているとは思わない。自分はいつものように自分の心に従って、やりたいことをやってみる。)……理助さん、寂しいです。僕のこと忘れないでください。僕はずっと理助さんのことを覚えていますから。(えい、と小さな掛け声と共に、理助さんの胸にそっと身を寄せた。そのまま拒まれなければ、ぽつりぽつりと本音を吐き出す。)僕、きっとプロの忍びになります。理助さんは、若様のもとで何者になりますか?(いつものように、と意識しながらポーカーフェイスを無理に保って。そうしなければ、もっと情けない姿を晒してしまいそうだった。)
* 12/12(Fri) 16:42 * No.47
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ああ。(呼ばれたから返事をする。なんだ、とは問わずに。)……当たり前だろう。忘れやしない。……忘れられるはずがないだろう。(ようやく素直に落とされた本音を、彼のぬくもりごと抱きしめるようその背にそっと腕を回して、溜息を吐く。先ほど告げた言葉に偽りはない。今更彼の言葉ひとつで心揺れたりしないけれど、真っ直ぐに放たれた想いの強さに胸の奥がぐ、と痛んだ。)…そうか。喜八郎なら立派なプロの忍びとなるのだろうな。(そうして語られた未来に頷いた。この歳で天才と謳われる彼の将来は明るいだろう。それはすなわち実戦の場での活躍を暗示している。)私はやはり父のような大剣豪になって、若様をお守りする剣となる。……だが、此処に来て、私ひとりが強くなっても、それだけでは足りないのだとよくわかった。(戦場も昔と今では変わりつつある。火器の登場が人間の限界を容易く上回り、忍者の暗躍で形成は一気に逆転する。もはや圧倒的な大剣豪の存在だけでは足りないのだと、そんな話を彼にもしたことがあったろう。背に回した腕の力を緩めると、手のひらを彼の両肩にのせ、)実は私も昨日から、喜八郎に言いたいことがあったんだ。(真正面から視線を合わせるように顔を寄せた。)…お前と離れるのは寂しい。惜しいと思う。(かつて若様と会えない日々を地獄と称したが、彼と会えない日々もまた己の胸に大きな穴を作るだろうことは想像に難くない。けれど顔を歪めるどころかいっそ微笑んでいられる理由を早く告げてやりたかった。)……ずっと忘れないでほしい、だなんて他力本願はお前らしくない。私と離れたくないのなら、忘れられたくないのなら、会いに来たらいいだろう? ……私もそうするつもりだ。(ふ、と悪戯っ子のような顔をして、「わかるか?」と目を細めた。)天才トラパーのスカウトに成功した、という話を若様への手土産にしようと思うんだが、……うん。まあ、お前の返事次第だが。私は「いつか」などとは言いたくないぞ。西の土より掘り甲斐があるかは知らんが、東にはこの理助が居る。それで手を打たないか?
* 12/13(Sat) 00:07 * No.48
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……良かった。(忘れやしない、その言葉が嬉しくて笑おうとするも上手く出来ずに。ふにゃりと口元を緩ませる。)ええ。頑張って忍術学園を卒業して、ばりばり働くプロになります。(六年の先輩達のように、どんな困難が待ち受けていようとも今の宣言を達成できるよう努めようと決意して。)そうですね。昨今の戦場における戦術の発達、火器を用いた戦のやり方、一般的な兵だけではなく、忍びとして戦場で働く者達。それらを相手に一人きりで戦うことは難しいでしょう。でも、きっと理助さんなら大丈夫です。この忍術学園に来て学び、新たな知識と経験という武器を手に入れた理助さんならきっと、どんな手を使ってでも若様をお守りすることができると思います。(授業で習った近年の戦についての知識を思い出せば、彼の言葉にも頷ける。けれども一人で戦う難しさを知れた理助さんならば、一人で戦う以外の方策で若様の剣となることができるだろうと信じられた。)はい、なんでしょうか。(じっと理助さんの目を見つめて。)はい。……はい。(寂しいと言われれば頷き返すことしかできずに。視線をそらすことすら惜しんで、潤みそうになる目をしっかりと開いたまま理助さんを見つめた。)会いに?確かに、会えるなら会いたいですが。(首を傾げて「わからないです」と疑問を表す。)えーっ。僕スカウトされてたんですか?(驚きのあまり目を丸くして、ぴょんと飛び上がった。その拍子に肩に置かれていた理助さんの手が離れてしまったかもしれないけれど、なかなか吃驚したことから来る衝撃は去らず。)それって、それってっ……最高じゃないですか〜っ。もし理助さんの手土産を若様が受け取ってくださったら、理助さんといつでも会えますね。やった〜。(両手を万歳と持ち上げて、吃驚の次は嬉しさに包まれた。)まだ若様のお返事は分からないですけど。でも、会いに行きますよ。必ず。(将来が確定されたわけではないけれど、会いに行くと決めたならば再会は現実となるだろう。にっこり笑って、楽観的に約束する。)
* 12/13(Sat) 16:06 * No.51
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(どんな手を使っても若様を守る、と聞けば「よくわかっているな」と微笑んだ。今さら自分一人が忍術を学び始めたとてものになるには数年かかる。それならば、)――…そうだよ。私は喜八郎が欲しいからな。(既に完成されつつある天才を仲間に入れればいいだけのこと。もともと忍術学園の内情を知り、繋がりを持つことも此度の体験入学の目的の一つであったのだ。忍術学園側とて卒業生の就職先に優良な城と縁故を築いておくことの利点はある。じいと男を見つめるその瞳が揺れる様を、此方もまたじいと見つめて。疑問が驚きに変わるとき、まん丸の目が彼の堀った穴のようだと思えた時は流石に笑った。あまりに毒されている。)喜んでくれるか。(寂しさは隠すくせ全身で喜びを表す様が微笑ましくて、それ以上に安堵した。即座に断られずとも熟考の可能性はあると思って、他にも彼を引き入れるためのカードを幾つか用意していたのだけれど。ほっとため息を吐けば、想像以上に緊張していたことを知る。)…ありがとう。(そして万歳と宙に浮いた彼の両手を自らのそれで捕まえて、下ろすついでにぎゅと握った。)心配せずとも若様はきっとお前を気に入る。若様は私に甘いが、使えないものを義理や私情で傍に置くことはしない方だからな。……私が気に入ったお前を、あの御方が認めないわけがないんだ。(誇らしげに紡ぐはある種の惚気。実はもう散々手紙に書き連ねた彼の話に興味を持った若様から「そのうち城に連れてこい」と言われていることは今は内緒だ。握った手をそっと離せば、)だからこそ、ずっと「使える」男である必要はあるがな。…あと二年と少々か。今以上に立派な忍者になれよ、喜八郎。(楽観的な約束に現実味を帯びさせて、ついでに厳しい現実も突きつける。もっとも才能を磨きこそすれ怠惰に塗れることもないだろうと彼を信じているから紡ぐ口元は緩く弧を描いたまま。)私もお前に見合う男になるよう、もっと精進するつもりだ。
* 12/14(Sun) 12:40 * No.54
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わぁ。凄い殺し文句ですね。なんだか照れます。(真っ直ぐな言葉に些か照れてしまい、思わず視線をそらしそうになるのをぐっと我慢した。)ご覧の通り、すっごく喜んでます。今だって理助さんとまた一緒の時間を過ごせるのかもって思うと、わ〜ってはしゃぎたくなりますもん。(寂しさは隠せども喜びは隠さず、体全体で表現して。誰にも遠慮せず誤魔化さず、理助さんとの別離が遠ざかったのが嬉しいと感じるままに。)……どういたしまして?(握られた手を握り返す。語尾が疑問形なのは、はたして理助さんの礼への返事はこれで順当なのかと自信が持てなかったからで。)理助さん、僕のこと気に入ってくださったんですね。やった。……理助さんのお話を聞いていますと、若様への印象はかっこいい人だなあという一言に集約されます。ただお話を聞いているだけでこう思えるのだから、実際にお会いしたら僕どうなっちゃうんでしょう。(既に若様への憧れは心の中で募るばかり。理助さんがさらりと気に入ったと言ってくれたのも嬉しくて、にこにこと笑みは消えずに口元に留まった。)はい。もっともっとこの忍術学園で学び、経験を積み、友人達と切磋琢磨しあって、堂々と理助さんに会いにいけるよう励みます。(離れた手を胸元に持っていき、拳を一人で握りしめて誓う。笑みには真摯な感情をこめて、涼やかな声音でこれからの研鑽を約束した。)互いに精進しあって、日の本一のつわものと忍びとなれるよう頑張りましょう。ね、理助さん。(子供が大人になったら何者かになりたいと願うように、いともたやすく将来像を思い描いて。努力を続ければ夢は叶うのだと純粋に信じているから、躊躇いなく途方もない夢を口に出した。)あ、そうだ。本当は理助さんが勝負に勝ったらご褒美として、理助さんが負けてしまったらお別れの時に贈れたらいいなあと思っていた物なのですが、今あげちゃいます。こちらです。じゃーん、僕手作りの守り袋です。まあ勝負には勝つつもりではいましたが、僕の策が見抜かれたら負けるよなあと思いまして。(懐から取り出したのは、手の平におさまる大きさの紫色の布で作った守り袋。中にはご利益があるのかないのか不明であるが、「願望成就」と書いた紙が折り畳んで入っている。)昨日の夜から急いで作りました。このお守りが、理助さんが願いを叶える助けになりますようにって思いながら。(滝夜叉丸からの助言も受け入れつつ作った守り袋は、縫い目の乱れもなく完成した。理助さんにどうぞと差し出して、これで心残りもなくなったと晴れ晴れと胸を張る。)
* 12/14(Sun) 16:07 * No.55
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当たり前だろう。私がどれほどお前を気に入っているか、わかっていなかったのか?(素直に寂しさをぶつけられなかったことといい、存外自己評価が低いようだ。もしもどれほど彼を想っているかと問われれば、「お前が寂しさのあまり私を大穴に落としても喜ぶくらいには」と笑ってさらりと答えたろう。それほどまでに男が気に入った綾部喜八郎という存在を若様が欲しがることは明白で、)ああ。若様はとても格好良くて優しくてこの上なく素敵な御方だ。会えば喜八郎も一目で心奪われる。(そして、彼もまた心から若様にお仕えしたいと思うだろう。とはいえ日本一の天才トラパーとなった彼は卒業時にはきっと引く手あまたに違いない。彼が口にした夢を途方もないとは思わなかった。前だけを見つめ続けるところも二人の共通点なのだ。ゆえに真摯な眼差しや誓いを疑う気持ちはなかったが、一刻も早くスカウトを実現するため出来ることは何でもせねばと心に誓った。)ああ、共に頑張ろう。(やるべきことなら既に幾つか頭の中に。その中の一つに『綾部喜八郎の経過観察を兼ねた忍術学園への定期訪問』があるのだが、実現した暁には彼に文が届くだろう。)……ご褒美? そうだったな。(すっかり忘れていたその存在が、今目の前に。紫色の守り袋を受け取れば、月光に翳してまじまじと見つめた。「これを、喜八郎が…?」一日で作ったにしてはよく出来ている。だが、暫し言葉を失ったのは出来栄えに感動したからではなく、)…私のための穴の代わりが、これか。(会えずにいた時間も彼が自分を想っていてくれた事実を目の前にして。ふ、と口端から喜色がこぼれたのを皮切りに、情けないほどの笑顔を止めることはできなかった。)ありがとう。とても嬉しい。(「大切にする」と胸に抱きしめたのち、また一つ増えた宝物をそっと懐に仕舞いこむ。それと入れ替わりに取り出したものがひとつ。)…私からも、喜八郎に渡したいものがあるんだ。(差し出したのは赤と黒の糸で組み上げた組紐だ。赤い方には見覚えがあるだろうか。)…私と喜八郎を結び付けてくれた大事な品だからな、持って帰ろうかとも思ったんだが……せっかくなら、お前に持っていてほしくてな。お守り代わりという意味では似たようなものか。(手首に巻くには少し長い組紐は髪紐代わりにも使えるように。穴掘りの邪魔にならず、何時でも彼の傍にあるようにと考えたそれが無事を祈るものであることに相違はないが、男の贈り物の理由はそれだけにあらず。魔除けの赤と何物にも染まらぬ黒の組合せ。それが男の国ではアカトキヤミ城を示す色合いであることを彼は後日知るのだろう。もしも色の理由を尋ねられたとしても悪戯っ子のように小さく笑みを掃き、「そのうちわかる」とそれだけ告げて。)……そういえば、さっき守一郎が茂みから覗いていたぞ。(ふと思い出したのはいつの間にか消えていた茂みの奥の気配。彼も気づいていただろうか。)さっきまでの様子じゃ宴もろくに楽しめていなかったんだろう? …お前を心配している奴らが他にも居るだろうからな、名残惜しいがそろそろ戻るか。(最後と思えばもう少しと欲張る気持ちもあったけれど、今なら未来の約束がある。)…繋ぐか?(だから折衷案として手を差し出した。もしも頷いてくれるなら、行きとは異なり二人並んであたたかな宴会場に帰ろうか。)
* 12/15(Mon) 22:37 * No.59
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友として僕のこと好いてくださってたらいいなとは思っていましたが、理助さんが僕をどれぐらい想っておられるか、本当にはわかっていませんでした。(「それすっごい深すぎる想いじゃないですかぁ」と照れ笑いを浮かべ。)是非若様にお会いしてみたいです。きっと理助さんの言葉通りの方なんだろうなあ。(脳内でぼんやりと顔に霞がかった若様の姿を思い描いて、きらきらと輝かせてみた。若様がどんな人なのか、答え合わせの日が来るのが今から待ちきれず。)早速明日から穴を掘ったり走り込みをしたり、穴掘りに勤しんだり先輩方をよく見てその技術を学んだりします。(穴掘りの腕を磨くのは当然として、これまで以上に忍たまとして修練を積むことに決めた。まさか理助さんがまた忍術学園に来てくれるとは想像もせず。)理助さんのことを想って作りました。喜んでもらえるといいなあって、お別れした後も僕のことを思い出してもらえたら嬉しいなって、僕の好きな色の布を用意して。(守一郎との作戦会議を経て思いついた贈り物。一針一針に理助さんへの想いをこめた。)……よかった。(その想いごと受け止めてもらえたように感じて、心がぽかぽかと温かくなる。)わ、この赤い方の紐って、あの僕らを引き合わせてくれた紐ですよね。それにこちらの黒い紐は……はっ、そうか、赤と黒で夕焼けと宵闇を表現しているんですね?……違うんですか?合ってるんですか?どっち?(思いついたことを何も考えずに言ってみたけれど、理助さんは笑うばかり。「気になる〜」と紐を矯めつ眇めつしてから。)こんなに素敵な物をいただけるなんて、嬉しいです。ありがとうございます。この紐君が僕らを結び付けてくれたんだと思ったら、なんだかこの子が愛おしいです。紐君、僕らを出会わせてくれてありがとう。大事に大事に使いますね、理助さん。(ぺこりと頭を下げて礼を述べた。それから彼が友人の存在について触れれば。)ええっ。守一郎が〜?様子見に来てくれたのかな。後でありがとうって言わなきゃ。(全く気付けなかったことに一瞬愕然としてから、優しい友にも後で感謝しようと決めて。)ええ、そうですね。理助さんとお話したい人もいるでしょうし。よい子になって戻りましょう。(ここに走って来た時には寂しさに包まれていたのに。今は晴れやかに前向きになれた。それもこれも理助さんのおかげ。)……はい。理助さん、明日はお見送りにいきますね。また会えるその日まで、お元気で。(差し出された手をそっと握る。理助さんの手の温もりを感じれば自然と笑みが浮かんで。そのまま宴会場までの短い距離をわざとゆっくり歩く。大好きな人と過ごす時間は今も刻々と流れていくけれど、暫しの別れの後はまたきっと会いに行くから。なんだか幸福のあまり少し泣きそうになったのは、今宵の月と己の心の中だけが知る優しい秘密。)
* 12/16(Tue) 16:27 * No.61
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