九堂律&宮生彰虎
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【Step1】7/9(月):夕方 瑠璃浜鑑台駅付近
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* No.4
(困り果てている。その原因は、対面の幼女の泣き顔である。本日の授業と自主勉強を終え、帰路を辿る足が通学に利用している瑠璃浜鑑台駅前の通りへ差し掛かったのが20分ほど前。母親を呼びながら泣きじゃくっている幼女をそこで見つけた。彼女の背格好から推測するに、年齢は幼稚園の年長くらいだろうか。母親と逸れてしまったらしいとみて放っておけずに声をかけたものの、泣き声がかえるばかりでまともな返答はない。周辺に母親の姿は未だ現れない。)……いや、君、このままでは解決にならないでしょう。と、とにかく……、(双鏡学園の制服姿の青年は零れ落ちる幼女の涙に手を伸ばしかけては止めての動作を繰り返し、ついには途方に暮れて固まった。親を探すにしろ、然るべき場所に連れて行くにしろ、まずは提案を聞いてもらわねばならないというのに、肝心の相手は道端で立ち尽くしたまま泣き続けてそれどころではない。不安に苛まれる幼い心には、耳を傾ける余裕もないのだろう。小さな子供の扱いがとんでもなく不得手なのだと、初めて自覚を持った。)一体、どうすれば……。(どうすれば良いのか皆目、わからない。陰りはじめた夕空の下、棒立ちで遠い目をしていた。)
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当初は名簿での情報も伏せられていたので九堂律については自己PRの内容しか知らなかったのですが、誰に対しても厳しく堂々としていそうな彼が子ども相手に戸惑っている姿はすごく珍しいように感じられて、固まったり棒立ちで遠い目をしている姿がちょっとおもしろかったです。(小声)
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* No.20
(子供一人分の体重を支える背中は随分と頼もしい。彼の行いで救われた状況も相まって、なおさらにそう感じられるのか。遊園地のアトラクションさながらに視界が高くなってはしゃぐ、今泣いたカラスがもう笑ったを地で行く迷子を見やった瞬間に青年の眉が上下し、僅かばかり複雑が浮かぶ。良くも悪くも子供は素直だ、受け入れる相手を選ぶのを隠さない。理解していながらも複雑が過るのは否めなかったから。)君は、学校帰りですか? 鞄や、持ち物は?(逞しくとも、子供をおぶって移動するとなれば負担も相応だろうか。責任感に突かれ、負担を少しでも軽減できればと男子生徒へ淡々と申し出る。彼が荷物を携えていたならばそれを運びたがった。)高身長にはデメリットもあるのですね、なるほど。威圧感……あまり、私は感じませんが。(高身長に憧れる性分ではないが、高身長には利点が多いはずとの単純な思い込みはあった。体格よりも言動の柔らかさの印象が勝り、彼と威圧は結びつかない。が、子供の感覚は異なるのかもしれない。交番への道すがらの問いに、もともと愛嬌の欠片も無い表情に渋さが混ざる。)……おそらくは、数十分程度、苦戦を……。(性格的に誤魔化しなど出来ないが、不名誉な格闘を明らかにしなければならない事態にますます渋面になる。短く息を落とすと、かなり困っていましたと顔は前方に向けたまま正直に口にした。)
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ペア相手ということもあってわりと踏み込み気味に聞きたいことは突っ込んでいたのですが、九堂律をこんな風に(不名誉な格闘を晒させるように)渋面にできる人間はなかなかレアだと自負しながらも初対面でこんなに踏み込まれるのは九堂律としてはかなり不本意だったんじゃないかな…ごめんね…と今になって思う気持ちもあります。でもやっぱり不名誉な格闘って表現しながら渋面するのおもしろすぎます。
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* No.41
君の個性であり、スタンスであると受け取っておきましょう。礼節はわきまえていただきたいですが……、今のところは、そちらに不快は感じていませんので。ええ、その……、検討、しておきます。面識は得ましたし、今後見かけたら挨拶くらいはしますよ。知っている顔を無視などしません。(多くの友達を欲しがる人間というのも居る。彼もその類の人間かと推測した。己の取っ付きづらさなどこれまでの会話で察せただろうに、それでも友にしたいとはもう物好きの域ではないか、検討に対して肯定を返しながらも呆れを帯びてしまう。不快ではないとは事実である為、拒否には至らずに検討の段階で足踏みする他ない。)……。(優しくありたいのは自分のため。そう語った彼の真意が掴めず戸惑うも、むず痒さを押し込めて生真面目な表情を作り直した。つかみどころがないような、よくわからない相手だ。問題のある言動もこれといって無し、ゆえに深入りする理由も見つからないものの、なんとなしか落ち着かない心地がする。その心地も話題が移ろったなら、長続きはしなかったが。)……下の名前で呼び合う文化圏で育ったのでしょうか。ところで宮生君も双高生でしょう、学年は?(異星人と初めて遭遇した人類は、この青年のような顔をするのだろう。仲良しといわんばかりの下の名前呼びは、異星レベルの別世界。今度こそ、胡乱げに睨む目つきになった。礼節を弁えよと注意するラインには未だ絶妙に引っかからない。馴れ馴れしさや無邪気とはどうも合致しない、まさに人好きのするとの表現がしっくりくる印象を受け、人たらし、の一語がまた頭に浮かび上がる。交番への距離を詰めれば、出入口近くの机で警察官と向き合っていた女性が三人組の一行へと振り向く。次の瞬間、女の子の名を叫んで必死の表情で駆け寄る女性へ、「ママ!」と叫び返して幼子もくしゃりと顔を歪めた。)
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名前呼びは拒否される可能性あるだろうなと思いながらもワンチャン押し切れるかな?と強行したのですが、「礼節を弁えよと注意するラインには未だ絶妙に引っかからない」判断に、本当に!?!?大丈夫!?!?基準そんな感じなの!?!?!?とはちょっと思っちゃいました。名前、ほんとうに呼びやすいのでここから何回律って呼んだかなくらい呼び続けちゃいました。あとここでしか弁明できないと思うので主張しておくと、律はフレンドリーなタイプではないと思うから最初から名前呼びしておきたかった気持ちが強くて、要するに宮生は誰に対しても初対面名前呼びなタイプではないです。わかりやすく特別も好きなので、九堂律に対して「律」って呼んでる人間って絶対周りに対してのマウントにもなるので律呼びがしたかったんです…。
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* No.50
私と接触する為だけに廊下を歩き回るのは非推奨です。昼食を食べる場所ですか? 教室か…天気次第で屋上も利用しますが。(真顔で、いわゆるマジレス。ますます呆れたように眉を顰める一方、律儀に答える。ちなみに、昼休みの時間に一人きりで過ごすことも珍しくない。――コミュニケーション方法の異文化感。初対面の同年代の若者と親しく呼び合った経験はない。)理解できかねますが、そう、なのですか……。(腑に落ちないながらも呼称の選択に首肯を返す。彼の容姿の情報から学年を判別するのは難しい。一学年下と知り少し目を見張る。自分は三年生だと改めて告げて、数秒の無言。)……、君の好きにすればよろしい。(一学年二学年の生徒たちにはもれなく、苗字に先輩を付けて呼ばれる。呼ばせている。敬称とは相手に対しての敬意を示す手段であり、礼儀に繋がるもの。しかしながらこれまでの彼の振る舞いが総じて人懐っこくはあれど無作法ではなかったと思うから、敬称無しのファーストネームも、そう呼びたければ呼べばいいと結論付けた。ふいっと一度顔を背ける動作、照れ隠しは分かりやすかっただろう。迷子と母親の再会をみとめ、胸を撫でおろす。ふいに視界に入りこんだ笑みに瞬いてから、浅く顎を引き頷き返した。)こちらの宮生君も、迷子の保護に尽力してくれました。ここまで来れたのは彼のおかげでもあります。(「でしょう?」と投げかけた相手は、元迷子。彼女は満面の笑顔を広げた「うん!」 男子生徒二人へ母親が謝辞を繰り返す場面を経て、交番を離れた後、彼の学生鞄を持ち主へ差し出そう。)ここまであの子をおぶって連れてきてくれて、本当に助かりました。お疲れではないですか?
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ここすごくないですか!?後輩には苗字に先輩を付けて呼ばせている九堂律が律呼びを呼ばせた後輩がいるってもう大ニュースですよ すごい ちなみに律呼びが断られていても宮生なら「九堂さん」呼びになっていただろうなって思っています。呼び掛けるときは「先輩」になっても名前に先輩をつけるイメージがあまりなくて… でも本当に律呼びを許したのってとてつもない大ニュースだと思うので嬉しかったです。
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【Step2】8/12(日):午後 ハッピーイート店内
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* No.95
(「ありがとうございます」店員にお礼を告げ、お冷のコップを持ち上げれば硬質な冷たさが肌に伝わる。喉を潤す氷水のおかげで、生き返った心地。)久しぶりですね。夏バテは幸い、していません。宮生君は? 今日の食事、ですか? まぁ、昼にホットドックを。(答えを返し、広げられたメニューをおもむろに手元へ引き寄せた途端に視界に流れ込むハッピーの羅列。)……ハッピー、とは……。(あまりにも同じ文字ばかり注視し続け、ハッピーの認識が崩壊しそうになった。メニュー名に添えられた写真のほうへ意識を向けなおそう。)ドリンクバーは確定として。あとは……、(案内に頷き、ドリンクバーの注文は決定として。デザートのページを前に、真顔。ハッピーサンデーチョコとハッピーサンデー桃を行き来する人差し指と視線に迷いが滲み出ていた。迷いの果てに泳いだ瞳がグラスの中で氷が鳴った音を契機に、対面の人物へと落ち着く。やはり、詳しい者に尋ねるべきだ。)……あの、サンデーの量は実際にはどれ位なのでしょう?(ぴしりと背筋を正し、大真面目に質問した。写真のみでは現物の予測しようにも限界がある。二品を注文して腹に収められるか、一品だけで満腹になりそうか、注文の参考にする為の質問である。大食いではないもので慎重を期したい。様々なフルーツや菓子の名称と写真に触発され、胸裏が密かにそわそわし始めている。)
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ハッピーの洗礼を受けてハッピーの認識が崩壊しそうになっている九堂律、すごくおもしろいです。
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* No.117
む……。(悪戯な笑みを一人合点に意味深に受け取ってしまい、触れ方に迷って曖昧な首肯で流した次第。)えぇ? そ、そう…ですか。(二人分の疑問符の乱舞を経て、良い想像に合致した故であったかと戸惑いながらも頷いておく。レタス問題には大真面目に「それこそ一番の難敵ですね」「レタスが底に残らないよう意識して都度調整し、それでも残ってしまったら包み紙からレタスを押し出して食べます」 食べ残し無しを最重視した手法の説明がなされた。)ハッピーがネックなのですか。総じてコストパフォーマンスは良いように思えますので、てっきり学生向きかと……。(今時の双高生はもっと小洒落たものを好むのだろうか。同年代の友人の少ない青年の想像は直ぐに限界を迎え、あからさまに不可解を浮かべて首を捻る。意図せずしてハッピー戦略の支持者めいた立ち位置になっていた。)……合っていましたか。ええ、良いイメージですよ。美味しそうに食べるか、君が注文するならその点も間もなく判明するでしょう。(一度語ってしまえば、良いイメージだと印象を言い切るのに躊躇いは無い。共に卓を囲む以上、相手の飲食の様子が目に入る、それ故に判明すると真顔で対面を見つつ述べる。斯くして二人のオーダーが完了し、促されるままドリンクバーへ。選択したアイスコーヒーにはミルクもシロップも加えずに、グラスを手に席に戻る。その後、)……おお。(彼曰くのわんぱくの到着である。この重量感、これがハッピーか。ある種の感動を覚えたゆえの声が零れた。「いただきます」手を合わせてのち、パフェスプーンを手に取ったが、期間限定のハッピーなサンデーのどこから攻略したものか迷う。)
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ハンバーガーもお上品に食べられる九堂律の包み紙にレタス残る問題に対する大真面目な回答がすごく面白いので、一緒にバーガーを食べるときにどんな風に食べているのかめちゃくちゃ観察がしたいです。こういう面白い部分もっともっと知りたい。
わんぱくを前にした反応がよくて嬉しいです。
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* No.145
小学生の頃よりかは確かに進歩ですが、もう、よくも悪くも前向きといいますか……。暗記は当然として、応用して文章を理解できるように(云々かんぬん、先輩のアドバイス兼小言。後輩の素直な態度と意欲が逆に、妙な敗北感を連れてくる。どうも敵わない感に陥って肩を落とした。話題が移ろうと、瞬きを一度。)花火? ああ、そういえば来週の日曜は花火大会ですね。(予定がないとは即ち、来週の花火大会とも無縁である。関わりなければすっかり失念していた催し事を、彼の言葉で思い出した。徐に下りたフォークと皿の出会う微かな音の後、)……誘って下さると? よろしいのですか、その、(頭を占めるのは誘われた時間帯や場所よりも、花火の単語によって引き出された夏休み直前の教室の記憶。浮かれた級友達の専らの話題はみなも神社の例大祭と花火フェスタで、友人や異性と共に過ごす一時への期待が満ち満ちていた。深那莫における年に一度の華やかな催しだからこそ、学生たちにとって価値が高いとさすがに察せた。そして、気の置けない朗らかな友人たち、可愛らしい女子、件の日にはそうした背景が彼にも似合うと思う。故に、伺いの言が出たくせに、)見たいです、花火。……なんだか友達らしく感じますね、一緒に花火見物の穴場に行くのは。(戸惑いを追い越した気持ちが唇を割らせて、解けた素直な語調。友達と共有する非日常の夜を想像すると少々ざわつく感覚は、不思議と悪くない。「すみませんが、アイス、多めに取って下さい」気恥ずかしさを誤魔化したくて不愛想な調子で放ち、俯き加減にガトーショコラをつつく。)
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もっと仲良くなりたいけどどうしたらいいんだ…!?どうすれば九堂律にとって居心地の良い相手になれるのかな…と考えつつ、ダメもとで誘った花火を思いのほか前向きに受け入れてくれた反応が当時は新鮮に感じていました。同時に綺麗な景色や季節行事が好きなのかな、のイメージにも繋がっていったので、当時本当に誘ってよかったし受け入れてもらえてよかった〜!!と思います。
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8/19(日):夜 双鏡学園前 >律【5】
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* No.18
(遠く、打ち上げ花火の音がする。休日であろうと赴く先が学園であれば選択肢は決まっており、青年の纏う衣服は双鏡学園の制服である。慣れない予定内容に緊張を湛えていたが、待ち合わせ相手の姿を見ると少しほっとした表情を浮かべた。あげられた飲み物の名称に、つくづく用意が良いものだと眉を上げる。「オレンジジュースで」と簡潔に告げやがて、連れだって高等部の校舎へと。密かに身を滑り込ませたその先は、しんとして人気がない。見慣れているはずの場所が、知らない顔をして夜の謎を隠している風に映る。その光景が掻き立てる胸裏のざわめきには、常識外れな忍び込む行為を責め立てる声が混ざった。それでいながら、罪悪感よりも高揚が勝るのは何故だろう。爪先を進めながら、そっと傍らを横目に捉えた。足音を殺して階段を上る。途中で一度足を踏み外しかけ、手摺を握って足のバランスを直した。何事もなかったように歩みを再開させ、プライドを保とうとした。散発的な花火の音が徐々に近づいてくる。そうして辿り着いた先、屋上へ続く扉を開く手を息を飲んで待って。友人に続き境界を踏み超えた刹那、ドォンという音と共に頭上に花開く大輪の輝ける花々。肩を並べて見上げただろう。)……綺麗。(掠れ声は、応えというより独白に近い。知らず知らず速足になって、海側のフェンスへと寄った。天へ向かう軌跡の列が、水平線に彩り豊かな粒子を注がせる。さらにその上に連なる、幾重もの光の輪。ひとしきり見惚れた後に、友人の移動先に気付いてはっとする。)綺麗ですね、本当に。(夜風に乱された髪と興奮で上気した頬のまま、隣に腰を下ろし、工夫もない感想を口にしつつそっと持ち上げた眼差しは、彼も楽しめているかと覗う気配を含んでいる。ややあって、)……あの、宮生君、(内心の影響で囁きめいてしまった声で呼びかけた。)
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校則としてセーフなのかアウトなのか厳密にはわからないのですが、夕方〜夜の学校の屋上に花火を見るためだけに忍び込むというちょっぴり背徳的なことをするときに緊張していたり姿を見たらほっとしてるのがちょっと信頼されている感じがあって良いなと思います。ハッピーイートにてコーヒーが好きなのかな…と勝手に想像しつつのコーヒーとオレンジジュースの二択にしておいたのですがオレンジジュースを選んでくれたので用意しておいてよかった!!になりました。
花火の描写と、それに対する反応のこの一連がすごく綺麗で、このシーンが見られただけでも誘うことができて、受け入れてもらえてよかったな…!と思いました。もっと知りたいし仲良くなりたい気持ちがあったので、この花火がきっかけで少し心の距離が縮まったんじゃないかなとも思っていて。
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* No.25
次……。(人の可処分時間には限りがある。“次”となれば硬貨を手渡して清算するよりも、その限りある時間を費やす事になる。ならばそれに相応しい次にしなければならない、今日の花火と同等に意義のある時間にしなければならない。果たして考案できるのだろうか。眉を寄せ、青年は難しげな表情をする。だが、改めて彼の顔を視界に収めた途端、躊躇いは吹っ切れた。)……そうですね。今までの誘いは、君からでしたから。私からも誘います。(貸し借りを良しとしない思考はそのままに、されど小難しく考えずに柔らかく約束を告げていた。友達同士ならばこの軽さで構わないと、理屈なしに悟った。次を充実させる為にももっと彼の好みも知りたいとは思う。そこに関して知っている事といえば、濃厚ガトーショコラと重ためのチーズケーキが好き、くらいだから。)し、信頼……、確かに一言で言い表すならばそうなりますね。(認めながらも照れ臭さを紛らそうと色を変えゆく花火に目を奪われる振りに徹してそれから、耳を傾けた。この花火と己を結びつけて思い出に留めてくれる。それはとても美しく聞こえたが故に、喜びとともに反動でくすぐったさに見舞われる。むずがゆそうにきゅっと噛み締めた唇がその証左。他方、胸奥に僅かな痛みが降った。来年の花火大会の日には、二人別々の場所で今日のこの瞬間を懐かしむのだろうか。笑顔を見つめて噛み締めていた口を開きかけ、逡巡のうちに閉じて、また開きなおす。)君さえよければ。来年の花火見物は、私から誘いますよ。学校の屋上でとはならないでしょうが、もっと綺麗に見える場所を探し出せるかもしれません。……よろしいでしょう?(平常のままの落ち着いた声音に次いで、そっと首を傾いで覗う。良かれ悪しかれ 、来年に目にするのは今日とは別の景色。繋がりが続けば、美しい思い出ばかりとは限らない。それでも、と願いを眼差しに籠めた。バリエーション豊かな花火を楽しむのは、缶の中身を飲みきるまで。そう定めては、少しだけ飲むペースを調整したのは友人にも秘密だ。)
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友達としての定義だったり付き合いの頻度や深さ、気軽さもすべて人それぞれだとは思うのですが、この時間を経て宮生が望んだ気軽さを理解して受け入れてくれたところに絆の芽生えと、それから律くんのやさしさを感じていました。
こう思ってくれるようになったのがすごくすごく嬉しかったです…。来年の花火大会は絶対的に期待しつつもちゃんと律が切り出してくれるまでは話題に出さずに待っていると思います。
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【Step3】10/16(火):夜 〇×公園
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* No.160
(中間試験期間中の平日の夜とあらば、スケジュールは決定事項。瑠璃浜鑑台駅付近に位置する予備校にて本日分の学習を終えたら即、帰宅する。そのはずだった。しかし今、秋の涼しさを孕む薄闇の中。正しき道筋を外れ、人気のない公園のブランコに身を落ち着けていた。頭上の街路灯の淡い光が、周囲の遊具や植え込みのシルエットをぼんやりと縁取って描いている。カーディガンのポケットから取り出したスマートフォンの画面の時刻表示を確認し、片足で地を小さく蹴った。微かに軋む音とともに、青年を乗せたブランコがきもち揺れる。)まだ帰るには早い。もう少し……。(予備校帰りの寄り道をもう少し続けようか。常日頃は寄り道を許さない口が矛盾を零す。スマートフォンに接続したイヤホンを耳に付けると、数えきれぬほど再生した動画の再生回数をまた増やす。本来は遊んでいる暇などない、自宅では決まりきった勉学の時間が優先される。それは周りからの期待であり、自分自身が課したことでもある。その正しさは理解しているのに、素行不良の学生さながらに夜に漂う己の現状に溜息を吐いた。矛盾していてもそれでも、まだこうしていたいから。液晶を片手にブランコを漕ぐ。鎖を鳴らし、憂いを引き摺って暫し揺れていた。)
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すごくすごく個人的な話なのですが、本当に本当に最後までロックと律を結びつけることができなくて、悪あがきのように佐々礼さんカラオケ店でバイトしてるしワンチャン…?と思っていたことを告白したいです あんなにたくさん話した律が誰なのかわからなかった私も察し力がとても低いとは思うのですが、表現の種類が異なって見える使い分けが本当にすごいなと、イヤホンのシーンを見ても100%の確信にはなっていなかったあの頃の気持ちを思い出して書かせていただきました。
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【Step4】11/16(金):深夜 宿付近の路地裏
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* No.195
(繕わぬ顔を不用意に晒して結果、さらに踏み込まれる。うっ、と首を竦め、詰まった一瞬が置かれるが、なんか言いたいのはその通りであったから受け取って返したいと思う。「……調子乗ってんじゃねーよ、だけどありがとう、という事です」くぐもった声で恥ずかしそうに伝え、若干おそるおそるな気配を伴わせつつ、低く浮かせた爪先でもってほんのちょっとだけ相手の足を突っつこうとしてみた。)……そう、か。いいんだ。(すとんと落ちた心地に合わせ、呟きも落ちた。知りたい、呼吸のしやすい相手でありたい、社交辞令の類とは一線を画す言葉。彼を信じられるから、その言葉も信じることができた。ゆるぎない温もりが胸に宿って、微かに潤みをみせる瞳の光。)では君の前では、少々悪い子が顔を出しても隠さないようにします。そうすればきっと、呼吸がしやすいから。(好きなものも嫌いなものも隠さない悪い子が許されるならば、楽になれる。正しくはなくともそれを望む。君には甘えてばかりだ――自覚するにつれ、どうしたって感じてしまう申し訳なさは敢えて省き、喉に押し込めて、かわりに素直をそのまま口に上らせよう。そうして、ずるりと槍の抜ける怖気だつ感触の後に、怪我ひとつなく、衣服の破れもない状態を朦朧とみる。問題ないと伝える気力もなく、ただし伸ばした手は掴まれた。)ありがと、う……。(脂汗を滲ませながらもどうにか礼を告げ、奥歯を噛みしめ、肩を意識しないようにして支えを頼りに立ち上がると友を庇う格好に一歩進み出た。傍に居て。繋いで握りしめる指が切望を語る。次いで理想の姿へと、声を絞り出す。)……ごめんなさい。本当はずっと、イヤホンじゃなくて、良いスピーカーで聴きたかったのに。(あなたの曲に救われたのに、己は不実だった。それは、姿を借りた相手へ向けての謝罪。)不実は変わらないかもしれない。けれど、そんな私を受け入れてくれる人が一人は居る、……ここに、居てくれる……それだけで、大丈夫。自分の中のあなたを認めて、自分の人生を生きられる。だから、(熱の溜まった呼気を吐いた。)……戻ってこい。あなたは私に属すものだ。
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Step4・Event6前半は悩みにまつわる話なので未だに少し読み込むのに勇気がいるのですが、後にアリスを支えてもらったことを思うと、本当に宮生は律を支えることができていたのかなという気持ちも少しあって。良く言えば「丸くなった」と表現できるのかもしれませんが、律は結局この後もずっと“良い子”だったので、たとえばクリスマス前のメールを送ったときも逆に距離感を測りかねている印象がありましたし(あの時期はアリス→ロックのあれこれがあったので尚更律としては影響した確率は高いかなと思いつつ…)、悪い子がちょっと出そうなときはちゃんと出せてる?このあと逆に関係が進んだことで言い出しにくいこと増えたりしてない!?と思ってしまう部分もどうしてもあって、だってほんとにずっとすごくいい子だから…涙 Step4の時期は宮生にとっても律=ロックが判明したことで少し混乱していた部分もあって、加えてどこまで踏み込んでいいのか、支えていいのか悩むこともあって、律はしっかりと自分で乗り越えた強さがあることが本当にすごいなと思います。もっともっと律にとって寄り掛かることのできる強さと包容力をしっかり身に着けたいです。
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* No.201
ああもう、不甲斐ない……!(俯いてぼやく。震えの収まらない体が情けない。いやいやラビリンスでは怪物みたいなシャドウと何度も戦ったし、ペルソナ召喚するたびにダメージ負ってたしっ、こんな痛みやら何やら、なんてことねーし……っ! 自らを叱咤すべく続々と胸中に吐き出していた最中、呼ぶ声と隣に腰を下ろす気配が感覚に届いた。触れ方が優しいからだろうか、その手を通して身の内へ安心感の波が広がり満ちてゆくのを、俯いたまま瞳を閉じて享受する。また耳にも、優しい音が触れた。次第に負は遠のき、震えは静まった。自身の穏やかな血の巡りを実感すれば、顔を上げる。)そうですよね。私、頑張りました。(労いを受け、案外とストレートに先の自分を肯定することが出来た。微かな笑気混じりの息が零れる。)夜更かしはいけません……ね。そもそもこうやって往来に居座るのも、消灯後に抜け出すのももっての外です。君も私も。(イデア・ルームと縁を得て以来の己の夜更かしの習慣は、それはそれとして。良い子の指標が間違いとも思えぬ故に、いけないことをもっともらしく諫めるスタンスにとりたてて変化はない。ただ少し声色は柔らかく、隣に重ね合わせるように呼吸する。現実の夜更けをまざまざと感じるのはたしかに、随分と久方ぶりだ。それから。)ありがとうございます、頑張れたのは君のおかげです。……優しいのですね、宮生君は。(友達同士とはいえ、今夜は過ぎるほどの優しさを貰った。これほどまで貰う所以が無いようにも思えて、この優しさは彼の気質かとぼんやり浮かべつつも幾許かの複雑を面持ちに乗せ、「本当に、ありがとう」と礼を繰り返した。)
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自分の行動で少なからず安心感を与えられているとわかるとすごく安心できるので、これも実質律に支えられてるんだな…と思いつつ、ちゃんと「私、頑張りました。」と認めるところがかわいいです。律がラビリンスでの戦闘をこんな風に思ってると考えると単純にめちゃくちゃかわいいな…となりました。技使うたびに体力消費するの絶対に怖いですよね!?よく頑張ったよ…。
そうかな!?優しいのは絶対的に律のほうだよ……と今でも思うのですが、そう感じてもらえるような行動が出来ていたなら良かったなとも思います。
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* No.206
(見上げる所作につられるようにして、夜空を見仰ぐ。冬の星の瞬きと向かい合うと、不思議と体の力が抜けて無造作に腕を垂らした。)……わ、かっていますよ。今夜に限っては、私も君も同等に悪い子です。私のせいで余計に時間がかかったことも認めます。(悪い子。その一語も彼の口を介したら、どうしてか罪悪感は沸かない。むしろ、なんとも言えないくすぐったさが胸裏に伝い、夜闇のなかでそっと口端を曲げた。あまりにも刺激の強すぎたひとときを思い出に昇華するにはそれなりの時を要するにしても、隣の笑い声が気持ちを軽くさせる。謝礼の一幕ののち、渡された言葉に思わず彼の横顔に眼差しを向けた。初めて出会った日が想起される。あの日の会話に連なる話なのだろう。そして引きずられるように自ずとあれこれと思い出されて、)……なるほど。(こくりと頷きを示した。夜空に視線を投げつつ言葉を纏める間をおいて。)今の話を聞いて、腑に落ちました。君の優しさ、親切は、なんといいますか……いつも綺麗に嵌り過ぎる気がしていたもので。相手に合わせて埋めて貰おうとの心働きであったなら、ええ、腑に落ちますね。(人が人に向ける優しさの情も行為も大抵、どこかしら不格好であったりすると思う。彼には、不格好が感じられなかった。その良し悪しは語らない。ただ事実だけを、受け止める。)しかし動機が何であれ、貰う側は君の優しさとして受け取るでしょう。(己がその筆頭だと、ほんのり苦笑い。……空っぽ、音にせずに繰り返す。どうして?本当に? 纏めきれず散り散りになる思考をかき集めていると、彼が立ち上がりそよぐ空気。)……、手を。(口を結んで見つめてから、もう一つ甘えて差し出された手につかまり立ち上がろう。この骨ばった浅黒い手に、何度助けられたか。ホテルに戻った後は、疲れも相まってたちまち眠りに落ちた。無断外出の罪悪感にも悪夢にも苛まれない、温かな眠りに。)
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九堂律という人物をどこか掴みどころのないように感じていたのは悪い子の部分を隠していたから、という部分に納得したのと同じように、律自身も宮生の優しさをそういう風に感じていたと教えてもらえて、とても興味深く感じたシーンです。それでも優しさだと受け入れてくれたことが嬉しかったです。
始めから差し出すのではなく、求めてくれたから差し出せた手なのですが、頼ってくれた信頼と好意を感じることができて嬉しかったです。今はもう必要がなくても差し出してしまうと思うので、この時からまた関係を深めることができて良かったなと思います。
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12/23(日):19時頃 深那莫中央公園入口 >律
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* No.80
中間は中の上くらい?(素のトーンの復唱。彼の発言内容を咀嚼しつつ見詰める数秒を挟み、)意外、な。あ、いえ、すみません。頑張っているのですね。(悪気はないものの、これまた失礼にもほどがあると気付いた。気まずげに咳払い。)選択肢を広げる努力……ふふ、偉い。進学の場合はご家庭の状況の関係で、宮生君自身がお金を貯める必要がある?(静かに笑気を伴いながら、嬉しそうに微笑みを湛えた目を細めた。上から目線の先輩の言い草は、許して貰えるはずという甘えの意識に基づいている。続いては、世間では親の援助の下で進学を志望するケースが比較的多いだろうとの認識も相まって、慎重な触れ方になった。連れ立って公園内の遊歩道へ緩やかに歩を進めると、ちょっとした非日常の世界じみた、夜に浮かび上がる演出が目を楽しませる。フローライトのモニュメントにクリスマス装飾がされているとだけ事前に調べて情報を得ており、それは如何なるものかと楽しみが募って。噴水、と口の中で音をなぞる間に、若い女性の二人組とすれ違う。すれ違いざま、二人の視線はちらちらと連れの長身へと走って、浮ついたくすくす笑いと「ね、ちょっと格好良い」などと囁き合う声が尾を引いた。)………君はこういう場所にはよく来るの、デートで?(口にしてしまってから。気になる、そのくせデートのあれこれなんて聞きたくもない――妙な面倒臭さに自覚が追いつき、後悔して、マフラーを鼻先まで引っ張り上げ、噴水を探す視線を道の先へ投げかけた。)
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ここ、もっと全然遠慮なく言ってくれてよかったのな…!俺に遠慮をするな…!の気持ちになりながらも、褒めてくれたのでまあ良いか…になっていました。
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* No.92
今までと比して著しく成績が上ったなら、それが頑張った証ですね。(実績を重視する。故に実績があると知れば、落ち着いた声で努力を認めるのだった。)高校卒業したら大人扱い……ですか、(即ち、子どもの立場であれば得られる庇護もないという事か。しかし大人扱いに対しての彼の口振りに淀みはないようだ。少し、表情が揺らいだ。)ある意味、私よりも先に宮生君が大人に達しますね。今だってバイトをしている分、きっと君のほうが大人に近い。(先を行く相手を見る目で彼を見て、問いかけを受けては、ん?と小さく声を漏らし、己の内面から言葉を探す。)法学部志望なのですが……、そうですね、将来は少しでも人の役に立てる仕事に就きたい。マンゲツが言っていたでしょう、大抵の人間が理想空間の中で幸せな夢を見る、マイ・ルームから現実に帰ることを拒む者も居ると。裏返せば現実がままならず困っている人が、案外と多いのかもしれない……と思って。(淡々と語り終えると、一息ついた。やがては散策めいた道中、どっちの声を向けられ、)……う゛。(マフラーの陰で詰まった。歩みの速度を一定に保ちながら聞き入り、ごめんの謝罪には緩くかぶりを振る。灯火色した電飾に視線を彷徨わせ、切り出したタイミングは十歩ほど刻んだ後の事。)例えばこの先、君に愛する人ができて、その人が君にとって私よりも特別な存在になったとしたら。君が私の居場所である事に何らかわりないけれど、なんだか……つまらないな、嫌だな って。(自らの情緒の幼さをつくづく感じ、苦笑を禁じ得ない。伝えられたのは、嫌いも言っていいと以前に背中を押して貰えたおかげだ。近づく流水の音。噴水の広場の片隅でそっと爪先を止めると、マフラーを下げ隣へと向き直り、目を合わせた。)多くを求めるつもりはなくて、でも。君の一番の特別になりたい……これだけは、いつまでも望んでしまう。(この望みこそが最も欲深いか。慕情と苦さ、光と陰が瞳の中に交錯する。)
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本編を通じてこうした考えに至って、まっすぐ自分の夢として向き合うことができた強さが本当にすごいなと思います。律に助けられる人、絶対にたくさんいるんだろうな…と誇らしく応援したくなる気持ちで胸がいっぱいになりました。
律の悩みイベント終えた時と、アリスの悩みイベントを終えた時では恐らく関係性としての分岐が幾つか変わったように解釈しているのですが、この控えめな物言いを律の個性として受け入れたい気持ちがありつつも、もっとちゃんと欲しがってよ〜!!の気持ちもつい抱いてしまいました。多くを求めてくれよ…。
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* No.129
(今後の自分たちの関係の最適を考えてくれている。それ故の質問だと解釈した為、恥ずかしくて居たたまれなくても説明に必死になった。愛のない下心なんて、論外だ。その主義までは口に出せなかったが、主義に沿った気持ちごと伝わったらしい。少々救われた心地。)どっちでもいいんですか……。ええと……、(半々の己が合わせるべきなので、君の側に希望はないのかと尋ねようとして、しかし彼を満足させられるレベルに合わせられるのか?と葛藤する間に、軽い笑みが目に入る。)成り行き任せ、という事……?(それでいいのかな、と首を傾げては、確認をとるふうに。不慣れな話題が終われば、ほっとするだろう。限界まで張りつめて彼の肩に頭を寄せた格好のところ、耳朶に響いたその声。拒否ではない、もう望まれていた。胸内に走るのは、先とは別種の苦しさ。告げられた言葉を反芻し、落とし込むにつれ、じわじわと安堵と歓喜が込み上げて熱くなる。顔を上げた後も、熱さが顔面から引かない。)……はい。(目尻を染めたまま頷き、絡む指を受け入れては自らも寄り添わせて。)それは、勿論。(君のものになる。言も雰囲気もシンプルに誓ってから、)これからはもっと、沢山……好きだって伝えてほしい。(気難しい子供のような瞳で睨む強さで見詰め、ぼそっと願望を。口にした直後、恥ずかしさのあまり取り消したい衝動に駆られたが堪えた。「当然、こちらからも、もっと伝えますので!」と付け足しはしたが。一段落ついたとみれば、いささかぐったりとした様相。不慣れな甘えの言動による消耗が見え隠れする。受け取ったショッパーから箱を持ち上げ、慎重にリボンを解いて。現れたグレーにまた慎重に触れてみると、上質な手触りだ。)ありがとうございます。登下校でも外出でも使えますね。……今、付けてみてもいいですか?(似合うかなと思ってと言った相手に、実際に見せたくなっての申し出。それから覚悟を決め、)あの、私からも。(持ち手のよれた紙袋を差し出す。赤と緑が彩る袋の中には、円型の平たい缶。缶のデザインは、全体はパステルカラーのオレンジで、縁取りに幾何学模様、蓋の中央には黒の仔猫と白の仔猫(二匹ともデフォルメされて丸っこい)が毛糸玉を挟んでじゃれ合う図柄がエンボス加工されている。蓋の下は、それぞれ個包装のキャラメルと、季節を先取りしたフルーツキャンディのアソートが詰まっている。)
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覚悟を決め、という部分からリクエストに対してしっかりと探してくれたのかなという風に感じられてとっても嬉しかったです!はじめてもらったプレゼントとしてかわいい外箱は大切にとっておくだろうなと思っています。
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* No.141
(二人でゆっくり考えていけばいい。物は言いようの範疇だとしても、彼の言葉選びからは決して急かさない意を受け取れた故、安心し首肯を返せた。夢とは体格の差が逆転し、並べば少し見上げる側となり、互いの手の大きさも然り、己の手では包み込むには足りないが、睦み合った折の鼓動の速さはあちらの世界と同様で。少し、泣きたくなった。)……は、はい、(惜しみない睦言とひときわ特別に感じる笑みに触れると、自ら求めておきながら、いっぱいいっぱいすら超えて容量オーバー。それでも、やるべき事柄を果たそうと踏ん張る。)ありがとう。嬉し、い。……好き。(つっかえつつ囁くような声音で伝え、満たされる感覚のなか、柔らかに微笑んで。スキンシップ、それは夢の少女も口にした単語。今日これまでの会話の節々でもそうだったが、彼の向こうにアリスが垣間見える。)はい、わかりました。その、必要な際にはちゃんと伝えます。(多くしたいのに、こちらのペースを優先してくれる。大切にされているのだ。実感を得て、粛々と約束事を紡ぐ。夢のなかでその快さを体験した影響もあり、基本、触れ合い自体に忌避感は無いが。)ただし。スキンシップといっても、高校生として適切な範囲で、ですよ?(いったいいつの時代だと傍目には突っ込まれかねない価値観を、大真面目に持ち出す。そもそも青年にとっては下心も、互いに成人してからの想定であった。プレゼント交換となれば、贈り物の箱を膝に置き。己のマフラーが彼の手で持ち去られてから、外気に晒された首に贈り物を軽く巻く。)……あたたかい。(微かに声が弾む。片方のグレーの端を摘まんでみせつつ、「似合ってますか?」と投げかけた。みるからに品質の良いカシミヤマフラーとあっては、己の贈り物よりも高額と推測する。性格上、彼我の品の金額の差は引っかかるものの、今までの彼との交流を踏まえ言及しないと決めた。かわいいパッケージの要求に悩んだ末の、黒猫白猫の選択は、“アリス”の名前に引っ張られた感はある。)宮生君……?!(目頭を拭う仕草を目の当たりにして、息を飲んだ。同時、かつてのアリスの言葉が脳裏に蘇る。彼自身はずっと、かわいいを貰えなかった。眉を開き、感情を語る声を大切に受け取ろう。)かわいい、ですか。よかった。私は君にとってかわいいものを、選べたのですね。……どういたしまして?(かわいいを贈る一番手になれたのは最高だと、ニヤっと笑って伝えて。落ち着いた頃合いにツリーを見に行きたいと彼の腕を引いて強請り、恋人同士の日常の始まりを告げる。)
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エピローグで付けてくれているグレーのマフラーもこのプレゼントだったらいいな…と思いつつ、絶対に似合ってるしどんな時でも付けられるものだと思うので寒い時期はいつでもそばに置いてもらえたらとっても嬉しいなと思っています。恋人に自分からのプレゼントを身に着けてもらう行為も大好きなので、またちょっとずつ貢ぎ癖が出るんだろうなとも思うのですが、こんな風に幸せな未来が続いていけば嬉しいな〜と思います!
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九堂律&鵜飼倫央
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11/14(水):午後 京都市内の土産物店【5】
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* No.40
(共に遊ぶにはおよそ面白くない性質であれど、最近は少し人づきあいが良くなったとは級友たちの評。高校生活最後の年の思い出作りの面も考え班行動のルート作成においても比較的空気を読んで、若者たちに人気のスポットが取り入れられてもすんなり了承したのは、その評を裏打ちする行いでもあっただろう。班の面々が喜んだとは言うまでもない。かくして、班行動の一環で訪れた土産物店。古都の様々な土産物を前にしても青年ははしゃぐ様子もなく、陳列棚へ視線をあてながら思考を余所にとばしていた。結果、話しかける声も半ば聞き流し、己の班のメンバーの声と誤認するに至る。)君、そうやって相談を持ちかけるならば、こちらの要求も飲んで頂きたいですね。具体的には、多眠無気力症撲滅キャンペーンに協力を……、(頭が痛い問題は、修学旅行終了後から開始される新任の風紀委員会顧問主導のキャンペーンである。この際、級友にも協力させようと決心して向き直り、顔を見てようやく人違いに気付いた。間違えましたの過らない無表情だが、気まずさは漂う。てん、てん、てん、の無言を経て、こほん、咳払い。)……失礼。こちらも同じ班の人と勘違いしてしまいました。ちょっと年上の人へのお土産、ですか?(誤認で応答したお詫びも兼ねて、質問に応えようと思考を巡らせる。ちょっと年上の人、この言い方では親族はないだろうと推測しつつ。)お土産に何が適しているか、その人を知っている君こそが分かるはずですが……その人の嗜好は、知らない?(示された湯呑みへと目線を移ろわせ、)お茶を嗜む人なのですか。これなら、普段使いできそうな湯呑みですね。(続いて身を屈め、生八橋の箱の消費期限のラベルを覗き込んだ。)生八橋を選ぶ場合。これはあまり日持ちしないでしょう。その期限内に消費しなければならない。その人がご家族と菓子をシェアする習慣があるなら箱入りで問題ありませんが、一人で全て食べきる前提ならば量は考慮した方がよろしい……かと。(気の利いたアドバイスなど出来ない自覚はあるので、どれとも結論を明らかにせず自信の無さが滲む。)
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初対面で突然お土産アドバイスを求められたのにこんなに丁寧に回答してくれるなんて、九堂くんって本当にいい人だなあ。量を考慮するという考えがPLにも全くなかったので本当に参考になったアドバイスでした。
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12/7(金):放課後 3-1教室 >九堂
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* No.83
(負担をかけさせないような言い回しが巧みだの心象を抱きつつ、カフェオレを開け口をつけた。温度によって濃厚さを増した甘さに幾分か和む。)知らないやつが訪ねてきても問題ありません。各自への協力のお礼としては……鉛筆一本を進呈、程度になります。(問題ない、よろしく頼むの旨を含め、背筋を伸ばした姿勢でおもむろに頷きを返した。)鵜飼君は匿名を希望、と。了解しました。(彼の匿名希望を頭の中のメモに記す。これまで風紀委員会の格式ばった標語だの訓示だのが素通りされがちだったように、此度の調査結果が張り出されたとて真面目に目を通す者は多くないかもしれないとは、実行する側の口からは言えないが。)……そうですか。よかった。(贈り先に喜んでもらえるはずと信じたい心持ちはあったものの、確信にまでは至れなかったから。その報告を聞くと、少しだけ眉宇を緩めた。贈った側も嬉しくなれたならば、それだけ相手の喜びが伝わったという事。大人しく礼は受け取るが、成功の要因の最たるは彼の真心のおかげだと思っている。続く問いには、)誰かに? そうですね、お土産を買って渡したのは家族と…、(コミュ力強者の彼とカフェオレの影響か、いつのまにか気が緩んでいたらしく、口が滑った。)その他にもお土産をあげたい人たちが居たのですが、彼らには渡せるはずもな、く……、(思い浮かべたは、午前零時からを共にする仲間たち。そこで会話相手の顔に焦点が合い、はたと我に返る。)ええと、彼らと会う際には、私物持ち込み禁止のルールがありまして。(ややあってから、真顔でバインダーを持ち直した。)とりあえず、アンケートです。例の病もテーマにしている為、生活習慣もお伺いします。君の一日の平均睡眠時間を教えて下さい。(真顔のまま質問した。)
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九堂くんの真面目が故にちょっと面白かわいい感じになっている描写がとっても好きです。
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* No.99
(これからお世話になるはずの面識のない生徒たちに対して、やつ呼ばわりはよろしくなかったか。遅れて反省しかけたが、鵜飼君に新鮮な気分を贈れたので結果オーライ!と、内なる理想の自分が親指を立てたので、まあいいかと釣られて結論付けた。)塾の友達……あ、はい、そんなところです、 切磋琢磨しつつ活動する、的な間柄でして…… 且つ、秘密を共有する仲間たちなのです。――これは、内緒ですよ?(きわめて説明の難しい事柄をうっかり口にしてしまったが、彼の着想に助けられた感がある。少しだけ上ずった声で便乗を返し、半面、嘘をつく後ろめたさに押されて事実も混ぜるに至る。内緒、で人差し指を上げた。)いつか私物持ち込み禁止じゃないところで会えたら……、ええ、そうですね。それが出来たら、私としては一緒に遊びに出かけたりなどもしてみたいですね。遊びに行く場所、鵜飼君なら何処が良いと思います?(いったい何故、これを彼に尋ねてしまったのか。内心では我ながら首を傾ぐ始末だが、妙に自然に質問を繋げていた。して、アンケートの回答へ集中する段になり、)ふむ。我々の年齢の理想の平均睡眠時間に照らし合わせると、少々短め……でしょうか。受験勉強を頑張ってます?(いかにも真面目な人と見えたもので、夜更かしすなわち勉強と推測する。「でも、適度に休むのも大事ですよ?」 夜更かしに関しては己も同等、他人に意見できないくせに、真顔で心配を捧げた。その後は、バインダーに挟んだ用紙に粛々とペン先を乗せつつ、「日頃ストレスを感じることはありますか?」「カウンセリングを利用したことはありますか?」等とアンケートの質問が続いて。)将来の夢・目標は、ありますか? あるなら、それはどのようなものですか?
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めちゃめちゃロックの顔が思い浮かびました。ウインクして親指立ててそうです。
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* No.113
(秘密のおやつ。規模はささやか、それでいながらとっておきの何か。胸躍るその響きはあの世界に似合う。そんな個人的な所感を得ての、合わせ鏡めいた人差し指。)動物のえさやり、が、楽しいと。なるほど、動物といえば観察ばかりしていたので、その観点はありませんでした。…ハッピーイートをご存じとは。双高生の利用者はそれほどでもない、と聞いていましたが。(まさか利用者がこんなところに、と少し眉を上げた表情が語る。)深那莫パークは私も行ったことないですね。アトラクション、は……どのような反応するか、なんだか好奇心疼くような。(マジシャンの彼がジェットコースターに乗った場面など思い浮かべた。試みた想像の中では例外を除き、どの場所においても皆、鏡の向こうの不思議の世界の姿。彼らの現実を知らないのだから、自ずとそうなる。しかし理想に象られた仮面との関わりであろうと、彼らを知って仲間になった事は確か。そう思えば、想像は虚しさではなく楽しさを呼びおこす。)みんなで写真、の習慣はありませんが。ひょっとしての写真撮影の運びとなった時には、(送りますね、と期待薄な話として繋げた。ただ、どこか楽し気な雰囲気は続いていただろう。)? 何か、やましい事、とか、いや、君のような人に限ってそれはない……ですよね。(夜更かしの理由について、末尾ごにょごにょな反応に怪訝が差す。いやいやまさか、と半信半疑以下、信じたい心持ちのほうが圧倒的だが。続いての質問では「あ、このあたりは、統計データとして上げるだけで個人のお名前は出しませんので」等と補足を入れて。将来の夢の段に至れば、カフェオレをまた口に運びそれから、聞く事に集中した。一度はなくなって、またあるようになった夢。いつしか、記す作業を失念していた。彼の夢が終いまで紡がれてからはっとして、気まずげにペン先でトントンと紙を叩く。)……良い夢ですね。アンケート回答として提出してしまうのが勿体ないくらい。(声音は、柔らかな感慨を孕む。一瞬の惑いの後、おもむろに口を開くは問い返しに応える為。)私は。親から夢を託されて、親の願うまま立派な道に進もうとしたけれど、窮屈で嫌になって心の中でだけ反発して。でも……最近になって、その立派な道を行って誰かを助けられるようになりたいと、そう思うようになりました。(深めの一呼吸をおいて、)ね。ちょっとだけ、似てます?
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似てるなって思ってたので、九堂くんのほうからそう言ってもらえて心が通じ合った気持ちになれました。
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* No.139
(「大柄な男子学生なので、わかりやすいかもしれません」と友人の特徴を軽く口にし、友人と彼が正式に面識を得た暁には、フレンドリーな者同士、交流には何の問題もないに違いないと夢想が膨らむ。)よろしければ、これからもヘビーユーザーを続けて下さい。(今後も贔屓を継続して貰えたならば、いつか、かの店で彼と食事の時間を共にする事だって叶うかもしれない――ひとりの客に過ぎない立場ながら、幸せの名を冠する店舗に幸せな縁結びをほのかに期待しての、目論見めいたお願いは、表情筋の動きに乏しいながらも真摯な声音を伴った。続いての裏の顔の話には、思わずと相手の上から下までまじまじと観察し直し、考え込む素振りにて数秒の沈黙をおいて。)……。鵜飼君が不良のボスだとしたら世も末……風紀委員として私はボスを倒さねばなりませんが。いや、冗談、ですよね。(彼を信じるから彼の話を信じられない。そのロジックに到達して真偽を判じる。実際に冗談と知れば、こら、と軽く叱る声を発した。)その訊き方は、ずるいような。普通に社交性のある人間であれば、友達だと思っていなかったとは答えにくいでしょう。(社交性のないほうの人間は友達問答に眉を上げ、一拍のちに小さな笑気とともに、)ですが、もう、友達、で宜しいと思います。私としても今、友達だと思えたもので。(認める頃には、隠しきれない嬉しさがほのかに口許に漏れた。)なるほど、(お疲れ様会の内容に相槌を打ち、そこから更に続く言葉に瞬きを繰り返し、)……なるほど。(相槌を重ねた。)美味しいものを食べて、楽しい話をする、と。わかりました。お疲れ様会しましょう。羽目を外さない程度に。(楽しそうだから。決定の最たる理由は、単純なもの。そんな理由でも退けず、認められるようになった。)承知しました。トークというのは本来得意ではありませんが。君の言うようなやり取りを、してみたいと思いました。……よろしくお願いしますね。(夢までの道のりはきっと長く厳しい。しかし彼と他愛もない話を交わせたなら、なんだかんだと明るい道行きとなるだろう。直感だ。少々わくわくと胸を躍らせ本日一番の笑顔をみせて、アンケートの残りの質問と、ささやかな雑談はカフェオレが尽きるまで続いたはず。)
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ここの鵜飼は意識的にずるい聞き方をしてるのでそこに突っ込んでくれるのってとってもありがたかったです。九堂くんの友達になれて本当に嬉しい。これからも大人になってもずっと末長くよろしくね。
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