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【後日談】春:裏庭>七松先輩
(青嵐の忍び装束が学園内を駆ける。存外冷静なのか、それとも見習いとはいえ忍者であるプライドなのか、一応身を隠しながら。されどそれも裏庭に差し掛かり、彼の姿を目に捉えるまでの話。大きな音を立てて木々を飛び移りながら彼の前に降り立ち、早々に大きな声で嘆いた。)七松小平太先輩!!聞いてくださいよ、善法寺伊作先輩には戦場に出向きたいからとフラれ、立花仙蔵先輩にはいわれのない理由でフラれ、中在家長次先輩には先ほどシンプルにフラれました!!皆さん防衛忍務はそんなにお嫌いですか?!ベンリナダケ城城付き忍軍は比較的ホワイトな職場なのに!!(わっと泣きまねをしながら顔を覆い。そのあと手と手の隙間からちらりと彼の様子を窺う。あんまりに雑な哀車の術は六年生に通用するのか。青年自身ばれてもいいと思ってやっているところはあったので、早々に涙の一滴もない顔をあげるだろうが。)まあ中在家先輩に関して言えば、図書室で雪崩を起こした身なのでもしかしたらそれが理由かもしれませんが。その節では七松先輩にも大変お世話になりまして……(彼に庇ってもらったやらかしはさてどこまでバレていたのか。それともバレていなかったのに自分が気にし過ぎていたのか。鋭い眼光に見守られながら委員会に邁進した日々を遠い目で思い出す。 閑話休題。)違うんですよ。僕は別に泣き言を言いに来たわけではなく……今日こそあなたをスカウトしようと思いまして。ただベンリナダケは農耕が主な産業かつ山中の小さな領地なので、先輩の有り余る体力を諫めることができるかどうか、ちょっと不安です。(山ほど世話になった彼に声を掛けるのが遅くなった理由は大体こんなところ。同じような理由で塩江文次郎・食満留三郎両名にも声掛けしていないわけだが。それでも七松小平太をスカウトしたいと思うその心は、まっすぐに彼のそれを見つめる瞳がまず語り。)それでも、僕はあなたが欲しい。腕っぷしだとか忍者としての技術などもそうですが、まっすぐだけど機転も利く、心の芯のところが強いあなたがうちに来てくれれば、とても嬉しいです。(迷いなく澄んだ言葉でも語ろう。出来れば最後に両手で彼の手をぎゅっと握って。)考えておいてくださいね、七松先輩。(かわい子ぶった顔をして笑おう。年下と年上であろうとも、可愛い後輩の顔を使うのも吝かではない。なんてったって彼にはご面倒お掛けしっぱなしの一か月であったので。出来ればそのままうちに来てくれないかなあと、そんなことも考えているので。)――それでは、また!
* 12/28(Sun) 01:55 * No.72
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(今日も今日とて忍術学園はにぎやかだ。裏庭でひょっこりと塹壕から顔を出した男はふと覚えのある気配を察して髪の毛を振り回して土ぼこりを飛ばしつつ軽く視線を上げ。)おお、細葉史士郎!なっはっは、まあそうしょげるな。(進路について具体的なことは仲間たちとも共有していないが、三者三葉の断る姿というのは目に浮かぶようだった。朗らかに笑ってぽんぽんと肩を叩いてみる。)まあうちの学年より防衛任務に向いたやつはいる気もするが。(学年の面々を思い浮かべればまあ防衛任務の向き不向きについては彼にもわかるだろうに、と首をかしげて。いざ誰かを推挙するかと言われればそれもまた別問題として。)ああいや、委員会活動とは別のことで尾を引くこともないだろう。今のお前は学園の生徒ではないのだし。(なぜ断ったのかはさておくにしても、それが理由の一端ということはないはず、と、友人をフォローするように首を振って。泣き言を言いに来たのならば先輩として――どうやら年上だったようだがそれはそれとして――頭をわしゃわしゃと撫でてみたりなどもするつもりではあったのだが、どうやら違うらしい。うん?と首をかしげて彼の話に耳を傾ける。)なっはっは、んん、そうかそうか。ありがとう!(少しばかりの気恥ずかしさに見舞われて、頬を掻く。それはスカウトに来た忍者に対するのではなく後輩であった彼に向けて。こうしてまっすぐに瞳を向けてくれたからには応じてやりたい気持ちも深いのだが。)そうだな、では次の夏にでも領内の案内を頼みたい!(即座に諾を返してやりたいところだったが、就職となればそれはそれ。城勤めとなれば判断せねばならぬことも多くなる。にこやかに笑みを浮かべて見せて、これからの前途の可能性へと目を向けるだろう。忍びとして、これからどこで生きていくか。この有り余る力を何のために使うか。その視野の中に可愛い後輩からの一声が飛び込んできたのは、それはそれで嬉しいこと。)またな、いつでも遊びに来い!(ともあれ今は忍術学園の生徒として、元後輩の訪れをこれから先も歓迎すると、笑顔と共に示しておこう。)
* 12/30(Tue) 23:32 * No.80
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