制作秘話
アイリーン 佐々礼笑子
まず当方はペルソナは全くの未履修でして、幾名かのキャラクターはキャラレスで見たことあるな…レベルで、願書作成にあたっていくつかの公式サイトを参照に雰囲気を掴んだレベルの知識しかございません。ゲーム好きな友人とペルソナ気になるね〜なんて話していたのと近しいタイミングでイデアルの募集を見かけ、えいやッと飛び込んでみた際の動線(?)を、制作秘話としてお話させていただきたいと思います。とはいえ応募段階では土台だけ固めて活動で肉付けしていったようなものなのですが…! 何を主軸にしてキャラメイクを始めるかと考え、それに際して現実と理想に抱えるギャップという部分に重きを置いて、準ペア制且つ自由交流である事を絡め、自由交流向きの理想の姿とあまり自由交流向きではない佐々礼笑子という輪郭が出来ました。他者との交流で好転し易い人格・悩みにしようと定めて人付き合いが苦手という佐々礼笑子の土台を固め、そこに悩みとアルカナが噛み合うように色々なパターンを組んだ上で、最終的にアルカナを【女帝】に設定しております。(余談ですが実は複数アルカナで願書を提出しており、第二希望は【運命】でした。そっちではアイリーンでも自称お姉ちゃんでもないです)ペルソナはだいぶ悩み…最終的にクトゥルフ神話よりシュブ=ニグラスを選出しました。創作神話ではありますが、同出典よりネクロノミコンが原作に登場するようなので…というのと、万物の母であり豊穣の女神、そしてクトゥルフ神話に於いて邪神と呼ばれる神々の中でも意思疎通の余地があり、信者に恩恵を齎す存在なため、母性の象徴として此度設定しております。実際求めてるのは母性ならぬ姉性ですが。
名前は笑わないくせに笑子。っていうちょっと皮肉みたいのも含んでいたので、鵜飼くんの前で自然とにこにこするようになってから幾度か名前に触れていただけたのがとても嬉しかったです…!佐々礼は響きだけで決めてます。地名としてはあるけど苗字としては実在しないんじゃないかな…?3年前から両親の離婚により此方を名乗っており、以前までは幾嶋笑子でした。性格はもうちょっとつっけんどんだと思ってたんですけど、鵜飼くんがずっとやさしすぎてツンする要素1ミリもなかったのでPLの想定よりかなりマイルドになりました。根っこはあくまでも温厚です。この顔面で全然ツンデレとかじゃないの、詐欺では?とすら思ってます(?)
アイリーンは悩みと合わせ、折角現実ではない舞台で動かせるなら、と全方位お姉ちゃんという現実にいたらまぁまぁヤベーやつという感じになりましたね。お姉ちゃんムーヴ受け入れてもらえてうれしかったな〜!全方位お姉ちゃん出来る異常メンタルと感情がすぐ前面に出るところはアイリーン由来のものですが、感性も感情もおおよそ佐々礼そのものだったと思います。自認がお姉ちゃんの時は一人称「お姉ちゃん」でそうじゃない時は一人称「わたし」です。「わたし」はEvent6のジャガの前でしか使ってませんが、まぁ好きな人を弟として見るのは無理だよねと。モデルは佐々礼が幼少期に出会ったお姉さん。名前がアイリとかでそのまま使うのも…と思ってちょっともじったんじゃないかな。容姿・声・口調は完全にそのまま、幼少期の佐々礼視点で「背の高い人だった」という印象が残ってるため今の佐々礼から見ても長身になっています。実際のお姉さんは今の佐々礼と大差無いかと。特に深く決めてませんが、若くして高層マンションに住みブランド品を揃えてとえらく金回りがよく、多分一般職ではありませんね。アイリーンは20代半ば〜後半くらいに見えるイメージですが、実際の当時のお姉さんは20歳そこらです。

以下、蛇足程度のおまけ。
>>バイトは家に帰りたくないから始めたものですが、給金は大して使ってないので高校卒業後一人暮らしをする資金になる予定でした。今は取り止めて母との時間を取るためバイト日数もかなり減らしています。卒業後またちょっと増えるかな。
>>父親に学費を全額出してもらう取り決めになっている、という設定なのですが、当初はこのまま内部進学のイメージでしたが動かしているうちに少しでも負担減らそうとする性格かな、と思い至り国公立への外部受験に方向転換しました。
>>2019年度中には母が再婚し、水町家と一緒に住む事になると思います。佐々礼は水町姓は名乗らないかな…どうかな……上記で取りやめた一人暮らしは大学卒業を機に始めるかも。 >>水町家のお子さんは中学一年生の双子、兄の眞樹と妹の真唯。二人ともどちらかといえば大人しめで、佐々礼と性格的に合う感じ。相手の年齢も年齢なのでアイリーンや鵜飼くんみたいにはしませんが、時に姉として努めながら穏やかに過ごせるのではないかと。
ラブコール
みんなのお姉ちゃん、といった像を本当に最初から最後まで感じていました。お姉ちゃんとして気持ちに寄り添ってくれたり、引っ張ってくれたり、アイリーンがいてくれてよかったなと思う場面は一度や二度ではなくて、本当に素敵なお姉ちゃんだったなと思います。つい頼ったり甘えたくなってしまった時も、笑顔で受け止めてくれそうな包容力が素敵でした。
アイリーン
いつも優しいみんなのお姉ちゃん!感情表現豊かな姿がとっても可愛らしく、頑張って「お姉ちゃん」してくれているんだなあという姿が微笑ましく、差し伸べてくれる手が温かなアイリーンが大好きです。笑子さんもそうなんですが、選んでくれる言葉がどれも孤独や寂しさから守ってくれる温かさに満ちていて、とっても素敵な方でした。ふんわり包み込んでくれるお布団みたいな優しさが好きです。お茶目さと姉性とかわいらしさのミックス加減がずっとちょうどよく、また笑子さんの素が反映されてしまった時のお姿も大好きです。もはや好きか大好きしか言えなくなってしまっています。笑ったり泣いたりが分かりやすく、それが笑子さんの中に息づくあたたかな感情たちと確かに結びついていてとっても魅力的でした!
アイリーン
かわいいお姉ちゃんとかわいい妹の組み合わせでかわいいが100倍のおふたりがとっても好きです。ふたりでドレス着て本物のお城に住んでほしいよ。アリスが今だけ自分だけのお姉ちゃんでいてほしいと思うのが本当にかわいい。
アイリーン&アリス
一度話してみるとその魅力が存分に伝わる、面倒見も付き合いも良い素敵な女の子だったな〜と思っています!何気なく零した雑談も拾い上げて広げてくれたり、行動面でもぐんぐん引っ張ってくれるところがとってもお話ししやすくて、後輩として甘えた部分も自覚として大いにあります。細々とでも付き合いが長く続いていたらとっても嬉しいなと思える存在ですし、ワンちゃんを家族としてお迎えする時がくれたぜひ本当に紹介してもらいたいなと思っています…!
佐々礼笑子
仲間想いで強くてかっこいいアイリーンが大好きです! 理想世界ではたくさん可愛がっていただきありがとうございました。アイリーンとイサナのお姉ちゃんと弟のような関係性がとても楽しく、そうして築いた理想世界の絆が現実世界でのご縁につながったのは予期せぬ幸運でございました。アイリーン(笑子ちゃん)とペアを組んでいただくことに決まった時、ただでさえ本来のペアとの掛け持ちで大変な上、悩みが悩みなだけに共感も想像もしづらくお相手様もやりづらいだろうなという自覚もありましたので、ありがたさ以上に申し訳なさでいっぱいだったのですが、Event6を進めるうちに悩みを打ち明ける相手がアイリーン(笑子ちゃん)でよかったな、という気持ちでいっぱいになりました。その後も現実世界で何度も交流の機会をいただきまして、後半の自由活動期間やエピローグ期間を経て、笑子ちゃんと晴一として友情を育めたことも本当に嬉しかったです。笑子ちゃんと晴一はどちらも不器用なところが似ていて、だからこそ一つ一つ想いを言葉にしながら相手のことを思い合える関係になれたのかなと思います。笑子ちゃんにも、そしてPL様にもとてもあたたかく寄り添っていただき、晴一だけではなくPL自身も期間中何度も救われる思いでした。本編終幕まで皆さんとご一緒できたのは笑子ちゃん(アイリーン)とPL様のおかげです。継続参加を決めて良かったと心から言える素敵な経験をありがとうございました。
余談ですが、鵜飼くん&笑子ちゃんのお二人と深いご縁をいただくという美味しい展開にこれからの妄想がとまりません。件のお友達の正体を知る春が楽しみです。きっと二人の惚気を聞いたり相談に乗ったりとっても美味しいポジションになるのだろうなあとわくわくしています。
佐々礼笑子(アイリーン)
笑子さん、好きだ……。名簿を見たときからかわいらしいお嬢さんだなあと思っていましたが、会話を重ねるたびにもうどんどんかわいいが積み重なっていっていました。とっても好きです。笑子さんは当初は人と距離を取りがちな方だったと思うのですが、最初のほうのまだ打ち解けていない時点でも心根の優しさがわかるような行動をしていらしてそれをうまく表に出せない不器用さのようなものが本当にかわいらしかったです。初対面から知らねー男子生徒と喫茶店に行ってくださって本当にありがとう。笑子さんの行きつけのお店にご案内してくださったことで、笑子さんに心を許してもらえた感がありました。
期間を通して少しずつ鵜飼に歩み寄ってくれる笑子さん、鵜飼に心を許してくださる笑子さん、鵜飼と二人で荷物を半分こしてこの先の喜びも悲しみも全部分け合って生きてくださる笑子さん。本編を読み返すたびに胸の中にじんわり温かさが広がるような気持ちになります。最後までずっとお付き合いいただいて、本当に本当にありがとうございます。鵜飼の悩みやこれまでの生き方から、この先の人生通してお付き合いいただけるようなお相手でないと恋愛できないだろうなと思っていたので、最後の方はどんどこ重い人間になってしまっていたのですが、全てを受け止めてくださる笑子さんの心のあたたかさに感謝でいっぱいです。これからも2人で一緒に並んで歩き、時にはおいしいものを食べてひとやすみしたり、楽しい寄り道もしながら、人生を旅していきましょう!よろしくお願いします!
佐々礼笑子
このお二人は他のペアとは異なり、現実世界での接点がない状況で昼神さんのシャドウが登場した展開でしたが、その展開が個人的に心に刺さりました。お二人の関係性は、現実世界では縁もない、現実世界での姿もお互い知らない、理想世界だけの繋がりのみ。それでも、友達になりたい想いは確かにあり一歩を踏み出せた。現実世界で佐々礼さんと昼神さんのはじめましてのシーンを読んで、理想世界の存在には意味があったと確信するとともにイデアル様の醍醐味がここにもあったのだと一人で感動してしまいました。鵜飼さんの存在感も一味添えていて、佐々礼さんにとっても昼神さんにとってもなくてはならない人が、ある意味、二人の関係を三人へ広げる未来をつい妄想してしまいます。三人でどんな話をするのだろう、どこかに遊びに行ったりするのかな、いずれにしてもお三方にとっての楽しい日々を願わずにはいられません。
佐々礼笑子(アイリーン)&昼神晴一(イサナ)

BEST SCENE * アイリーン
 アイリーン&アリス 
【Event2】砂の城を作ろう
* No.112
あら、屋根裏のお部屋素敵ね!天体観測やスケッチに使えそうなもの置いといてー、一緒に寝落ちしちゃう用の毛布も用意して、マシュマロを入れたココアとか持ち込んで……ふふ。なんだか、秘密基地みたいね。(砂の表面を整える手は休めず、時として「海の見える場所で一緒にご飯食べたいなぁ」「お風呂はう〜んと広いのがいいわよね!」なんて外観に関係のない話も混ざる。ふたりの成果物だ。主導しつつも彼女にもいくつかの助力をお願いするうちに、ふたりのお城は立派に築き上げられていく。少女のロマンに彩られたバルコニーと、天辺には窓のついた部屋がある、かわいいお城だ。)やった〜〜!!(随分と無邪気なはしゃぎ声をあげ、ご満悦の笑みが砂の城を端々まで眺める。それから、挙がる手に一瞬笑みのままきょとんと瞬くも、すぐに気付いた後にはふたり揃って泥んこの掌を合わせよう。)うんっ、お姉ちゃんもよ。ふたりで頑張ったらこんなに立派なお城が出来ちゃうのね!此方こそありがとう、アリスちゃんのおかげでかわいいお城が作れちゃった!(手放しの感慨を惜しみなく手向けて、逸らすのも惜しいような瞳はかかる声に引き寄せられた。鍵はとうに開いている。けれど序盤には気に掛けていた扉の方なんて、見向きもしなかった。)すごーく固くてつやつやぴかぴか、でしょう?(ウィンクと共に弾けた声は当然とばかりに、大切なふたりのお城の傍で、また新たなる作業だ。トライアンドエラーにいくらか付き合わせる事にはなろうが、最後には、)今日、一緒だったのがアリスちゃんでよかったわ。(一夏を共にした愉楽をこめて、万感の想いと共に締めくくろう。)
砂のお城作りから女性二人の夢想への展開。いいなあこんなロマンチックなやり取りをしてみたいなあと憧れました。
 アイリーン&ジャガ 
【Event2】花火で遊ぼう
* No.127
それはもう、…………、お姉ちゃんもいつもとあんま変わんないかも?(ふと自身のはしゃぐ姿を思い浮かべ失速するも、続く希求には大きく頷き「わっ、やりたーい!」と手放しに同意しよう。が、転じて勢いよく首を振るのはとんでもないとばかりに。)だだだだめだめ!ちいさい子に火は危ないからお姉ちゃんがやるわよぉ!まぁ、確かに、あちってなったらもしかしたらお姉ちゃん二倍ダメージになっちゃうかもだけど……。(“ちいさい子”とは完全に物理的なサイズ感で言っているが、晒した素肌に加え果たして弱点:火炎は此度適合するのやら。確実にしないだろうという事はさておき、ふんわりと着地した言葉尻に「たぶんなのね……!」と案じつつも、必要以上に気を揉む事もないのだとは伝わった。だから、ただ楽しむためだけに、花火を味わえていた。同じように楽しんでいると伝うから、その姿を見る面持ちは自然と綻んで。)……ふふっ。ええ、とっても綺麗!あっ、お姉ちゃん二刀流しちゃおーっと!(はしゃぎ放題ポイントとばかりに声を上げ、瞬きの間に潰えてしまった花火を持ち替えたなら「ジャガちゃんも!」と巻き込んでしまえ。二本の変色花火はそれぞれに色彩を移ろわせ、きゃらきゃらと高いはしゃぎ声が無邪気に響く。)2階フロアは何処もこんな感じなのかしら?お姉ちゃんね、この間アリスちゃんと浜辺で砂のお城作ったの!ジャガちゃんはもう何処か探索した?(斯様な事象は二度目。ともすれば他の事例もまた気になって、ふたりの手元が煌々と閃く宵の空の下、一夏の思い出を交わす事を望んだ。)
ここのアイリーンが本当にかわいい
【Event6】12/2(日) 
* No.243
(溢れ出すように口を衝くその言葉たちに、ひととき唇を閉ざす。無理を押してはいまいかと最初こそ案ずる瞳が不安気に揺れていたが、口を挟む事はなかった。出生。どう足掻いても自らの手では儘ならぬもの。離れて暮らす父のことも、すれ違いから避けていた母のことも、家族として愛している。よく似たパーツを、流れる同じ血を、厭わしく感じられたことなど一度としてなかった。彼の抱えるそれは一体、どれだけ恐ろしいものなのだろう。)……鵜飼は、ずっと……そんな気持ち、抱えてたんだね。(理想の表皮が剥がれ落ちたように、はらりとアイリーンでない言葉が零れていく。少女の内で芽吹く、今はまだ不確かな想いの正体は、もしかすれば彼を傷付けうるものなのだろうか。微かによぎれども、離れてなどいくものかと懸念を振り払うように、問われる声には間髪入れず。)ええ。聞いている。ここにいる。(惑いなんて欠片もなく、宣誓のようにはっきりと告げられる。無理矢理に暴かれるのではなく、その唇から語られるものであるならば、遮るような理由はない。握り返された手を包むままじっと見つめて、静かに微笑みかける。その体躯は、過日の少年よりもいくらか大きいくらいだろうか。)……ジャガちゃんのペースでいいし、やっぱり話したくないことがあるなら黙っていてもいいの。でも、お話することで少しでも軽くなるものがあるとしたら……あなたの抱えているもの、わたしにも半分こさせてくれるなら、嬉しいわ。一緒にいたいって伝えた気持ち、今も変わらないし、わたしだってあなたの味方よ。(あなたがそうしてくれたように。今尚灯りのように照らしてくれるその言葉たちを、変わらず抱いて歩んでいる。彼が道に迷うなら、歩み出すのが怖いなら。灯りを点し、手を引いて、望む方へと共に往きたかった。
ここでも半分こが出てくるのが笑子さんと鵜飼が築いてきた絆のおかげという感じですごくすごくいいです。また、灯りの描写がとっても美しく、暗くて足元が不確かな道を蝋燭を灯しながら二人が手を取り合って歩いていく情景が思い浮かんでとても好きな文章です。ここに限らず笑子さん・アイリーンPL様はずっと文章が美しくてすごい。
* No.247
(例えばどれだけ美しい色ばかりであったとしても、いくつもいくつも混ぜ合わせてしまえば濁りもしよう。そこに一匙でも黒が滴れば、尚更に。抱える感情がただひとつであったならば、悩みも迷いもしなかったのかもしれない。吐露される想いが、自らと向き合っているとも俯瞰して見つめてるとも取れる響きを伴うのに気付けば、小さく頷き「……うん、」と短い音吐に万感を籠めて相槌を打つ。綯い交ぜになった情動の渦中で、謝罪の言葉が先行するならば、静かに首を横に振った。)いいのよ。だって、なんだって半分こに出来るんだって、教えてくれたのはあなただもの。……わたしの分ばかり持ってもらって、あなたがずっと重いままでいるのは、いやよ。(彼が抱えるはきっと終生降ろせやしない荷だ。起きたことは覆らない。抜本的な解決の手助けなど出来よう筈もないならば、せめてその心と向き合い寄り添える自分でいたかった。もう片方の手も取ってしまって、この世界での互いの手の大きさを比べるようにしてから、)こっちではジャガちゃんよりお姉ちゃんの方が大きいからねっ、全然なんてことないんだから!まだまだ持てちゃうってくらい。だってお姉ちゃんだもの!(明るく言い放つは、変わらぬことを示すように。けれど続く言葉は、あの夜の静謐のように。混ざっていく。運命みたいな一夜に受け入れた理想と現実とが、混ざり合う。)……でも。それがわかっているならやっぱり、こんなとこで負けちゃダメだよ。わかってるんでしょ、あかりちゃん置いていけないじゃん。……あたしとも、一緒にいてくれるんでしょ?(柔く笑いかける面差しはアイリーンのままで、けれど繋ぎ止めたいと願うは、現実の少女の想いだった。)
鵜飼はどうしても兄だからしっかりしなきゃと思いがちで、人の荷物を持ってあげる側だと自認しているところがあったので、こう言ってもらえて目を開かれる思いだったと思っています。人に頼っていいということを知れて本当に良かったね。
* No.256
う、……あたしも、なんない、し……、(しどろもどろ、どうにかこうにかと紡いだ吐露が掬い上げられて、此方が許されたような心地にさえなる。だってそんなものは同じなのだ。“ヤダ”に天秤が傾く想像なんて出来やせず、立ち昇る期待感を自覚してぐっと声を飲む。一度意識してしまえばその言葉が胸中に渦巻いて消えず、頬の赤みも引いてくれそうにもないので、都合良くバトンタッチされたお姉ちゃんとして咳払いひとつの後に。)……一緒に居てもいいのなら、お姉ちゃんも嬉しいわ。……だって、一人でいるのは、やっぱり寂しいもの。寂しい想い、してほしくないな。(望まざるとも一人で居た頃、孤独であれどいっそ“楽”だった。人付き合いの怖さから逃げていた日々がいつの間にか終わりを告げて、あたたかな場所を知ってしまった今となっては、もう戻れやしない。彼がその道を選ばずいてくれたことが嬉しい。だから、見守る。もう先程までの揺らぐ眼差しはなかった。その傍でただ信じて待っていられるからこそ、友人もお姉ちゃんも凪いだ心持ちで両者の姿を見つめる。そうして、心寄せる姿を纏う影との別れの時。口を衝く声は、彼の友として。)大丈夫だよ。少なくとも、あたしが鵜飼に傷付けられることはないから。鵜飼はそんなことしないもん。(いっそ妄信とさえ聞こえよう断言は深い確信を以て告げられる。彼によって齎される傷なんて、一筋だって想像出来ない。たったの一部分だとしても心配事のひとつなら、そんなものはこの理想の内に置いて行ってほしかった。――斯くして、季節を纏わぬ味気無い小部屋に、ふたりだけが残される。不思議と物寂しさはない。)……っあ、ジャガちゃん、平気?どっか違和感とか変なとこなぁい?……そうだ怪我、怪我も本当にない!?(どこか呆然とした心地から半ば無理矢理に引き戻し、その両肩へと手をやっては、案ずる眼差しが身体中を行ったり来たりを繰り返した。)
そんな!!!!やなときは絶対ヤダって言ってください!!!!!傷付けることも絶対にしたくないと思ってはいますが、この世に絶対はないのでそんなに信用しないでください!!!笑子さん、鵜飼のことを本当に好きでいてくれるんだなあとにこにこしてしまうのと同時に、そんなに鵜飼を無条件に信用しないで!!もっと警戒して!!と思ってしまいます。
* No.259
(夜を照らす月のような満ち欠けなんてなく、絶えぬ希望でいっぱいであればいい。彼の内側へと帰っていく彼の一部分へ、そう祈りを込めて見送った。はらりと零れる一滴に一度はぎょっとするものの、告げる声に翳りがないならばそれすらもほのかな綻びとして表された。)そう、だったの。……ふふ、きっとそうよ、今日からは素敵な夢を見ましょうね。(と、穏やかに微笑みかけてから、はたと目を見開いて。)……でも!ならやっぱりあの時嘘ついてたのね!?現実でわたしが嫌な夢見てたって話した時!もうっ、あなたたちどっちも大丈夫?って聞くと大丈夫って嘘つくから、これからは違う言い方しますっ。(“鵜飼”も“ジャガちゃん”も両者にその実績が出来てしまったものだから、一変してお説教の様相だ。遺憾を表して頬を膨らませ、拗ねた素振りを見せるお姉ちゃんの面倒な事。ただ当たり前に頼って欲しいなんて稚拙な駄々である。しかし、もう案じるものもないともわかれば、ふっと面持ちを緩ませて。)……そっか。ジャガちゃんにとっては苦しいお話だったでしょうけど、お話してくれて、嬉しかったわ。よく頑張りました!……うん、よかった、(安堵し弛緩した身体は高い上背を支えるには心許無く、その場にぺたんと座り込んで息をつく。力が抜けて、気が緩んで、然して鼻の奥がつんと痛む。まずい、とよぎる刹那を悠々と追い越して、視界が滲んですぐに形を為した想いが次々と頬を濡らしていってしまうもので。)っう、……ほんとに、よかったよぉ〜……!び、びっくりした、し、心配したし、……ジャガちゃんもうかいも、負けないでくれてよかったあ゛……!(現実よりもずっと情動を露わにさせてしまう身体は耐えきれず、堰を切っては止まらない。その豊かな感情表現も理想のひとつであったというのに、今ばかりは抑えきれぬ不自由さが恨めしかった。拭ってもこすっても涙は溢れて止まず、ぐずぐずになった声で“よかった”だなんだと繰り返す情けない姿を、暫し晒す事となろうか。)
ここ本当にしまった!!とPLもPCも思いました。怒ってくれるアイリーンが本当にかわいい。これからもたまにうっかり大丈夫って言っちゃって笑子さんに叱られたいです。
* No.262
(弁明の口振りは今の姿よりも現実の青年の影が色濃く感じられる。此方では小さな体躯ゆえ元より挙動に愛らしさを感じる事が多かったが、彼の姿を重ねてみれば、また少し可愛く思えるのがおかしくて。じとりとした眼差しで出方を窺っていたつもりであったが、不満顔はいとも容易く崩れて笑みが溢れだす。)うんっ、なら約束!約束破ったら……怒っちゃうからね。その時は多分、現実のわたしの方が面倒よ。(他人事とも自認ともつかぬ奇妙さで告げて笑い、そんなすっかりと弛んだ糸が、まるでぷつりと途切れたような。泣きじゃくるお姉ちゃんと宥める小さな子なんて絵面は随分とちぐはぐだが、風ひとつそよがぬふたりきりの部屋では些末な事だ。)……っ、う゛ん……そんなの当たり前だもの〜……!わたしがそうじゃなきゃヤダって、思ったんだもの。……約束、守ってくれてありがとう。(涙声を絞り出して、変わらず“これからも”が続く事への謝意は言祝ぎにも似た。歪んだ眼界の中、伸ばされる手とそこに握られる真白の色に気付けば、甘えるよう目を閉じて受け入れてしまおう。この先を確かなものとして交わして、紛れもなく幸いだった。けれど、)……でも、あの……ほ、ほんとに平気?こっちは後出しみたいになっちゃった、けど……その、……れ、れんあい……かんじょう……とか、持ってるかも、しれないの。(躊躇いがたどたどしくさせた文言を改めて味わい、忙しなく朱が差し込む面持ちのまま。)……あの夜から、変なの。人と話す時はいつも緊張してるけど、それと全然違う……ドキドキ、みたいなの、鵜飼に感じること増えて。……そ、そういうことなの、かなって……、(吐露してみればするだけ羞恥が立ち昇り、左胸に痛みが伴って悲鳴をあげる。彼だけに向ける、特別な想いの名。そんなものもわかっていなかったくせに、言葉にしてみると次第に確信にさえ変わっていくような。
しみじみとかわいい。恋愛感情を持ってくださってありがとうございます。一生幸せに生きていきましょう。
* No.270
(一理ある、なんて笑いだし「こっちの方が、嬉しいもんね」と言葉の響きで選び取る。しかし何でも半分こ、と交わし合ったが、同じ想いを抱える場合はどうなのだろう。例えば、手探りでどうにかと輪郭を確かめ合っている、胸を占める想いが同一のものであるならば。)……うん、あたしも自分がどうなのか、どうなりたいのか、向き合えたら……その時は、ちゃんと伝える。……ま、纏まんなかったら、ごめん……。(彼に押し付けてばかりはいられない。真面目くさった面持ちに朱の色を混ぜ込んで気概を見せたつもりであるが、所詮それも一過性。苛む羞恥心から逃げたがり俯いたつむじに、慈愛とさえ伝うような響きが降り注げば、心の真ん中なんて容易く彼の言葉に埋め尽くされる。優しくて、あたたかい。彼の言葉も、眼差しも、全てがいつだって。その瞳が見たくなって、おずおずと顔を上げる。無論バケツに遮られて見えずとも、現実の彼の姿が重なる気がした。)あたし、は……今、幸せだよ。鵜飼と、お喋りするのも、ごはん食べるのも、出掛けるのも、友達でいられるのも全部……幸せ、で。だか、ら……鵜飼が、この先も幸せにしてくれるなら、ずっと見てられると思う、けど、(幸せ、喜び、鮮やかな色彩ばかりが溢れ出して、色付く頬が不器用に綻んだ。今この胸は、彼にもらったもので満ちている。素直な想いはどうしたって居た堪れなくて、誤魔化しのよう周囲に視線を逃がし上擦った声をあげるのだが。)っそ、そうだ。今回の騒動、みんなにも伝えた方がいいよね。(と、立ち上がり際に自身の手首が視界に映る。ブレスレットに加工された召喚鏡。この効果は、)……あ。もしかし、て、……今までの、ヒカリたちには見えて、る……??(ヒカリの手鏡は君たちの召喚鏡と連動していてね――過日に告げられた声がリフレインする。途端、先程まで交わし合った想いが脳裏を駆け巡り、左胸から花火みたいに熱が爆ぜていく。咄嗟に口許を覆い隠すも時既に遅し。慌てて屈んで、バケツで見えはしないが、気持ちは耳打ちする素振りで顔を寄せ、人目を憚るみたいに潜めた声を落とそう。)……あ、あのね。試験も近いし、忙しいかもだけど……冬休み入る前にはまた、ゆっくり話したい。……付き合って、くれる?(こんなお願い事も、彼なら叶えてくれるんじゃないかと期待が真っ先にくることこそが、きっと愛と名のつく数多の想いをひっくるめた形なのだろう。)
こんなに嬉しいこと言ってもらえるなんてこちらの方が本当に本当に幸せです。恋愛感情を抱く前の友人関係だった頃から幸せでいてくださってしみじみとありがたい。必ずしも恋愛関係にならなくても今までに築いた絆が本当に尊いものなんだよと笑子さんも思っていてくださるようでとても嬉しいです。これからもずっと幸せにします。
 アイリーン&イサナ 
【Event4】パン食い競争をしよう
* No.170
(パン食い競争に造詣が深いわけではないが流石にこれは理屈の外。忙しなく伸縮を繰り返すのを下から眺めたのち、彼の選択をにこにこと見守ってから「どうぞぉ」と温容な声とともにその下を譲ろう。ここまではよかった。明々たる声に愛らしさを呑気に感じていたものの、飛び跳ねてみるターンへと移ろえば、疲労よりも先に焦燥の汗が滲んだ。)う〜っ、手使いたい……!(翻弄されて元も子もないことを言い出しつつ、八の字になった眉を携えて揺れるクロワッサンを見上げた。)な、なんか、さっきまでは食べて食べて〜ってぴょんぴょんしてるように見えたけど、こうなると食べれるもんなら食べてみろ〜って意地悪されて感じるわぁ……。(嘆息混じりに零し、一度地に足を付け留まる。「で、でも不思議ワールドでも慣性はある筈だから……!」と思考整理するかのように呟き、紐の動きを読みながら狙いを定めるとしようか。ランダム性のために機運も絡みつつ、幾度目かの挑戦の末――袋が触れたのを逃さず、唇で挟み込んだまま着地したならば、ようやくと取得が叶った事だろう。)んっ!とれふぁ!(袋を咥えたままもごもごと歓声を上げ、然してそのまま走り出しはせずに、輝かせた面持ちで彼の方を見遣る辺りがこの女であった。
アイリーンはいつでもずっと優しいお姉ちゃんなんですが、Event6でペアを組んでいただけることになったときにふと思い出したのがこのシーンでした。
【Event6】12/15(土)
* No.200
(――心を強く持てばいいだけ。ペルソナのシャドウ化への対処法として、最適解に違いないのだろう。けれど、それが容易い事でないのだと、よく知っている。姿を見せなくなった仲間たちが脳裏をよぎるが、殊更に案じるべきは一人の少年だ。此度の騒動の中で何も報告が無かった以上、次は自分だと突き付けられるばかりの心地は想像すれば痛ましいもので。ゆえにマイ・ルームへゆく背中を追うのは迷いなく、その内側へと続くための扉へとノックをふたつ。)イサナちゃん、……イサナちゃん?(数秒、十数秒、待てども扉は開かない。現実へと戻ったのだろうか。そうと判断しようとして、けれど踵を返しかけてすぐに床を踏みしめる。何事もなかったら迷惑かもだとか、たたらを踏む胸中を蹴り飛ばして扉に手を掛ける。お姉ちゃんならばそうすべきだと、何かに背を押されたような気がしたから。――開いた扉の先、それぞれの心の内側のようなマイ・ルーム内。その姿を見つけることが叶った安堵を容易く覆い隠す異常事態に、後ろから殴りつけられたような衝撃が襲う。しかし、事態を冷静に判ずるより先に、)――シュブ=ニグラス!!(焦燥にも似て高くあげた声に呼応した、影よりも黒き邪神が放つは“ガル”。)その子から離れなさい!!(逼迫した音吐が牽制すると同時、一陣の風が吹きすさび、けれど対象の身を裂くことなくその頭上を掠めて通り抜けていくだろう。シャドウだろうと頭では理解していても、人間の姿を取るそれを直接害する事は躊躇われたために。けれど、仲間を守るためならば、踏み込むのを厭うつもりもない。宿主の心に従う邪神がふわりと風を纏う。抵抗を見せるのなら、次なる一撃を狙うはガルダインだ。
アイリーンPL様は本当にロールがお上手で描写がわかりやすいだけでなく素敵だなと常々思っていたのですが、まさしく「一陣の風」のごときかっこいい登場シーンに痺れました……
* No.203
……っは、(朧気であった記憶が鮮明になっていく。あれは、そう。用務員さん。学園に従事する一人で、中でも一際年若いその人の姿は記憶の端に在ったのだ。なんで、どうして、そうした情動は今更生じずとも戸惑いはある。語りかける影を牽制も兼ねて見据え、事態の把握の一助に、暫しその声に耳を傾けていると、)……イサナちゃん?(悲痛の声がそれを遮った。当惑に暮れて動けずにいた身に、拒絶が突き付けられて眼を瞠る。楽し気な笑い声が耳をついても、少年から目が離せなかった。影が語りかけた“昔話”の正体など予想もつかず、思ってるような子じゃないなんて、そんな言葉だって否定する材料も持ちえない。自らの存在がここに在るだけで、彼を傷付けるのかもしれないとしても、)〜〜ッ帰りません!!(張り上げた声は、お姉ちゃんらしからぬ殆ど駄々みたいな意地の音吐であった。吐き出しきった息を、もう一度大きく吸い込んだ。)……本当のイサナちゃんなんてお姉ちゃんはきっと知らないわ。幻想じゃないとか反論も出来ない。だって、ここはそういう場所だもの。(この場所はイデア・ルーム。理想を体現する場所。今、憧れの似姿で立つ自分が、よくわかっている。拒絶がもしも本心であるならばここで黙って背を向けるべきなのだ。――それでも。)それでも!イサナちゃんは一生懸命で、明るくて、人を笑顔に出来る子なの!誰かを傷付けたりしない!あなたのこと何も知らなくっても、こんなに優しい理想を持てる人だってことはわかるから……!置いていきたくないの!(踏み出した一歩が青いカーペットに沈む。もう一人の自分が、万物の母が、それに寄り添い付き従う。双方が纏う黒は、影の色でなく空と宇宙の色だ。)
イデアルならではの名シーン!推したいです! 本当の顔も名前も、悩みを知らない相手でも、決して置いていかない。実に痺れる男前なアイリーンさん!
アイリーンの言葉にはこの後何度も勇気づけられたのですが、特に「あなたのこと何も知らなくっても、こんなに優しい理想を持てる人だってことはわかるから」の部分が本当に嬉しくて……ほかの子もそうなんですが、現実と理想の姿が全く違っていても、その理想を描いたのは紛れもなく現実世界のPCであり、現実世界と理想世界のPCは芯の部分でつながっているんだな、と思い出させてくれた一言です。
* No.205
(諦めて、投げ出して、弛緩した身体に宿る気配を感じられた。案じる面持ちには明るみが満ちて、迷いなく彼の言葉に何度だって頷いて応える事だろう。――けれど影は語る。己の知らないその姿について、理路整然と筋道だった反論など出来よう筈もないのだけれど。平生にはふんわりと垂れ下がった目尻をキッと吊り上げて、かの影を睨みつけた。)――うるさぁいっ!!(今尚足を掴むかの如き悪い子に叱責が飛ぶ。残念ながら現実の少女も理想のお姉ちゃんも諍いは得意でなく、口撃に転じるには随分と心許無い。だから、向き直る。影を討つのは自らの役目ではないのだ。柔く沈む足を前へ、前へ、水をかき分けるかのように躊躇いも迷いも振り払って進む。やがて留めた身体は、少年の傍で温容に笑い掛けよう。自分の役目といえば、そう。仲間の傍で、その身を支えるくらいなものだ。)大丈夫。……お姉ちゃんもイサナちゃんも、最後まで走りきったでしょう?(判断材料なんて全部、理想を体現した欠片たち。陸地から大海原へと至ったかつての鯨の祖先たちみたいに、この理想の中では何処へも行ける足となり得るに違いない。)お姉ちゃんね、これまでみたいに、みんなと冬の遊びが出来るかなってちょっぴり期待してたんだぁ。でもこの階はそういうのないみたいだから……みんなで、冬にしたいことのお話でもしたいな。……そこに、イサナちゃんがいてくれないと、お姉ちゃん寂しいわ。(幾重にも枝分かれしているかのように、点で結ばれた円のように、築いた絆の只中へ。自分が此処にいる理由なんて、ただ彼と過ごす時間を手放し難かっただけだ。)
「影を討つのは自らの役目ではないのだ。」「仲間の傍で、その身を支えるくらいなものだ。」の部分がアイリーンの在り方をよく表しているなあと。甘やかすばかりでなくて、イサナを信じてきちんと見守っていてくれるアイリーンが大好きです。
* No.231
なれるわ、きっと。だって、イサナちゃんは頑張れる子だものね。(一側面を見て知ったかぶりをするような口振りであるが、奇妙な確信があった。その所以を何とするかはいずれ知るかもしれない事として、空を映したような色が消えていくのを見守った。そうして、ほのかな安堵の後に。)ううん、いいのよ。お姉ちゃん、結局は一緒に居ただけ。全部、ぜーんぶ!頑張ったイサナちゃんの成果!偉いわイサナちゃんっ、よく頑張れたね!(謙遜ではない手放しの感慨を賞賛という形で手向け、発する声はうんと明るく響く。平生のお姉ちゃんのトーンだ。きっと現実でまみえても難しいことは今のうちにやってしまおう、なんて魂胆というわけでもないが、ただ一人の目撃者たる自分は彼の雄飛さながらの奮起を称えていたくて、認めていたかった。)……そうなの?あらぁ……ふふ、何がどう作用するかなんてわからないものね。あの時は咄嗟だった、けど、(ぱちりと瞬いて、逡巡。あの瞬間を思い返す。すると、)……あ、あぁ〜……で、でもでもっ、おっきい声出したことは他のみんなには言わないでちょうだいね……!恥ずかしいから……!(あれは大変、とっても、お姉ちゃんらしからぬ激情であったような。途端に顔が熱を帯びる。両手で顔を覆って羞恥心から逃げ逃れんとしていたが、“みんな”のワードに意識は容易く其方に意識が傾き、降ろした手の内から覗かせた顔をパッと上げた。)あっ……そう、そうね。あのお話があった直後だったし……きっと心配しているわ。元気なお顔見せてくれたら、みんな喜ぶと思うな。(ましてや各々が各々の経験を経た後の事だ。我が身に降りかかった事が彼にも起こっていればと案ずるのは当然なのだと、そう頷いてから、ふと顔を綻ばせた。彼はもう前を向いている。その瞳も、心も伴って。)……ええ。一緒に帰りましょう、みんなのところに!(皆々がいればこそ、そこは愛する場所へ、帰る場所へ。差し出された手に今度はきょとりと要領を得ない表情を見せてから、ややあってはたと気付き、そうしてようやくと掌が重なった。ふたりのあわいの結び目を揺らし、繋がる影は扉の向こう側へ。小さな一歩を、重ねていくために。
Event6でアイリーンに悩みを打ち明けることができて本当に良かったです。正体がばれたあとなのでアイリーンに甘えるか悩んだのですが、一人逃げてきたマイ・ルームからアイリーンと一緒にみんなの元へ帰ることで晴一としても新たな一歩が踏み出せたのかな、と思っています。
BEST SCENE * 佐々礼笑子
 佐々礼笑子&鵜飼倫央 
【Step1】7/6(金):夕方 瑠璃浜鑑台駅前 
* No.2
(目前に控えた試験準備期間がためか覗き込んだ図書室は人で溢れ、致し方なく帰路についた放課後。夏の只中にあっては日の入りは遅く、真昼にも近い空の下を歩む足取りは緩慢なものであったが――どん、と突如として訪れた腰辺りへの衝撃に留められる。重心を乗せた片足で耐え、その正体を見遣れば、目線は平生よりもずっと低い位置。腰に抱きついた見知らぬ子供は何やら興奮状態で話し続けており、幾度も“ママ”と語りかけている様子から、どうやら周りが見えておらず人違いをしたのだと察しがついた。)……あの……ママじゃない、よ……。(これでもどうにか物言いを選んだのだという様相で声を掛ける。と、共に、まん丸になった大きな瞳がようやくと此方を見上げた。奇妙な静寂が訪れ、居た堪れない胸裏のままに暫し次なる反応を待てば、幼い少年は周囲を見渡し始める。4歳か5歳程度だろうか、だとか、現実逃避が如く思案を巡らせているうちに――直後、爆ぜるような轟音、もとい泣き声が響き渡る。)えっ、  …………あっっ、う、うわぁ〜〜……!?(瞠目、そして驚嘆。両者とも遅れて事態を飲み込む形となって、しかし此方は動揺を露わに慌てて膝をつき目線の高さを合わせる事を試みる。)待っ……お、お母さんとはぐれたの!?え、えぇとどうしよ、あの、えっと、……な、泣かないでよぉ〜……!!(此方まで泣きだしそうな心許ない声をあげ、事の収束には程遠い。)
まるまる笑子さんのかわいさが詰まっています。ファーストコンタクトの笑子さん、アイコンの険しめの見た目とうろたえ方にギャップがあって本当に可愛い。困りごとに悩みの内容が反映されていて、今読み返すと味わい深いです。
* No.14
(優しい掌が、柔らかな音吐が、糸のように絡まる混迷を解いていくのがよくわかる。自然な態度にただ口を挟まず感心の瞳を向けて、「すご……」なんて他人事のように感嘆を洩らしていた数瞬。不意に水を向けられたならばぎょっと眼を剥いて、惑う唇がはくはくと空気を食んだのちに。)えぅ、あ、その、……えみこ、ちゃん、です……、(明らかに己よりも慣れた様子の彼へ右に倣えで、フォーマットに則ってはみたもののあまりにも柄にもない口吻だった。こみ上げる羞恥心は奥歯を強く噛みしめて堪えるが、しゃくり上げながらも落ち着いてきた様子の少年がたどたどしくも名前を答えたのを見るに、効果はてきめんであったらしい。安堵を得て、への字に結んだ唇はわかりづらくも意を決した事の表れか。)……丸投げにはしない。ついてく。……あたしに出来ることあるかは、わかんないし、頼ることになっちゃうけど。(彼の方も断りはしないと判じたのだろうと察するとも、改めて明言する形で応えようか。地面についていた膝を軽く払って立ち上がり、中腰の姿勢で引き続き少年を窺った。)……歩ける?え、と……お、おねえちゃんたちに、ついてこれる……かなー……??(少ない引き出しから言葉を選んではみるもどうにも自信はない調子で、舌足らずな少年とはまた異なる意味合いでたどたどしい。前進はすれど、しかし手を引くだとか抱えてあげるだとかいった選択肢は浮かんでいないらしい辺りは減点か。)
子どもの相手をするのを口実にして絶対にお名前を呼ぶぞと思っていたので、えみこちゃんって名乗ってくれて本当に嬉しかったです!!!この後もなんですが、不慣れながら頑張って小さい子対応をする笑子さんがとってもかわいい。
* No.55
(反応から一先ず、彼の趣向を大きく外してはいないのだろうと判じて安堵しつつ。付随する言葉にははたと瞬いて。)プリン作れんの?……すごいね?料理はする方だけど……お菓子作り、ちょっとハードル高い。(似て非なる事に感じられるのは、後者の細やかさがためだろう。本日は、感嘆ばかりを洩らしているような気がしている。)うん、海見てる。流石にね……熱中症とかイヤだし、この時期は長居はあんま出来ない。……鵜飼は海浜公園、行ったことある?深那莫の。あそこ、遊園地とかプールとか、動物園とか、色々あるから……妹さん、喜ぶんじゃない。(ふと転校生という話を思い出し、浮かぶ提案。しかし伝えてから「……わかんないけど……」と気まずげにするのは、余計なお世話かもだとか、妹さんの性格も知らないしだとか、後ろ向きに苛まれるがゆえだ。既にじくじくと後悔に脇腹を突かれる想いを抱えつつ、短く息を吐く。)ふぅん……なら、寄り道とか、時間潰し甲斐はあるんじゃない。この辺、色々あるから。(指し示す方へ顔を上げ、次いで頷きながら「よくわかったね」と、そのままわかりづらい看板を目指す。街の一角に溶け込んだ扉を押し開くと、心地良い冷気が肌を撫でた。お好きな席へどうぞ、と老店主に案内されるまま小ぢんまりとした店内を見渡せば、普段は一人掛けのソファ席へ足を向けるのだが、今は対面での二人掛け席を指差して。)……あの辺でいい?
こうやって言ってた方が手作りのフロランタン作ってくれるの、愛だよ……。
* No.66
(恥じらいなんてない、手放しの肯定からも伝う。それが彼にとっての“普通”なんだろう。だからこそ宙ぶらりんになった時間と気持ちの取り扱いに首を捻れども、此方もまた勧められるような趣味があるでも無し。)立派な……趣味?だと思うけどね。……バイトとか、習い事とか?逆に一定時間拘束されちゃうけど。(そもそもが受験生がこの時期に、という点もある。結局、大した案も出せぬまま。吐露した胸中を掬い上げる彼の言葉はどれも、ただ後ろ暗さを拭い去る。大仰な口振りに「……なんか、大袈裟」なんて零すのに混じる呼気は、笑声とするには随分と淡泊であれど、何処か柔らかさを纏うものだった。)う゛、……ど、どうしたらいいか、わかんないんだもん……。(向かい合う現状の図星をつかれ、面持ちは苦みを帯びる。しかし次いで瞬いたのは、思いがけぬ言葉が続いたからだ。――あたしと?そんな疑問符に支配され飲み下すのに時間を要するその数瞬のうち、注文の品が運ばれてきたならば、小さく肩を揺らし思考は一時ぷつりと閉ざされる形となるか。ようやくと着地点を見つけた目線をアイスコーヒーへと落とし、ミクルを注いでマドラーでかき混ぜながら。窺うよう、そろそろと持ち上げた眼差しが交わった。)……でしょ。他のメニューも美味しいんだよ。デザート系しか、食べた事ないんだけど。(ふと、微かながらやわらいで伝う表情と声音。手慰みのように回し続けていたマドラーを置いて、行き場に惑った手は膝の上へ。)……あの……いやじゃ、ないよ。これでも、鵜飼にはあんまり、緊張しないんだ。……初対面が、それどころじゃなかったからかな。(小さなひと騒動を思い返した分析は、果たして的を射ているのか否か。鞄からスマホを取り出して、しかし差し出す前に両の手でぎゅうと握ってから。)……それって、あたしからも連絡していーの?(不慣れなりの、拙い第一歩だ。)
いーの?って聞く笑子さん、ちょっと幼い感じがしてかわいいね……。
【Step2】8/4(土):午前 深那莫海浜公園(動物園)
* No.94
(ほんの少しの躊躇いののちに胸元で小さく手を振って返すも、夏空の下、長く待たせたとあっては申し訳が立たない。ゆえに柔い否定には安堵の息を零しつつ、小さな笑いにはきょとりと要領を得ない表情。それから、先んじた応酬を思い返しワンテンポ遅れて気付いたならば、)あー……そうかも?なんか、ベタなやり取りした感じ。……次あったら、鵜飼より早く着いて鵜飼の方から言わせよっかな。(なんて、恐らく冗談の類だろうが、笑みのひとつも見せないのだからわかりづらい性分である。しかし自然と“次”を望む形となったのは無意識の産物か。兎角、無事に待ち合わせに果たした後にはチケットの購入窓口に眼を向けるつもりであったのだけれど。)え、用意良い……あ、ありがと。お金……ああでも、後の方がいい……?(この場で留まるのもなんだろうと惑いつつ、一先ず差し出されるまま一枚を抜き取ってみれば手元にはゾウのチケットが渡る。「ゾウ、いるんだね」と些細な呟きと共に、入場ゲートを抜けた先で。)うん、正午過ぎとかだとまた気温上がるかもだしね。……んー……カピバラ。のそのそ歩く感じの動物、かわいくて好き。いるかな。(事前の下調べなどはしておらず、彼の手元で広げられたマップを覗き込んでいた視線を持ち上げる。)鵜飼は見たい動物、いる?(滅多に来ないような場へと寄せる期待感がほのかに胸に満ちて、動物たちへの関心に彼もひっくるめて問おう。)
笑子さんが鵜飼との次の機会を想定してくれるの、心を開いてくださっているようで本当に嬉しかったです。この辺りのまだ仲良くなり始めの友達のやりとりという感じもすごーーーく好きです。
* No.119
(カピバラにシロクマ、そんな応酬の中、知らないことなんていくらでもある。動物の生態であったり、彼のことであったり。動物の展示みたいに彼のことなんて書いてやしないから、不意に得られる彼の側面には密やかな感興があった。)そうかも。この辺なんて海近いからか、公園いるとたまに遠くから鳶の鳴き声聞こえてくることある。ぴょろろ……みたいなの。(存外納得のいくふわふわ説に頷いた後、暫しの思案。)…………確かに。タカでも間違いなく驚いてたし、距離によっては全然スズメとかでもびっくりする。(見た目と態度のわりには気は小さい部類である。鳥類>自分とまで勢力図から蹴落とされていきつつ、目当ての区画に辿り着くのは間もなくの事。指し示す先に素直に応えていたけれど、謝罪が続けば怪訝そうに首を傾げて見せたか。ややあって、思い返して、その口振りに思い当たり「ああ、」と呟いて。)……慣れた言い方だ。(ふ、と口許を緩ませ微かに笑みを零す。その傍に在る存在がよぎって溢れた綻びであったが、それも一瞬。瞬きのうちにはその口許も平生の固さへ戻って、鞄から財布を手繰り寄せると、)いいよ。しよ、はんぶんこ。(取り出した100円玉は一枚。此方はあまり慣れていない言い方につき、そのまま「ん、」と硬貨を押し付けてしまおう。)一人っ子だから独り占めは飽きちゃうくらい慣れっこなの。……それとも、今日くらい独り占めしたいとか、ある?(“独り占め”なんて言い方は大袈裟なくらい、ささやかな事柄だからこそ。彼の選択に関心寄せて、じっとその反応を窺った。
No.115の「どうする?半分こする?(二人で分けっこがまっさきに口をついて出た。妹相手じゃあるまいし、特にシェアする必要もないのに。)ごめん、別に普通に一人一個買えばよかった。(うっかりを恥じる気持ちから、いつもよりやや早口になる。)」と、No.122の「独り占めだとなんとなく落ち着かないから、半分こがいいな。妹が生まれるまでは俺も色んなものが独り占めだったはずなのに、もう半分この方が慣れっこになっちゃった。」も含めて一連の流れがとっても好きです!Step2は次に繋がるというか、悩みの中身に関わる会話であったり、その後の展開でテーマとなってくるやりとりがあったイベントだったなあと感慨深くもあり、中でも初めて2人が「半分こ」をしたこのシーンが印象的でした。この後もこの先もずっと2人で色んなものを半分こする2人であってほしいです。
* No.124
(鳶に食べ物を攫われていく瞬間を想像すればゾッとする。ともすれば弱点タイプの判定も間違ってはいまい。次いで問われれば、面持ちに苦みを滲ませつつ頷く筈だ。こうした面では素直なくせに、手向けられた謝意は金額分の方のみ受け取った気でいる辺り、面倒な性分である。)ああ……そっか、結構離れてるんだもんね。半分ことか……食べたものの感想、言い合うのとか。いつも妹さんとやってる?(彼の振る舞いの端々に感じられる都度、浮かぶ情感は憧憬とも呼べようか。餌に引き寄せられたカピバラたちが集まり始めれば視線は吸い寄せられ、差し出されるままにリンゴを二切れ頂いて、此方によってきたうちの一匹と相対する。世界最大のげっ歯類を冠するに相応しいサイズ感に「間近で見るとマジでおっきい……」なんて感想を零しつつ、おずおずと、そんな手付きでリンゴを口許へ運んでみる。すん、と鼻をひとつ鳴らして、それからのんびりとした動きで咀嚼し始めるだろう。)うわ……か、かわいー……しゃくしゃくいってる……りんごおいしい?(ぽつぽつ、というよりも、ぼそぼそ。殆ど無意識みたいに拙い音吐を洩らしながら、おっとりした挙動に釘付けだ。そのうち、成獣を思しきその個体よりも二回り以上も小柄なカピバラが、二匹で連れ添ってやってくるのが見えた。)鵜飼、鵜飼。ちっちゃいのきた。(すぐ傍に居る彼に手招きをして、其方の番とばかりに見守るつもりで。
この辺りのカピバラと戯れる笑子さんが本当にかわいい。
* No.143
……頑固おやじだ。(空想は一足飛びで未来へと至り、先程までの“予想通り”から幾分かズレていくものだから、そこまで?とばかりの面持ちがあった。彼に訊ねられさえすればそれで満足で、今は直近の決定に頷き、目的地を定めたならばその道中に。)甘いのなら大体好き。辛い系は……苦手かも。カレーパンとか、好きか苦手か分かれる。……、お願いする事もあるかもだけど、あんたも好きなの選んだ上でだからね。鵜飼は何が好きなの。(普段妹の希望を優先させたチョイスをするのだろうと想像は出来たが、まさか自分に対してもそんな事をさせるわけにはいくまい。前もって念押しとして訊ねながら、足を踏み入れた店内にて。そこまでの空腹感ではなかった筈が、ふんわりと香るあたたかな匂いに食欲をほのかに刺激されて、園内の動物たちに比べお行儀よく並ぶパンを眺めた。)マンゴークリーム……?パンでは食べたことないタイプのだ。でも夏っぽくていいかも。んー、やっぱ全部かわいい……。(あちらへこちらへ、どれも愛らしい形をしたパンに目を惹かれ、時に「リカオンってなんだ……?」と馴染みない動物に怪訝そうにしてみせたりなどして。自身の腹と相談してみれば二つが限度なため、あと一つをゾウの親子にするか丸まった大きな尻尾の可愛らしいリスにするかと迷う中、パッ顔をと持ち上げる。)鵜飼、どれにする?
この語調の強さとお話しいただいてる内容の優しさのギャップがすごくいいです。笑子さん、本当に優しい方だ……。
* No.151
(互いの同意を経て、並ぶ会計時。促したドリンクメニューを共に眺めている中、彼の指し示す文字に視線は引き寄せられる。)へぇ……こんなのあるんだ。……うん、いいよ。あたしも同じのにしよっかな。(――察しなんて良い方ではない。だから、ほのかに漂って感じられた遠慮の気配も、勘違いだって構わない。彼の希望が聞けたならば、微かに表情をやわらげて同じものを選ぼう。二つのパンと二つのドリンクの会計を済ませ、二人着席した後には、以前のように泳ぐわけではない眼差しはただ愛らしい動物たちに惹かれている。クラフトジンジャエールの片割れを彼の方に置き、しかしその表情は次第にもにゃもにゃと複雑なものへと変じていった。)ん、ん〜……それ、は、そうした方がいいかなって、思っただけで……ていうか、あの時は結局あたし一人じゃ何も出来なかったし……。(過日の出来事は自身の部分のみ切り取ってしまえば“醜態”に他ならず、苦々しさがよぎるも、こほんと咳払いののちに。)……なんか……相手に気遣わせない気遣い方、みたいな感じあるでしょ、鵜飼って。あたし、勝手に色々考えちゃうんだけど……鵜飼と話してると、ぐるぐるすることあんまないの。(人付き合いを苦手とする所以の一部。交わらせることを避けたがる瞳だって彼のそれは気にならないから、キャップを脱いで「……撮る」と甘んじて提案を受け、スマホを翳そうか。食事の写真を残す習慣はあまりないが、可愛らしい状態で残せるのは今だけだ。彼の購入品含め数枚ほど写真に収めた後、カピバラと親子ゾウとをくるりと彼の方へと向け、撮る?とのアイコンタクトを。短い撮影会を経て、大層抵抗感のありそうなしかめっ面でパンの一部を千切って彼のトレイへと置いたなら、「……いただきます」とまずはカピバラから一口。)……ん、美味しい。夏に合う味、かも?(なんて、あの日の食レポに寄せて。)
PLは鵜飼のことを人に気を遣わせずに気を遣えるタイプだ!!!と思ってめちゃ頑張って動かしていたので、そのものズバリのことを言われてやったーーー!!!!と大喜びしました。最高の褒め言葉をありがとうございます。
* No.158
(もしも。当時、彼がいなければ、は想像に容易いが、自分がいなければ、ともなると。その口をついた仮定の違和は同様だったらしく、此方は間を置かずに異議を唱えよう。)うん。鵜飼は間違いなく声掛ける。(明白に断言して、然して矛先が自身にも向くと困ったように眉を下げた。)……ん〜……うん、鵜飼もって言うなら……まぁ。(己の性質を悪辣とは思っちゃいないが、どうしたって賛辞を受け取るのは不慣れだ。彼も含むならばと納得して、ジンジャーエールに差し込んだストローへと唇を寄せる。友達、と。彼から紡がれる度に胸奥より湧くあたたかな情感と、喉を通って伝う冷たさとが混ざって、なんだかちぐはぐな心地だ。)なんか……自分で宣誓すると変な響き。や、あたしも思ってるけどさ、スマートな気遣い。……けど、あの、……と、ともだちが喜んでくれんなら、伝えてよかった……かな。(これもまた不慣れば言葉なものだから、口にしてみるとじわじわと熱の昇る感覚を覚える。ほんのりと赤みの差し込む頬なんて夏のせいにして、キャップで顔を扇いでいると、先日のように食レポをするものだろうかと待てば、突然の一首。交わる視線の意味合いを感じ取ったならば、)……えっ。あっ、んーと……疑問形の「かな」と詠嘆法の「かな」がかかってる感じで、いいんじゃない……?(採点は食レポに対してというよりも短歌に対するものとなったか。アドリブの弱さを露呈させながらひとつひとつと美味しさを分かち合って、腹を満たした後には再び園内を楽しむ事となろう。まず目当てのシロクマよりも先に彼の横顔を窺って、それからその涼しさを気持ち分けてもらおうか。誘いに応じたショップ内では土産を決めあぐねて相談したりして、夏の一日は彼の色で彩られていく。別れ際にはきっと、少し面映ゆくって目を逸らしたまま、ありふれた言葉で締めくくろう。)今日……楽しかった。……またね。
笑子さんの口から出るともだちという言葉の尊さよ。
急に詠んだ謎短歌に律儀に感想をくれるなんて、笑子さんって本当にいい人だ!!ありがとうございます。困惑も伝わってきてとても趣深い講評です。
9/12(水):夕方 ハッピーイート店内 >佐々礼【7】
* No.32
(吟味しながら緩慢にメニューを捲る中、「本当に走ってきたんだ」とぱちりと瞬く。昼食を軽くしたりなどはしておいたものの、体育のある日にでもお願いするべきだっただろうか、と少し脳裏によぎらせつつ。)ね。このボリューム感、胸掴まれる。けど、うーん……そうだね、ご飯もの2つとパンケーキ並んだら、あたしじゃお手伝い出来そうにないし……。(甘いものは別腹、とはよくいったものながら、流石にパンケーキとなっては一食分相当の重みが伴う。そのため、背中の後押しは出来なかったものの、)……ぐらぐらしてる。(パンケーキの誘惑に揺らいでいる様を暫し見守って、それから、ふと笑みを零す。胸をくすぐるのは微笑ましさだろうか。)ん、いいよ。半分こしよっか。……あたしも正直パンケーキには後ろ髪引かれてたし。おっきさ比べ、またの機会にしよ。(自分にも美味しい選択肢で、まして彼の提案だ。断る理由もあるまい。自分だけで食べる分には“なし”前提だが、此度事前に腹具合を空けておくのにも付き合ってもらっている。グラタンを指差して「ハッピーありなし、どうする?」と委ねて、オーダーを通してもらった後には店内を眺めよう。人の入りはそこそこあるが、混雑しているわけでもなければ注文の品はそう待たずに運ばれてくるだろう。)そういえば鵜飼、この学校での文化祭初めてだったよね。結構規模おっきかったでしょ。9組って何やってた?(多種多様なワッフルを提供していたクラスの出し物では接客を拒否し終始裏方であった上、自由時間にはクラスメイトに付き合って彼女らの後輩のクラスを回っていたため、当日彼周辺に動向は知れずに問いかけた。)
この辺の描写に恋の予感を感じ取ってPLがドキドキしていました。
【Step3】10/20(土):放課後 双鏡学園校門付近 
* No.159
「佐々礼さんバイバーイ!」――横をすり抜けていく声に顔をあげれば、文化祭を機に話すようになった女子グループの一人だった。小さく手を振り返し、その背中を見送る。クラスメイトと話す機会が増えたのは、苦手とする人付き合いのハードルが随分と下がったことも要因だろう。理由はよくわかっている。LINKSを開き、並ぶトーク画面のひとつをタップした。)……テスト、終わったし……どっか、誘ってもいいのかなぁ。(画面に連なるは約束や些細なやり取り。けれどそれこそが安らぎだった。とはいえあっちには他に友達多そうだし、こっちがバイトあるから時間合わせてもらう事になっちゃうし、だなんてやたらにぐるぐると考える中――「笑子ちゃん?」進行方向より呼ばれる名に、咄嗟に足を止めた。40代ほどの穏やかそうな男性が一人と、後ろをついて歩く少年少女は、両名とも数駅先の中学校の制服を纏っている。)……水町、さん……、(眼を瞠って、顔を上げていたのはその一瞬。すぐに視線を逸らし、何故、が脳内を駆け巡る。それを見透かしたなんて事もなかろうが、男性は子供たちの進路希望が双高である事、今度在校生である君にも話を聞いてみたいと、柔らかな物腰で説いてくることだろう。片や視線を下方へ滑らせたまま押し黙り、片やにこやかながら明らかに気を遣った態度。傍目に見れば奇妙な重たさが漂って感じられるかもしれない。その空気感をひしひしと感じているのは、当人も同様。)……学校から説明される以上の事、言えるかわかりませんけど、その……何かあたしに話せる事があれば。(ぽつりと、呟くよう返る言葉が拒絶でない事に安堵したようで、男性の張った肩が緩んだような。次いで“なら次の食事会の時にでも”と続けば、常から吊り上がるような眉が顰められて。)……来月のですよね。その日は父と会う日って、母には前もって伝えた筈ですが。……本当、あたしの話聞いてないな。(母の行動に察しが付けば嘆息が溢れ出す。しかし男性の面持ちに気まずげな苦みが走るのに気付けば、サッと血の気が失せていき「……っ、すいません、この後バイトあるんで」と足早にその横を通り抜けていくしか出来なかった。――嗚呼、やっぱりダメだ。自分じゃダメなんだ。目を逸らしてきた自己嫌悪が蓋を押し退けて溢れ出すようで、強く噛んだ唇が痛む。――早く夜へ。結局安寧は“佐々礼笑子”のいない、あの場所にしかない。)
笑子さんにお友達ができていて本当にPLが喜びました。その一因に鵜飼がいるなんてこんなにありがたいことはありません。読むたびにとっても嬉しくなれるシーンです。
【Step4】11/16(金):午前1時頃 ホテル中庭 
* No.197
(彼の傍にいると、自分も知らなかった自分を知る感慨もあった。だから挙げ連ねられる想定も存外無いものでもないような気がして、「結構ありそうだね」なんて笑いだす。見上げる双眸も緩やかに眦が下がって、凪いだ心持ちで相対するまま。)それがおっきいことだったんだけどね。……もちろん。あたしに出来る範囲なら、にはなっちゃうけど……なんでもしたいって、思ってるから。それくらいお安い御用。(普段の気負わせないような口振りよりもどこか異なる色を帯びて伝う音吐に、気のせいかな、と思い直しそうにさえなるけれど。いずれにせよ、その程度は言われずとも当たり前なのだからと頷いてみせる筈だ。しかし指摘された文言を脳裏で反復してみれば確かに、と思い至るもので、慌てて首を振り否定を被せさせてもらおうか。)そ、それは、言葉の綾……!一緒にいたいって気持ちは、これからも、そう。変わんないよ。……モーニングコール?まぁ、この時間だしその心配もわかるけど……同室の人たちに置いてかれてる……?(予想だにせぬ最初のお返しにぱちりと瞬き、その場面なんて思い浮かべてみて。そうして、ふ、と息を零して笑いかけよう。)いーよ、あたしわりと朝得意だし電話したげる。元々夜更かしさせたのもあたしのせいだし。……で、さ、やっぱりご飯って、クラスメイトと食べてるよね……?(この数ヶ月で随分と夜更かしが身に染みてしまったが、元々朝型寄りの生活だ。容易い事として承諾するが、二の句は己にとっては容易くはない。今度はどこかまごまごと言い淀む歯切れの悪さで、このところは惑いなく交わらせていた眼差しが、出逢いの頃のように泳いでいく。)あの、気が向いたらでいいんだけど。……明日の朝ごはん、一緒に食べない……?や、もう明日で最後だし、鵜飼と、修学旅行の思い出欲しい、な、って……思、いまして……、(ツギハギみたいに声は途切れ途切れ、言葉尻は最早消えかけて、こんな些細なお誘いひとつもへたくそだった。
モーニングコールを了承してくださったのもとっても嬉しかったんですが、鵜飼との修学旅行の思い出を欲しがってくださるのが本当に本当にかわいいです。仲の良い友達が朝ごはん一緒に食べようって誘ってくれる喜びよ。人と距離を置いていた笑子さんが誘ってくれるというのが本当にいい。
12/24(月):午後 喫茶店 >鵜飼 
* No.67
(粧うのは自らを守る鎧だった。知識を入れるうちに楽しむようにもなっていったが、全て真ん中に在る自分のためだけの行為。ゆえに、誰かを想って装いを選ぶのはこんなにも難しいのだと知ったのは、初めてのことで。――玄関に向かう娘に気付いた母がリビングから顔を覗かせ、弾む声が見送りの言葉をかける。共に「ケーキ、おおきいの買っておくからね!」なんて笑みは明々として輝いていた。)……ふふ、大袈裟。二人で食べきれるサイズにしてよ。でも、フルーツ乗ってるやつだと嬉しい。(最近の母は機嫌が良い。修学旅行以来会話が増えたのも要因かもしれないし、友人との予定があると伝える都度にもそうだった。何となく、本日は異性との用向きであるとは伝えそびれているけれど。否、“何となく”の内訳は、既に答えが出ているようなものであったか。余計な思考を振り払い「行ってきます」と声を残し、冬の只中へと歩み出してから、暫し。瑠璃浜鑑台駅に降り立ってからは、ただでさえ落ち着きのなかった胸中が余計に忙しなくてたまらない。ショーウィンドウに自身の姿が映しだされる度、細かく前髪を整えたり、身なりを確認したりとの繰り返し。何度確かめたところでいつもより少し落ち着いたメイクと編み込んだハーフアップに整えた髪は変わらず。キャメルのコクーンコートと、その裾からタイトなニットワンピースの白く短い丈が微かに覗くその装いも、変わりようもない。そんな道中も終わりをつげ、ロングブーツのヒールがかつんと音を立て喫茶店の前で足を留める。あとはマフラーに鼻先まで埋めて、どんな顔をして会えばいいのだろうなんて考えながら待つのみだ。もう既に、誤魔化しようもなく、心臓がうるさかった。
お母様との関係が良くなっているのが私は本当に嬉しいです。笑子さんが明るいクリスマスを迎えられてよかったよ……。
恋する女の子の笑子さん、本当にかわいいね。
* No.103
……〜〜っ、う、そ、そう……なの。うー……ず、ずるい〜……ドキドキすることばっか、言うの。……あたし、も。結局『かも』取れちゃった、の……かも。(変わらず、着地は下手なまま。真っ直ぐな言葉が降り注げば羞恥と喜色とがぐるぐると混ざって、どうにか処理しようとする脳内も心音も騒がしくって忙しない。その言葉全てに一喜一憂してしまう要因たる彼へ向けるはいっそ恨み言のようでさえあった。知りえぬルートに存在に「そんなのあるんだ……」と呟きひとつ。年度ももう後半。彼のも見ておけばよかった、なんて後悔が覆されるのは、また後々の話として。)んー……な、慣れたとこじゃないと余計に緊張しちゃいそうでもある、気がする。……特別な、場所。何処行くことになるのかも、気になるけど。(関心は傾けど、今でさえ精一杯なのだから悩ましい。プレゼントにじっと視線を注ぐ表情の変化こそささやかながら、朝一番に目にしたサンタさんからの贈り物を見つめる子供みたいな、そんな煌めきをいっぱいに瞳に湛えていた。まだ中身も知らないのに、想い寄せる相手からの贈り物がこんなに特別だなんて。)……し、失礼します。(許諾を経て妙に畏まって一声添え、さほど重みはないそれを丁寧に取り扱って、包装を解いて現れたその姿を確かめる。)わ……ブランケット?(畳まれた布地を一部開いて改めて、感触を確かめるように表面を掌で撫ぜる。温もりを齎すであろうそれは、寒空の下で上着をかけてもらった過日がふわりと蘇るようだった。)……ありがと、鵜飼。鵜飼が選んでくれたのもそうだし、あったかそうで、うれしい。……ああ。なんか、鵜飼みたいだね。(言葉に、掌に、幾度そのあたたかさに掬い上げられたことだろう。彼の傍に居る日々は、ひなたに在るかのような雪解けを齎されるばかりだった。ふわふわと気持ちが浮き上がって零れたもので、ちょっと言葉は足りなかった。大切にしまいこむみたいに胸元に抱いて「大事にする、……っあ、でも、いっぱい使うから」と多幸感に頬を綻ばせる。実際、学内然り本日然り、冬場だろうと構わず足を晒している少女にとっては手放せない愛用品となることだろう。
ここに限らずなんですが、笑子さんのPLさん、照れ屋な女の子の動揺した姿を描くのが本当に本当にお上手でいらっしゃる。毎回ものすごくかわいいよー!!!とPLがじたばたしていました。かわいいね笑子さん。いくらでも恨み言言ってね。
鵜飼っぽいプレゼントってなんだろう?とうんうん唸って捻り出した結果で、鵜飼も言ってる通り孤独と寒さと悲しさから笑子さんをふわっと包んで守ってあげられるといいなと思って選んだので、「鵜飼みたいだね」って言ってもらえたのが本当に嬉しかったです。永遠に笑子さんにとってのブランケットでありたい。
* No.111
(両想い、と。改めて彼の声でその言葉を確かめてしまうと、輪郭のなかった実感がじわじわと明瞭になっていく心地に浮足立つ。黙り込んで、熱くてたまらない頬を両の手で包んで。それからようやく、小さく頷いて応える。きっと最初から、この想いを恋以外に表せよう筈もなかったのだ。)わ……どっちも行ってみたい。来年……うん、そしたら来年、一緒に計画立てよ。お酒飲めるようになったら、また選択肢広がりそうだよね。(関心に瞳をほの淡く輝かせて、明示されたいずれもに胸を膨らませる。次に、その次に、そうして積み重ねていく日々の中、取り留めのない日も特別な日も彼の姿を望めばこそ。綻ばせた面持ちのまま、緊張を解いた様相をじっと見つめて。)そんなこと、考えてくれてたんだ。……うん、きっともう大丈夫だと思う。今はこのブランケットも、鵜飼も、いてくれるから。(憧れめいた情動を傾けていた頃などは彼は自分とは全く異なる存在なのだとばかり考えていたが、緊張を語る口振りに偽りは感じられず、それがどこか愛おしい。恋愛感情初心者同士、というのはまさにそうなのだろう。それでも、齎されるものはどれもあまりに大きくて。震える夜も自らを責める朝も遠く。幸せは今や手に届く場所にばかり在る。)っあ、そ、そうだった……んん、あたしも、同じにしよっかな。デザートみたいのは、ちょっと、後で……はぁ、あっつ……、(すっかりと意識の外にあったメニューに慌てて視線を落とすも、なんだか集中出来ず、彼に乗っかる形に終える。火照る頬へ掌で風を送りつつ、二人分の注文を済ませ、恐らくそうはかからないであろう待ち時間に。ちらと自身を鞄を見遣る。)…………あの。実はあたしも、渡したいものがあって……く、クリスマスプレゼント?や、本当に大したものじゃないんだけど、(痛く感動した後に、よいものを頂いてしまった後に、となっては躊躇いを纏いながら、鞄から取り出したるはラッピングの施された長方形の箱。中身はアーモンドやドライフルーツを使用した“手作りのフロランタン”で、家族で分けてもらえるであろう分だけの量が収まっている。恐々とした抵抗感を多分に纏いながら「……受け取ってくれる……?」と窺う瞳は心許無く揺れていた。)
まさか笑子さんからクリスマスプレゼントがいただけるなんて思ってなかったのでPL諸共とっても驚き、とってもとっても喜びました!お菓子をあんまり作らないっておっしゃってた笑子さんが鵜飼のために何度も練習してお菓子を作ってくださったことに大変愛を感じています。ありがとう笑子さん、いつか鵜飼と一緒にお菓子作りしてね。
* No.128
(新幹線なら結構な範囲で行けそうだとか、旅先用に車の免許欲しいなだとか、ふわふわと浮かぶ夢想に少しずつ形を与えて、いずれ叶うものもあるだろうか。そんな未来の話の、もう少しだけ先の話。嫌なこと。と、想像して、結局彼と結びつくことはなく。けれど彼にとっては、今も尚、あの影が傍らで静かに見張っているのだろう。)うん。なら、待ってる。……あの、あたしはね、鵜飼があたしの嫌がることするってこと、全然想像出来ないんだ。だから、これからも鵜飼にそういう心配事あったら、教えてくれると嬉しい。(頷くのを阻むものはなく、次いで此方からもお願い事。お互いを知る事が叶ったから乞うことの出来る今の関係を、貴べばこそ。アイスコーヒーの待ち時間には引き結んだ唇のせいで、問いかけにはすぐには答えられず。視線を逃がし、暫し泳がせ、ようやくと戻って来た瞳で恐る恐ると彼を窺い、ゆっくりと頷いた。彼のため以外に、こんなことをしようと思ったこともない。だからこそ不安で、開封とその反応を怖々と見守って。何言うよりも先に閉じられた箱にぐっと身を強張らせるも束の間、そんなものは杞憂であるとすぐに知る事となる。思いがけない言葉に呆けて瞬き、困ったように眉を下げながら、ほんのりと緩む頬も抑えられなかった。)え、え〜……?一人で食べたら、それだけでお腹いっぱいになっちゃうかもしれないよ?(流石に男の子の腹を満たすほどの量ではないのだから、そんな多少の大袈裟具合なんて照れ隠しに他ならない。揃えた膝を擦り合わせ、くすぐったげに笑むまま首を傾けて。)んー……なら、帰る時、ちょっと外歩いてく?どっか座ってもいいし。……た、食べてみた感想教えてもらったら、次に活かせるかも……だし。(渡すだけで緊張していたというのに、安堵をひとつ経て、今度は食べてもらった反応が見たいだなんて欲が首を擡げる。)……家では、ご飯作ったりするけど。誰かのために何か作りたいって思ったの、初めてで……ど、ドキドキしちゃった。ちょっと違うけどね、ジャガがおやつお裾分けしてくれた時のこと思い出したな。ほら、あのスイカの。(今となってはラビリンス探索の最初も最初の頃。「あれ、美味しかったな」と綻ぶ様相からは緊張の波は幾分か引いて、けれど落ち着かない指先で髪を耳にかけたりなどして。)
しみじみとかわいくてどこからどこまで抜けばいいのかわからなくなりました。「え、え〜……?一人で食べたら、それだけでお腹いっぱいになっちゃうかもしれないよ?」が特に抱きしめたくなるかわいさです。ロールの中で鵜飼のことを男の子と称してくれるのにも言い知れないときめきを感じました。
* No.137
(信用など当たり前だ。ゆえに逸らされぬ眼差しにはその心緒が多分に滲む。真摯に聞き届けて、身に沁み込ませる。実感には遠くとも、一緒に居ると、向き合うと決めたからには、互いにとって必要な事なのだから。)……う、うん。わか、った。鵜飼もその時は、お願いします。(自分を信じるのは易いことではないとよく知っている。彼の懸念に重く頷き、その吐露を胸の内にしまいこむ。心配事を半分こしたら、今度は喜びを分かち合う番。けれど贈り物に打たれた胸と色好い反応への喜悦を伴って、半分こどころか倍とかそれ以上になっているような心地を得ていた。)……よく、あかりちゃんと分けっこするって言ってたから……いっぱい作ったけど。でも、一番に食べてほしいのはやっぱり、鵜飼だもん。……鵜飼に、喜んでほしかったから。喜んでくれて、安心した。(世辞の気配はなく、余さず伝えてくれる言葉は気持ちをぐんと引き上げて、情動をその身いっぱいに滲ませてくれる姿が愛おしい。「本当は、フルーツいっぱい使ったお菓子作ろうと思ってたんだけどね」と明かす。過日に聞き及んだ“フルーツが乗った甘いもの系”をいくつか考え、しかし今日という日はケーキを食べる家庭も多かろうと似た系統は避けて、代替案がドライフルーツだった。寄り道先に承諾し、謝辞のむず痒さに眉を寄せると共に。)え……あ、あたしのセリフなんだけどー……鵜飼にはずっと、嬉しくなるようなことしか言われてない。今日なんて、特に……、(眉を下げた困り顔で異議申し立て、交わした言葉を思い返せば再度頬に熱が灯るような。気持ちを伝えるための壁が随分と瓦解したのは、フルオープンなアイリーンの影響が一匙と、何よりも彼が崩してくれた産物だろう。仲間の姿を思い浮かべれば、自然と双眸は柔く細められた。)それも楽しそう。あれだったら火とか包丁とか使わないから、アイリーンも心配せずいられる。お手伝いはしたがるだろうけど。……あ、それならみんなで一緒に作るのもいいなぁ。不思議な小部屋見つけるのって、二人行動してる時だったし(理想の姿は紛れもなく自分自身であり、けれど異なる存在でもある。此方で話題に挙げるとどうしたって不思議な心地が付き纏いながら、声音には愛着ばかりが乗るようだ。そうして運ばれた二杯のアイスコーヒーに顔を上げ、本日はちょっと多めのミルクを注いでストローへと唇を寄せる。熱を灯す身の内にひやりと冷たさが運ばれて、「……美味し」なんて小さく零された。)
ちらっと出てきた会話を参照してくださったり、鵜飼の好きな食べ物を気にしてくださったり、たくさんの愛をいただいている気持ちになりました。ありがとうございます。
* No.145
(二択が眼前にあって、暫しの逡巡。然して「……どっちも、は、ワガママ?」なんて問いかけを。また手作りを贈って喜んでもらいたい気持ちと、二人並んでキッチンに立ち、楽しさごと一緒に分かち合いたい気持ちとで揺れて、結局は選び取れなかった。彼の隣ではちょっとだけ図々しくなっているような気がする。そんな自認も、これまで散々嫌っていた自分のままを受け入れてもらった産物だ。)……大袈裟なんだよね、アイリーンは。みんなが強いし頼りになるってわかってても、バトル中はずーっとそわそわして落ち着かなかった。でもジャガはちっちゃいからあたしも見ててちょっと心配するかも。(理想の自分を俯瞰して見つめる口振りは、此方もまたどこか他人事のよう。心配なんだもの!とぷりぷりしている高い声が耳の奥で聞こえた気さえしながら、はたと瞬いて。)こっちの世界で、かぁ。……みんな、どんな人たちだろうね。こっちでも、仲良く出来るかな。(合わせ鏡の噂が学内で爆発的な広がりを見せたことと合わせて、他にその正体を知るもう一人も学園関係者だ。学内の人間が多いのだろうと見ているも実際のところは知らず、友人となったその姿のみが浮かぶ。あの人と鵜飼はすぐ仲良くなれるだろうな、と密やかに夢想している内、不意に彼の零す言葉に呼応して時間を確認する。遅くなる前に、と告げたのは此方であるが――帰りたくないな、なんて、胸中に浮かぶはバイトを始めたきっかけでもあった気持ちと同様のものでもあるが、しかし纏う温もりはまるで異なる。しかし今は母を待たせたいわけでもなければ互いの都合があるのだ。唇を結んで飲み込み、)……時間、あっという間だな。そろそろ出よっか。寄り道もあるしね?(急遽増えた予定未満の行き先を定め、店を後にして訪れた公園にて。ベンチに腰を下ろして隣り合い、ちょっとだけ悩んでから結局欲に負けて、早速ブランケットに活躍してもらうこととして膝にかけつつ。)……!よっ、よかったぁ……、(口にするその姿をそれはもう穴が開くくらいに緊張の面持ちで見つめていたけれど、途端に緩めば眦を下げるまま。)幸せの味?ん〜、今まで鵜飼にいっぱいもらった分、あたしから溢れだしてお菓子に入っちゃった、かも? ……な、なんて……。(柄にもない事を言ったな、と後悔こそよぎれど、あながち間違ってはいないだろう。現に温もりを逃がさぬよう守ってくれる存在に「ブランケット、あったかいよ」と報告する様相なんて冬を超えて蕾が綻ぶみたいに、その面差しは柔く弛むばかりだ。今も、満たされて、溢れるくらいに。幸せの渦中にいるのだと、手放しに謳える温もりの中にいる。)
笑子さん どうしてそんなに かわいいの
 佐々礼笑子&昼神晴一 
12/17(月):放課後 用務員室前 >昼神さん
* No.49
(当然わかっていた事だが理想の中のようにはいかずと儘ならなさを覚えながらも、思い出に寄り添うようなその言葉にふと視線が上がる。「……大好きな人でした」と零す声は、ほのかにやわらいだものだった。わかってくれるのが嬉しい。そんな、ありふれた想いで。)そ、そうですよね、イサナはあの中でも下の方っぽかったけど、……あ、成人してんだ。(高校の用務員に生徒らと同年代は雇わないだろうとして年上と判じたが、改めて告げられるとどうしたって意外性が表出する。拍子にその面立ちをじっと見つめてしまった後、自らの失言に気付きハッと息を飲み口許を両手で抑え「す、すみません……」と青褪めた面持ちで視線を他方へと逃がした。自覚する。気を抜いてる、と。しかし思いがけぬ評には瞬目し、よもや容貌の話ではなかろうと理解しながら、何となく自身の頬に確かめるよう掌を添えてたりなんてして。)え、に、似てます……?自分ではあんまそんな気しないな。……昼神さんの方は、イサナとぜーんぜん違うってことはないですけど、……先にシャドウの方と喋っちゃったから、今穏やかなのちょっと不思議な感覚あります。(先んじて浮かんだ印象を結局そのまま口にしてから、微かに双眸を細めて見せる。イデア・ルームで過ごした数ヶ月程度の延長線。緊張と、相反する穏やかな心地と、奇妙な胸中が何故だか嫌でもない。)まぁ……今こうして話してる時点で、不思議な感覚はありますけど。なんか、変な感じですね。あっちでは一緒に戦ったり駆けっこしたり、散々お喋りしてきたのにな。
Event6後初のやりとりは初めましてのぎこちなさもありつつ、でもふとしたときに笑子ちゃんが気を抜いてくれているところが垣間見られ、イサナとアイリーンとで築いてきたものが確かに其処にあるんだなと思わせてもらえて嬉しかったです。「あ、成人してんだ」の言い方には思わず笑ってしまいました(正直だなあと笑)
きっと現実世界で先に出会っていたら不器用同士これ以上にぎこちないというかよそよそしい感じだったんじゃないかなと思いますが、理想世界での出会いがあったからこそ、二人が友達としての第一歩をきちんと踏み出せたフリー活動だったなあと思います。
12/25(火):放課後 用務員室前 >昼神さん
* No.94
(室内を窺ってみればすぐに視界に映るのは彼の姿のみ。更に向こうの扉の奥がどうなっているかなどは知る由もないので、兎角。加えて名を紡ぐどこか柔らかに伝う響きとに安堵し、ふと肩の力が抜けた。)いえ、あたしもまた、どっかでお話できたらって……思ってたんですけど。……なんか、機会とかきっかけとか、あと口実っていうのかな。そういうの見つけるのって、難しいですね。だから、お誘いいただけてうれしかったです。(LINKSの『お友達』の一覧は少しずつ増えてきたけれど、未だ不慣れさは付き纏う。友達って難しい。角ばった思考が無用な壁にもぶつかるが、それも厭わしいものでもなかった。文字での応酬でも告げられた通りの文言へ「急いでないんで、お気遣いなく」と声をかけはするが、やっぱり大人は忙しいんだろうな、なんてすれ違いが生じているなど露知らず。やがて戻って来た彼のまごついた様子を暫し見つめて、そうして、)……お近づきの印。(馴染みない文言に思わずと反復。ぱちりと瞬いた瞳が自然と文字の記された箇所を追う。しかし彼がそう言うならば記号や装飾以上の意味などないものとして、今はふわりとあたたかに包まれる胸裏に従った。)……ありがとうございます。なんだろ、気になる。あのね、あたしも用意してきたんです。……お近づきの、印。受け取ってもらえますか?(お返しとして差し出したブルーのラッピング袋。申し訳程度に添えられたサンタクロースのシールは剥がしてもよかったな、とよぎる間隙に。)……や、でもあの、やっぱどうしても、イサナの印象が……あって……だから多分、もしかしたら、……大人の男の人に渡すものじゃない、かも……。(今度は此方がまごまごと口籠って、一目惚れして購入後に過ちに気付いたことを懺悔した。中に収まっているのは“クジラのルームシューズ”。丸っこい青いクジラを模したもこもこのそれは、随分可愛らしく――有り体に言ってしまえばやや子供っぽいデザインではあったか。開けられるのがちょっと怖い、けれど、ふたつ分のそわそわは喜びの方に傾いて、受け取った贈り物を揺らした。)……お邪魔でなければ、今開けてみてもいいですか?
笑子ちゃんがプレゼントをくれただけでも嬉しいのにとっても可愛いチョイスでにこにこしました。クジラを見てすぐにイサナを思い出してくれたんだなあと思うと嬉しいです。晴一は好みが子供っぽいところがあるので普通に気に入って毎日履いていると思います!
* No.119
(互いの手に渡った、きっと自らでは選ばないような品。それも贈り物の醍醐味なのだろうか。ぴかぴかに磨いた宝物のようにいつまでも受け取ったふたつを見つめていられたけれど、ふと彼の言葉に瞬く。ぱちりと瞑った瞼を持ち上げれば、その奥に希望が閃くような。)……そっか。もう、こっちでも出来るんですもんね。なんでも。(どこか呆けた声は、考えもしなかったと伝うよう。彼との思い出たる障害物競走などは苦手分野な上に場を作るというハードルは高いが、例えば皆々とは味わえなかった冬ならば。)え、と……じゃあ、積もるくらい雪降ったら……雪だるま、一緒に作ってみますか?おっきい雪だるま一個作るのも、ちっちゃいので友達いっぱいにするのも楽しそう。……けどもう少し、人手あった方がいいのかな。(経験則に乏しい事柄もぽこぽこと思い浮かぶのは、密やかに内在していた憧憬か将又理想の世界で経た体験の産物か。次いでよぎるは現実と理想両者の姿を知るもう一人。勝手に明かすような真似は当然しないが、イデア・ルームでは仲良くしているように見受けられたふたりなので、いつか合わせられればなんて夢に見る。そんな夢想も共有して、然してその吐露に耳を傾ける眼差しはやわらいだ。)昼神さんも?いいですね、あたしはアナログな手帳って久々なんですけど……これだと、ペンの色とか種類とか変えたり、好きなシール貼ったり出来ますし。……一緒に楽しみましょう、書くことも、それが増えてくことも。(“書きたい”と、その想いひとつで充分なことのように思えた。ぱらぱらと捲ったページに指先が触れる。12月25日。今日という日に、小さな特別がもうひとつと増える。次は自分から彼に同じものを送ってもいいかもしれない、なんて、随分先のことまで思い馳せていると、なんだか畏まったような文言に瞳は丸みを帯びた。けれど同時に、胸がくすぐったくなるような言葉にも思えて。)は、はい。……こちらこそ、えーと……末永く、よろしくお願いします。(同じように頭を下げて、然して今一度持ち上げた折に絡む視線。ふ、と思わずと相好崩し「……なんかちょっと、気恥ずかしいです」なんて素直な胸懐を明かした。気恥ずかしさも、そわそわとした心地も、不思議と厭わしくは思えない。そんな気持ちも応酬も思い出も、積み重ねていけるのだと信じればこそ。)
そうなんですよね。理想世界でしかできなかったことも勿論あるのですが、現実世界でもできることはいっぱいあって、これからは晴一と笑子ちゃん(+鵜飼くん)の姿でいろいろなことを経験していくのだなあと思いました。(宮生くんや九堂くんともハッピーイートで再会したいぞの気持ちはずっとあります)
2/14(木):朝 用務員室前 >昼神さん【2】
* No.181
昼神さん、佐々礼です。(ノックを2回、それから声を掛けて扉を押し開く。校内で顔を合わせれば挨拶を交わし、時として足を留める事も間々あったが、こうしてわざわざ訪れるのは年末以来となった。しかしこの時間帯は教員の往来が気になるところ。早々に「お渡ししたいものがあって、」と前置いた後、差し出したのはカラフルな包装紙に包まれた小さな何か。)えーと……友チョコ、のつもり、です。バレンタインなので……クラスの子と交換し合う予定なんです。それと同じので。(手首に提げた紙袋には同じ柄の包装紙が複数個と、その奥底に異なるもうひとつ。女子高生らと成人男性を一緒くたにするのも考え物ではあるが、いずれも“友達”という括りに置くことを望む関係性ともなれば、友チョコなる文化を持ち掛けられた際に彼の顔も同時に浮かんだのだった。包みの中身は、クッキーでマシュマロとチョコレートを挟んだスモアサンドだ。)あたし、再来週受験本番なんです。合格発表は卒業後になっちゃうんですけど。(国公立組は少し遅く、試験が終わったとてすぐに解放とは相成らぬが、今はその先を想った。)だから、色々終わったら……ゆっくりお話出来ると嬉しいです。やっぱ、学校だとなんか気になっちゃうし。昼神さんよければ、ご飯とか食べながら……とか、かな。(望みを口にして、よぎるは想い人の姿。異性と二人という状況を彼がどう思うかは知れぬところなので、事前に確認を入れるつもりだ。と、共に。大切に想う相手を、どちらにも知ってもらいたいという願いもある。ゆえに「……お話したいこと、いっぱいあるので」そう加える声は、どこか穏やかなものだった。)
笑子ちゃんがクラスメイトと友チョコを交換し合うまでになっていることに感動しつつ、友達の一人として晴一の分まで作ってきてくれて嬉しいです…。エピローグ期間はお二人のお邪魔をするまいと思っていただけに呼びだしていただけてPLとしても本当に嬉しかったです。最後までお付き合いいただき本当にありがとうございました…!
異性なのに(友)チョコレートまでもらってしまっていますが鵜飼くんは晴一なら許してくれると信じています。でもやきもちやく鵜飼くんも見たいですね…。