会話
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30日目:忍たま長屋付近

(宴の喧騒からひっそりと離れていく人間は少なからずいる。細葉史士郎と善法寺伊作もそのうちの二人であった。先導しているのは細葉史士郎の方で、夜の帳を縫うように人目のない場所を探し、最終的には静まり返った忍たま長屋付近で足を止める。)――すみません、連れ出してしまって。お世話になった善法寺先輩に、お話ししたいことがあります。最初に結論から言うと、僕はあなたをスカウトしたいと思っています。(前置きは静かな声で。そこから細葉史士郎は、自分がベンリナダケ城付の見習い忍者であること、城付き忍軍の頭領に頼まれて潜入していたこと、そして優秀な人材がいればスカウトしてくるようにと言われていることを滔々と説明した。最終的に善法寺伊作はスカウトを断り、その上で戦場で見かければ治療をすることと、今話したことを誰にも言わないことを約束して去っていく。ひとりになった月夜に静かな息遣いを落としたところで、 近くの茂みから小さな音が聞こえた気がした。)――そこにいるのは誰ですか?(声色に焦りはない。返事がなければ風か小動物かだったのだとそういうことにして、何食わぬ顔で立ち去るんだろう。)
* 12/15(Mon) 09:23 * No.90

(喜八郎と宴会場に帰ってすぐ、どんぐりの姿が見当たらないことに気がついた。人懐っこい奴のことだから手近な忍たまに捕まっているのでなければ同室の英哉か、あるいは体育委員会の面々、そうでなければ生物委員会に保護されているのではないかと思ったが、すべて外れ。すると「どんぐりなら、長屋の近くで見かけましたよ」との証言が。男がなかなか戻らないので自室に在る巣に帰ったのだろうか。教えてくれた忍たまに礼を告げたのち、長屋に向かい、)…っ、(そして今、見つけたどんぐりに手を伸ばしかけたところで予想もしなかった事実を知った。否、何やら事情を抱えていそうだということは察していたが、彼が話さないのであれば深追いすることもないと今日この時まで放っていた彼の素性。それを意図せず盗み聞きしてしまった後悔と申し訳なさが返事を一拍遅らせた。そんな飼い主の躊躇など知らぬリスは堂々と茂みの中から姿を現し、よく知る彼の姿を見つけて嬉しそうに一鳴き。彼の反応次第では駆け寄りすらしただろう。)……すまない。さっきの話、聞いていた。(となれば諦めもつく。やっとのことで男も立ち上がり、気まずさを纏いながら茂みから出て頭を下げた。)
* 12/16(Tue) 14:36 * No.92

――おや、どんぐりくんだ。こんなところに一匹でどうしたの?(そんな筈はないとわかっていながらすっとぼけた声で、駆け寄ってくる小さな姿に手を伸ばす。動物は素直なもので、てててと青年の腕を伝って肩まで登り随分ゴキゲンそうだ。茂みに残っている誰かが、出てくるつもりもないならきっと何も言わずにその場を後にした。けれど、そこにいるのが彼だったなら。出てくるだろうとも思っていた。そうして姿を現した予想通りの人物に、静かに微笑む。)あはは、理助くんが謝ることじゃないよ。……まあ、僕も特に謝るつもりはないんですけどね。(距離感を測りかね、なんだかあやふやな口調になるのが自分でもちょっとおかしくて、眉を下げて笑う。小さなリスだけがずっと好き勝手にしているんだろう。)これでもね、なるべく嘘はついていないつもりですよ。特技は別に隠していないし、父に頼まれてっていうのもまんざらでたらめじゃあない。でもまあ、騙していたのは違いないかな。……まだ、言い訳した方がいい?(嘘はついていないけど隠し事は沢山あって、褒められたことではないと理解はしているので。問いかけをしながら、瞳を夜空に逃がすのも許してほしいところ。)
* 12/16(Tue) 19:33 * No.93

(立ち聞きしたことへの謝罪は軽やかにかわされ、そのうえ平素と異なる口調に迎えられて言葉が詰まる。視線は彼をとらえていたが、その口から紡がれるのは男に向けた言葉ではなく、視線すらかち合うこともない。その事実がただ哀しかった。)…いや、もういい。そもそも必要ないだろう。史士郎はやるべきことを果たしに来た。そして尋ねられなかったことは言わなかった。それだけだ。(だというのに、この場に居たのが男以外の忍たまであろうと同じような説明をしたのだろう。はあ、と重い溜息は一方的な思慕を思い知らされたような気分になって拗ねる、そんな自分の愚かさに対して。)謝ってほしいことも……いや、それはあるな。(そうして不満を隠さぬ顔で彼を睨めつけ、腕を組む。なんだか本当に腹が立ってきたのだ。)おいどんぐり。そんな友達甲斐のない奴のところに居るんじゃない。(ついでにちょっとした八つ当たり。本気じゃないのを察してか、単に彼に懐いているからか、リスは素知らぬ顔で彼の頭にのぼり始めた。)
* 12/16(Tue) 23:24 * No.94

(怒られるか、軽蔑されるか。予想していたのはこの二択で、前者でないと来れば恐らくは後者なのだろう。あーあ、と心の中だけで呟く。しくじったなあとも。それでいて表情だけは朗らかに、鋭い眼光に怯えた気配もなく微笑みを保つ。謝ってほしいことはわからないから、かわい子ぶって小さく首を傾げてみたが。はてさて、続いた言葉に瞳を瞬かせる。そりゃもう本当にびっくりしちゃったという顔で。)……うーん?(鏡合わせのように腕を組んでしばし考えこむ。ぽくぽくぽく。ちーん!のタイミングで頭長に登頂したリスが誇らしげに両手を広げていた。)……それはつまり、友達に隠し事をされていたからとっても腹が立っているってことで、あってる?(潜入していたことでも、諜報活動に勤しんでいたことでもなく。ぽりぽりと頬を掻いてから視線が彷徨う。この予想はあたりでもはずれでも、何とも気恥ずかしくてたまらない。)えーっと……僕は、細葉史士郎。ベンリナダケ領主の弁璃那茂武(べんりなしげたけ)様、そしてベンリナダケ城城付き忍軍頭領の細葉花咲(ほそばはなさき)の命で忍術学園に体験入学をしに来ました。……黙ってて、ごめん?
* 12/17(Wed) 10:05 * No.96

(友人に隠し事をされて寂しいと、言語化されればあながち間違いでもないけれど。ただ怒りの本質は其処ではないので「合ってない」と言おうとして口を開きかけたものの、登頂成功を誇らしげに示すリスに目を奪われた隙に始まった真の自己紹介。ならばと再び口を閉ざし、)……名前は本物だったのか。(やがてぽつり。少しずれた感想を。)いや、だから隠し事には怒っていない。……このような隠し事に怒るような、あるいは騙されたとお前を軽蔑するような奴だと思われていた事が哀しかっただけだ。(二度目の溜息は先ほどよりも軽く、呆れに近いそれだ。)そもそもお前、忍びだろう。密命を帯びた忍びには家族にすら言えない事もある。情に流され何でもかんでも話すようではまずいことくらい、忍たま歴ひと月の私にもわかるぞ。……が、成り行きとはいえ素直に教えてくれたことは嬉しく思う。………まあ、お前が何処の細葉史士郎でも、私の初めての友である事実は変わらんがな。(そもそも東の城に仕える身では彼の城と敵対することもなかろうという事実がある。ゆえに困り顔ひとつせず、もはや形ばかりとなった怒りを解くよう、組んだ両腕をすっと下ろして。)
* 12/17(Wed) 17:49 * No.98

(彼の表情はハズレを物語っていたかもしれないが、気恥ずかしいったらありゃしないので素知らぬ顔で話を進めた。やっぱりこういうところがさつなところはあって、それは嘘でもなんでもない。だから、彼の怒りの本質だとかも言われてから気付く羽目になる。)ああ、……なるほ、ど?理助くん、あなた本当に可愛げがありあまるなあ。(びっくりしたと気が抜けたと、やっぱり気恥ずかしいもあってぼんやりとしたまま茶化す言葉が出た。)僕も忍務遂行出来たならそれが一番だったんだけどね。学園長筆頭に先生方にはバレバレ仲間は小松田さんに見つかるでもう何を忍んでる?って感じで。内緒話も聞かれたしもういっかなって。(諦めの良さと切り替えの速さは忍としての長所だと自覚している。それにしたってな理由は、言うか言わざるか。あー、と意味のない言葉をいくつか吐いていたら、頭の上のリスにぺちぺちとつむじ叩かれるものだから、恐らくここらが潮時。大きなため息と一緒にどっと身体の力が抜けて座り込む。)……僕はあなたを見くびってたことを謝るべきだったなあ。(安心したら可笑しくなって、眉を下げて笑った。続いた「ごめんね」は先ほどよりも軽い調子で。)
* 12/17(Wed) 21:17 * No.99

そうか。(なんだバレバレだったのか。彼のこうした潔さは好むところである。それに、)学園長先生や先生方が体験入学生として泳がせている以上、危険な類の素性ではないとわかっていたからな。お前に事情があって言えないならそれでもいいと思っていた。(彼の全てを知らずとも、自分が知っている彼の姿は確かにあった。その全てが虚像というわけでないならそれでいい。座り込んだ彼とリスを眼下におさめ、ふっと笑った。今日一番の愉快な図だ。)……ああそうだ。お前は忍たまとしての私も、友としての私も見くびりすぎだぞ。(それから横に並ぶよう腰を下ろす。語らうならもっといい場所が他にあったが、そう時間はかからないだろうから此処でいい。並んだ二つの頭の上を、リスがぴょんと跳んで渡って来る。自由な奴だ。)許してやる。……許してやるから、無かったことになどするなよ。私とのことも、他の奴らとのことも。(謝る彼に真面目な顔で応えるも、頭にリスでは格好がつかない。でもそのくらいが丁度よかった。)皆に打ち明けろとは言わないが、真実を知ってお前を嫌う者など此処には居ないぞ。
* 12/18(Thu) 00:13 * No.100

(まったくもって懐の深い彼の楽しそうな笑みを見上げていればもう溜息くらいしか出てこない。)いやあ、……最近の少年は逞しいね、本当に。(故にこれは負け惜しみであり、言いたいだけの文句なので気にしてもらわなくてかまわない。しゃがみこんだまま右膝に右肘ついて、近くなった双眸をじっと見ていたら、頭の上で獣の跳ねる感覚。思わず声を零して笑った。)ふふ、いやだな、二度と会いませんようにとは思っていたけど、なかったことにするつもりはそれこそなかったよ。(敵として相まみえるくらいなら思い出だけでよかった。されどこの友はそうではなかったのか、何ともかっこいいことをさらりと言ってのけるもので。なんだかうじうじと考えているのもばからしい。余った左肘で、彼の肘を小突くようにうりうりと。)スカウトも失敗したし、こうなったら学園との縁くらいは手土産に持って帰らなきゃね。(わざわざ打ち明けるのも今更な気がするが、もうバレたってかまいやしないとそんな気持ち。と、ここで一つ思い出す。)そういえば、14歳っての嘘だったや。ごめん。ほんとは17歳なんだよね。(あんまりにがさつにさらりとしたネタばらしと謝罪だった。)
* 12/18(Thu) 23:38 * No.101

おい。そこはまた会えますように、だろう。(「うちの可愛い穴掘り小僧を少しは見習え」とは口先ばかり、彼の立場をわかっているからこその軽口だ。ふん、と軽く鼻を鳴らすのもそう。全てがポーズというわけでもないが、今は心を入れ替えたようなので不問に処した。肘で小突かれるのを拒まないのが男の答えだ。)ああ。使えるものは何でも使うのが忍びだからな。せっかくひと月かけて得たものを、思い出なんかにして仕舞っておくのは二流だぞ。(そして前向きな言葉に満足げに頷いた。別に今日でなくとも彼が忍術学園との縁を切らない限り、皆に打ち明ける機会は幾らでもあるだろう。後から知って文句を言うような奴は居まい。)……は?(だから安心しろと言うより先に、ぽいと落とされたどでかい暴露。文字通り目を点にして。)…ええ!?(たとえ正体がドクタケ忍者と言われてもここまで驚かなかったろう。仰天した衝撃でバランスを崩したリスが落ちる。)おま、…いや、あなた……年上だった…のですか…?(思わず敬語が入り混じるのは性分だ。童のようななりして時折年上ぶった物言いをするのが不思議だったが、まさかそんな。)……やはり、栄養が足りていないのでは?
* 12/19(Fri) 00:11 * No.102

(からかうつもりで暴露した真実は彼を驚かせるには充分だったようで、大満足。の、筈だったのだけれど。純粋無垢な刃が細身童顔の心を斬りつけたなら、思いっきりずっこけた。それこそ、出会った日のように。)あのねえ、理助くんに比べれば貧相というだけで僕は別に虚弱とかそういうわけじゃないんだよ!……ふ、……あっははは!(天を扇いだまま響くツッコミのなんとまあ情けなく、なんでもないことか。結局文句も多く続かずになんだかおかしくなってしまって、そのまま無様に大笑い。しばらく腹の底から笑ってから、涙目を指先で拭う。)敬語は良いよ、敬称も。今更だし。でも、小童と思われたままは悔しいなあ。いずれ本気で手合わせしていただこうかな。(「あなたは僕と相性悪いと思うよ」と、未来を語りながらひょいと立ち上がって。ぐっと背筋を伸ばす。なんだ、)体験入学が終わっても忙しいなあ。(学園との由縁作り、先輩方に手紙を書いて、卒業までにスカウト活動も。英哉くんに進退を聞いて、そして、)理助くんのお城とも、仲良くできるといいね。(いつか、こんな口約束が叶う日が来ればいい。そんな気持ちで朗らかに笑おうか。宴の音が聞こえてきた。)
* 12/20(Sat) 23:48 * No.105

(盛大にずっこけた彼が痛みに苦しむことはなく、不平と突っ込みのあとに続くは笑い声。)す、すまない。(どうやら後頭部は無事のようだと安堵しながら己の無礼をひとまず謝り、)……そうか。(彼が何歳の細葉史士郎であろうとも何も変える必要はないのだと知れば、逡巡の末に頷いた。)望むところだ。本気の史士郎との手合わせなら、私も興味がある。(彼の新たな一面を垣間見て、その先をもっと知りたくなった。相性云々については「どうだかな」と強がりでもなく笑ってみせたが、彼の本気は如何ほどか。壁は高いほど燃え上がる性質ゆえ、未来の約束を交わす姿は楽しげに。)うちは利のある城とは手を組むぞ。…お前が私を負かしでもしてくれれば、すぐにでも若様がそうするさ。(軽口を叩くように、けれど真剣な眼差しが男の本気を物語る。此方は希望で終わらせる気はないのだと。)まあ、私が勝っても友人として城に招くさ。…どんぐりの名付け親としてでもいいがな。(するとタイミングよくリスが鳴いて、男は笑った。)……さ、宴に戻るか。(そしてあの日と同じく当然のように手を取った。友達なので。――今宵の話を肴に盃を交わす日も、そう遠くないだろう。)
* 12/22(Mon) 00:15 * No.106


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azulbox ver1.00 ( SALA de CGI ) / Alioth